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メインフレームの現在:最新技術がもたらす新たな魅力の発見

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Last updated at Posted at 2025-09-29

当記事の著作権はIBMに帰属します。
詳細はこちらを参照ください。

はじめに

メインフレームの魅力再発見では、ここまでオープン系ITインフラと比較した魅力を検証してきました。

本記事では、メインフレームを取り巻く最新技術について、HWからSWまで幅広く調査してまいります。生成AIに代表されるような、変化が早く世間からの注目度も高い技術と比べて、メインフレームには「日々進化している」というイメージはあまり浸透していないと私たちは感じています。これは「メインフレーム=レガシー」というイメージが根強く持たれている一因ではないかと考えます。

一方で、IBMはメインフレーム領域に最新技術を積極的に取り込んでいます。

本記事では、IBMメインフレームで活用可能な最新技術を広くみていきます。古くからの技術に加え最新技術も厚く取り込まれているメインフレームならではの魅力に、皆さんも私たち自身も気がつくきっかけとなれば幸いです。

当シリーズ記事では、大きく以下の流れで内容を展開していきます。

メインフレームを取り巻く最新技術の全体像

本稿では、メインフレーム領域に最新技術の活用を進めるIBMの技術を中心に執筆しております。

メインフレームを取り巻く全体像として、1. HW(ハードウェア)、2. OS(オペレーティング・システム)、3. MW(ミドルウェア)、4. SW(ソフトウェア)とレイヤーごとに区切り、メインフレーム領域でも採用されている技術を見て参ります。

1.HW(ハードウェア)

HWにおいてはCPUとストレージに着目します。

・CPU

現在2025年9月時点で、IBMのメインフレームであるZシリーズの最新機種IBM z17です。とても多くの最新技術が詰まっており、ここで全てを取り上げることはできないのですが、一部を紹介させていただきます。

CPUにはTelum Ⅱが搭載されており、そのプロセスは5nmです。プロセスとは半導体チップがどれほど細かく作られているかを表す言葉であり、1nmは10億分の1メートルです。想像しづらい単位ですが、果てしなく微細なことはお分かりいただけるのではないでしょうか。一般的にプロセッサの微細化が進むことで高機能化・高速化が期待されると言われます。

またTelum ⅡはオンチップAIアクセラレータを搭載しており、メインフレーム上で生成AIソリューションの利用が可能です。

さらに、Telum Ⅱと連携可能なSpyre アクセラレータも利用可能です。Spyreアクセラレータにより、生成AIソリューションの機能追加が可能となり、メインフレーム上での更なる生成AIソリューションの活用推進が実現できます。

メインフレームの特長の1つに堅牢さが挙げられることが多いですが、そこにも最新技術が取り込まれています。IBM z16から、耐量子暗号アルゴリズムによるデータ保護が可能となっています。またメインフレーム環境で利用可能な暗号化専用のハードウェア、Crypto Expressも提供されています。

・ストレージ

IBMメインフレーム環境で利用されるストレージ DS8000シリーズでも最新技術が利用されています。

Safe Guarded Copyという機能です。これは悪意のある操作やランサムウェア攻撃に対応するソリューションです。

この機能によりデータのバックアップを数百世代に渡って保管できます。またこのバックアップは攻撃者からは認識できないエアギャップと呼ばれる場所に保管されます。万が一データが破壊や汚染された場合にも、バックアップからデータを復元することが可能です。

2.OS(オペレーティング・システム)

IBMメインフレーム環境で利用できる主なOSとして、z/OSとz/Linuxを紹介します。

・z/OS

OS/360の頃から約60年の歴史があるz/OSですが、そんなz/OSにも新たな機能はバージョンを追うごとに導入されています。例えば2025年9月時点で最新バージョンであるz/OS 3.1では、AIを活用することにより過去の稼働情報から、スパイクを予測した上でバッチジョブの開始前に予めイニシエーターを起動することが可能です。これにより、バッチの立ち上がり時間を短縮することができます。

またz/OSのベースエレメントの1つとして、z/OSMFを利用することで、3270インターフェースでの操作イメージが強いz/OSをGUI画面で操作することが可能です。z/OSMF自体は以前から存在しますが、最近においても機能拡張が積極的に行われています。メインフレームに対するニーズを取り込むIBMの姿勢が現れていると言えるのではないでしょうか。

・z/Linux

IBMメインフレームにおけるOS=z/OS、という見方も強いかもしれませんが、実はメインフレーム環境でLinuxを稼働させることも可能です。それがLinux on IBM Z、z/Linuxです。

ディストリビューションとしてはRed HatのRed Hat Enterprise Linux、SUSEのSUSE Linux Enterprise Serverがあります。

このz/Linuxにより、Linuxの柔軟性とメインフレームの性能、堅牢性を組み合わせて利用することが可能です。

3.MW(ミドルウェア)

IBMメインフレーム環境で使用されているミドルウェアとして、Db2 for z/OSおよびIMSを紹介します。

・Db2

データベースとして長い歴史を持つDb2 for z/OSですが、ここにも新たな技術は取り入れられています。データベース管理システムに業界で初めてAI機能を内蔵したのがDb2 for z/OSです。

Db2 13 for z/OSにはSQL Data InsightsというAI機能が搭載されています。この機能により「類似度の高いデータ抽出」など従来のSQLでは困難であった操作の一部を、 Db2組み込み関数(AI semantic functions)として利用可能となります。

・IMS

Db2よりもさらに長い歴史を持つIBMのIMSですが、メインフレーム上の資産を有効活用するための新たな技術は継続的に取り込まれています。トランザクション連携やデータベース連携ではオープン環境とIMS間のトランザクションやDBアクセス要求・結果の送受信が可能なほか、COBOLとJavaおよびPL/IとJavaの相互呼び出し、APIによる外部呼び出しなども可能です。

・Docker

メインフレーム環境においても、Dockerを使用してアプリケーションをコンテナ実行することが可能です。当初のサポートはDockerコンテナのみでしたが、2022年から、IBM zCX Foundation for Red Hat OpenShiftが登場し、コンテナ化されたLinux on IBM Zアプリケーションが、zCX上のRed Hat OpenShiftクラスター(OCP: OpenShift Container Platform)で稼働可能になりました。

これにより、オープン系やLinuxベースのアプリケーションやツールをメインフレーム環境で利用しやすくなるほか、API連携などによるz/OS環境とのブリッジを通じてより柔軟なシステム運用を実現できます。各プラットフォームの特性を適材適所で生かしたシステム運用が可能になります。

4.SW(ソフトウェア)

IBMにより提供されているメインフレーム環境向けのSWは多種多様ですが、本章では昨今特に注目度の高い’モダナイゼーション’ という切り口をキーワードに、AIを活用したソリューションやオープン系のツールを取り込んだソリューションについて紹介します。

・IBM watsonx Code Assistant for Z

近年、開発を効率化するための生成AI活用が盛り上がりを見せていますが、メインフレーム環境においてもそれは例外ではありません。IBM watsonx Code Assistant for Zは、メインフレーム上のアプリケーション開発で用いることができるソリューションで、アプリケーションの分析やリファクター、生成AIを活用したコードの解説・生成、変換などの機能を提供しています。これらの機能をニーズに合わせて組み合わせて利用することで、段階的にメインフレーム・アプリケーションの最適化をサポートします。

・IBM IntelliMagic Vision for z/OS

AIを使用して、メインフレームの運用高度化をサポートするSWもあります。IBM IntelliMagic Vision for z/OS は、IBM Z環境のパフォーマンスやキャパシティ管理のためのソリューションです。AIベースの分析による運用管理により、z/OSおよびミドルウェアのパフォーマンス分析を効率化します。

・Zowe

Zoweとは、メインフレーム運用及び開発において利用可能なオープンソース・ソフトウェア・フレームワークです。z/OSと連携するためのWebベースやREST APIベースのインターフェースを提供します。これにより、ユーザーはクラウドやオープン系プラットフォームと同様のモダンな方法でz/OSを操作できるようになります。

・オープン系ツールの取り込み ソースコード管理、コーディング

オープンソースの技術やオープン系で一般的に使用されている技術を取り込む動きも見られます。例えば、オープン系ではソースコード管理のために利用が一般的なGit、また開発者向けのエディターとして一般的なVSCodeやEclipseも、メインフレーム環境での利用が可能です。オープン系でも広く使用されている技術やツールを利用していくことで、日々の開発や運用を効率化に繋がるだけでなく、オープン系システムとメインフレームシステムの間の技術的なギャップの削減による柔軟なシステム構成が実現すると考えられます。また、メインフレームシステムを支える技術者にとっても、オープン系の技術との融合によりメインフレーム体験の変化につながるのではないでしょうか。

まとめ

当記事では、「メインフレームの現在:最新技術がもたらす新たな魅力の発見」と題して、広くメインフレームで取り込まれている最新の技術を通じてメインフレームの魅力を調査してみました。調査を通じて、メインフレームでも「AI」「耐量子暗号」といった新しい技術が想像以上に取り込まれていることが分かりました。そして私たちは、メインフレームが単なる「レガシー」という固定観念に留まらず、日々最新技術やオープン系の技術を取り入れて進化を続けている点がメインフレームの大きな魅力であると強く感じました。

メインフレームは、歴史ある技術と最新技術を融合できるプラットフォームだと考えてます。新たな技術と取り込みながらシステムや技術を進化させ今後も動かし続ける形を模索していくことこそ、メインフレームならではの魅力を最大化につながると感じています。

ここまで「メインフレームの魅力深堀分科会」として、オープン系のITインフラとの比較や最新技術の導入状況を通じて、メインフレームの魅力を深掘るシリーズを展開してきました。まずは、メインフレームそのものの特長について簡単に振り返りました。続いて、テーマ①では、オープン系ITインフラと比較しながら、メインフレームならではの強みや魅力を調査しました。テーマ②では、メインフレーム上で活用可能な最新技術について調査し、現代のIT環境におけるメインフレームの可能性を探りました。これらの調査を通じて、私たちはメインフレームが持つ固有の価値と将来的な可能性を改めて認識することができました。この記事が、皆様にとってメインフレームの魅力を再発見するきっかけとなっていれば幸いです。

参考文献


この記事は、IBM Community Japanの主催する2025年ナレッジモール研究における「メインフレーム若手技術者の広場」の成果物です。

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