はじめに
Oracle Database@Google CloudのAutonomous Database (ADB)をプロビジョニング
していきたいと思います。
従量課金の形態であるPay as You Go (PAYG)の形態であれば、Oracle社の営業担当者にお問い合わせしてのプライベートオファーが必要なくADBを利用できます。
今回はパブリックオファーとして、Oracle社の営業に連絡しない方法でGoogle Cloud Marketplaceにて購入していきます。
Oracle Database@Google Cloudの基本情報に関しては、以前投稿した以下の記事をご覧ください。
今回構成するアーキテクチャ
今回は、下記のようにOracle Database@Google CloudでADBを構築していきます。
また、ADBの構築と同時にObject Storageへの自動バックアップも設定していきます。
前提条件
Oracle Database@Google CloudでADBを作成していく前に、下記の内容について事前に用意しておく必要がございます。
- Google Cloudのアカウントの作成
- Google Cloudプロジェクトの作成
- Google Virtual Private Network(VPC)の作成
今回は、下記のような設定でプロビジョニングしていきます。
- Google Cloudプロジェクト名:Oracle Database test
- VPC名:default
Oracle Database@Google CloudでのADB構築手順
①Oracle Database@Google Cloudの登録(初回のみ)
Google Cloudのコンソール上から、MarketplaceでOracle Database@Google Cloudの登録を行っていきます。
検索欄からだと、Marketplaceでの登録は、買い物カートのマークの「Oracle Database@Google Cloud」を選択します。
プランの選択で、「Oracle Database at Google Cloud pay-as-you-go」を選択します。
請求先アカウントを選択し、利用規約にチェックを入れたら登録ボタンを押します。
そうすると、注文リクエストがOracleに送信されるので承認されるのを待ちます。
※筆者の場合は、1, 2分ほどですぐ承認が完了しましたが個人差があるようです。
②Oracle Cloudアカウントの作成 (初回のみ)
検索欄でOracleと入力し、今度はデータベースのマークの「Oracle Database@Googel Cloud」を選択します。
ADBのプロビジョニングを開始するために、Marketplaceで出したオファーを「アカウントを作成」を選択し、接続するOracleアカウントを作成していきます。
パスワード入力上の注意
- パスワードは8文字以上40文字未満で入力する必要があります。
- パスワードには、小文字1文字、大文字1文字、数字1文字、特殊文字1文字を含める必要があります。
- パスワードには、ユーザーの名前、姓、E-mailアドレス、スペース、` ~ > \などの特殊文字を含めることはできません。
テナンシ名 (クラウドのアカウント名)
- テナンシ名を作成するときは、個人情報や機密情報を含めないようにしてください。
後で変更できず、名前がログインURLに表示されます。 - クラウド アカウント名は小文字で始め、スペースや特殊文字などは含めず、25文字以下である必要があります。
- コンソールにサインインすると、名前が会社または組織の環境に割り当てられます。
この手順以降は使用できるリージョンを追加することはできますが、ホームリージョンを変更できないので注意が必要です。
サインアップが完了すると、クラウド・アカウントが作成されるまで待つことになります。
※筆者の場合は30分ほどで、「Get Started Now with Oracle Cloud」という以下のようなメールが届き、アカウントが作成されましたが、時間については個人差があるようです。
メールの中の「Sign in」を選択して、Oracle Cloudにログインをしていきます。
登録した「メールアドレス」と「パスワード」を入力し、「サイン・イン」を選択します。
Oracle Cloudは多要素認証が必須であるため、初回ログインの場合、このように「セキュアな検証の有効化」を設定する必要がございます。
モバイル・アプリケーションの場合ですと、iPhone、Android、Windows (PC)のいずれかで、「Oracle Mobile Authenticator」をインストールして多要素認証を設定してください。
↓ Oracle Mobile Authenticatorのアイコン
無事OCIのコンソールにログイン出来たら、OCI側の準備は完了です。
③ADBの構築
Google Cloudのポータル画面に戻り、再度検索欄でOracleと入力し、データベースのマークの「Oracle Database@Google Cloud」を選択します。
「Autonomous Database」を選択し、作成を選択します。
「インスタンスの詳細」では以下の情報について入力します。
-
インスタンスID:
IDは一度設定したら変更することができません。
英小文字 (a~z)、数字、ハイフンのみを利用して63文字以下で入力する必要があります。
先頭は英小文字に、末尾は英小文字または数字にする必要があります。 -
データベース名:
名前に使用できるのは文字と数字のみで、先頭を英字で始める必要があります。最大30文字。 -
データベース表示名:
ユーザー・フレンドリなデータベース表示名を入力します。
英数字、アンダースコア、ハイフンのみを使用し、255 文字以下で入力する必要があります。
先頭は英字またはアンダースコアにする必要があります。
ハイフンを連続して 2 つ使用することはできません。 -
リージョン:
一度設定したら変更することができません。
「ワークロードの構成」では4つの選択肢からシステムの用途に合うワークロード・タイプを選択します。
今回は「トランザクション処理」のワークロードを選択しています。
「データベースの構成」では、以下の情報について入力します。
-
ライセンスの種類:2つの選択肢からライセンス・タイプを選択します。
・ライセンスを含む:Oracle Databaseのライセンスが利用料に込みのタイプ。
・お客様所有ライセンスの使用 (BYOL):すでに保有しているライセンスをクラウドで利用するタイプ。 - データベースのバージョンの選択:2024年11月時点では19cと23aiのバージョンを選択可能です。
-
ECPU数:最小2 ECPUから最大512 ECPUの値が入力可能です。
2024年11月時点では 1物理コア (OCPU) ≒ 4 ECPU (2 vCPU) 程度と考えられるそうです。 -
ストレージ (TB):最小0.02 TB (20 GB)から最大384 TBの値が入力可能です。
選択したワークロードによって、最小のストレージ容量は変化します。
「トランザクション処理」の場合は上記の記載の通りですが、「データウェアハウス」の場合は、最小が1 TBになります。 -
コンピューティングの自動スケーリングを有効にする:
チェックを入れることで、需要の増加に応じて、指定されたECPU数の3倍まで拡張することをシステムに許可します。 -
ストレージ自動スケーリングを有効にする:
チェックを入れることで、予約済ストレージの3倍まで自動で拡張可能です。
自動スケーリングの説明に関しては以下をご参照ください。
Autonomous Database Serverless 技術詳細 | 自動スケーリング
「バックアップの保持期間」では、バックアップ保持期間の希望する日数を入力します。
保持期間は、最小1日から最大60日までで設定することが可能です。
「管理者の認証情報」では、管理者ユーザーのパスワードを入力します。
ADBのデフォルトの管理者ユーザー名はADMINです。
パスワード入力上の注意
- パスワードは 12~30 文字で、英大文字、英小文字、数字をそれぞれ 1 文字以上含める必要があります。
- パスワードには、二重引用符(")やユーザー名「admin」を含めることはできません。
「ネットワーキング」では、以下の情報を入力します。
- 関連付けられたネットワーク:あらかじめ作成してあるVPCの関連付けられたネットワークを選択します。
-
サブネット範囲:ADBのサブネット範囲をCIDR表記で入力します。
指定された範囲が、選択したVPCネットワーク内のサブネットと重複していないことを確認してください。 - 相互TLS (mTLS)認証を要求する:チェックを入れた場合、ADBへの接続を認証するためにmTLSが必要になります。
TLS接続に関して
- JDK8以上のJDBCシン・ドライバを使用する場合、TLS接続を使用すると、ウォレットなしでADBに接続できます。
- TLS接続では、アクセス制御リスト(ACL)またはプライベート・エンドポイントを使用する必要があります。
- 相互TLS (mTLS)接続とTLS接続の詳細に関しては以下をご確認ください。
Autonomous Database Serverless 技術詳細 | mTLS接続/TLS接続の選択
「オペレーションに関する通知とお知らせの連絡先」では、メールアドレスを入力することで、オペレーションに関する通知が届くように設定することができます。
「詳細設定」に関しては、ADBの作成後に、OCIのコンソール上で設定を行うことが可能になっています。
「管理」では、以下の情報を入力します。
- 文字セット:必要に応じて、適切な文字セットを選択します。AL32UTF8文字セットがデフォルトで推奨されています。
- 国別文字セット:国別の文字セットを選択します。AL16UTF16がデフォルトで選択されています。
まとめ
今回は、Oracle Database@Google CloudのAutonomous Database (ADB)をプロビジョニングしていきました。
他にもOracleのマルチクラウドに関する記事を発信しているので、以下の関連記事も合わせてご参考ください。
関連記事
Oracle Database@Azureに関して
編集履歴
- 2024/11/30 記事公開