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初めて Qiita 投稿する人へ ~中堅 SE が語る“記事づくりの流れと工夫”~

Last updated at Posted at 2025-11-09

1.はじめに

前回の記事では、Qiita に初投稿するときのマインドセットや、情報発信を続ける価値について整理しました。実際に初投稿に挑戦してくれた方もいて、「一歩を踏み出す」流れが少しずつ広がっているように感じます。

記事投稿後、周囲から次のような相談を受けることがありました。

  • 投稿マインドはあるけれど、どう進めればよいか分からない
  • 書きたいテーマはあるのに、記事の流れが見えず手が止まってしまう

最近は「投稿の心理的ハードル」に関する相談は減ってきた一方で、「記事のつくり方が分からない…」という声が目立つようになってきました。
そこで本記事では、筆者の実体験をもとに Qiita に初投稿するまでの“記事づくりの流れと工夫”に焦点を当てて整理します。

本記事の主な読者層は以下の通りです。

  • Qiita に初投稿を考えている方
  • 投稿マインドはあるが、具体的な進め方が分からず手が止まっている方

この記事を通じて、初投稿までの流れをつかみ、安心して記事を書き進められることを目指しています。以降の参考例として登場する記事はすべてクラウド(Azure)関連ですが、内容自体はどの分野でも応用可能です。

📌嬉しいご報告
この記事を参考にしてくれた方の一人が、筆者より先に Qiita に初投稿してくれました。「書ききれた達成感と、少しの自信を得られた」と話してくれて、とても励みになりました。
Qiita 記事のリンクはこちら

2.記事のネタ準備編

初投稿では「そもそも何を書けばいいのか?」と迷う方が多いです。
記事ネタは、日々の業務や学習メモから切り出すだけでも十分に価値があります。

一方で「どのような切り口で記事にすればいいか」で手が止まるケースも少なくありません。
そこでまずは、Qiita に多い記事の「型」を全体像として整理してみます。

2-1.記事の「型」の全体像

Qiita でよく見られる記事の「型」を、筆者の主観「難易度(書くときの手間感)」で並べました。
★が少ないほど手軽に書けて、★が多いほど整理や構成に工夫が必要です。

各型には、筆者が実際に投稿した参考記事へのリンクも添えています。

ここでの「難易度」はあくまで筆者の主観であり、記事の価値や優劣を示すものではありません。
人によって感じ方は異なり、並べ方も変わり得ます。あくまで参考情報としてご覧ください。筆者の場合は「言語化」や「構成」のしやすさを基準にしています。

難易度 具体的なテーマ例 参考記事
1 Tips・小ネタ ★☆☆ ・日常業務で役立つ工夫や小技
・見落としがちな設定や機能の紹介
・よくある操作を効率化する方法
意外と知らない?Azure Portal で使える便利機能7選!
2 学習メモ ★☆☆ ・資格勉強や試験対策のまとめ
・演習や実習を通じて得た知識の整理
・学習の進め方やロードマップの記録
Azure 資格 AZ シリーズ全10資格 合格体験記 - 学習ステップ・教材・モチベ維持の実践知まとめ
3 まとめ・リンク集 ★☆☆ ・自分の過去記事をテーマ別にまとめる
・外部サイトや資料を整理したリンク集
・技術分野全体を俯瞰するロードマップ情報
Microsoft 認定資格(Azure)早見表
4 検証・比較 ★★☆ ・新機能を実際に試す
・サービス A と B を比較してみる
・動作検証やベンチマークをまとめる
※今後投稿予定
5 イベント・体験共有 ★★☆ ・カンファレンスや勉強会の参加レポート
・ハッカソン、コンテスト参加記録
・技術者インタビューや対談のまとめ
Azure 好きが集まる場所、JAZUG にいってきました
6 考え方・雑感(ポエム) ★★☆ ・学習を通じて得た気づき
・エンジニアとしての姿勢や思い
・キャリアの節目で感じたこと
資格は取って終わりじゃない 〜 Azure 資格(AZ シリーズ)全取得から1年間の実践と、全23資格取得の今〜
7 資料総評・紹介 ★★★ ・技術書を読んだ感想やおすすめポイント
・論文やホワイトペーパーの要点整理
・公式ドキュメントを噛み砕いてまとめる
いちばんやさしい Azure 認証・認可編
8 実務解決 ★★★ ・実際に遭遇したトラブルの解決手順
・運用や設定の改善方法
・失敗から得た教訓やベストプラクティス
Azure セキュリティの実践整理【全4回】#1:ID 管理とアクセス制御編
9 解説・入門 ★★★ ・初心者向けに基礎概念をやさしく整理
・図解や比喩を使って仕組みを解説
・混同しやすい用語の違いをわかりやすく解説
Azure ネットワークを町で例えてみた:初心者のためのやさしい入門
10 考察・知見共有 ★★★ ・再現性のある学習法の整理
・キャリアを振り返った棚卸しや学びの共有
・技術や業界動向に関する考察
Azure の情報ってどう追ってる?資格にも実務にも効くキャッチアップのコツ

このように整理してみると、「難易度」の観点で記事の「型」は次の3つのグループに分けられます。

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2-2.初投稿におすすめの型

初投稿は「最初の一歩(初級)」が安心して書き進められます。

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これらは「自分の業務や学習の延長線」で記事にできるため、日々の学びをそのまま記事にしやすいのが特徴です。
ただし、人によっては「中級」や「上級」のグループの方が書きやすい場合もあります。
まずは全体像を眺めて、自分にとって一番書きやすそうな型を選んでみてください。

ちなみに筆者の Qiita 初投稿は、資格の合格体験記(=2.学習メモ)でした。
特別な記事を書く必要はなく、学習の記録を整理した程度でも立派なアウトプットになります。

3.記事のスタイル編

2章までで「どんなネタを書くか」は整理できました。
次に考えるのは 「どんなスタイルで書くか」です。

本章では、Qiita でよく見られる記事スタイルを
「書き手中心型」と「読み手中心型」の2つに分けて紹介します。

3-1.記事スタイルの2つのスタンス

  1. 書き手中心型

  2. 読み手中心型

    • 想定読者を決め、その人が必要とする情報を中心に構成
    • 内容が整理され、読み手にとって理解しやすい
    • 参考記事:Azure ⇔ AWS 資格マッピング表

003.png

どちらのスタンスにも価値があります。
初投稿では「書き手中心型」で気軽に始めるのがおすすめです。

004.png

3-2. プラス α:読み手意識

無理にする必要はありませんが、「書き手中心型」で書く場合も、ほんの少しだけ読み手への配慮を加えると効果的です。
伝える相手を意識することで、結果的に自分の伝えたい内容がより正確に届きやすくなります。

005.png

例として「クラウドサービスのセキュリティ」を題材にしてみます。
同じテーマでも、想定する読み手によって求められる情報は異なります。

  • 初級者:動かす手順や画面キャプチャ、基本用語の解説
  • 中級者:実務課題の解決方法、設計意図、判断の根拠
  • 上級者:検証結果や比較に加え、背景にある考え方やベストプラクティス

このように「どの層の読み手に向けて書くか」を決める(=読み手を意識する)だけで、記事の切り口や深さが明確になります。

実際に筆者も「Azure セキュリティ」を題材に、対象を初級者にするか中級者にするかで記事の内容や粒度を調整しています。

4.記事の書き進め方編

ここまでで記事の「ネタ(型)」と「スタイル」の準備ができました。
次は、いよいよ実際に記事を書いていく段階です。

本章では、筆者が実際に書いた以下の記事を例に、
「アウトラインを作る」→「本文を書く」→「仕上げる」 の流れを順に解説します。

006.png

4-1.アウトラインを作る

いきなり本文から書き進めると、「何を伝えたいんだっけ?」と途中で迷走しがちです。
そこで、まずは アウトラインを作るのがおすすめです。

  • 大見出しを先に並べる
  • 箇条書きで要点を大まかに書く
  • 詳細は後から膨らませる

007.png

以下は、対象記事の本文を書く前に作ったアウトラインの一部です。

### アウトライン例

# 1.はじめに
   - ネットワークは難しいと感じる人が多い
   - 駆け出しエンジニアの方向けにイメージを伝えるのがゴール

# 2.ネットワークの全体像をのぞいてみよう
   - Azure ネットワークの基本構成に絞る
   - VNet / Subnet / VM / NIC / NSG / NAT Gateway の登場

# 3.ネットワークの町をイメージしよう
   - 町の比喩で直感的に理解できるようにする
   - VNet=町、Subnet=区画、VM=建物、NSG=門番 … の対応表

# 4.町の外にあるホテルに泊まりにいこう
   - VM から外部サービスに出ていく流れをストーリー化
   - NIC → Subnet → NSG → NAT Gateway → 外部サービス

# 5.次の一歩へ進むために
   - ここまでで「町のイメージ」を持てれば十分
   - 今後の学習の広げ方・おすすめ教材を紹介

# 6.おわりに
   - ネットワーク学習は比喩や自分なりの言葉で置き換えて進めるとよい
   - 今回の記事が第一歩になれば嬉しい 

アウトラインを作っておくと、記事全体の見通しが立ち、書き進めるハードルが下がります。
最初は大まかで構いません。書き進めるうちに構成がまとまっていきます。

初投稿など慣れないうちは、アウトラインの段階で Qiita の有識者や身近な先輩に軽く助言をもらうのがおすすめです。
本文を書き終えてから直すよりも手戻りが少なく、方向性も定まりやすくなります。

4-2.本文を書く

アウトラインができたら、そこに中身を膨らませて本文を書いていきます。
ここで大事なのは、最初から完璧を目指さないことです。

  • 章のはじめから、話の順番に沿ってとりあえず書いてみる
  • 細かい言い回しや整合性は後から直せばよい
  • 書きながら思いついたことは、いったんメモ的に残しておく

008.png

対象記事「1.はじめに」のアウトラインは、次のようなシンプルな内容でした。

### アウトライン

# 1.はじめに
   - ネットワークは難しいと感じる人が多い
   - 駆け出しエンジニア向けにイメージを伝えるのがゴール

そこから本文を書き進めると、次のように中身を膨らませることができます。

### 本文

# 1.はじめに
「ネットワーク」と聞くと、難しいと感じる人は多いと思います。
専門用語が多くて、構成図を見ても何を意味しているのか分からず、最初の一歩でつまずくこともあるでしょう。

筆者自身も新人の頃、オンプレのネットワークを担当したときはまったく理解できませんでした。
ルータやスイッチの設定を前にしても仕組みが頭に入らず、先輩の説明を聞いても用語が多すぎて混乱するばかり。
「結局どこから学べばいいんだろう…」と悩んでいたのを覚えています。
> ※メモ: 「ルータ」「スイッチ」の解説を括弧書きで軽く入れるか?(公開前に削除でもOK)

その後 Azure に関わるようになってからもネットワークを扱う場面はありましたが、
VNet や Subnet、NSG など Azure 特有の言葉が次々に出てきて、最初は細かな仕様を理解しないまま触っていることもありました。

この記事では、そのときの経験を振り返りながら、Azure ネットワークについて少し整理してみたいと思います。
> ※メモ: ゴールを強調する1文(「ざっくり全体像がわかる」など)を追加検討

このように、最初は大まかなアウトラインから始めて、少しずつ本文を膨らませれば十分です。
細かい部分は後からいくらでも直せるので、まずは気軽に書き進めてみましょう。

4-3.仕上げる

本文を書き終えたら、最後に全体を見直して整えます。
ここでの一手間で、記事の完成度は大きく変わります。

009.png

Qiita は誰でも閲覧できる公開プラットフォームです。
仕上げの粒度は人それぞれですが、投稿前に個人情報や業務上の機密情報が含まれていないかだけは必ず確認しましょう

特にスクリーンショットやコード、コマンド結果などは、情報が含まれやすい例です。必要に応じてマスキングや加工を行うと安心です。

4-3-1.プラス α:7つのチェック

ここでは、記事をより「伝わりやすく」するための代表的な7つのチェック要素をまとめました。

010.png

実際の調整例は、対象記事「1.はじめに」をもとにしています。

ここで紹介する7つは「必ず満たすべきもの」ではありません。
まずは「自分が納得できる範囲」でできそうな項目を試せれば十分です。

チェック要素 項目 実際の調整例
1 構成 □ 見出しや章立てが整理されているか
□ 全体の流れが自然につながっているか
□ 記事の主題や伝えたいことが明確か
導入を共感フレーズから始め、その後に想定読者・主題を示す構成に整理した
2 文量 □ 一文が長すぎないか
□ 同じ内容を繰り返していないか
□ 全体の文量が読みやすい長さか
新人時代のエピソードは要点を絞り、余分な部分を削った
3 用語 □ 読者を想定して専門用語の使い方に気をつけているか
□ 必要に応じて初めて出す言葉に説明を添えているか
□ 言葉の書き方が記事内でそろっているか
専門用語は冒頭では避け、わかりやすい表現を優先して読者が安心できるようにした
4 表現 □ 語尾や言い回しが単調になっていないか
□ カジュアルと固い文体が混ざっていないか
□ 記事の目的に合ったトーンで書けているか
ネガティブに寄りすぎないよう調整しつつ、読者が安心して読み進められる雰囲気に整えた
5 読者視点 □ 想定読者が明確になっているか
□ 冒頭で読む理由や得られることが示されているか
□ 読者が次に知りたい内容へ自然につながっているか
読者を駆け出しエンジニアと明示し、具体化して共感を誘った
6 視覚 □ 箇条書きや図を使って整理しているか
□ 見出しのレベルや順番がそろっているか
□ 強調表示を使いすぎていないか
想定読者をリスト形式で示し、視認性を高めた
7 整合性 □ リンクが正しく動くか
□ タグやタイトルが記事の内容に合っているか
□ 記事全体の方向性がぶれていないか
「はじめに」でゴールを明記し、記事全体の方向性を整えた

上記のチェック要素を踏まえて整えた「1.はじめに」の完成版は以下の通りです。
実際にどのように改善されたかを確認すると、イメージが掴みやすいと思います。

### 完成版

# 1.はじめに
「ネットワーク」と聞くと、ちょっと身構えてしまう人も多いと思います。
聞き慣れない専門用語がたくさん出てきて、どうしてもとっつきにくいイメージがありますよね…

筆者自身も、新人の頃はネットワークに苦手意識がありました。
いろんな先輩にアドバイスをもらいながら学ぼうとしましたが、説明を聞いてもイメージがつかめず、結局「何が分からないのかすら分からない。どこから手をつければいいのか…」と迷ってばかりでした。なかなか理解が進まずに困ったことを覚えています。

この記事は、そんな「**駆け出しエンジニア**」の方に向けて書いています。

- 社会人1年目くらい
- ネットワークの基礎知識はほとんどない
- Azure を使うことになったけど、ネットワークの全体像が見えない

同じように感じている人に向けて、<font color="blue">**「Azure ネットワークってざっくりこんな世界なんだよ」**</font>とイメージを持ってもらうのがゴールです。

細かい設定や専門的な仕組みには踏み込みません。
比喩や図解を中心に、直感的に理解できる内容にしているので、安心して読み進めてください。

5.おわりに

ここまで、Qiita に初投稿するための流れを
「型探し → スタイル選定 → アウトライン作成 → 本文を書く → 仕上げ」の順で整理してきました。

振り返ると、ポイントはとてもシンプルです。

  • ネタは日々の学びを「型」に当てはめれば見つかる
  • スタイルはまず「書き手中心型」で十分。慣れたら「読み手」を少し意識してみる
  • 本文は完璧を目指さず、アウトラインから中身を膨らませる
  • 見直しのひと手間で、記事の伝わりやすさは大きく変わる

011.png

大切なのは、特別な準備や経験がなくても書けると信じて始めることです。
小さな気づきや日々の工夫でも、整理して言葉にすれば十分に価値あるアウトプットになります。

ここで紹介した工夫は「全部やらなければいけない」ものではありません。
まずは自分が納得できる範囲で、取り入れやすい部分だけ試せれば十分です。

この記事を通じて、初投稿までの流れが少しでもイメージできたなら嬉しいです。
ぜひ肩の力を抜いて、あなたの最初の記事を書き始めてみてください。

皆さん、快適な Qiita ライフを!

付録:役立つリンク集

Qiita で記事を書くときに参考になる公式リソースをまとめました。
記事の準備や仕上げに応じてご覧ください。

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