はじめに:チームでAIを使う“次の段階”
前回の記事では、Copilot Chatを「チーム全体で使う方法」を紹介しました。
今回はその次のステップとして、“プロンプトを共有・改善する文化” に焦点を当てます。
AI活用の成果は、個人がどんなに優れたプロンプトを使っても、
チーム全体で再現できなければ意味がありません。
無償版のCopilot Chatでも、Word・Excel・Outlook・Teamsなどを活用して、
「ナレッジとしてプロンプトを共有・蓄積する仕組み」を作ることが可能です。
なぜプロンプト共有が大事なのか?
Copilotを業務で使ううえで、チームの中にはこんな状況がよくあります。
「AさんのCopilotの使い方がうまい!」
「Bさんのプロンプト、どこかに共有してくれないかな…」
AI活用が進むと、個人差が広がりがちです。
この差を埋めるために必要なのが「良いプロンプトを共有する文化」です。
チーム共有の3つのメリット
| メリット | 内容 |
|---|---|
| ① 再現性 | 同じプロンプトを使えば誰でも同レベルの成果を出せる |
| ② 教育効果 | 新人教育やOJTでAI活用スキルが自然に学べる |
| ③ ナレッジ資産化 | チームの知識が蓄積され、AI活用が継続的に進化する |
良いプロンプトの条件
効果的なプロンプトには、共通する特徴があります。
| ポイント | 解説 |
|---|---|
| 目的が明確 | 「何をしてほしいか」が一文で言える |
| 具体的な指示 | 曖昧な表現より、条件・形式・視点を指定する |
| 再利用しやすい | 他の人が読んでも意味が分かる構造になっている |
プロンプト共有フォーマット例
プロンプトを共有するときは、形式を統一しておくと便利です。
以下のようなテンプレートをTeamsやOneNoteで運用すると効果的です。
🧩 プロンプト共有テンプレート例
タイトル:営業報告メールを要約・整形するプロンプト
目的:営業担当が報告内容を短時間で整理するため
使用アプリ:Outlook / Copilot Chat
プロンプト本文
以下の営業報告文を、上司向けに簡潔でビジネス調に整えてください。
・主な結果を3行以内にまとめる
・次回アクションを1行で提示
・件名案も提案してください
活用ポイント
- 定例報告をチーム全員で同じフォーマットにできる
- AIに文体調整を任せることで報告のスピードと品質を両立
プロンプトを共有・管理する方法(無償版で実現可能)
| 方法 | 概要 |
|---|---|
| Teams | 「#copilot活用」チャネルを作り、週1回の共有スレッドを立てる |
| OneNote | 部署別に「Copilotノート」を作成し、カテゴリ別に整理 |
| SharePoint | 社内ポータルに「Copilot活用集」を設置(タグ検索付き) |
| Excel表管理 | プロンプト名・目的・使用アプリ・担当者などをリスト化 |
🔖 タグ分類のおすすめ
プロンプトを探しやすくするためにタグ付けも有効です。
例:
| カテゴリ | タグ例 |
|---|---|
| 部門別 | #営業 #総務 #人事 #開発 |
| 業務別 | #報告書 #提案書 #議事録 #分析 |
| 目的別 | #要約 #翻訳 #改善案 #チェックリスト |
TeamsやOneNoteでタグを活用すれば、数が増えても検索しやすくなります。
チームでプロンプトを磨く文化を作る
Copilot活用を“文化”にするには、共有→試す→改善→再共有の循環を作ることが大切です。
💡 実践のコツ
- 定例会議で「今週のベストプロンプト」を発表
- 良かったプロンプトをOneNoteで“いいね”する
- 改良版が出たら「v2」として上書きせず新バージョンとして保存
- 成功事例を「Copilotナレッジ通信」としてTeamsに投稿
まとめ:プロンプトは“知識の共通言語”
- Copilot Chatの価値は、プロンプトを共有・継承できることで何倍にも広がる
- 無償版でも、TeamsやOneNoteを使えば十分ナレッジ管理が可能
- AIスキルをチーム全体の「共通言語」にしていくことが、これからの競争力になる
良いプロンプトは、チームの“知的資産”。
Copilotを使うたびに、組織の知恵が少しずつ賢くなっていく。
シリーズ記事リンク
- (1)はじめに
- (2)注意点と効果的な使い方
- (3)部署別・業務シナリオ集
- (4)画像生成で広がる活用シーン
- (5)PDFを読ませてみた!長文要約・翻訳が一瞬で
- (6)“ちょいコーディング”にも使える!Excel関数から正規表現まで
- (7)翻訳+要約の合わせ技で海外資料も一瞬理解
- (8)無償CopilotがWordやExcelにやってきた!
- (9)プロンプト講座①:基本テクニック
- (10)プロンプト講座②:部署ごとの応用テクニック
- (11)無償版でもここまでできる!宣言型エージェント活用の基本
- (12)安心して使うために知っておきたいプライバシーと著作権保護
- (13)AIと一緒に“考える”:仮説立案とアイデア発想の技術
- (14)情報を整理する力:AIで思考を見える化する方法
- (15)伝わる文章に変える:AIで“言葉の質”を高める技術
- (16)Office 365でも使える!進化したCopilot Chatの実力
- (17)組織エージェントを呼び出す:Copilot Chatの拡張活用へ
- (18)AIと鍛える論理的思考:ビジネスで通じる“考え方”の整理術
- (19)Word・Excel・Outlook・PowerPointでできること
- (20)チームで使うCopilot:共有・学び合い・ナレッジ化のすすめ