IBM Cloud(主にインフラ寄り)に関して、2021年に発表された新機能についての情報です。
クラウドベンダーは、膨大な投資をクラウド事業に対して継続して行っていますから、必然的に多くの進歩・改善が起こります。去年は実現していなかった数々の事が今年実現しましたし、今できない事も、1年後にはできるようになっているかもしれません。
過去の情報は下記にあります。もう6年もこのネタをやっているのか...!
2020年: https://qiita.com/y_tama/items/d38d878377aff7e7e990
2019年: https://qiita.com/y_tama/items/48f866f394f8d0445bc3
2018年: https://qiita.com/y_tama/items/d25cd73d0fce3a58746a
2017年: https://qiita.com/y_tama/items/63c09a89dce5392e91ee
2016年: https://qiita.com/y_tama/items/848106c811178673061a
また、公式のリリースノートやブログでも随時、情報発信されています。
IBM Cloud release note
https://cloud.ibm.com/docs/overview/whats-new?topic=overview-whatsnew
VPC release note
https://cloud.ibm.com/docs/vpc?topic=vpc-release-notes
Blog
https://www.ibm.com/blogs/solutions/jp-ja/category/cloud/
個人的にはTransit Gatewayが着実に進化を続けていて、様々なサービスを繋ぐハブとして強化されているなぁと感じます。あとは、Power VSへの接続パターンも増えていて良い感じです。z/Linuxも使えるようになりましたし、IBM Cloudならではの手札が増えたように思います。
それでは見ていきましょう。上から新しい順に並んでいます。
Transit Gatewayで、ルート情報・BGP情報を表示可能に(2021/11)
Transit Gatewayのルート情報やBGP情報を取得できるようになりました。
https://cloud.ibm.com/docs/transit-gateway?topic=transit-gateway-route-reports&interface=ui
Power VSでVPNaaSを利用可能に(2021/10)
これまではx86側のVRAに繋ぐ形での接続でしたが、Power VSのネットワークに直接VPNaaSで接続できるようになりました。
https://cloud.ibm.com/docs/power-iaas?topic=power-iaas-VPN-connections
https://qiita.com/y_tama/items/5e0ff7f50731d88a1c04
Power VSでVTL(Virtual Tape Library)を利用可能に(2021/10)
iからVTLが使えるようになり、オンプレと同じ感覚でバックアップできるようになりました。
https://cloud.ibm.com/media/docs/downloads/power-iaas/PowerVS_VTL_Overview.pdf
GPUプロファイルがVSI for VPCで選択可能に(2021/10)
VSI for VPCで、NVIDIA V100が付いたProfileを選択可能になりました。
https://cloud.ibm.com/docs/vpc?topic=vpc-managing-gpus
大容量メモリのprofileが利用可能に(2021/9)
VSI for VPCで、大容量メモリのProfileが選択可能になりました。
LinuxONE Virtual Servers for VPC(2021/8)
Z上のLinuxONEサーバーがVPC上で使えるようになりました。
https://community.ibm.com/community/user/ibmz-and-linuxone/blogs/daiki-shimizu1/2021/08/13/ibm-cloud-linuxone-vpc-announcement?CommunityKey=90109de1-fe63-40e9-b4dd-6d05d62c35f2&Tab=groupdetails
これで、IBM Cloudでは、x86とPowerに加え、Zの基盤上の仮想サーバーも提供するようになりました。オンプレのアーキテクチャを変えずにそのままクラウドに持ってこられる選択肢が増えたのは良い事と思います。
VPCに対してClient to Site VPNが可能に(ベータ)(2021/8)
これまでは、Client to Site型のVPNはClassic用のSSL VPNでした。今回、VPC環境向けのClient to Site VPNが可能になりました。2021/9時点でベータ版となります。
https://cloud.ibm.com/docs/vpc?topic=vpc-vpn-client-to-site-overview
https://qiita.com/y_tama/items/16987e07842262cd9068
Transit GatewayがDirect Link 2.0に接続可能に(2021/8)
Transit GatewayがDirect Link 2.0に接続できるようになりました。
下記のuse case 9のような構成が可能になりました。
https://cloud.ibm.com/docs/transit-gateway?topic=transit-gateway-about#use-case-9
こういった構成も可能になります。
https://qiita.com/y_tama/items/fbc22f20ef56c2dde90c
Block Storage for VPCのサイズ・性能がより柔軟に設定可能に(2021/7)
ボリュームを16TBまで拡張可能
https://cloud.ibm.com/docs/vpc?topic=vpc-expanding-block-storage-volumes&interface=ui
IOPSを変更可能
https://cloud.ibm.com/docs/vpc?topic=vpc-adjusting-volume-iops&interface=ui
サンパウロ・リージョンが利用可能に(2021/7)
サンパウロ・リージョンが利用可能になりました。これでIBM CloudのMZR(Multi Zone Region)は9箇所になりました。
ICOSでオブジェクトのバージョン管理が可能に(2021/5)
ICOSでオブジェクトのバージョン管理が可能になりました。
https://cloud.ibm.com/docs/cloud-object-storage?topic=cloud-object-storage-versioning&locale=en
デフォルトでは無効化されており、Bucket単位で有効化します。
この機能が有効になっていると、オブジェクトを同じ名前でアップロードすると、これまでのオブジェクトは保持されます。
また、オブジェクトを削除した場合も、これまでのオブジェクトは保持されます。過去世代のオブジェクトを削除したい場合はversion IDを指定して削除します。
VPC VSIでSnapshot取得可能に(2021/5)
VPC VSIのSnapshotが取得可能になりました。
https://cloud.ibm.com/docs/vpc?topic=vpc-snapshots-vpc-about
VPC VSIでImage from Volumeが可能に(2021/5)
VPC VSIを構成するストレージボリュームからイメージを作成できるようになりました。
https://cloud.ibm.com/docs/vpc?topic=vpc-image-from-volume-vpc
VPCのオートスケールがスケジュール機能に対応(2021/5)
これまでの負荷ベースに加え、スケジュールに基づいたオートスケールが可能になりました。
https://cloud.ibm.com/docs/vpc?topic=vpc-scheduled-scaling-vpc
Power VSのネットワーク構成が自動化に対応(2021/5)
x86 IaaSとPower VS間のDirect Link Connectについて、これまではcaseでの依頼が必要でしたがセルフサービスで接続できるようになりました。
https://cloud.ibm.com/docs/power-iaas?topic=power-iaas-cloud-connections
10月にはGUIにも対応しました。
https://qiita.com/y_tama/items/9a69fc1c74b81a0ee5da
Mass Data Migration(MDM)で、クラウドからのデータ持ち出しが可能に(2021/4)
MDMは100TB級のデータを格納してオンプレ・クラウド間を運送できる物理デバイスです。今まではオンプレからクラウドへのデータ移行用途でしたが、クラウドから大容量データを持ち出す用途にもMDMを使えるようになりました。ネットワーク経由でクラウドから取り出すと、1GBあたり数円〜十数円かかる事が多いですので、大容量を取り出したい場合は有効な選択肢と思います。
https://cloud.ibm.com/docs/mass-data-migration?topic=mass-data-migration-getting-started-tutorial-export
トロント・リージョンが利用可能に(2021/4)
トロント・リージョンが利用可能になりました。これでIBM CloudのMZR(Multi Zone Region)は8箇所になりました。
Code Engine GA(2021/3)
Code Engineは、コンテナ化したアプリケーションを実行できる基盤です。フルマネージドの実行基盤となっており、ユーザーはサーバー等のリソースを構築・維持管理する必要はありません。また、対応している言語であれば、ビルドはCode Engine側で行ってくれるので、ユーザーとしてはソースコードがあればアプリケーションを実行できます。
https://www.ibm.com/blogs/solutions/jp-ja/ibm-cloud-code-engine-useful-information/
Webアプリケーションだけでなく、バッチジョブやイベントドリブンなアプリケーションの実行も行えます。
Power VSが大阪リージョンで利用可能に(2021/3)
Power Systems Virtual Serverが大阪リージョンで利用可能になりました。
これで、広域災害に備え、東西にPowerを配置する構成が可能になりました。
ALB/NLBに機能追加(2021/3)
NLBにPrivateタイプが出たり、ALBのL7ロードバランシングで使えるパラメータが増えました。
https://cloud.ibm.com/docs/vpc?topic=vpc-release-notes#march-25-2021
VSI for VPCのProfileが追加(2021/3)
VSI for VPCで、64vCPU以上のハイスペックなProfileが選択可能になりました。
IBM Cloud SatelliteがGA(2021/3)
分散クラウドを実現するIBM Cloud SatelliteがGAしました!
https://www.ibm.com/jp-ja/cloud/satellite
https://cloud.ibm.com/docs/satellite?topic=satellite-getting-started
VPCのALBでSecurity Groupsが適用可能に(2021/2)
VPCのApplication Load Balancerで、Security Groupsが使えるようになりました。
例えば、Cloud Internet ServicesのIPアドレス範囲からの通信だけ許可して、CISを通過した通信のみがALBに到達するようにする、など、セキュリティを高める上での利便性が上がりますね。
https://cloud.ibm.com/docs/vpc?topic=vpc-alb-integration-with-security-groups
VPCでDedicated Hostが利用可能に(2021/2)
VPC(Dallas, London, Tokyo, Osaka)でDedicated Hostが利用可能になり、シングルテナントのVSIが構成できるようになりました。Dedicated Hostという事で、サーバー筐体を丸ごと契約して、その上にVSIを配置していく形なので、中〜大規模のシステムでシングルテナントが必要、という場合に適していると思います。
https://cloud.ibm.com/docs/vpc?topic=vpc-creating-dedicated-hosts-instances
大阪リージョンでPaaS系のサービスが利用可能に(2021/2)
大阪リージョンのサービス拡充が続いており、下記のサービスが使えるようになりました。
Cloud Databases
Cloudant
Container Registry
KeyProtect
SysDig
大阪リージョンでIKS&ROKSがGA!(2021/2)
大阪リージョンでIKS(マネージドのKubernetesサービス)とROKS(マネージドのOpenShiftサービス)がGAとなりました!
VPCでもClassicでも使えます。
https://www.ibm.com/cloud/blog/announcements/kubernetes-and-openshift-offerings-generally-available-in-ibm-cloud-osaka-mzr