はじめに
Oracle Database@Azureで、パブリックオファーのPAYG契約にすると、新規に作成したOCI環境でいくつかのサービス制限が発生します。
特に、Oracle Database@AzureでData Guardを利用したマルチリージョンDR構成を検討する際、リージョン数の制限などにより、別リージョンでのデータベース構築ができないケースがあります。
本記事では、Oracle Database@Azureを利用する際に必要となるOCI上のサービス制限(Service Limit)の引き上げ方法について解説します。
ちなみに、Oracle Database@Google Cloudでも同様のやり方で解決が可能です。
Oracle Database@Azureでのリージョン数に関する制約
パブリックオファーのOracle Database@Azureでは、リージョン数の制限はデフォルトで1つで、OCIのアカウント作成時に設定したホームリージョンしか使えません。
なので、リージョン数のService Limitの引き上げが必要なのですが、この操作はAzure上ではできず、OCI上での操作になります。
※あくまで、2025年4月12日時点での話で、これ以降に仕様が変更になるケースもあるかもしれませんので、その点はご了承ください。
Oracle Database@Azureでのリージョン数のService Limit引き上げ方法
結論から言うと、Oracle Database@Azureに限らず、OCI上でのService Limit引き上げ方法は変わりません。
なので、以下のマニュアルを参考にリージョン数の制限を引き上げるためのSRを起票すればOKです。
ただ、せっかくなのでOracle Database@Azureでのリージョン数を確認しつつ、Service Limit引き上げのSR起票まで確認していきましょう。
①リージョン数のService Limitの確認
OCIの画面にログイン出来たら、画面右上のホームリージョンをクリックし、「リージョンの管理」をクリックします。
ホームリージョンに設定したリージョンは、既に「サブスクライブ済」になっていると思います。
Service Limitに引っかかってなければ、登録したいリージョンの右側の「︙」をクリックし、「サブスクライブ」を選択するだけなのですが、PAYG契約の方はサブスクライブできないと思います。
なので、「制限、割当ておよび使用状況」をクリックして、現状のService Limitを確認していきます。
リージョンの制限数を確認するには、以下のようにタブを選択します。
- サービス:「Regions」を選択。
- スコープ:「Tenancy」を選択。
表示されたサービス制限を確認すると、1と記載されています。
この状態だと、ホームリージョンしか選択できない状態なので、Service Limit引き上げのSRを起票する必要があります。
②Service Limit引き上げのSRを起票する
サポート・リクエストを作成するには、以下のように入力します。
- Service Category:「Regions」を選択。
- Resource:「Subscribed region count」を選択。
- Tenancy Limit:今回は「2」と入力。
- Reason for request:Service Limit引き上げの理由を記載します。今回は以下のように入力しています。
I am planning to configure a Data Guard setup for disaster recovery using Oracle Database@Azure across the Tokyo and Osaka regions. To achieve this, we would like to request an increase in the service limit for the number of regions available in our OCI tenancy.
最後に、「サポート・リクエストの作成」をクリックします。
このように表示されたら、サポート・リクエストの作成は完了です。
私の場合は、2時間半ほどでService Limitの引き上げが完了していました。
※たぶん営業日などにもよるので、あくまで完了までの時間は目安です。
③追加で使用したいリージョンをサブスクライブする
サポート・リクエストでService Limitの上限を上げてもらったら、画面右上のホームリージョンをクリックし、「リージョンの管理」をクリックします。
追加で使用したいリージョンの右側の「︙」をクリックし、「サブスクライブ」を選択します。
私の場合は、海外リージョンでExaDB-XSを利用したかったので、「Italy Northwest (Milan)」のリージョンを選択していますが、自分の追加したいリージョンを選択するようにしてください。
例えば、東京リージョンがホームリージョンで、大阪とDRを組みたい要件なら、「Japan Central (Osaka)」を選択してください。
おまけ
制限の引上げのリクエストの画面まで行く方法
今回は、リージョン数のService Limit確認のため、遠回りして「制限の引上げのリクエスト」の画面まで行きましたが、以下の2パターンの方法で簡単にその画面まで行くことができます。
作成したサポート・リクエストを確認する方法
作成したサポート・リクエストは以下の手順で確認可能です。
①画面左上のナビゲーションメニューを開き、「ガバナンスと管理」⇒「サポート・センター」を選択します。
②画面左側の「サービス制限のリクエスト」を選択します。
③先ほど作成したサポート・リクエストを選択すると、詳細を確認することが可能です。
まとめ
今回は、Oracle Database@Azureでのリージョン数のService Limit引き上げ方法について解説しました。
他にもOracleのマルチクラウドに関する記事を発信しているので、以下の関連記事も合わせてご参考ください。
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編集履歴
- 2025/04/12 記事公開