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はじめに
当シリーズ記事では、筆者の学習記録も兼ねてメインフレームとオープン系サーバーの違いを比較し、まとめていきます。
以下の記事の続編となります。
メインフレームの魅力再発見
【進め方】
当シリーズ記事では、大きく以下の流れで内容を展開していきます。
シリーズ「他のITインフラとの比較、最新技術の導入状況からメインフレームの魅力を探る」
- メインフレームの概要・強みとされている箇所のおさらい
- オープン系サーバーの情報まとめ (テーマ①:比較) ★本記事
- メインフレームとオープン系の比較(テーマ①:比較)
- 最新技術(テーマ②:最新技術)
当記事「オンプレミスとクラウド概論:メインフレームとの比較に向けて」では、第2段階としてオープン系システムのITインフラの代表例であるオンプレミスのオープン系サーバーとクラウドの概要を把握し、今後のメインフレームとの比較の基礎知識を築くことを目的とします。それぞれの成り立ち、特徴、メリット・デメリットを調査しポイントを整理していきます。
メインフレーム(汎用系)とオープン系:違いの整理
まずは「メインフレーム(汎用系)」と「オープン系」という用語の違いを整理していきます。
メインフレーム(汎用系)とは、特定ベンダーの提供する大型コンピュータを中心としたシステムです。内部の設計・パーツ、OSなどほとんどがベンダー独自の仕様、ベンダー独自開発の製品になります。特定ベンダーの技術に依存するため、他システムとの連携やカスタマイズの柔軟性は低い傾向にあります。高い信頼性、安定性、処理能力、セキュリティーを必要とするミッションクリティカルなシステムに最適で、そのような「止めることのできないシステム」で長年に渡り採用されてきた実績があります。
一方、オープン系システムとは、特定ベンダーに依存せず様々な環境下で作成が可能なオープンな技術に基づいて構築されたシステムです。多様なメーカーのハードウェアやソフトウェアを組み合わせることができ、柔軟性と拡張性が高いのが特徴です。UNIXやLinuxなどのOS、IAサーバー、クラウドなどが代表例です。
オープン系システムのITインフラ:オンプレミスとクラウド
ITインフラという観点でオープン系システムは、主にオンプレミスサーバーとクラウドの2つの形態で提供されます。 今回はこの2つをメインフレームと比較する上での前提知識として調査し、ポイントをまとめます。
オンプレミスサーバー
オンプレミスサーバーの成り立ちと特徴
オンプレミスとは、システムを運用する上で必要なソフトウェア・ハードウェアを自社で保有・管理する運用形態です。自社で保有・管理しているサーバーをオンプレミスサーバーと言います。
クラウドが登場する以前は特別な呼び方はありませんでしたが、クラウドの普及により、両者を区別する必要が生じたため「オンプレミス」という名称が使われています。
オンプレミスサーバーの代表例
以下に、代表的なハードウェア、OS、データベースソフトウェアを挙げ、それぞれの違いについて整理していきます。
ハードウェア
- IAサーバー: Intel Architectureサーバーの略称。x86系CPUを搭載したサーバーで、現在主流のサーバー。WindowsやLinuxなど多様なOSに対応している。(IA-64、Itaniumプロセッサなどの経緯は割愛)
- x86サーバー: IAサーバーとほぼ同義。x86アーキテクチャーを採用したサーバー全般を指す。IAサーバーはx86サーバーの一種。WindowsやLinuxなど多様なOSに対応している。
- PCサーバー: PC用パーツを流用してサーバー構築する廉価版のサーバー。小規模オフィスや個人でのサーバー検証などに利用される。
OS
- Windows Server: Microsoftが提供するサーバーOS。GUIによる操作が容易で、Microsoft製品との互換性が高い。
- Linux系OS (例:CentOS、Ubuntu Server): オープンソースのOS。高いカスタマイズ性を持ち、Webサーバーやデータベースサーバーとして人気。Linuxはオープンソース、UNIXはライセンス契約が必要。
- UNIX系OS (例:Solaris、AIX、HP-UX): 高い安定性と信頼性を誇る商用OS。歴史が長く、金融機関などのミッションクリティカルなシステムで採用されている。
データベースソフトウェア
- MySQL、PostgreSQL: オープンソースのリレーショナルデータベース管理システム (RDBMS)。無料で利用でき、Webアプリケーションなどで広く使われている。
- Microsoft SQL Server: Microsoftが提供する商用RDBMS。Windows Serverとの親和性が高く、企業システムで多く採用されている。
※UNIXサーバーという言葉もありますがハードウェアの種類というよりはOSの種類に分類されます。UNIX系OSを搭載したサーバーと解釈できます。
クラウド
クラウドとは、インターネット経由でコンピューターの処理能力やストレージを提供するサービスです。利用者は必要なリソースを必要なだけ利用でき、個々のコンポーネントの購入費用や運用コスト、管理負担を大幅に削減することが可能です。クラウドサービスは提供形態によって、IaaS、PaaS、SaaSの3種類に大別されます。
IaaS (Infrastructure as a Service): インフラをWeb経由で利用
IaaSは、クラウド事業者からハードウェアリソース(仮想サーバー、ストレージ、ネットワークなど)をレンタルするサービスです。OS、ミドルウェア、アプリケーションは利用者側で自由に選択・インストール・設定できます。オンプレミスに近い柔軟性と制御性を持つ一方、運用管理の責任も利用者側にあります。
- メリット: 柔軟なカスタマイズ性、既存システムとの高い互換性。
- デメリット: 運用管理の負担が大きい。
-
代表的なサービス:
- Amazon Elastic Compute Cloud (EC2): Amazon が提供する仮想サーバーサービス。OS やアプリケーションを自由にインストール・設定できる。
- Microsoft Azure Virtual Machines: Microsoft Azure 上で仮想マシンを構築・管理するサービス。Windows Server や Linux など様々な OS を選択できる。
- Google Compute Engine: Google Cloud Platform (GCP) で提供される仮想マシンサービス。
PaaS (Platform as a Service): アプリケーション開発・実行環境をWeb経由で利用
PaaSは、クラウド事業者からアプリケーション開発・実行に必要な環境(ハードウェア、OS、ミドルウェア、ランタイム環境など)を提供されるサービスです。インフラ管理はクラウド事業者が担当するため、運用管理の負担を軽減できます。
- メリット: 開発効率の向上、運用管理の負担軽減。
- デメリット: IaaSに比べて柔軟性は低い。
-
代表的なサービス:
- AWS Elastic Beanstalk: Java, .NET, PHP, Python, Ruby, Go など様々な言語で開発された Web アプリケーションを簡単にデプロイ・管理できる。
- Google App Engine: GCP で提供される PaaS。アプリケーションのバックエンドを構築できる。
- Heroku: Salesforceが提供。多様なプログラミング言語とフレームワークをサポートし、Web アプリケーションの開発・デプロイ・運用を簡素化する。
SaaS (Software as a Service): ソフトウェアをWeb経由で利用
SaaSは、クラウド事業者が提供するアプリケーションソフトウェアをインターネット経由で利用するサービスです。利用者はソフトウェアをインストールすることなく、Webブラウザなどから利用できます。
- メリット: 導入が容易、低コスト、常に最新バージョンを利用可能。
- デメリット: カスタマイズ性が低い。
- 代表的なサービス: Gmail、Slack、Salesforce、Zoom など。
代表的なクラウドサービスプロバイダー
- Amazon Web Services (AWS): クラウドサービスプロバイダートップシェア。幅広いサービスを提供。
- Microsoft Azure: Microsoft が提供するクラウドサービス。Microsoft製品との親和性が高い。
- Google Cloud Platform (GCP): Google が提供するクラウドサービス。データ分析や機械学習に強い。
クラウドとオンプレミス:ITインフラの変遷
ITインフラは、従来のオンプレミスサーバーからクラウドへと急速に移行しています。この章では、両者の概要の比較、クラウド化が進む背景について調査した結果をまとめます。
クラウドとオンプレミス
| 項目 | オンプレミス | クラウド |
|---|---|---|
| コスト | 初期投資高、長期運用で低コスト化の可能性 | 初期投資低、従量課金、高負荷継続利用で高額化の可能性 |
| 拡張性 | 時間と費用が必要、小規模なら十分 | 容易、大規模・変動対応に優位 |
| メンテナンス | 自社責任、制御性高 | ベンダー責任、簡素化 |
| セキュリティー | 自社管理、高制御 | 共同管理、ベンダー依存 |
| 導入スピード | 時間が必要 | 迅速、短期導入に最適 |
クラウド化が進む背景
クラウド化の主な要因は以下の通りです。
- 導入と運用の容易さ: クラウドサービスは、大規模な設備投資を必要とせず、スムーズに導入できます。サーバーの運用・保守もクラウドサービス提供事業者が行うため、IT管理の手間を大幅に削減できます。
- 柔軟性と拡張性: 現代ビジネスは変化が激しく、迅速な対応が求められます。クラウドサービスは、ビジネスの成長や変化に合わせてリソースを柔軟に増減できます。必要な時に必要なだけリソースを利用できるため、変化への対応力を高めます。
- 強固なBCP対策: クラウドサービスでは、データは遠隔地のデータセンターに保存されます。大手クラウドプロバイダーは、世界各地にデータセンターを分散配置しているため、災害発生時にもデータの安全性を確保し、事業継続を支援します。自社設備が被災した場合でも、クラウド上のシステムやデータを利用することで、事業の早期復旧が可能になります。
まとめ:次なるステップ、メインフレームとの比較へ
今回はオープン系システムのITインフラの代表例として、オンプレミスサーバーとクラウドについて調査してポイントを整理しました。
オープン系システム全体として特定ベンダーに依存せず多様なメーカーのハードウェアやソフトウェアを組み合わせられる柔軟性があり、クラウドサービスは初期費用の低さ、拡張性や運用保守の容易さといったメリットがあることがわかりました。
しかし、このような時代の流れの中でも、メインフレームが依然として多くの企業で利用され続けているという事実に興味を惹かれました。クラウドやオンプレミスサーバーなどのオープン系システムのITインフラと比較して、メインフレームはどのような魅力を持っているのでしょうか?
次回は、オープン系システムのITインフラとメインフレームを比較し、メインフレームの魅力を検証していきます。
参考文献
オープン系システムとは?特徴や意味をわかりやすく解説 | お多福ラボ
オンプレミスとは?意味やクラウドとの比較までわかりやすく解説|サービス|法人のお客さま|NTT東日本
サーバーの基本を徹底解説:種類、構成、設定、セキュリティまで | 初心者のためのバックエンド入門: 基礎的な概念をわかりやすく解説
サーバーOSとは?その種類と違いについて解説 #オペレーティングシステム - Qiita
IAサーバ(x86サーバ)とは?意味を分かりやすく解説 - IT用語辞典 e-Words
IAサーバとは?UNIXやWindowsサーバーとの違い・用途をわかりやすく解説 | ロロント株式会社
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この記事は、IBM Community Japanの主催する2025年ナレッジモール研究における「メインフレーム若手技術者の広場」の成果物です。