はじめに
最近のCopilotアップデートで注目されているのが 「宣言型エージェント(Declarative Agents)」 です。
これはコードを書かずに「何をしたいか」を宣言し、知識ソースや手順を組み合わせてタスクを支援してくれる仕組みです。
有料版CopilotではResearcherやAnalystといった専用エージェントが提供されていますが、無償版でも宣言型エージェントをある程度作成・利用することが可能 です。
今回は、無償版でできること、制約事項、ライセンス上の注意点を整理します。
エージェントの種類(ざっくり整理)
AIエージェントにはいくつかの分類があります。
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宣言型エージェント(Declarative)
ユーザーが「何をしたいか」を宣言すると、AIが手順を組み立てて応答するタイプ。
例:「3ヶ月でデータ分析スキルを習得したい → 週ごとの学習計画を作成」 -
タスク型エージェント(Task-oriented)
特定のタスクをゴールまで支援するタイプ。
例:「PDFを要約して、会議用に箇条書きで整理」 -
自律型エージェント(Autonomous)
自分で判断して次のステップに進むタイプ(例:AutoGPTなど)。
例:「調査 → 要約 → 比較 → 提案」を自動で進める
👉 無償版のCopilot Chatは、この中の 宣言型 と タスク型 の使い方が可能です。

宣言型エージェントとは?
- 宣言型エージェント(Declarative Agents) とは:ユーザーが「こういう仕事をしてほしい」と宣言すると、そのタスクをこなすための知識・手順を組み立てて応答する仕組み
- 特徴:ノーコードで作成可能、Copilot StudioやAgents Toolkitで定義できる
- 典型的な利用例
- 社内ヘルプデスク(FAQの自動回答)
- 顧客サポート(製品知識ベースに基づく案内)
- ナレッジ検索(社内公開資料を検索・要約)
無償版でできること
1. 宣言型エージェントの作成
- Copilot Studio Lite環境 を利用して、基本的な宣言型エージェントを作成可能
- 公開Webサイトやアップロードファイルを知識ソースにした「FAQ型エージェント」を作れる
2. 宣言型エージェントの利用
- 無償版ユーザーでも、組織で公開されているエージェントをCopilot Chat内から呼び出して利用可能(従量課金のライセンスが必要)
- チャットUIのサイドパネルから「エージェント」を選び、タスク実行に利用できる
3. 簡易的な知識統合
- アップロードしたPDFや文書を元にした「知識ベース的エージェント」として利用可能
- 公開情報をまとめたり要約したりする用途であれば、無償版でも実用レベル
無償版での制約事項
| 制約 | 内容 |
|---|---|
| 組織データ参照不可 | OutlookメールやSharePointファイルなど「Microsoft Graph 経由の組織データ」自動参照は不可 |
| 高度なエージェントなし | Researcher / Analyst など有料版専用エージェントは利用不可 |
| 外部アクション制限 | プラグイン連携や外部システム操作を組み込んだ高度なエージェントは利用不可 |
| 使用制限あり | 無償版は同時利用や応答速度に制約あり。混雑時は遅延や制限の可能性あり |
ライセンス上の注意点
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有料Copilotライセンス必須のケース
- 組織内データ(SharePoint, OneDrive, Outlookなど)を知識ソースとして利用する場合
- 高度な推論や専用エージェント機能を使う場合
- 外部コネクタを組み込む場合
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課金モデルに注意
- 一部の機能は「メーター課金(使用量に応じた従量課金)」対象
- 管理者が使用量を監視・制御する必要がある
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管理者設定の重要性
- エージェント利用可否、知識ソースの許可設定、コネクタ設定は管理者側で制御可能
- 利用開始には組織のIT管理者による有効化が必要な場合がある
まとめ
無償版のCopilot Chatでも、宣言型エージェントを作成・利用することは可能 です。
ただし利用範囲は「公開Webやアップロードファイルなどの限定的な知識ソース」に限られ、社内データや高度な機能を使うには有料ライセンスが必要 です。
まずは無償版で「小さなエージェント」を試してみる → 使いどころを見極める → 有料ライセンス導入で本格展開、という流れが現実的です。