概要
アソシエイト資格に合格してから2年、「AWS 認定ソリューションアーキテクト – プロフェッショナル」資格試験にもチャレンジしてみました。結果、なかなか大変だったけど、2回目の受験にしてなんとか合格できたので、アソシエイト資格に続きプロフェッショナル資格の勉強法を紹介します。
もしアソシエイト編に興味がある方がいたら以下に記事を投稿してします。
AWS初心者がAWS 認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト資格試験に合格した時の勉強法
私の経歴
- インフラは専門外
- メインはアプリケーションエンジニア。システムの可用性/耐障害性とかはインフラチームにお任せ。AWSのアソシエイト資格取得で少し自信が付き、ちょっと口を出してみたりする。
- AWS初心者から脱却中
- 仕事では、EC2の中のアプリケーションの話しが多いのであまり知識を活用できていない。ただ、個人のAWSアカウントでちょこちょこAWSを触り出しているので初心者からは脱却できたかな(主観)という状態。
AWSなんか面白いし興味の延長で資格取得に頑張ってみました。みたいな感じです。
試験実績
- 2019年 8月:夏休みの思い付きでプロフェッショナル資格取得を思い立つ
- 2019年12月:1回目受験 730点不合格。。。(満点1000点 合格ライン750点)
- 1回目勉強時間:58時間
- 2020年 3月:2回目の受験計画するもコロナ影響で断念
- 2020年10月:Withコロナと腹を括り2回目受験 883点合格!
実際の勉強時間
-
総勉強時間:261時間
アソシエイトの時と同様、基本的に土日どちらかを勉強時間に充てて週3時間くらいの勉強時間で1回目の試験に挑むも不合格。。。
そこからは2月末の再受験を目指し再勉強。さらに2月の後半は平日も勉強時間を確保して追い込むがコロナで断念。(ここで受験できたら合格していたのか^^;)
そこから8月まではせっかく勉強した知識がそのまま抜けないようになんとか勉強を継続。
夏休み明けから9月は最後の追い込みと自分を奮い立たせ2回目試験まで追い込みをかけ、なんとか2回目の試験で合格。
コロナ影響もあり思い立ってからおよそ1年。総勉強時間も200時間を超えよくモチベーション維持でき合格までいけたと思う(^^;)
2回目の受験まで時間がかかってしまったこと、合格ライン750点の所2回目の受験で883点取れたことを考えると勉強に必要な総勉強時間としては100時間が1つの目安の印象。 -
インプットとアウトプット
- インプット(詳細は後述)
- ホワイトペーパー/ブラックベルト資料/よくある質問
- 試験合格対策本
- Web問題集黒本(AWS WEB問題集で学習しよう)
- Udemy(AWS 認定ソリューションアーキテクト プロフェッショナル模擬試験問題集)
- アウトプット
- 紙ノートB5 1.2冊(合計80ページくらい)
- Qiita記事 4投稿
- デジタルテキストメモA4 12ページ
- インプット(詳細は後述)
以上が私の経歴や実績です。
以下から具体的に勉強法を記載します。プロフェッショナル資格を受けようとしている人は「5.本番試験受験」の体験記だけでも読んでもらえると実際に試験を受けるときの心構えになるかなと思います。その他は、プロフェッショナル資格の合格を目指す人、同じ状況の人の役に立てれば幸いです。
試験対策/勉強法
1.試験概要の確認
2.試験問題レベルの把握
3.Web問題集での知識強化
4.模擬試験受験
5.本番試験受験
1.試験概要の確認
資格試験の基本。まずは以下の試験概要を公式ページで確認。
AWS 認定ソリューションアーキテクト – プロフェッショナル
試験時間:180分間、受験料:30,000円(税別)です。1時間1万円です。はい、気合いを入れましょう(^^;)
10問のサンプル問題もあるので、こちらも確認。
サンプル問題は以下のような感じです。(長文です。。。)
次は、最も重要な試験ガイドを確認しましょう。
試験ガイドの中で勉強する上で特に重要と思うのは以下の2点。
- AWSに関するホワイトペーパーおよびその他の資料
- 試験内容の概要
AWSに関するホワイトペーパーおよびその他の資料
勉強していてよくわからないところ、体系的な理解が必要なところが出てきた場合、参照するのはこのホワイトペーパーが良いと思います。他の資格試験でいうところの参考書的な位置付けの資料です。
ただ、量が多いのと英語しかないドキュメントもあるので多少ハードルが高いです^^;
試験ガイドには記載がないですが、どちらかと言うとホワイトペーパーより良く参照する王道のブラックベルト資料のリンクも以下に記載します。こちらは日本語でかつ発表形式のパワポ資料なので読みやすいです。
あとはAWS公式のQAページになります。問題集の中で細かすぎる知識だろうと思いつつ、調べてみるとQAに書いてあることがよくあります。試験と類似の問題が出るという意味で実は試験対策としてはQAが一番重要だったりします。(これはアソシエイト資格の頃から)
試験内容の概要
プロフェッショナル試験における出題範囲、および試験の目的が記載されています。幅広いAWSの分野の中でどこがソリューションアーキテクトプロフェッショナル資格で求められているのか確認できます。勉強している所が本当に必要な知識なのか迷ったときには一度ここに戻ってみるのもいいと思います。
概要レベルとしては以下の5つの分野とされています。
- 分野1: 組織の複雑さに対応する設計
- 分野2: 新しいソリューションの設計
- 分野3: 移行の計画
- 分野4: コスト管理
- 分野5: 既存のソリューションの継続的な改善
分野1だと↓の感じです。なとなく問題集と照らし合わせると問題のイメージが湧いてきます。
2.試験問題レベルの把握
2020年、今年プロフェッショナル資格 唯一 の日本語版参考書が発売されています。
サンプル問題と1回分の模擬試験(75問)を通してプロフェッショナル資格の要点を解説してくれる内容です。後述するWeb問題集もありますが、試験勉強の開始時点ではやはり書籍化されたものが解説量が違い丁寧で分かり易くオススメです。
どんな試験か試験問題レベルの把握や、試験勉強でどこまで深い知識を勉強する必要があるのか、解説を読めばなんとなく掴める内容になっている良い本だと思うので、最初に購入して取り組みたい1冊です。
AWS認定ソリューションアーキテクト-プロフェッショナル~試験特性から導き出した演習問題と詳細解説
2021年10月、ついに日本語版参考書2冊目が発売されました。
やはり2冊目ということもあって最新サービスの網羅性、解説の丁寧さはこちらの書籍も非常に良い内容と思います。良質な問題を多く解くことが合格への近道のため2冊合わせて購入したい内容になってます。
AWS認定資格試験テキスト&問題集 AWS認定ソリューションアーキテクト - プロフェッショナル
実は重要。何事も勉強時間が有限である以上、戦略(ロードマップ)はとても重要。
AWSエンジニア入門講座――学習ロードマップで体系的に学ぶ
【Kindle版】
3.Web問題集での知識強化
有名どころは以下の2つかなと思います。
どちらも有料ですが、試験対策/試験に慣れるには十分な問題集と言えると思います。
- いわゆる黒本。
- 7問1セットになっており、現時点50セット、全350問あります。
- 1回目の受験の時はこの問題集を5割程度勉強した時点で受験しました。結果惜しいところまでいったので合格だけならこの問題集だけでもいいかもしれません。
- 試験でも1割~2割は全く同じだった印象です。
- 本試験モードでランダムで本番同様の問題数75問が出題されるコースがあります。私の実績は正解率90%まで繰り返し勉強しました。
- プロフェッショナル資格はダイヤモンドプランなので「購読期間:90日/購読料金:5,480円(税抜き)」です。
AWS 認定ソリューションアーキテクト プロフェッショナル模擬試験問題集
- Udemyの教材です。
- 模擬試験全5回、全375問あります。
- 上記の黒本の正解率90%で臨んだ第1回模擬で70%の正解率だったため、結果的にこちらも勉強しました。
- 回を重ねるごとに難しくなっていく印象で初見で合格ラインの75%を超えた模擬はありませんでした。本番よりこちらの問題集の方が難しい(細かい)問題集の印象です。合格ラインを超えてさらに知識の定着化にはこの問題集も良いと思います。
- こちらも試験で全く同じ問題は1割~2割くらい。
- コース料金は3,600円です。よくセールで割引されているのでタイミングを狙って購入しましょう。(2020BLACKFRIDAY 67%OFF 1,200円!とか)
どちらも問題集も間違い/誤記がそれなりになるので、あまり過信せずAWSの公式ドキュメントや書籍を正とした方が良いことがあります(^^;)
3-1.AWSサービス別知識強化内容
以下は私が勉していく上でアソシエイトレベルと違い、しっかりプロフェッショナル資格に向けた知識の強化が必要だなと思ったサービスです。
AWS Organizations
試験ガイドの先頭に書かれている「分野1: 組織の複雑さに対応する設計」はまず AWS Organizations に該当すると思います。
Organizations を利用するにあたり既存のAWSアカウントの Organizations への参加やAWSサービス制限をSCPでするのかIAMでするのか、しっかり理解が必要だなと感じました。
加えて請求はどうなるの?リザーブドインスタンスの扱いは?コスト配分タグのアクティブ化の方法やタグ自体の利用方法は?等の理解が重要かなと思いました。
AWS Direct Connect
続いて Direct Connect です。
こちらも試験ガイドの「分野1: 組織の複雑さに対応する設計」や「分野3: 移行の計画」に該当するので頻出かなと思います。
まずはネットワーク構成の問題として、マルチリージョン/マルチVPCへの対応はどうするか?S3などのリージョンサービスへのアクセス方法は?ルーティング設定方法は?等が問われる印象です。
加えて冗長化、インターネットVPNとの差別化の理解がポイントと思います。
AWS Security Token Service (AWS STS)
STSに限定はできませんが、オンプレとの連携でIDフェデレーションも頻出です。こちらも試験ガイドの「分野1: 組織の複雑さに対応する設計」に該当。
私なりに AWS 認定ソリューションアーキテクト – プロフェッショナル資格試験に向けた知識の整理 フェデレーションとDDoS対策 の投稿記事にまとめているのでそちら確認頂けると少しは助けになると思いますが、まとめればまとめるほど複雑だなと感じており正しく理解できているか自信のない分野です。
Amazon CloudWatch/AWS CloudTrail/AWS Config
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/AmazonCloudWatch/latest/monitoring/WhatIsCloudWatch.html
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/awscloudtrail/latest/userguide/cloudtrail-user-guide.html
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/config/latest/developerguide/WhatIsConfig.html
三つのサービスの使い分けがよく問われます。試験ガイドの「分野1: 組織の複雑さに対応する設計」や「分野5: 既存のソリューションの継続的な改善」に該当するので頻出かなと思います。
ポイントととしては何のために記録するのかを押さえること、また検出された後のアクションもセットで求められているかが重要かなと思います。後からログの確認(システム監査)ができればいいのか?、即対応が必要なのか?、また対応にはLambdaと連携する必要があるのか?、既に仕組みがあるのか?等で差別化が計れるかなと思います。
Amazon Kinesis
試験ガイドの「分野2: 新しいソリューションの設計」や「分野5: 既存のソリューションの継続的な改善」に該当。
そもそもKinesisのどのサービスの利用適切か?Kinesis Data Streams or Kinesis Data Firehoseか?、Kinesis Data Analytics or 他の分析AWSサービスか?から始まり、画像/動画解析、AIの話題性と相まってよく出題されるテーマかなと思います。
おまけ
移行設計でよく問われるデータ転送時間も頻出。AWS Snow Familyなのか?AWS Direct Connectなのか?インターネットVPNなのか。
データ転送時間:10TB/1Gbps=約1日(0.92日)、1TB/50Mbps=約2日(1.85日)
くらいの感覚を持っておくと、都度計算しなくてよく便利。
4.模擬試験受験
アソシエイトの時と同様AWS公式の模擬試験があります。
一応、私も受験しており対策に入れましたが、上記の問題集等こなしていれば問題数自体も少ないですし、受験は必須ではないかなと思います。
本番試験と全く同じ問題もなかったと思います。
ちなみに2月に受けましたが合格ラインにはいかなかったです。。。
5.本番試験受験
そして本番です。一言で言うと辛いです。
2回目の受験が不合格だったら3回目受験にチャレンジできるかどうかという不安が試験中はずっとありました。
それだけ自信を持って正解を選べた問題が少ない印象です。
以下、私の感想および受験してみた上での対策です。
- いろんな体験記に書いてありますが、1問が重い(文章が長い)ものが多いです。そういった問題はまず集中力がないと解けないです。自分の集中力を知りましょう。
- 私の場合は60分と決めました。今回3時間の試験のため、試験中ですが2度休憩時間を意識的に取ります。目を閉じて60秒ゆっくり深呼吸。マインドフルネス等で集中力を整え、辛い問題は集中力があるときにもう一度取り組みます。
- 設問だけで考えない/あきらめない/わからないと決めつけないことが重要です。設問が何を言っているかわからなくても選択肢を読みましょう。設問だけで回答が導き出せるものもありますが少数の印象です。選択肢を含めると文章量が多くなりますが、あくまで設問と選択肢のセットで回答することを念頭におきましょう。正解率も上がります。
- もう少し言うと選択肢の差異をみましょう。いったいこの問題で何を問いたいのかがわかる問題もあります。(極端な話し設問の理解は3割でも選択肢だけで正解を選べる問題もあります)
- 迷ったときは状況的にどちらがAWSのベストプラクティスとして紹介されているかがカギ、そっちを選ぶと成果率が上がります。また設問に戻り「コスト重視」、「可用性重視」等、今回どの観点に目的をおいているかを確認するのも良いです。
- 極端に言うと、マネージドサービスより、手の込んだスクリプトや仕組みを使ったサードパーティのサービスを使う選択肢はAWSとしてベストプラクティスになりにくいため間違いであることが多いです。(たまに引っ掛けみたいな嫌らしい問題がありますが。。。)
- 複数選択肢回答はANDの回答を求められているのかORの回答を求められるているのか判断する必要があります。これが結構難しいです。
- 3時間の長丁場な試験です。模擬試験で自分の回答ペースを掴みましょう。
- 私の回答ペースは7問15分ペースで11セット(75問のため)165分で終わる計画としました。上記のWeb問題集が7問区切りで癖がついたことと、4回1セットでちょうど私の集中力の限界ともあっていました。
- 問題は順番に説く必要はありません。
- 私の場合、「〇」(たぶん正解)、「△」(1/2で正解)、「×」(全くわからない)、「後」(今は無理)にわけました。特に「後」は集中力がないときには正しい回答ができない問題として後で優先的に振り返りました。最初に心を折るAWS側の作戦なのか最初の問題の方に比較的「×」「後」がたくさんあった印象です。(最終的な比率は「〇」50個、「△」13個、「×」3個、「後」9個でした)
- 日本語訳に注意。
- 「Egress-Only」→「出口専用」だったりします。。。
- メモは専用のホワイトボード(A4サイズ)が渡せれるため可能ですが、消せないです。(私のところだけ?)
- わからない問題はあきらめる勇気も必要。
- 75%で合格なので、全75問の内、18問は全く分からなくても合格できます。頭を切り替えて次の問題に望みましょう。
以上。
3時間正直辛いですが諦めずに最後まで粘りましょう!
最後に
資格試験対策として勉強法の体験談は以上です。
次回以降は勉強のアウトプットをもうちょっと整理して知識/ノウハウ化していこうと思います。
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