はじめに
Oracle Database@AzureのAutonomous Database (ADB)をプロビジョニングしていきたいと思います。
個人で利用の方は、以下の投稿を参考にPAYG環境でOracle Database@Azureを使える状態にしておきましょう。
今回構成するアーキテクチャ
今回は、下記のようにOracle Database@AzureでADBを構築していきます。
OCI側にあるリソースに関しては、設定を進めていくと自動的に作成されるものなので、今回ADBをプロビジョニングしていく上では、それほど気にしなくてもいいのかなと思います。
今回作成していくリソース
ADBをプロビジョニングしていくにあたり、必要なリソースをAzure上で作成していきます。
- Azure Virtual Network (VNet):ADBをデプロイするための仮想ネットワーク
- サブネット:ADBをデプロイするためのサブネット
- Oracle Autonomous Database (ADB)
Oracle Database@AzureでのADB構築手順
①VNetとサブネットの作成
まずは、ADBをデプロイするためのVNet (仮想ネットワーク)を作成していきます。
画面上部の検索窓から「仮想ネットワーク」と入力し、「仮想ネットワーク」を選択していきます。
以下項目を入力していきます。
- サブスクリプション:Oracle Database@AzurePAYGを連携させてあるサブスクリプションを選択。
- リソース グループ:構築したい環境のリソース グループを選択。新規に作る場合は、「新規作成」をクリックし、リソース グループ名を入力して作成。今回は「OracleADB」と入力。
- 仮想ネットワーク名:今回作成するVNetの名前を入力。今回は「OracleDB_VNet」と入力。
- リージョン:ADBを作成したいリージョンを選択。今回は「Japan East」を選択。
入力が終わったら、「次へ」をクリックします。
続いて、「セキュリティ」タブで有料セキュリティサービスの選択画面になりますが、今回は何もチェックを入れず、先ほどと同様「次へ」をクリックします。
「IPアドレス」タブでは、IP4アドレス空間の設定とOracle Database専用のサブネットの作成をしていきます。
まず、IP4アドレス空間の設定に関しては、環境に合わせて設定する必要があります。特に指定がなければ、デフォルトの「10.0.0.0/16」で問題ありません。
サブネットに関しては、「サブネットの追加」をクリックします。
画面右側に、「サブネットの追加」の設定項目が表示されると思うので、設定項目について説明していきます。
基本、デフォルトの設定のままでも問題ありませんが、赤枠で囲っている部分は変更する必要があります。
- プライベート サブネットを有効にする (既定の送信アクセスなし):DBを入れるサブネットなのでプライベートにします。
- サブネットの委任:「Oracle.Database/networkAttachments」を選択します。
他の項目に関しては、必要に応じて変更を行ってください。
例えば、サブネットの名前、IPアドレスの開始アドレスやサイズ、セキュリティ設定などです。
セキュリティ設定などは、後からでも変えられるので今は特に設定しなくても問題はないです。
最後に、「追加」をクリックします。
サブネットが追加されているのを確認し、特にリソースにタグなどを設定しない場合は、「レビューと作成」をクリックします。
②ADBの構築
Azureの画面上部の検索窓から「Oracle Database」と入力し、「Oracle Database@Azure」を選択します。
「Oracle Autonomous Databaseの作成」をクリックします。
以下項目を入力していきます。
プロジェクトの詳細
- サブスクリプション:Oracle Database@AzurePAYGを連携させてあるサブスクリプションを選択。
- リソース グループ:先ほど選択したリソース グループを選択。
インスタンスの詳細
- 名前:今回作成するADBの名前を入力。今回は「OracleADB」と入力。
- リージョン:ADBを作成したいリージョンを選択。VNetのリージョンと同じにする。今回は「Japan East」を選択。
今回は、以下の画像のように入力していますが、設定は自由に変えることができます。
各項目の説明については以下の通りです。
- ワークロード・タイプ:4つの選択肢からシステムの用途に合うワークロード・タイプを選択します。今回は「トランザクション処理」のワークロードを選択しています。
- データベースのバージョン:2025年4月時点では19cと23aiのバージョンを選択可能です。
- ECPU数:最小2 ECPUから最大512 ECPUの値が入力可能です。2025年4月時点では 1物理コア (OCPU) ≒ 4 ECPU (2 vCPU) 程度と考えられるそうです。
- 自動スケーリングの計算:チェックを入れることで、需要の増加に応じて、指定されたECPU数の3倍まで拡張することをシステムに許可します。
- ストレージ:最小20 GBから最大384 TBの値が入力可能です。選択したワークロードによって、最小のストレージ容量は変化します。「トランザクション処理」の場合は上記の記載の通りですが、「データ・ウェアハウス」の場合は、最小が1 TBになります。
- ストレージの自動スケーリング:チェックを入れることで、予約済ストレージの3倍まで自動で拡張可能です。
- バックアップの保存期間 (日数):バックアップ保存期間の希望する日数を入力します。保存期間は、最小1日から最大60日までで設定することが可能です。
- ユーザー名:ADBのデフォルトの管理者ユーザー名は「ADMIN」です。
- パスワード:管理者ユーザーのパスワードを入力します。
パスワード入力上の注意
- パスワードは 12~30 文字で、英大文字、英小文字、数字をそれぞれ 1 文字以上含める必要があります。
- パスワードには、二重引用符(")やユーザー名「admin」を含めることはできません。
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拡張オプション:チェックを入れると、「文字セット」と「各国語文字セット」の欄が増えます。変更がある場合は、タブから適切な文字セットを選択してください。
「構成」タブの全ての入力が終わったら、「次へ」をクリックします。
続いて、「ネットワーキング」タブの入力についてですが、今回は以下の画像のように入力します。設定はお好みに合わせて自由に変えることも可能です。
各項目の説明については以下の通りです。
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アクセス・タイプ:以下の3種類からアクセスタイプは選択可能です。今回は、セキュリティの都合上、「管理対象プライベート仮想ネットワークIPのみ」を選択します。
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相互TLS (mTLS)認証が必要:チェックを入れた場合、ADBへの接続を認証するためにmTLS認証が必要になります。今回はチェックを外していますがどちらでも問題はありません。
TLS接続に関して
- JDK8以上のJDBCシン・ドライバを使用する場合、TLS接続を使用すると、ウォレットなしでADBに接続できます。
- TLS接続では、アクセス制御リスト(ACL)またはプライベート・エンドポイントを使用する必要があります。
- 相互TLS (mTLS)接続とTLS接続の詳細に関しては以下をご確認ください。
Autonomous Database Serverless 技術詳細 | mTLS接続/TLS接続の選択
- 仮想ネットワーク:先ほど作成したVNetを選択します。
- サブネット:先ほど作成したADB用のサブネットを選択します。
「ネットワーキング」タブの入力が終わったら、「次へ」をクリックします。
続いて、「メンテナンス」タブの入力についてですが、今回は以下の画像のように入力します。
「メンテナンス・パッチ・レベル」は、「通常」から変更できないのでこのままでよく、「メンテナンス連絡先の電子メール」には必要であれば、電子メールをご登録ください。
「同意」と「タグ」のタブについては、スキップしても問題ないものなので、必要がない方は、「確認と作成」をクリックしてしまいましょう。
「デプロイが進行中です」となるので、完了するまで数分待ちます。
ちなみに、Azureポータル上でADBの情報を見ることはできますが、リソースの変更やインスタンスの起動・停止などは現時点ではできません。
なので、ADBの設定を変更したい場合は、Oracle Database@Azureのリソースから、「OCIに移動」をクリックし、OCIコンソール上で操作する必要があります。
OCIコンソールでADBのCPUやストレージなどのリソースの増減をするには、「リソース割当ての管理」から操作することが可能です。
インスタンスを停止させたりするには、「その他のアクション」から「停止」を選択する必要があります。
ADB自体を削除したい場合は、「その他のアクション」から「終了」を選択する必要があります。
まとめ
今回は、Oracle Database@AzureのADBをプロビジョニングしていきました。
他にもOracleのマルチクラウドに関する記事を発信しているので、以下の関連記事も合わせてご参考ください。
関連記事
Oracle Database@AWSに関して
編集履歴
- 2025/04/09 記事公開