コンサル需要が将来的に下がる可能性はあるものの、今後五年ほどは人気が続くと考えられます。その理由は、コンサルティングによって得られる成長機会と推進力が、若手にとって非常に魅力的だからです。
コンサルで身につく基礎能力は、事業会社や起業など幅広いキャリアで活かせます。本記事では、コンサルが人気であり続ける理由と、その裏側にある注意点をまとめます。
若手にとってのコンサルの魅力
コンサル人気は、若手が求める成長機会と評価構造に深く関わっています。
努力が可視化されやすい評価構造
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成果がランクや報酬に直結しやすい仕組み
成果が数字や評価に反映されやすく、実力主義のため若手でも高い報酬が得られます。この分かりやすい成長曲線が、若手の心理に強く刺さります。 -
フィードバックサイクルの速さ
レビューが毎週のように行われるため、改善点が明確になり、短期間で大きく成長する実感が得られます。
能力試しとしての環境
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高負荷と高密度な学習環境
短時間で大量の情報を整理し、複雑な課題や仮説思考を鍛える場面が多いです。常に高い水準のアウトプットが求められるため、筋トレのように実力がつきます。 -
同僚のレベルの高さが与える刺激
周囲の人材が優秀で、競争環境が整っているため、成長せざるを得ない状況が生まれます。
キャリアの汎用性とつぶしの利き方
コンサル経験は、次のキャリアにつながりやすいという点でも魅力的です。
官僚など他職種との比較
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担当領域の狭さと広さの違い
コンサルは幅広い業界の課題を扱えるため、汎用性が高く、次のキャリアの引き出しになります。 -
民間転身のしやすさの差
コンサルの職務内容は民間企業と密接に関わるため、業務経験がそのまま事業会社の企画や推進に生かせ、転職時の評価軸が明確です。
コンサル経験が評価される場面
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経営層とのコミュニケーション経験
経営幹部と仕事をする機会が多く、意思決定プロセスを理解し、上層部の視点で仕事ができる経験は、転職後のポジションでも重宝されます。 -
大規模プロジェクトのハンドリング経験
複数部署を巻き込む推進力や、業務整理、計画立案の経験が事業会社で役に立ちます。
人気だからこそ見落としやすい点
魅力が多い一方で、コンサルには注意すべき落とし穴もあります。
| 注意点 | 詳細 |
|---|---|
| 表面のブランドだけで選ぶリスク | 外資ブランドや単価の高さだけで選ぶと、実際の業務が地味で厳しく、早期離職につながる可能性があります。 |
| 入社後に燃え尽きる典型例 | 勤務時間が長く継続的な負荷がかかるため、常に能力の高さを求められ、精神的に追い詰められるリスクがあります。 |
それでも選ぶなら考えておきたいこと
コンサルをキャリアの「踏み台」として活用するためには、戦略的な設計が重要です。
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何年目までに何を得たいのかの設計
期間を区切り、「推進力」「資料作成スキル」など、得たい能力を明確にすることが重要です。 -
次のステップをどこに置くかの仮説
事業会社、スタートアップ、起業、専門コンサルなど、どこに進むかの仮説を持つことで、コンサルで得るべきスキルが明確になります。
おわりに
コンサル人気は今後も続きますが、長時間労働や高いプレッシャーなど、ずっと続けるには厳しい仕事です。
コンサルはキャリアの入り口としては魅力的ですが、永続的な居場所としては人を選びます。必要な能力を取り切ったら次へ進むという意識が重要であり、コンサルはそのための強力な踏み台になる場所だと言えるでしょう。
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