はじめに
以前の記事(19)では、Word・Excel・Outlook・PowerPointでCopilot Chatが使えることを紹介しました。
今回からは、各アプリでの具体的な活用方法を深掘りしていきます。第一弾は Word編 です!
「無償版のCopilot ChatでWordを使うと、実際にどんなことができるの?」
「有料版のMicrosoft 365 Copilotとは何が違うの?」
こうした疑問に答えながら、追加ライセンスなしで使える実践的なテクニックを紹介します。
無償版Copilot ChatでWordでできること
✅ 開いている文書の要約・整理
✅ 文章の校正・改善提案
✅ 文書作成の下書き支援
✅ 翻訳・言い換え
有料版Microsoft 365 Copilotとの違い
無償版のCopilot Chatは、開いている文書を「読んで」対話することができますが、文書内に直接テキストを挿入・編集する機能はありません。
| 機能 | 無償版Copilot Chat | 有料版Microsoft 365 Copilot |
|---|---|---|
| 文書の参照・要約 | ⭕ 可能 | ⭕ 可能 |
| 文書への直接挿入 | ❌ 不可(コピペ必要) | ⭕ 可能 |
| 組織データの参照 | ❌ 不可 | ⭕ 可能 |
| 下書き自動生成 | ⭕ 可能(対話形式) | ⭕ 可能(ワンクリック) |
無償版でも十分に実用的な機能が使えますので、さっそく見ていきましょう!
2. Wordで使えるCopilot Chatの基本
サイドペインの開き方
Wordを開いたら、右上のツールバーにある Copilotアイコン をクリックします。
サイドペインが開くと、チャット入力欄が表示されます。
基本的な対話の仕方
入力欄に質問や依頼を入力するだけで、Copilot Chatが応答してくれます。
文書を開いた状態でチャットすると、その文書の内容を参照しながら回答してくれます。
💡 ポイント:文書を参照してほしいときは、「この文書について」「開いているファイルを」などと明示すると、より的確に応答してくれます。
3. 実践シーン別活用法
シーン1: 文書の要約・整理
長い報告書や議事録を読み返すのは時間がかかりますよね。
Copilot Chatを使えば、数秒で要点を抽出できます。
✏️ 具体的なプロンプト例
この文書を3つのポイントに要約してください
この議事録から、決定事項とアクションアイテムを箇条書きで抽出してください
この報告書の結論と、そこに至った主な理由を説明してください
💼 こんな場面で役立つ
- 週次報告書の確認時に要点だけ把握したい
- 会議前に過去の議事録をざっと振り返りたい
- 長文のメールを受け取って、すぐに内容を理解したい
シーン2: 文章の校正・改善
「この文章、なんだか読みにくい…」
「もっとビジネスライクな表現にしたい」
そんなときもCopilot Chatが役立ちます。
✏️ 具体的なプロンプト例
この文書の誤字脱字や文法の誤りをチェックしてください
この文書をより読みやすく、分かりやすい表現に改善してください
この文書のトーンをよりフォーマルなビジネス文書に調整してください
この段落の冗長な表現を削って、簡潔にしてください
💼 こんな場面で役立つ
- 顧客向けの提案書を最終チェックしたい
- 社内報告書の文章を洗練させたい
- 部下が作成した文書をレビューする際のセカンドオピニオン
シーン3: 文書作成の下書き支援
白紙の状態から文書を作るのは大変です。
Copilot Chatに構成案や下書きを作ってもらえば、スタートが格段に楽になります。
✏️ 具体的なプロンプト例
新規プロジェクトのキックオフミーティングの議事録テンプレートを作成してください。
参加者、議題、決定事項、アクションアイテムのセクションを含めてください。
顧客に製品デモの日程調整をするメール文面を作成してください。
丁寧で親しみやすいトーンでお願いします。
社内向けの業務改善提案書のアウトラインを作成してください。
現状の課題、提案内容、期待される効果、実施スケジュールの4つのセクションで構成してください。
新入社員向けのビジネスメールマナー研修資料の目次を作成してください。
基本的な構成要素から実践的なケーススタディまで含めてください。
【スクリーンショット⑤:下書き支援の実行例】
(文書の構成案やテンプレートが提案されている様子をキャプチャしてください)
💡 ポイント
生成された下書きはそのまま使うのではなく、自分の状況に合わせてカスタマイズすることが大切です。Copilot Chatは「たたき台」を作るのが得意なので、それをベースに肉付けしていきましょう。
💼 こんな場面で役立つ
- 初めて作る種類の文書で、フォーマットが分からない
- 文書の構成を考える時間を短縮したい
- アイデアはあるけど、文章にまとめるのが苦手
シーン4: 翻訳・言い換え
英語の資料を日本語に、専門用語を平易な表現に。
Copilot Chatを使えば、様々な「翻訳」が可能です。
✏️ 具体的なプロンプト例
この文書を英語に翻訳してください。ビジネスメールとして適切な表現でお願いします。
この文書を日本語に翻訳してください。専門用語は分かりやすく説明を加えてください。
この文書の専門用語を、新入社員でも理解できるような平易な表現に言い換えてください。
この丁寧語の文章を、社内向けのカジュアルな表現に変換してください。
この箇条書きの内容を、読みやすい段落形式の文章に展開してください。
💼 こんな場面で役立つ
- 海外拠点とのやり取りで英語メールを作成したい
- 技術資料を営業部門向けに分かりやすく書き直したい
- 同じ内容を異なる相手向けに表現を変えたい
4. より効果的に使うためのコツ
うまく文書を認識してくれない時の対処法
Copilot Chatが文書を参照してくれないと感じたら、以下を試してみてください:
✅ プロンプトに明示する
- 「この文書について」「開いているファイルを」と明記する
✅ 文書を一度保存する
- 未保存の状態だと認識されにくい場合があります
✅ 対話をリセットする
- サイドペインを一度閉じて、再度開いてみる
より良い回答を得るプロンプトの工夫
📌 具体的に指示する
❌ 悪い例:「この文書を直して」
⭕ 良い例:「この文書の誤字脱字をチェックして、改善点を3つ挙げてください」
📌 出力形式を指定する
⭕ 「箇条書きで5つのポイントにまとめてください」
⭕ 「表形式で整理してください」
⭕ 「段落形式で200字程度で要約してください」
📌 段階的に依頼する
一度に全てを頼むのではなく、対話を重ねながら精度を上げていきます。
1. 「この文書を要約してください」
2. 「その要約に、具体的な数値データも加えてください」
3. 「それをビジネスメールの形式に整形してください」
無償版での制限事項の確認
無償版のCopilot Chatには、以下の制限があります:
⚠️ 文書への直接挿入はできない
- 生成されたテキストは、コピー&ペーストで文書に貼り付ける必要があります
⚠️ 組織のSharePointやOneDriveは参照できない
- 開いている文書のみ参照可能です
⚠️ 一度に処理できる文書の長さに制限がある
- 極端に長い文書(数百ページなど)は、全体を一度に処理できない場合があります
これらの制限はありますが、日常的な文書作成や校正の場面では十分に実用的です!
5. まとめ
今回は、無償版のCopilot ChatをWordで活用する方法を紹介しました。
Wordでの活用ポイント
✅ 要約・整理:長文レポートや議事録を数秒で把握
✅ 校正・改善:文章の質を高め、読みやすくする
✅ 下書き支援:構成案やテンプレートで作成をスピードアップ
✅ 翻訳・言い換え:表現を状況に合わせて変換
無償版でも、これだけのことができます!
まずは日々の業務で小さく試してみて、自分なりの活用パターンを見つけてください。
次回は Excel編 をお届けします。データ分析や関数支援など、Excelならではの活用法を紹介しますので、お楽しみに!
シリーズ記事リンク
- (1)はじめに
- (2)注意点と効果的な使い方
- (3)部署別・業務シナリオ集
- (4)画像生成で広がる活用シーン
- (5)PDFを読ませてみた!長文要約・翻訳が一瞬で
- (6)"ちょいコーディング"にも使える!Excel関数から正規表現まで
- (7)翻訳+要約の合わせ技で海外資料も一瞬理解
- (8)無償CopilotがWordやExcelにやってきた!
- (9)プロンプト講座①:基本テクニック
- (10)プロンプト講座②:部署ごとの応用テクニック
- (11)無償版でもここまでできる!宣言型エージェント活用の基本
- (12)安心して使うために知っておきたいプライバシーと著作権保護
- (13)AIと一緒に"考える":仮説立案とアイデア発想の技術
- (14)情報を整理する力:AIで思考を見える化する方法
- (15)伝わる文章に変える:AIで"言葉の質"を高める技術
- (16)Office 365でも使える!進化したCopilot Chatの実力
- (17)組織エージェントを呼び出す:Copilot Chatの拡張活用へ
- (18)AIと鍛える論理的思考:ビジネスで通じる"考え方"の整理術
- (19)Word・Excel・Outlook・PowerPointでできること
- (20)チームで使うCopilot:共有・学び合い・ナレッジ化のすすめ
- (21)チームで磨くプロンプト共有術:ナレッジを資産化する方法
- (22)名前と機能を整理しよう

