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AI にチャットで作らせても、実体はコード。Tines 3B の「コードファースト」を読み解く

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Last updated at Posted at 2026-10-23

連載「Tines 3B を読み解く」の第6回です。

はじめに

AI に頼めば、業務の自動化が数分でできる時代です。ただ、できあがったものは誰がどうやって確認するのでしょうか。画面の裏で動く「何か」では困ります。

この記事では、2026年7月に一般提供が始まった AI ネイティブのワークフロー基盤「Tines 3B」が、「チャットで誰でも作れる」ことと「成果物をコードとして管理できる」ことをどう両立させているかを、公式ドキュメントに沿って整理します。

こんな方に向けて書いています。

  • AI に業務の自動化を作らせることを検討している
  • AI が作ったものを、レビューや履歴管理の対象にしたい
  • 「ノーコード」と「コードファースト」の違いを知りたい

先に結論です。3B は、チャットで作らせても成果物の実体が Git で管理できるコードになる設計です。ここで言う「コードファースト」は、「実体がコードで、Git で管理できる」という意味です。

こんな場面、ありませんか

  • AI に作らせた自動化は動いている。けれど、中身を誰も説明できない。
  • 非エンジニアが作ったものを開発者が引き継げない。履歴も差分も残っていない。
  • AI が勝手に進めて、意図と違うものができた。途中で止めたり、向きを変えたりしたい。

どれも「作る速さ」と「あとから確かめられること」が両立していない、という悩みです。

結論:3つの設計

設計 何をするか 得られるもの
チャットで作り、進め方を握る 平文で頼む。Plan mode、Queue/Steer、スキルで、人が舵を取る 誰でも作れて、勝手に進まない
実体をコードにする スペースは Git リポジトリ。ステップは小さなコンテナで、入出力は stdin と stdout 差分、履歴、レビューの対象になる
どの入口でも、同じ場所に集める Git、CLI、REST API、MCP、GitSync からも、同じファイルを扱う 開発者と非エンジニアが、同じ成果物を触れる

設計1:チャットで作り、進め方を握る

平文で頼む

スペースを開くと、「What do you want to do?」という入力欄が出ます。やりたいことを書くと、3B が新しいワークフローを開き、ステップを書いてつなぎ、進捗をチャットで説明します。最初はドラフトのブランチ(「First draft」)に作られ、ライブには出ません。ドラフトとライブの違いは、次の第7回で扱います。

速さについて、公式では「60秒未満で動くワークフローを作れる」と説明されています。これは製品紹介の記述で、条件は示されていません。実際の速さは依頼の具体性や連携先の数で変わるはずなので、自分の業務で測るのがよいでしょう。

人が舵を取る道具

道具 内容
Plan mode 動く前に、進め方を一緒に考える。大きい、曖昧な案向き。有効にすると、実行や変更の前に計画の承認を求める
Queue / Steer 3B の作業中に送ったメッセージの扱い。Queue(既定)は、終わってから送る。Steer は、作業中の3Bに今すぐ届き、向きを変える
Follow 3B 3B が編集中のステップやファイルへ、画面が自動で追従する
スキル 3B に渡す、再利用できる専門知識。SKILL.md に、使う場面と指示を書く

ここでの「承認」は構築時のものです。Plan mode の計画の承認は「作る前」の確認で、ライブの実行中に人の承認を挟む仕組みではありません。そのような公式の仕組みは確認できていません。

スキルは、会社の決まり(日付の形式、命名など)を 3B に伝える手段になります。Git からインストールすることもできます。

設計2:実体をコードにする

スペースは Git リポジトリ

スペースは普通の Git リポジトリとして複製できます。ワークフローは最上位のディレクトリ、ステップはその中のサブディレクトリです。ステップには README.md、config.toml、Dockerfile、ソースが入ります。

my-space/                  (スペース = Git リポジトリ)
  daily-report/            (ワークフロー)
    README.md
    fetch/                 (ステップ)
      config.toml
      Dockerfile
      script.py
    notify/                (ステップ)
      config.toml
      Dockerfile
      script.sh

複製に入るのはワークフローだけで、コネクタや権限は含まれません。ここから「コードファースト」の意味が見えてきます。AI が書くのも、実際に動くのも、このコードです。画面の裏に別の隠れた実体があるわけではないので、Git の差分、ブランチ、履歴で扱えます。

ステップは小さなコンテナ

ステップは小さなコンテナで、独立したプロセスとして動きます。データは stdin(標準入力)で受けて、stdout(標準出力)で返します。3B 独自の入出力 API はありません。

import sys, json

# 上流のステップの出力を、stdin から受け取る
data = json.loads(sys.stdin.read())

# 処理して、結果を stdout に書く(ログは stderr へ)
result = {"count": len(data.get("items", []))}
print(json.dumps(result))

config.toml の links に下流のステップの名前を書くと、このステップの stdout が下流の stdin になります。複数を書けば並列に動きます。テンプレートには shell、python、typescript、react、agent があります。

設計3:どの入口でも、同じ場所に集める

構築の入口はチャットだけではありません。次の入口があります。

入口 内容
Git スペースの Git URL を複製し、push するとワークフローに反映される。Claude Code などのコーディングエージェントが、普通のコードとして読み書きできる
3b CLI ワークフローの実行や、チャットを、コマンドから行う
REST API /api/v1/ の API。ドキュメントは、テナントの /api/v1/docs
MCP 外部の AI クライアントから接続し、参照、実行、構築ができる。ステップの編集や push live は、OAuth の接続でのみ使える
GitSync GitHub と同期する。pull request やレビューに載せられる

アプリで同じワークフローが編集されていると、Git の push は拒否されます。pull して競合を解消してから、push し直します。

うまくいかない場面

  • 生成コードのレビュー。公式では、標準のレビュー手順は示されていません。GitSync で pull request に載せる運用は筆者の提案で、公式の手順ではありません。
  • 同じ入力、同じ出力とは限らない。公式では、決定論的なコードの基盤だと説明されています。ただ、LLM を呼ぶステップや外部 API に依存する処理は、同じ入力でも結果が変わりえます。
  • 認証情報をチャットに書かない。公式の指針は、「このAPIキーを使って」ではなく「Stripe につなげて」と書くことです。第3回で扱いました。
  • retry_seconds は、ステップ全体の再実行。メール送信のような処理では、二重に実行されえます。

他のやり方との違い

一般的な分類で比べてみます(特定の製品の仕様ではなく、考え方の整理です)。

方式 実体 変更の確認 向く場面
ビジュアルのデザイナー 製品の内部の表現 画面で、流れを目で追う 図で説明したい。コードのレビュー体制が無い
AI がコードを生成(コードファースト) ソースコードと設定ファイル 差分、ブランチ、テスト 任意の連携が要る。Git で管理したい

どちらが優れている、という話ではありません。変更を誰がどう確認するかで選ぶのがよいでしょう。

おわりに

  1. チャットで作れて、Plan mode などで人が舵を取れる。
  2. 実体は Git で管理できるコード。ステップは stdin と stdout で動く小さなコンテナ。
  3. Git、CLI、API、MCP、GitSync のどこから来ても、同じファイルに集まる。

連載の他の回

連載「Tines 3B を読み解く」(全11回):

参考

公式ドキュメント(docs.3b.tines.com):

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