はじめに
前回の記事では、Microsoft 365 E1以上のライセンスで利用できるCopilot Chatの基本操作について解説しました。今回は、実際に業務で活用する際の注意点、効果的な使い方、具体的な活用シーンについて詳しく解説します。
前回記事:Microsoft 365標準機能のCopilot Chatガイド(1)はじめに
https://qiita.com/Shinyas77/items/e92f30dd0147b3e6663a
Copilot Chat利用時の重要な注意点
1. 生成された内容の確認は自分(人)が行う
AIの回答は必ず確認・検証する
Copilot Chatは有用な情報を提供しますが、以下の点に注意が必要です
- 事実確認:統計データや数値は必ず一次ソースで確認
- 最新性:情報が古い可能性があるため、最新情報を別途確認
- 専門性:法律・医療・財務などの専門分野では専門家に確認
- 文脈理解:AIが質問の意図を誤解している場合がある
2. 組織のポリシーとコンプライアンス
社内ルールの遵守
- 組織のAI利用ガイドラインに従う
- 情報セキュリティポリシーを確認
- 必要に応じてIT部門やセキュリティ部門に相談
- 業界固有の規制(金融、医療など)がある場合は特に注意
効果的な質問のコツ
1. 具体的で明確な質問をする
❌ 悪い例:「資料を作って」
⭕ 良い例:「新入社員研修用のプレゼンテーション資料の構成案を、
5つのセクションで作成してください」
2. 段階的に詳細化する
ステップ1:「マーケティング戦略の企画書を作りたい」
ステップ2:「対象は20代女性、予算は100万円、期間は3ヶ月です」
ステップ3:「SNSマーケティングを中心に考えています」
3. 出力形式を指定する
「以下の形式で回答してください:
- 箇条書きで5項目
- 各項目に簡潔な説明を付ける
- 重要度順に並べる」
4. 役割を設定する
「あなたはマーケティングの専門家として回答してください」
「プロジェクトマネージャーの視点で分析してください」
具体的な活用シーン(Copilot Chat /GPT5)
1. 文書作成・編集業務
メール作成
質問例:「会議の日程調整メールを、丁寧だけど簡潔な文体で作成してください。
参加者は5名、候補日は来週の火曜日から木曜日です」
報告書の構成案
質問例:「プロジェクトの月次報告書の構成案を作ってください。
進捗状況、課題、次月の予定を含めたいです」
プレゼンテーション企画
質問例:「新サービス紹介のプレゼンテーション構成を、
15分のプレゼン用に6つのスライドで企画してください」
2. アイデア発想・企画業務
ブレインストーミング
質問例:「社内コミュニケーション活性化のアイデアを、
予算10万円以内で実現可能なものを10個提案してください」
企画書の構成
質問例:「新商品開発企画書の目次構成を、
経営陣向けの提案資料として作成してください」
3. 分析・調査業務
競合分析フレームワーク
質問例:「SaaS企業の競合分析で確認すべき項目を、
機能・価格・マーケティング戦略の3つの観点で整理してください」
市場調査項目の整理
質問例:「新規事業参入前の市場調査で必要な調査項目を、
優先度をつけてリスト化してください」
4. 学習・スキルアップ
学習計画の作成
質問例:「データ分析スキルを3ヶ月で習得する学習計画を、
週5時間の学習時間で作成してください」
専門用語の解説
質問例:「DXという言葉を、IT初心者にもわかりやすく
具体例を交えて説明してください」
5. 業務効率化
チェックリストの作成
質問例:「Webサイトリニューアルプロジェクトの
プロジェクトマネージャー用チェックリストを作成してください」
テンプレートの作成
質問例:「顧客ヒアリングシートのテンプレートを、
BtoB営業向けに作成してください」
業界別活用例
営業・マーケティング部門
- 顧客へのアプローチメール文面作成
- 競合分析フレームワークの構築
- 販促企画のアイデア出し
- 営業資料の構成案作成
人事・総務部門
- 社内研修コンテンツの企画
- 人事評価項目の整理
- 社内イベント企画のアイデア出し
- 就業規則の解説資料作成
企画・開発部門
- 新商品・サービスのアイデア発想
- 企画書のテンプレート作成
- 市場調査項目の整理
- プロジェクト管理手法の学習
IT・システム部門
- システム要件定義書の構成案
- ユーザーマニュアルの目次作成
- トラブルシューティング手順の整理
- 技術文書の翻訳・要約
やってはいけない使い方
1. 重要な判断を完全に委ねる
❌「この契約書にサインしていいか判断して」
❌「人事評価を決めて」
❌「投資判断をして」
2. 専門的な法的・医学的アドバイスを求める
❌「この症状は何の病気ですか?」
❌「この契約は法的に有効ですか?」
❌「税務処理はどうすればいいですか?」
3. 機密情報を含む業務での利用
❌「○○会社の機密データを分析して」
❌「社外秘の売上データをグラフにして」
❌「競合他社から入手した資料を要約して」
まとめ
Copilot Chatは適切に活用すれば業務効率化の強力なツールとなりますが、機密情報の取り扱いや生成内容の検証など、注意すべき点も多くあります。
成功のポイント:
- 機密情報の入力は注意
- 生成された内容は必ず自分で確認する
- 具体的で明確な質問をする
- 段階的に詳細化していく
- 組織のポリシーに従って利用する
適切な注意点を守りながら活用することで、Copilot Chatは日常業務の心強いパートナーとなるでしょう。
シリーズ記事
- Microsoft 365標準機能のCopilot Chatガイド(1)はじめに
https://qiita.com/Shinyas77/items/e92f30dd0147b3e6663a
参考リンク