知人がコミュニティという用語・概念についてfacebookで次の文献を引用して問題提起をされた。
『わたしの20世紀─長野士郎回顧録』長野士郎/学陽書房/2004/p,162-163
https://www.amazon.co.jp/dp/product/4313810099/
コミュニティという概念は、IT業界でもいろいろな意味で使っている。
ISo/IEC 33001 Process Assessment 規格では、
具体的なモデルは、コミュニティの支持を必要としている。
この場合のコミュニティとは、同じ言語が通じる人たちのことを言う。
ここで言語とは、プログラミング言語、仕様記述言語、意思疎通言語(communication language)など、意思疎通、振る舞いに影響を与える文字列集合をさす。
#種類(domain)
言語の文法だけでなく、言語の用語集合も必要である。
例えば、鉄道という分野に限っても、
鉄道に乗る人たちの言語と、
鉄道を写真に撮る人たちの言語と、
鉄道車両を運転する人たちの言語と、
鉄道車両を製造する人たちの言語と、
鉄道車両を設計する人たちの言語と、
鉄道の鉄路・車両の材料を研究する人たちの言語と、
鉄道の鉄路・車両の材料を製造する人たちの言語と、
鉄道の鉄路を設計する人たちの言語と、
鉄道の鉄路を設置する人たちの言語と、
鉄道の線路を保守する人たちの言語と、
鉄道模型を作る人たちの言語と、
鉄道模型を利用する人たちの言語で、
大きな違いがあるかもしれない。
鉄道というコミュニティは、12以上の小さなコミュニティの分散集合かもしれない。
IT分野では、言語とOSの組み合わせで数十のコミュニティがあるかもしれない。
言語・OS | Windows | Mac OS | Linux |
---|---|---|---|
C/C++ | 1 | 2 | 3 |
JAVA | 4 | 5 | 6 |
C# | 7 | 8 | 9 |
Python | 10 | 11 | 12 |
Javascript | 13 | 14 | 15 |
…. |
通信規約、DB、サーバ、ブラウザなど主な道具伊達によるコミュニティもたくさんある。
#人の規模(people)
1人コミュニティ
例えば、自分でプログラミング言語を作ると、その言語のコミュニティは一人から始まる。
100(百)人コミュニティ
コミュニティの人数が100人くらいになるまでは、最初の提案者、原作者などが中心になって組織は円滑に進む。
100人くらいを超えることになると、取りまとめをする人が重要な役割を果たす。
いろいろな人の意見を、中心的な活動をしている人の間にも浸透させ、意思決定に役立てられるような交通整理をしているとよい。
10000(一万)人コミュニティ
100人の場合には、運営方法だけが分化していればなんとかなっても、
10000になると、人でみんなの意見を集約することは不可能になる。
コミュニティの中に、世代、文化、地域、その他の属性や、目的に応じて、
小さなコミュニティが成立し始める。
逆に、小さなサブコミュニティなしに、10000人のコミュニティを運営することは不可能かもしれない。
逆に言えば、10000人のコミュニティを運営するためのノウハウを100人のコミュニティに適応したら、それは無駄しかしていないかもしれない。
1000000(百万)人コミュニティ
100万人のコミュニティには明確に組織が必要である。
いろいろな規約類も100万人を目処に作成するとよい。
それまでは、キリスト教における聖書のような根本文献一つだけで、それ以外の文書など作らない方が、コミュニティの健全性を保つのによい。
例えば、Agileであれば、Agile宣言だけで10000人のコミュニティを保つことは可能だろう。しかし、百万人になると、それだけでは組織できなくなる。
ここで起こるのが、百万人の組織に共通の社会的な仕組みとを混同する人たちの存在である。その組織の主題とは関係ないことも、組織を維持するためには必要であるが、本末転倒になる可能性がある。
100000000(十億)人コミュニティ
コミュニティ内で戦争が起きることを想定しているとよい。
百万人でも、本末転倒するが、10億人だと人が死ぬ事件が起こる確率が非常に高くなる。
10億人のコミュニティを殺人なくして運営する知見は、現在の社会学、経営学、経済学には存在していないような気がする。
#年数(years)
3年以内
そのコミュニティができてから3年以内なら、発足時の雰囲気が持続していると思う。
9年以内
9年くらいになると、ある程度マンネリ化して、やらなくてもいいことをやり続けていたり、新たにやる必要がありそうなことを先送りして着手しないという状況が生まれるかもしれない。
第二世代の育成がうまくいっているかどうかが鍵になる。
27年以内
うまく第二世代に渡せた場合でも、第三世代に渡すのはすごく難しい。
三代目が潰すというのはことわざのようなものにもある。
当初の理念は伝わっておらず、なおかつ、興隆期の幻想に振舞わされた人が集まってきて、骨抜きになっているかもしれない。
84年以内
100年企業という言葉がある。コミュニティも100年たつと、利権として成立しているか、宗教団体のようになっているか、いくつかの社会的な分岐をしている可能性がある。当初はNPOで行なっていた活動が営利企業になっているかもしれない。
逆に、営利企業が実施していたことがNPOが継承していることもありうる。
252年以内
構成する人そのものが4世代変化していると、当初の目的から相当かけ離れたコミュニティになっている可能性がある。この間で、維新が起こるか、次の756年以内に起こるかは、詳細な分析をまだしていない。
アメリカの南北戦争1861年はアメリカの独立宣言1776後85年である。
756年以内
大化の改新(645)は3世紀頃から始まったらしい大和王朝の一つの変革だったかもしれない。
2268以内
これより長いのは、ユダヤ教の聖書(旧約聖書)のような古い文献に基づくものかもしれない。
文字のない文化は、続いてきているのか未確認。
#参考文献(reference)
プログラマが知っているとよい英単語の語源
https://qiita.com/kaizen_nagoya/items/9de6d47c47e2c211222b
statusとstate 語源で学ぶ英単語
https://qiita.com/kaizen_nagoya/items/02e231cd4cc17ff25382
文書分析 出現頻度
https://qiita.com/kaizen_nagoya/items/b8685f770ce355bc588c
単語集計 awk, ruby
https://qiita.com/kaizen_nagoya/items/8837d94ae7b5ef05be86
日本における多言語対応
https://qiita.com/kaizen_nagoya/items/75d417dba9cebf551421
まぎらわしい、間違えやすい、行き違いの多い略号worst 10(候補24)
https://qiita.com/kaizen_nagoya/items/0bff5dbb72208053489b
用語の衝突
https://qiita.com/kaizen_nagoya/items/6a8eb7ffaa45eeb16624
仮説・検証(172)「批判」を読み下す
https://qiita.com/kaizen_nagoya/items/711393732398dad47fcb
文書履歴(document history)
ver. 0.01 初稿 20201214
ver. 0.02 補足 20201217