Wikipediaに書く文章で気をつけていること。
改訂版です。
はじめに
大学の卒業研究指導などで、Wikipediaから引用する場合に、引用する文字数以上を該当する項目に追記した場合だけ認める原則で指導してきました。
何人かの大学教員が、Wikipediaからの引用を禁止していると聞いたことがあります。
根拠が希薄だと感じました。Wikipediaが孫引きの場合には、直接引用するように指導すればいいと思いました。
逆に、Wikipediaからの引用を何の条件もつけずに認めている組織、文章を目撃したことがあります。
Wikipediaの文章にも、立場、視点がいろいろあり、どの立場、視点での文章かを明確にすることが大事だと思います。
引用の禁止も無条件の黙認も、学生のためになっていないと感じました。
「引用した文字数以上を該当する項目に追記」といっても、Wikipediaに書く書き方を指導していないと、追記した表現に問題があったりする。
一番簡単な追記方法として、参考文献の追加を勧めていた。
Wikipediaに追記する際に、知っているとよい記法 7つ
どの参考文献を追記するとよいかは、参考文献駆動執筆という論文執筆方法の指導の中で行ってきた。
大切なことを書いている文献を直接参考文献に書くのではなく、参考文献の参考文献を調べて、どちらがより本質的な議論をしているかで、より本質的な議論をしている文献を先に書き、補足している文献を次に書くように。
参考文献駆動執筆(references driven writing)・デンソークリエイト編
参考文献の参考文献の参考文献の一覧を作るのに。
なぜ参考文献に標題、発行年、URLを入れるか
参考文献一覧作成 ファイルの存在の確認とPDF・画像からの変換(OCR)
Qiitaに記事を書く時と論文を書く時の共通部分と相違点
ある疑問の解決の方法 参考文献
書き方
プログラマはプログラムさえかければいいという趣旨のもと、
文章の書き方の基本については、それなりにしか指導していない。
プログラマが心がけるとよい文章の書き方
先人の知見を有効に生かすようにしている。
文章の書き方
山本和彦 (株)インターネットイニシアティブ
PDF版
https://www.mew.org/~kazu/material/2008-bunshou.pdf
HTML版
https://www.mew.org/~kazu/doc/japanese.html
受動態を使うな、能動態を使え
カタカナを使わない
接続詞「が」
「ので」「ため」を使わない。
注意するとよい点を付け加えます。
多い。少ない。
統計データを引用せずに、「多い」「少ない」という表現を取るのは意味不明。
統計データをつけた場合は、その統計データの基礎となる前提条件・制約条件を記載するとよい。
「2020年に100万人に1人くらいの割合で調査した場合は」とか、
「2021年の日本の成人での3000人の調査では」
とか。
たった一人、自分の思い込みで「多い」「少ない」を述べている文章がいかに多いだろうか。Wikipedia調査項目で課題のありそうな100記事中30記事。残りの課題の半分以上は参考文献不足。(参考文献を足すのがよさそう。)
「ほとんどが」とか、「めったに」とか、「すぐに」いう表現も同様かもしれない。
社会的評価
多い、少ないに限らず、社会的評価を記述する場合には、どの立場の人が、どれくらいの割合で、何に基づいて評価したかを記載するとよい。
同じ時代であっても、立場によって真逆の評価をしていることはある。
「ある」は一つでも事例があればよいが、。「ない」ことを示すのは困難で、ある方だけを記述するとよい。
SudachiPyで偶然短歌を作った話
が参照している
形態素解析エンジンMeCabにて文章中から短歌を抽出
地味に困ったのが、ウィキペディアには本当の短歌そのものも載っているので、それも引っかかってしまうことです。本物の短歌は除いたほうがよいと思うんですが、自動で弾くいい方法を思いつかず、残念ながら抽出済みのものから自分が気づいたものを手作業で除いています。
派手に困ってほしい。Wikipediaを書いている人間が、短歌を文章の中に埋め込んだり、もともとの短歌の習慣のように最後にまとめとして短歌形式を使ったりすることを想定していないのだろうか。
自分が短歌を作らないから、Wikipediaの文章の中には、必然短歌、意図的短歌、埋め込み短歌があることを想像していないのだろうか。
物理学、短歌と出合う 坂井修一 022年1月9日 日本経済新聞
石原純という名前を聞いたことがあるだろうか。物理学の世界では、相対性理論や量子論の研究者として知られ、文学の世界では口語自由律の前衛的な歌人として知られる人だ。
石原純の短歌を抜き出せないかもしれないし、既存の短歌として判定する仕組みを用意していないかもしれない。
参考資料
多い、少ないに限らず、何かを断言する場合には、その根拠となる参考資料をつけるとよい。
その参考資料を見ると、必ずしも断言した内容は、特定の条件だけのことを言及していて、本文中にも条件を記載するとよいことがわかることがある。
文章を加筆する場合には、必ず1つは参考文献を足すという習慣をつけるといいかもしれない。
引用
はじめにの繰り返しになる。
Wikipediaから引用する際は、引用した分量に相当する部分を加筆するとよい。
参考資料の不足であったり、偏りがある場合は、何を加えるとよいかは気が付きやすい。
この記事の参考資料
IT業界における国際規格等の利用。仮説(22)
Qiitaに記事を書く時と論文を書く時の共通部分と相違点
Qiita(18)記事を書くときに注意していること
「wikipediaからのページからリンク一覧を取得する方法」を動かしてみた
@kazuo_reve 文章の推敲・校正の個人的なノウハウ
大事なことはすべてWikipediaから学んだ
SudachiPyで偶然短歌を作った話
自己参照
@kazuo_reve 「文章の推敲・校正の個人的なノウハウ」に付け加えたいこと(加筆中)
参考文献の参考文献は参考文献だ。清水吉男「「派生開発」を成功させるプロセス改善の技術と極意」を超えて
成功体験は語っても、成功体験に頼らないために。清水吉男・田中伸明・柏原一雄・佐々木眞一。仮説(153)
先日、王貞治がすごいことをテレビで語っていた人がいた。
「自分の場合は」と断ってから体験談を語るそうだ。
自分の経験を相手に押し付けない。
時間と空間が異なれば、前提条件、制約条件が異なるはずだから、自分の成功経験が必ずしも相手に役立つとは限らないからだ。
清水吉男 から学んだ最大のこと。
Wikipediaに書く文章でも、前提条件、制約条件の違いを意識して、
自分の成功経験をそこに書いても、誰も喜ばないかもしれないという
意識があるかどうかが大事だろう。事例として書く分にはよいが、。
その際は、どういう事例かの前提条件、制約条件が分かる事項、参考文献をかいてあるとよい。
おまけ
文中、ここで紹介している原則から外れている部分は、訂正表記して文章を直しています。原則を守ることが大事なのではない。原則を守るとわかりやすくなるのであれば、直すのがよい。
文書履歴
ver. 0.01 初稿 20221225
ver. 0.02 ありがとう追記 20230624
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