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01. IBM Cloud: VMware as a Service(VMWaaS)の概要

Last updated at Posted at 2024-03-01

1. はじめに

IBM Cloudが従来提供していたのは通称VSS(VMware vSphere on IBM Cloud)/VCS(VMware vCenter Server on IBM Cloud)と呼ばれる専有環境のクラウドであり、プロビジョニングされたSDDC環境に対して管理者権限を持ち自由に利用者が構成・運用をするというものでした。これはエンタープライズのお客様にとっては統制の効きやすい仕組みではありましたが、ハイパーバイザーの運用(バージョンアップなども含む)を自分ではやりたくないとか、VMだけの運用に注力したいという需要もありました。

この需要を解決するのがVMware as a Service(VMWaaS)というサービスです。従来から継続して提供されるVSS/VCSと比較すると以下のようになっています。

VCS/VSS VMWaaS(Single-Tenant) VMWaaS(Multi-Tenant)
利用者の管理対象 利用者が専有するvSphere/vCenter/NSXなどを直接管理 利用者専有のリソース上に提供されるVDC(*)を利用してVMやネットワークを管理 共有リソース上に提供されるVDC(*)を利用してVMやネットワークを管理
物理環境の専有・共有 利用者が専有(シングルテナント) 利用者が専有(シングルテナント) 他のお客様と共有(マルチテナント)
vCenter/vSphere/NSX/vSANなどの管理・操作(バージョンアップなどを含む) 利用者 IBM Cloud IBM Cloud
Veeam(Backup) 利用者がオプションで追加導入・管理 IBM Cloudが管理。利用者はサービスとして利用可能 IBM Cloudが管理。利用者はサービスとして利用可能
購入単位 物理サーバーやストレージの購入が前提。 物理サーバーやストレージの購入が前提。 1VMから利用可能
課金方式 月額課金 月額課金 時間課金方式(On-Demand)と月額で一定のリソースを事前に予約しておく方式(Reserved)がVDCごとに選択可能
提供開始時間 物理サーバーのプロビジョニング+セットアップに時間を要する 物理サーバーのプロビジョニング+セットアップに時間を要する 即時に利用を開始可能。
ゲストOSのライセンス 利用者が準備する必要がある(IBM Cloudからは提供しない) 利用者が準備する必要がある(IBM Cloudからは提供しない) IBM CloudからWindows/RHELのライセンスを提供

VDC(Virtual Data Center)とはリソースのプール化、アロケーション、および管理を可能にする単位であり、VMware Cloud Directorによって管理されます。もしかしたら専門の方から見たら少し乱暴な表現かもしれませんが、一般的なパブリッククラウドを利用している方には、

  • いわゆるパブリッククラウドのVPCに相当するものが、VMWaaSのVDC
  • 物理的なリソースを提供しているのが、vCenter/vSphere/NSX/vSAN
  • こうした物理リソースを使ってVPCもどき(=VMWaaSのVDC)を提供して抽象化してくれる仕組みを提供するのが、VMWare Cloud Director

と、考えて貰えば良いのではないかと思います。また、パブリッククラウド上のVPCは一般的には共有リソースであることを鑑みると、小規模環境であればVMWaaS(Single-Tenant)ではなくVMWaaS(Multi-tenant)を利用してもそれほど抵抗を感じないかもしれません。

実は、VMware Solutions Sharedと呼ばれる同様のソリューションもIBM Cloud上には存在するのですが、NSX-Vベースの古い環境であり、今後の拡張はされない予定です。現在でも購入は可能ですが、おそらく近いうちに販売が中止され、VMware as a Serviceへの移行が求められると思われます。

2. VMWaaS(Multi-Tenant)をさわってみよう!

以下、順次記事を投稿していきたいと思います。

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