#はじめに
この記事は、IBM Cloud Advent Calendar 2018 の4日目の記事です。
IBM Cloud(IaaS)に関して、2018年に発表された新機能についての情報です。
クラウドベンダーは、膨大な投資をクラウド事業に対して継続して行っていますから、必然的に多くの進歩・改善が起こります。去年は実現していなかった数々の事が今年実現しましたし、今できない事も、1年後にはできるようになっているかもしれません。
ちなみに、2017年と2016年の情報は下記にあります。
2017年: https://qiita.com/y_tama/items/63c09a89dce5392e91ee
2016年: https://qiita.com/y_tama/items/848106c811178673061a
今年は何と言っても9月に東京リージョンに追加で2箇所のデータセンターが新規開設され、既存DCと合わせ計3つのセンターと2つのPoPでマルチゾーン構成となったのがBig newsでした。
DC開設自体も大きいですが、マルチゾーン対応の高可用性を備えたサービスが続々と登場しており、IBM Cloudの進化のスピードが加速したと感じます。
それでは、書いていきます!
(例年のように抜け漏れありましたらご指摘お願いします!)
#TOK04/05オープン! 201809
下記、マルチゾーンの考えに基づき、東京リージョンに2つ目、3つ目のデータセンターがオープンしました!
#仮想サーバー(VSI)関連
##Image TemplateのExport/Import媒体としてICOSを指定可能に。 201811
イメージテンプレートをExportする際、これまでは、Object Storage(Swift)を媒体としていました。
今回、Swiftに加え、ICOS(IBM Cloud Object Storage)も媒体として選択可能になり、最大ファイルサイズや、アップロード速度の点でSwiftより使いやすくなりました!
https://console.bluemix.net/docs/infrastructure/image-templates/export-image-ibm-cos.html#exporting-to-ibm-cos
https://console.bluemix.net/docs/infrastructure/image-templates/import-image.html#preparing-and-importing-images
Devices > Manage > Imagesのイメージ管理画面から、エクスポートできます。
また、同じ画面の「Import Image from IBM COS」のタブからインポートの指定ができます。
##Placement groups 201810
複数台の仮想サーバー(VSI)が、異なる物理ホストマシン上で稼働する事を保証してくれるのが、Placement groupsです。これまでは、可能性は低いながらも、HA構成の2台のVSIが同一物理ホスト上で稼働する可能性があり、それを確実に避けるためにはDedicated Hostを2台用意するなどの必要がありました。
Placement groupsを使い、HAを構成する複数台のVSIが異なる物理ホスト上で稼働する事で、仮に1台の物理ホストに障害があって1台のVSIがダウンしても、もう1台のVSIは別の物理ホスト上で稼働していますので、稼働を続けられます。
1つのPlacement groupには、最大5台のVSIを所属させられます。
##Suspend Billing ベータ開始 →2018/11 正式版になりました!
https://www.ibm.com/blogs/solutions/jp-ja/virtual-servers-suspended-billing/
https://console.bluemix.net/docs/vsi/vsi_about_suspend.html
Suspend Billingが開始となりました! 詳細は上記URLに記載されていますが、下記の特徴があります。
・VSIをSuspendしている間は、CPU/メモリ/NIC/OSの課金が停止
・利用時間は、1分単位で計測
・ストレージの課金は継続されます
・「Public VSI、Flavorモデルを使用、時間課金サーバー、新規プロビジョニングされたサーバー、SANベースストレージを利用」しているVSIで利用可能
・「ずっと使用したと仮定した時の金額の25%」か「Suspendしながら1分単位で計測した金額」のうち、金額が多い方が請求されます。つまり、効果的にSuspendしながら利用すれば、最大75%オフでVSIを利用できます。
2018年7月時点ではベータ版で、一部データセンターでAPI経由でオーダーしたVSIで同機能が利用可能です。
近日中に管理ポータル画面からのオーダーにも対応予定です。
→ 2018/11 ポータル画面(console.bluemix.net)からのオーダーに対応しました!
Suspend Billingが有効なサーバーは、Device Details画面で下記のように表示されます。(Suspend Billingが無効なサーバーは、赤枠の項目がUnavailableになっています)
##仮想サーバーで最大64コア512GBメモリが選択可能に
これまでより大きなリソースの仮想サーバーを選択可能になりました!
原文
https://www.ibm.com/blogs/bluemix/2018/06/new-virtual-server-configurations-enterprise-workloads/
Memoryカテゴリに、下記のFlavorが新しくラインナップに追加されています。
48 Cores X 384 GB RAM
56 Cores X 448 GB RAM
64 Cores X 512 GB RAM
##Reserved Instance 201810
仮想サーバー(VSI)について、決まったサイズのCPUとメモリを、あらかじめ1年または3年の前払いで購入する事で、通常の時間課金・月課金で使う場合に比べ、25%〜63%割引された価格で利用する事ができます。
##Transient仮想サーバー
Transientは「一時的な」という意味です。IBM Cloudが持つ巨大なコンピュータリソースプールの中で、利用されていないリソースを、安価に利用できるようにしているのがTransient仮想サーバーです。
通常価格の約75%オフで利用可能です。常に必ず使えるわけではないため、ミッションクリティカルな用途には向きませんが、空いている時間に処理を回すなどの用途に、大変お得に使用することができます。
GPU V100が仮想サーバーでも利用可能に 201809
V100を、仮想サーバーでも利用可能になりました。
Flavorモデルの"GPU"に、V100のモデルが登場しています。現在は一部DCが対象ですが、今後、拡大される予定です。下図の価格は、1時間あたりの利用料です。
GPU P100が仮想サーバーでも利用可能に 201806
P100を、仮想サーバーでも利用可能になりました。
Flavorモデルに、"GPU"が登場しています。現在は一部DCが対象ですが、今後、拡大される予定です。下図の価格は、1時間あたりの利用料です。
#IBM Cloud Object Storage(ICOS)関連
ICOSのリージョン毎の各機能への対応状況
https://console.bluemix.net/docs/services/cloud-object-storage/basics/services.html#integrated-service-availability
##IBM Cloud Object Storage(ICOS)を日本国内から提供可能に。 201809
ICOSは物理的に3箇所にデータを分散して保持します。これまでは国内データセンターが1カ所だったため、残り2カ所は海外データセンターへの配置となりましたが、東京リージョンに3つのデータセンターができたことにより、日本国内にデータを保持しつつ、ICOSを利用可能になりました!
長期保管に最適な、激安(東京リージョン価格:$0.00226 GB/month)のArchiveオプションも東京リージョンで使えるようになりました!
https://www.ibm.com/cloud-computing/bluemix/pricing-object-storage
https://qiita.com/ytada/items/5b64a4b6bba0489d940e
##ICOSのAPリージョンが利用可能に
東京、香港、ソウルの3カ所でデータを保持するICOSのAPクロスリージョンが利用可能になりました!
標準で広域の3拠点に分散してデータ保護してくれるので安心ですね。
もちろん、用途に合わせてStandard/Vault/Cold Vault/Flexの4種類から選択できます。
##ICOSのアップロードにAsperaが利用可能に。
こちらに記事にしました。
IBM Cloud Object Storage(ICOS)へのファイルアップロードをAsperaで高速化!
https://qiita.com/y_tama/items/11de90d72b0eede9ac85
#ネットワーク関連
##Juniper vSRXがオーダー可能に
Juniper vSRXがオーダー可能になりました!
Juniperのスキルをお持ちであれば、Virtual Router Applianceの代わりとして使いやすいと思います。
##IBM Cloud Internet Service(CIS)
Cloudflare社とのパートナーシップにより、同社のインターネット関連サービス(DNS/DDoS防御/WAF/グローバルロードバランシング等)などのサービスをIBM Cloudからオーダーし、利用できるようになりました。30日間無料トライアルもあります!
##IBM Cloud Load Balancerが、PrivateのVIPにも対応
FQDNに対応するVIPとして、Private IPも持てるようになり、下図のように、Private Network内での負荷分散が行えるようになりました。
IBM Cloud Load Balancerを使ってみた
https://qiita.com/y_tama/items/92eb02612fb2b9902d44
ベアメタルでGPU V100が利用可能に 201804
ベアメタルサーバーで、NVIDIAの最速・最新のGPUである、V100を利用可能になりました。
現在は一部DCが対象ですが、今後、拡大される予定です。
#VMware関連機能
##Hybrid Cloud Extension(HCX)
HCXは、オンプレミスのVMware環境から、クラウドのVMware環境への移行・拡張を容易にするVMware社のソリューションです。オンプレのVMware環境がvSphere 5.5等、最新でなくても、クラウドにL2延伸してハイブリッドクラウドを容易に実現できます。
https://cloud.vmware.com/vmware-hcx
2018年3月時点で、HCXに日本国内で対応しているクラウドは、IBM Cloudのみです!
https://www.ibm.com/blogs/solutions/jp-ja/vmware-hcx/
##Spectrum Protect Plus
バックアップソリューションとして、Spectrum Protect PlusをVCS/VCFのオプションとして選択できるようになりました。
##ONTAP Selectのライセンスが月額で利用可能に
ONTAP Selectのライセンスは、これまでは通常通りライセンス購入して持ち込む必要がありましたが、NetApp社とのパートナーシップにより、ライセンス含めクラウドから月額課金で提供可能になりました。