はじめに
2025年秋、ついにMicrosoft 365標準ライセンス(E1/E3/E5など)だけで、
Word・Excel・Outlook・PowerPointといった主要アプリからも
Copilot Chat を利用できるようになりました。
つまり、これまでWebブラウザ(https://m365.cloud.microsoft/)からしか使えなかったCopilot Chatが、
各Officeアプリの右上に“Copilotアイコン”として登場し、文脈を理解して支援してくれるようになったのです。
本記事では、追加ライセンスなしで利用できる範囲に限定して、
各アプリでの活用ユースケースを紹介します。
注意:本記事は「365無償版Copilot Chat」が対象です
- 対象ライセンス:Microsoft 365 E1 / E3 / E5 / Business Standard / Business Premium など
- 有料の Microsoft 365 Copilot(商用版) とは異なり、
組織データ(Outlookメール・SharePoint・OneDriveファイルなど)へのアクセスはできません。 - 無償版では、アプリ内でのテキスト操作や一般的なAI支援に特化しています。
Word × Copilot Chat:文章構成と要約のパートナー
主な使い方
- 原稿の草案を作成する
- 長文を短くまとめる
- トーンや文体を変える(例:「もっとフォーマルに」「親しみやすく」)
- 箇条書きを文章に整える
プロンプト例
この文章を「提案書の概要説明」にふさわしい語調で書き直してください。
次の文書を3行で要約してください。
以下の箇条書きを、自然な段落に整えてください。
Excel × Copilot Chat:関数・分析の“ちょい相談役”
主な使い方
- 関数の意味や使い方を聞く
- 条件付き集計やIF関数などの組み合わせ方を教えてもらう
- 数式を自然言語で説明してもらう
- テーブル構造の設計を相談する
プロンプト例
A列の数値が50以上の行だけを合計する数式を教えてください。
VLOOKUPとXLOOKUPの違いを簡潔に説明してください。
このデータをもとに、傾向を1行で要約してください。
💡 補足
無償版では、Excel内のデータを直接読み取ることはできません。
ただし、表の一部を貼り付けて質問することで同等のサポートが可能です。
Outlook × Copilot Chat:伝わるメール文面を一瞬で
主な使い方
- メール本文の下書き作成
- クレーム・謝罪・依頼メールなどのテンプレート化
- 件名や要約の提案
- 英文メールの作成/翻訳
プロンプト例
取引先への納期遅延のお詫びメールを、ビジネス文調で作成してください。
このメール本文を英語に翻訳し、自然なトーンに調整してください。
以下のメール内容を3行で要約し、件名案を3つ出してください。
PowerPoint × Copilot Chat:構成案からスライド原稿まで
主な使い方
- プレゼン構成(章立て)を生成
- スライドごとの要点整理
- タイトル案・見出し案の作成
- スライドメッセージの簡潔化
プロンプト例
「生成AI活用研修」というテーマで、10分のプレゼン構成を作成してください。
次の内容を、スライド5枚分に分けて構成してください。
この説明文を、スライドタイトルとしてふさわしい短い言葉にしてください。
💡 PowerPoint内でのデザイン調整(色・レイアウト変更など)は有料Copilot対象。
無償版では、構成や文章表現のサポートが中心です。
Teams × Copilot Chat:会話の要約とアイデア整理に
主な使い方
- チャット内容の要約(貼り付けた内容ベース)
- 会議のアジェンダ作成
- チームブレスト用のアイデア出し
- チャットメッセージのトーン調整
プロンプト例
以下の議事メモを要約して、次回のアジェンダを3つ提案してください。
この会話の要点を、上司に報告できる形にまとめてください。
チームのブレストを活性化させる質問を5個作ってください。
OneNote × Copilot Chat:思考整理のAIメモ相棒
主な使い方
- 議事録やメモの要約
- タグごとの分類や整理方法を提案
- 複数ノートの統合構成案
- 文章の見出し構造化
プロンプト例
以下のメモ内容を「課題・対策・次のアクション」で整理してください。
3つのノートをまとめる構成案を作ってください。
管理者向けの補足:ピン留め設定について
組織の管理者は、Microsoft 365管理センターで
Copilot Chatをアプリバー(右上)にピン留めすることで、
ユーザーがWordやExcelなどからすぐ起動できるように設定できます。
- 設定場所:Microsoft 365 管理センター → [アプリのカスタマイズ]
- 対象アプリ:Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Teams
- 反映タイミング:数時間〜1日程度
まとめ
- 無償版Copilot Chatでも、各Officeアプリから利用可能になった。
- 組織データ参照は不可だが、文書作成・構成・要約・翻訳・思考整理は十分活用可能。
- 管理者がピン留め設定すれば、ユーザーは右上のCopilotアイコンからすぐ利用できる。
シリーズ記事リンク
- (1)はじめに
- (2)注意点と効果的な使い方
- (3)部署別・業務シナリオ集
- (4)画像生成で広がる活用シーン
- (5)PDFを読ませてみた!長文要約・翻訳が一瞬で
- (6)“ちょいコーディング”にも使える!Excel関数から正規表現まで
- (7)翻訳+要約の合わせ技で海外資料も一瞬理解
- (8)無償CopilotがWordやExcelにやってきた!
- (9)プロンプト講座①:基本テクニック
- (10)プロンプト講座②:部署ごとの応用テクニック
- (11)無償版でもここまでできる!宣言型エージェント活用の基本
- (12)安心して使うために知っておきたいプライバシーと著作権保護
- (13)AIと一緒に“考える”:仮説立案とアイデア発想の技術
- (14)情報を整理する力:AIで思考を見える化する方法
- (15)伝わる文章に変える:AIで“言葉の質”を高める技術
- (16)Word・Excel・PowerPointでも使えるように!進化したCopilot Chatの実力
- (17)組織エージェントを呼び出す:Copilot Chatの拡張活用へ
- (18)AIと鍛える論理的思考:ビジネスで通じる“考え方”の整理術
