想定読者と到達目標
「モナドは単位圏から圏の圏へのラックス 2-関手」
であることをもう少しだけ深く理解したい人へ。
ストライプ・ダイアグラムで定義を見ていく。
ただ単にモナドを理解したいだけなのに、
どこか遠くへ来てしまった感はあるけれど1、
絵を眺めるだけでどこか楽しいかもしれない。
目次
- 圏論入門前の準備運動―集合と写像―
- もう諦めない圏論入門―対象と射―
- もう諦めない圏論入門―圏と関手―
- もう諦めない圏論入門―関手と自然変換―
- もう諦めない圏論付録―ストリング・ダイアグラム―
- もう諦めない圏論基礎―極限からカン拡張へ―
- もう諦めない圏論基礎―モノイドからモナドへ―
-
もう諦めない圏論基礎―高次元圏と変換手―
- ダイアグラムで $2$-$k$-変換手の定義を確認する
- 厳密 $n$-圏の雰囲気を理解した気になる
高次元圏
圏が対象と射で構成されるのに対して、
厳密 2-圏は対象と 1-射、2-射で構成される。
同様に、厳密 $n$-圏は
対象と 1-射、2-射、$\ldots$、$n$-射で構成される。
$n$ は圏の次元で、通常の圏は厳密 1-圏と言える。
変換手
通常の圏における関手、自然変換を
厳密 1-圏での 1-関手、1-自然変換と呼ぼう。
厳密 2-圏では 2-関手、2-自然変換、2-変更2
厳密 3-圏では 3-関手、3-自然変換、3-変更、3-摂動3
と次元 $n$ の増加と共に変換の種類が増える。
厳密 $n$-圏では $(n+1)$ 種類の変換が存在する。
$k=0$ | $k=1$ | $k=2$ | $k=3$ | |
---|---|---|---|---|
$n=1$ | 1-関手 | 1-自然変換 | ||
$n=2$ | 2-関手 | 2-自然変換 | 2-変更 | |
$n=3$ | 3-関手 | 3-自然変換 | 3-変更 | 3-摂動 |
$(n+1)$ 種類の変換に $k=0$ から $k=n$ と
番号付けをして $k$-変換手と呼ぶらしい4。
$k=0$ | $k=1$ | $k=2$ | $k=3$ | |
---|---|---|---|---|
$n=1$ | 1-0-変換手 | 1-1-変換手 | ||
$n=2$ | 2-0-変換手 | 2-1-変換手 | 2-2-変換手 | |
$n=3$ | 3-0-変換手 | 3-1-変換手 | 3-2-変換手 | 3-3-変換手 |
0-変換手
$=$ 関手
1-変換手
$=$ 自然変換
2-変換手
$=$ 変更
3-変換手
$=$ 摂動
のようにいつでも置換可能とする。
高次元圏の圏
圏の圏 $\mathbf{Cat}$ を考えると、
構成要素は圏と関手と自然変換である。
何を対象とし、何を射とするかに応じて
次のように色んな組み合わせで $n$-圏になる。
圏 | 関手 | 自然変換 | |
---|---|---|---|
圏の圏 | 対象 | 射 | |
関手の圏 | 対象 | 射 | |
圏の 2-圏 | 対象 | 1-射 | 2-射 |
同様に、厳密 2-圏の圏 $2\mathbf{Cat}$ を考えると、
構成要素は 2-圏と 2-関手と 2-自然変換と 2-変更である。
何を対象とし、何を射とするかに応じて
次のように色んな組み合わせで $n$-圏になる。
2-圏 | 2-関手 | 2-自然変換 | 2-変更 | |
---|---|---|---|---|
2-圏の圏 | 対象 | 射 | ||
2-自然変換の圏 | 対象 | 射 | ||
2-関手の 2-圏 | 対象 | 1-射 | 2-射 | |
2-圏の 3-圏 | 対象 | 1-射 | 2-射 | 3-射 |
2-関手を対象とする場合には
2-自然変換を射としても圏にはならず、
2-ICON5 と呼ばれる変換を射とすると圏になる。
2-圏 | 2-関手 | 2-ICON | |
---|---|---|---|
2-関手の圏 | 対象 | 射 | |
2-圏の 2-圏 | 対象 | 1-射 | 2-射 |
以下では厳密 2-圏の場合に焦点を当て、
$2$-$k$-変換手(すなわち 2-関手、2-自然変換、2-変更)
をストライプ・ダイアグラムで描いてみよう。
ストライプ・ダイアグラム
2-圏 $\boldsymbol{\mathcal{C}}$ の対象 $a,b$ および
1-射 $f,f' \colon a \longrightarrow b$ と 2-射 $\theta \colon f \Longrightarrow f'$
をストリング・ダイアグラムで描くと次のようになる。
ラックス 2-関手 $(\mathcal{F},\mu,\eta)$ は $\mathcal{F}$ によって
2-圏 $\boldsymbol{\mathcal{C}}$ の対象および 1-射と 2-射を
2-圏 $\boldsymbol{\mathcal{D}}$ の対象 $\mathcal{F}\ a,\mathcal{F}\ b$ および
1-射 $\mathcal{F}\ f,\mathcal{F}\ f' \colon \mathcal{F}\ a \longrightarrow \mathcal{F}\ b$ と
2-射 $\mathcal{F}\ \theta \colon \mathcal{F}\ f \Longrightarrow \mathcal{F}\ f'$ に対応させる。
ラックス 2-関手の $\mathcal{F}$ を次のように描く。
対象も 1-射も 2-射も全部対応させるので
$\mathcal{F}$ を上からかぶせるイメージだ。
ストリングが幅を持ったストライプになるので
ストライプ・ダイアグラムと呼ぶらしい6。
ラックス 2-関手
ラックス 2-関手 $(\mathcal{F},\mu,\eta)$ は
自然変換 $\mu \colon {\mathcal{F}\ -} \cdot {\mathcal{F}\ -} \Longrightarrow \mathcal{F}\ (- \cdot -)$ すなわち
2-射の族 $\mu_{(f,g)} \colon {\mathcal{F}\ f} \cdot {\mathcal{F}\ g} \Longrightarrow \mathcal{F}\ (f \cdot g)$
と 2-射 $\eta \colon \mathrm{id}_{\mathcal{F}\ a} \Longrightarrow \mathcal{F}\ \mathrm{id}_{a}$
により定まる。
ストライプ・ダイアグラムで描くと以下となる。
ラックス 2-関手の自然変換 $\mu$ を次のように描く。
ラックス 2-関手の 2-射 $\eta$ を次のように描く。
自然性
自然変換 $\mu$ に関して、自然変換の定義より
$\mu_{(f,g)} \ggg \mathcal{F}\ (\theta \cdot \sigma) = \mathcal{F}\ \theta \cdot \mathcal{F}\ \sigma \ggg \mu_{(f',g')}$
が成り立ち、ダイアグラム計算では次の変形を行って良い。
次の2つの条件を満たすとき、
組 $(\mathcal{F},\mu,\eta)$ はラックス 2-関手である。
条件 1
モナドの結合律のストリング・ダイアグラムとよく似ている。
条件 2
モナドの単位律のストリング・ダイアグラムとよく似ている。
恒等 2-関手
2-関手 $\mathrm{id}_{\mathcal{C}} \colon \boldsymbol{\mathcal{C}} \longrightarrow \boldsymbol{\mathcal{C}}$ を考える。
対象および 1-射と 2-射の対応を
$\mathrm{id}_{\mathcal{C}}\ - = -$ とする。
自然変換 $\mu$ を 2-射の族により
$\mu_{(f,g)} = \mathrm{id}_{f \cdot g}$ と定義し、
2-射を $\eta = \mathrm{id}_{\mathrm{id}_{a}}$ と定義すれば、
組 $(\mathrm{id}_{\mathcal{C}},\mu,\eta)$ は恒等 2-関手である。
ラックス 2-関手の合成
ラックス 2-関手 $(\mathcal{F},\color{red}{\mu},\color{red}{\eta})$ と
ラックス 2-関手 $(\mathcal{G},\color{blue}{\mu},\color{blue}{\eta})$ の合成
ラックス 2-関手 $(\mathcal{F} \cdot \mathcal{G},\mu,\eta)$ を考える。
対象および 1-射と 2-射の対応を
$(\mathcal{F} \cdot \mathcal{G})\ - = \mathcal{G}\ (\mathcal{F}\ -)$ とする。
$\mu$ を 2-射の族により
$\mu_{(f,g)} = \color{blue}{\mu}_{(\mathcal{F}\ f, \mathcal{F}\ g)} \ggg \mathcal{G}\ \color{red}{\mu}_{(f,g)}$
と定義し、2-射を $\eta = \color{blue}{\eta} \ggg \mathcal{G}\ \color{red}{\eta}$
と定義する。
次の変形により $\mu$ の自然性が分かる。
次の変形により条件 1が成り立つことが分かる。
次の変形により条件 2が成り立つことが分かる。
ラックス 2-自然変換
ラックス 2-自然変換 $\vartheta \colon \mathcal{F} \Longrightarrow \mathcal{G}$ は
1-射の族 $\vartheta_{a} \colon \mathcal{F}\ a \longrightarrow \mathcal{G}\ a$
と自然変換 $\vartheta \colon \vartheta_{a} \cdot {\mathcal{G}\ -} \Longrightarrow {\mathcal{F}\ -} \cdot \vartheta_{b}$ すなわち
2-射の族 $\vartheta_{f} \colon \vartheta_{a} \cdot {\mathcal{G}\ f} \Longrightarrow {\mathcal{F}\ f} \cdot \vartheta_{b}$
により定まる。
ストライプ・ダイアグラムで描くと以下となる。
ラックス 2-自然変換の 1-射の族 $\vartheta_{a}$ を次のように描く。
ラックス 2-自然変換の自然変換 $\vartheta$ を次のように描く。
自然性
自然変換 $\vartheta$ に関して、自然変換の定義より
$\vartheta_{f} \ggg \mathcal{F}\ \theta \cdot \vartheta_{b} = \vartheta_{a} \cdot \mathcal{G}\ \theta \ggg \vartheta_{f'}$
が成り立ち、ダイアグラム計算では次の変形を行って良い。
次の2つの条件を満たすとき、
$\vartheta$ はラックス 2-自然変換である。
条件 1
条件 2
恒等 2-自然変換
2-自然変換 $\mathrm{id}_{\mathcal{F}} \colon \mathcal{F} \Longrightarrow \mathcal{F}$ を考える。
1-射の族 $(\mathrm{id}_{\mathcal{F}})_{a} = \mathrm{id}_{\mathcal{F}\ a}$ と定義し、
2-射の族 $(\mathrm{id}_{\mathcal{F}})_{f} = \mathrm{id}_{\mathcal{F}\ f}$ と定義すれば、
$\mathrm{id}_{\mathcal{F}}$ は恒等 2-自然変換である。
ラックス 2-自然変換の合成
ラックス 2-自然変換 $\vartheta \colon \mathcal{F} \Longrightarrow \mathcal{G}$ と
ラックス 2-自然変換 $\varsigma \colon \mathcal{G} \Longrightarrow \mathcal{H}$ の合成
ラックス 2-自然変換 $\vartheta \cdot \varsigma \colon \mathcal{F} \Longrightarrow \mathcal{H}$ を考える。
1-射の族 $(\vartheta \cdot \varsigma)_{a} = \vartheta_{a} \cdot \varsigma_{a}$ と定義し、
2-射の族 $(\vartheta \cdot \varsigma)_{f} = \vartheta_{a} \cdot \varsigma_{f} \ggg \vartheta_{f} \cdot \varsigma_{b}$ と定義する。
次の変形により $\vartheta \cdot \varsigma$ の自然性が分かる。
次の変形により条件 1が成り立つことが分かる。
次の変形により条件 2が成り立つことが分かる。
反ラックス 2-自然変換
反ラックス 2-自然変換 $\vartheta \colon \mathcal{F} \Longrightarrow \mathcal{G}$ は
1-射の族 $\vartheta_{a} \colon \mathcal{F}\ a \longrightarrow \mathcal{G}\ a$ と
自然変換 $\vartheta \colon {\mathcal{F}\ -} \cdot \vartheta_{b} \Longrightarrow \vartheta_{a} \cdot {\mathcal{G}\ -}$ すなわち
2-射の族 $\vartheta_{f} \colon {\mathcal{F}\ f} \cdot \vartheta_{b} \Longrightarrow \vartheta_{a} \cdot {\mathcal{G}\ f}$
により定まる。
ラックス 2-自然変換とは自然変換 $\vartheta$ の方向が
逆になっているため、反ラックスと呼ばれる。
2-ICON
反ラックス 2-自然変換は
1-射の族 $\vartheta_{a} \colon \mathcal{F}\ a \longrightarrow \mathcal{G}\ a$ と
2-射の族 $\vartheta_{f} \colon {\mathcal{F}\ f} \cdot \vartheta_{b} \Longrightarrow \vartheta_{a} \cdot {\mathcal{G}\ f}$ により定まる。
1-射の族を恒等 1-射で
$\vartheta_{a} = \mathrm{id}_{\mathcal{F}\ a}$ と部分適用した変換を
2-ICON $\vartheta \colon \mathcal{F} \Longrightarrow \mathcal{G}$ と呼ぶ.
ラックス 2-関手による対象の対応が
$\mathcal{F}\ a = \mathcal{G}\ a$ となる。
2-ICON $\vartheta \colon \mathcal{F} \Longrightarrow \mathcal{G}$ は
自然変換 $\vartheta \colon \mathcal{F} \Longrightarrow \mathcal{G}$ すなわち
2-射の族 $\vartheta_{f} \colon {\mathcal{F}\ f} \Longrightarrow {\mathcal{G}\ f}$
により定まる。
ストライプ・ダイアグラムで描くと以下となる。
2-ICON の自然変換 $\vartheta$ を次のように描く。
自然性
自然変換 $\vartheta$ に関して、自然変換の定義より
$\mathcal{F}\ \theta \ggg \vartheta_{f'} = \vartheta_{f} \ggg \mathcal{G}\ \theta$
が成り立ち、ダイアグラム計算では次の変形を行って良い。
次の2つの条件を満たすとき、
$\vartheta$ は 2-ICON である。
条件 1
条件 2
2-ICON の垂直合成
2-ICON $\vartheta \colon \mathcal{F} \Longrightarrow \mathcal{G}$ と
2-ICON $\varsigma \colon \mathcal{G} \Longrightarrow \mathcal{H}$ の垂直合成
2-ICON $\vartheta \ggg \varsigma \colon \mathcal{F} \Longrightarrow \mathcal{H}$ を考える。
2-射の族 $(\vartheta \ggg \varsigma)_{f} = \vartheta_{f} \ggg \varsigma_{f}$ と定義する。
次の変形により $\vartheta \ggg \varsigma$ の自然性が分かる。
次の変形により条件 1が成り立つことが分かる。
次の変形により条件 2が成り立つことが分かる。
2-変更
2-変更 $\varPsi \colon \vartheta \equiv\!\Rrightarrow \varsigma$ は
2-射の族 $\varPsi_{a} \colon \vartheta_{a} \Longrightarrow \varsigma_{a}$
により定まる。
ストライプ・ダイアグラムで描くと以下となる。
2-変更の 2-射の族 $\varPsi_{a}$ を次のように描く。
次の1つの条件を満たすとき、
$\varPsi$ は 2-変更である。
条件 1
恒等 2-変更
2-変更 $\mathrm{id}_{\vartheta} \colon \vartheta \equiv\!\Rrightarrow \vartheta$ を考える。
2-射の族 $(\mathrm{id}_{\vartheta})_{a} = \mathrm{id}_{\vartheta_{a}}$ と定義すれば、
$\mathrm{id}_{\vartheta}$ は恒等 2-変更である。
2-変更の垂直合成
2-変更 $\varPsi \colon \vartheta \equiv\!\Rrightarrow \varsigma$ と
2-変更 $\varPhi \colon \varsigma\equiv\!\Rrightarrow \varrho$ の垂直合成
2-変更 $\varPsi \ggg \varPhi \colon \vartheta \equiv\!\Rrightarrow \varrho$ を考える。
2-射の族 $(\varPsi \ggg \varPhi)_{a} = \varPsi_{a} \ggg \varPhi_{a}$ と定義する。
次の変形により条件 1が成り立つことが分かる。
2-変更の水平合成
2-変更 $\varPsi \colon \vartheta \equiv\!\Rrightarrow \vartheta'$ と
2-変更 $\varPhi \colon \varsigma \equiv\!\Rrightarrow \varsigma'$ の水平合成
2-変更 $\varPsi \cdot \varPhi \colon \vartheta \cdot \varsigma \equiv\!\Rrightarrow \vartheta' \cdot \varsigma'$ を考える。
2-射の族 $(\varPsi \cdot \varPhi)_{a} = \varPsi_{a} \cdot \varPhi_{a}$ と定義する。
次の変形により条件 1が成り立つことが分かる。
厳密 2-圏の圏
厳密 2-圏の圏 $2\mathbf{Cat}$ は
[厳密 2-圏]
(https://qiita.com/norkron/items/aff3ce925edc6be74923#厳密-2-圏)を対象とし、
ラックス 2-関手を射とする。
ラックス 2-自然変換の圏
ラックス 2-自然変換の圏 $\mathcal{D}^\mathcal{C}(\mathcal{F},\mathcal{G})$ は
ラックス 2-自然変換を対象とし、
2-変更を射とする。
ラックス 2-関手の厳密 2-圏
ラックス 2-関手の厳密 2-圏 $\mathcal{D}^\mathcal{C}$ は
ラックス 2-関手を対象とし、
各対象 $\mathcal{F}, \mathcal{G} \in \mathrm{Obj}(\mathcal{D}^\mathcal{C})$ に対して圏 $\mathcal{D}^\mathcal{C}(\mathcal{F},\mathcal{G})$ が存在し、
対象 $\vartheta,\varsigma \in \mathrm{Obj}(\mathcal{D}^\mathcal{C}(\mathcal{F},\mathcal{G}))$ を 1-射 $\vartheta,\varsigma \colon \mathcal{F} \longrightarrow \mathcal{G}$ と呼び
射 $\varPsi \in \mathrm{Mor}(\mathcal{D}^\mathcal{C}(\mathcal{F},\mathcal{G}))$ を 2-射 $\varPsi \colon \vartheta \Longrightarrow \varsigma$ と呼ぶ。
また、双関手 $-\cdot- \colon \mathcal{D}^\mathcal{C}(\mathcal{F},\mathcal{G}) \times \mathcal{D}^\mathcal{C}(\mathcal{G},\mathcal{H}) \longrightarrow \mathcal{D}^\mathcal{C}(\mathcal{F},\mathcal{H})$ と
恒等 1-射 $\mathrm{id}_{\mathcal{F}} \in \mathrm{Obj}(\mathcal{D}^\mathcal{C}(\mathcal{F},\mathcal{F}))$ が存在する。
$-\cdot-$ が関手であることを確認できる。
-
(恒等射の保存)
$(\mathrm{id}_{\vartheta} \cdot \mathrm{id}_{\varsigma})_{a} = (\mathrm{id}_{\vartheta})_{a} \cdot (\mathrm{id}_{\varsigma})_{a} = \mathrm{id}_{\vartheta_{a}} \cdot \mathrm{id}_{\varsigma_{a}}$
$= \mathrm{id}_{\vartheta_{a} \cdot \varsigma_{a}} = \mathrm{id}_{(\vartheta\ \cdot \varsigma)_{a}} = (\mathrm{id}_{\vartheta\ \cdot \varsigma})_{a}$
すなわち $\mathrm{id}_{\vartheta} \cdot \mathrm{id}_{\varsigma} = \mathrm{id}_{\vartheta\ \cdot \varsigma}$ が成り立つ。 -
(合成の保存)
$((\varPsi \ggg \varPsi') \cdot (\varPhi \ggg \varPhi'))_{a} = (\varPsi \ggg \varPsi')_{a} \cdot (\varPhi \ggg \varPhi')_{a}$
$= (\varPsi_{a} \ggg \varPsi'_{a}) \cdot (\varPhi_{a} \ggg \varPhi'_{a}) = \varPsi_{a} \cdot \varPhi_{a} \ggg \varPsi'_{a} \cdot \varPhi'_{a}$
$= (\varPsi \cdot \varPhi)_{a} \ggg (\varPsi' \cdot \varPhi')_{a} = (\varPsi \cdot \varPhi \ggg \varPsi' \cdot \varPhi')_{a}$
すなわち $(\varPsi \ggg \varPsi') \cdot (\varPhi \ggg \varPhi') = \varPsi \cdot \varPhi \ggg \varPsi' \cdot \varPhi'$ が成り立つ。
結合律と単位律が成り立つ。
-
(結合律)
$((\vartheta \cdot \varsigma) \cdot \varrho)_{a} = (\vartheta \cdot \varsigma)_{a} \cdot \varrho_{a} = (\vartheta_{a} \cdot \varsigma_{a}) \cdot \varrho_{a}$
$= \vartheta_{a} \cdot (\varsigma_{a} \cdot \varrho_{a}) = \vartheta_{a} \cdot (\varsigma \cdot \varrho)_{a} = (\vartheta \cdot (\varsigma \cdot \varrho))_{a}$
$((\varPsi \cdot \varPhi) \cdot \varGamma)_{a} = (\varPsi \cdot \varPhi)_{a} \cdot \varGamma_{a} = (\varPsi_{a} \cdot \varPhi_{a}) \cdot \varGamma_{a}$
$= \varPsi_{a} \cdot (\varPhi_{a} \cdot \varGamma_{a}) = \varPsi_{a} \cdot (\varPhi \cdot \varGamma)_{a} = (\varPsi \cdot (\varPhi \cdot \varGamma))_{a}$ -
(単位律)
$(\mathrm{id}_{\mathcal{F}} \cdot \vartheta)_{a} = (\mathrm{id}_{\mathcal{F}})_{a} \cdot \vartheta_{a} = \mathrm{id}_{\mathcal{F\ a}} \cdot \vartheta_{a} = \vartheta_{a}$
$(\vartheta \cdot \mathrm{id}_{\mathcal{G}})_{a} = \vartheta_{a} \cdot (\mathrm{id}_{\mathcal{G}})_{a} = \vartheta_{a} \cdot \mathrm{id}_{\mathcal{G\ a}} = \vartheta_{a}$
$(\mathrm{id}_{\mathrm{id}_{\mathcal{F}}} \cdot \varPsi)_{a} = (\mathrm{id}_{\mathrm{id}_{\mathcal{F}}})_{a} \cdot \varPsi_{a} = \mathrm{id}_{(\mathrm{id}_{\mathcal{F}})_{a}} \cdot \varPsi_{a} = \mathrm{id}_{\mathrm{id}_{\mathcal{F}\ a}} \cdot \varPsi_{a} = \varPsi_{a}$
$(\varPsi \cdot \mathrm{id}_{\mathrm{id}_{\mathcal{G}}})_{a} = \varPsi_{a} \cdot (\mathrm{id}_{\mathrm{id}_{\mathcal{G}}})_{a} = \varPsi_{a} \cdot \mathrm{id}_{(\mathrm{id}_{\mathcal{G}})_{a}} = \varPsi_{a} \cdot \mathrm{id}_{\mathrm{id}_{\mathcal{G}\ a}} = \varPsi_{a}$
ラックス 2-関手の圏
ラックス 2-関手の圏 $\mathbf{ICON}(\boldsymbol{\mathcal{C}},\boldsymbol{\mathcal{D}})$ は
ラックス 2-関手を対象とし、
2-ICON を射とする。
まとめ
2-圏の変換手を全て把握したことで、
ラックス 2-関手に親しめた気がする。
モノイド圏は対象が1つな 2-圏なので
同様にストライプ・ダイアグラムで描ける。
モノイド関手とはラックス 2-関手で
モノイド自然変換とは 2-ICON である7。