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「誰が何をしたか」と「いくらかかったか」を、どう見るか。Tines 3B の監視・監査・費用を読み解く

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Last updated at Posted at 2026-10-23

連載「Tines 3B を読み解く」の第5回です。

はじめに

AI が作るワークフローが増えると、2つの問いが出てきます。「誰が、いつ、何をしたのか」と、「AI の費用はいくらかかっているのか」です。

この記事では、2026年7月に一般提供が始まった AI ネイティブのワークフロー基盤「Tines 3B」がこの2つにどう答えているかを、公式ドキュメントに沿って整理します。

こんな方に向けて書いています。

  • AI が作る業務の自動化を、組織で使うことを検討している
  • 監査ログや AI 費用の見え方が、導入の判断材料になる
  • 「効果は金額でいくらか」と上司に聞かれそうだ

先に結論です。3B は「誰が何をしたか」を監査ログと Watchtower で追い、「いま何が起きているか」と費用、効果を monitoring ダッシュボードで見せます。ただし、AI 費用は請求額ではなく推定値で、効果の金額も見積りです。

こんな場面、ありませんか

  • 退職した人の自動化がまだ動いている。誰が作り、誰が権限を変えたのか、あとから追えない。
  • 月末に AI の請求が届いた。どのチームのどのワークフローが使ったのか分からない。
  • 「自動化で年にいくら節約できたのか」と聞かれたのに、根拠のある数字を出せない。

どれも「記録はあるはずなのに、見る場所と数字の意味が分からない」という悩みです。

結論:3つの設計

設計 何をするか 得られるもの
追う 操作を監査ログに残し、外部へ転送する。全体を見る権限は絞る 誰が何をしたかの記録
見渡す monitoring ダッシュボードで、状態とアクセスを一画面で見る いま何が起きているか
数字にする AI 費用と、節約の効果を、式で金額にする 費用と効果の、見積りの根拠

設計1:操作を記録して、外に送る

監査ログ

監査ログは、設定(settings)の audit logs で見ます。表には時刻、ユーザー、操作、発生元、成否が並び、失敗は赤で表示されます。列を開くと、エラー内容や入力、リクエストの IP アドレスと User-Agent も見られます。

用語集では、監査ログは「すべてのユーザー操作とシステム操作の包括的な記録」とされています。変更、API 呼び出し、認証イベント、プロビジョニングが自動で記録されます。

長く保管したいときは、「destinations」で外部へ自動転送できます。

項目 説明
転送先の例 S3 バケット、Webhook、その他のアーカイブ
URL https:// で始まること
メソッド PUT か POST
認証 任意。コネクタなどで、AWS SigV4 や API キーを付けられる
削除 以後の転送が止まるだけ。配信済みのデータは、外部に残る

Watchtower は強い権限

Watchtower は、管理者がテナント全体を見るための画面です。メンバーとして登録しなくても、全スペース、各メンバーの個人ワークフロー、チャットを開けます。用途としては、監査、調査、退職時の確認が挙げられています。

権限は「View all spaces」と「View all personal chats」の2つです。公式では、これは「sensitive capability」と書かれていて、慎重に付与するよう求められています。チャットまで読める権限は少人数に絞り、社内の規程と合わせて決めるのがよいでしょう。

設計2:状態とアクセスを、一画面で見渡す

左サイドバーの monitoring を開くと、ダッシュボードが出ます。概要記事(Understand your workspace at a glance with the monitoring dashboard)は、これを4つのタブで説明しています。

タブ 見えるもの
workflows 実行量、失敗中のワークフロー、重複、Autofix と Autotune の状況、認証の状況など
access map ユーザー、グループ、コネクタ、スキル、スペースのつながりのグラフ
savings 節約時間の金額換算
AI AI 利用の推定費用とトークン

access map

access map は、誰がどのコネクタやスペースに届くかを、ノードとつながりで見せます。ノードをドラッグして権限を付けることもできます。権限を外すときは、影響(コネクタやチャット)を先に示してくれます。

数字は、読める範囲の集計

ダッシュボードの数字は、閲覧者が読めるスペースの範囲の集計です。権限の狭い人の画面は、全体を表しません。「全体を見る人」を誰にするか、先に決めておくとよいでしょう。

設計3:費用と効果を、式で数字にする

AI 費用は推定値

AI タブには、直近30日(変更可)の推定費用、トークン数、リクエスト数、キャッシュの利用率が出ます。モデル別、ワークフロー別、スペース別の内訳もあります。ワークフロー別では、費用を Build(構築)、Run(実行)、Monitor(Autofix と Autotune)、Other(個人チャットなど)に分けます。

大事なのは計算の仕組みです。推定費用は、「3B が計測したトークン量に、利用者が設定した単価を掛けたもの」です。プロバイダの請求 API は参照しないため、「単価が不正確なら、数字も不正確」です。単価はコネクタの measure pricing に入力します。単価も既定値もないモデルは金額が出ず、プレースホルダーが表示されます。

効果は、分数と時給で決まる

savings タブの式は次のとおりです。

価値 = 節約した分数 × 時給 ÷ 60

これを構築分(一回限り)と実行分(期間内の成功回数ぶん)で足し合わせます。時給の既定は75ドルで、5ドル刻みで変えられます。分数の出所は、AI estimate(自動)、Manual(利用者が設定)、Not set(計算しない)の3つです。

たとえば、1回5分を節約するワークフローが期間内に200回成功し、時給が75ドルなら、5 × 200 × 75 ÷ 60 で1,250ドルです。分数は見積りなので、報告するときは分数と時給の前提を添えるのがよいでしょう。

守ってくれないこと

  • 請求との突き合わせ。AI 費用は推定値なので、請求額との比較は利用者の仕事です。
  • 単価の入力。契約の単価を入れないと、数字がずれます。
  • 長期の保管。画面の期間は30日、90日(savings の上限)など短めです。長い傾向は別に残す必要があります。
  • セルフホストの監視。公式では、セルフホストでは「監視とアラートは顧客の責任」と書かれています。ダッシュボードやアラートの基盤は同梱されません。
  • Watchtower の運用ルール。誰に付けるか、何のために見るかは、組織が決めることです。

おわりに

  1. 操作は監査ログに残り、外部へ転送できる。全体を見る Watchtower は強い権限。
  2. monitoring で状態とアクセスを見渡せる。数字は読める範囲の集計。
  3. AI 費用は推定値、効果は見積り。前提と一緒に使う。

連載の他の回

連載「Tines 3B を読み解く」(全11回):

参考

公式ドキュメント(docs.3b.tines.com):

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