はじめに
[祝] 関数電卓10台目
記念すべき10台目はSHARP EL-566Eです。「また中古かよ!」と思うかもしれませんが、古いSHARPの関数電卓が好きなんですよね。(愛用機はCASIO fx-JP900ですが)
今回はこれをレビューしていきます。
本編の前に。
実はというほどでもないですが私のQiitaアカウントはGoogle Analyticsのサービスと結び付けてあるので、どんな記事をみなさんが読まれているか分かるのですが、意外なデータが取れたのです。
まずここを書いている時点での参照数ランキングが上から順に以下のようになります。(タイトルは省略しています)
- 1:Ubuntu
- 2:fx-JP900
- 3:USBチェッカー(廉価)
- 4:iPadOS 18 標準電卓
- 5:HP Prime
- 6:EL-509T
- 7:fx-JP900CW
- 8:モバ充分解
- 9:PC-G850
- 10:関数電卓導入について
あと、誤爆の可能性は大ですが意外に海外からのアクセスもありました。明らかに英語ではないので翻訳機能をあてにして僕の情報を求めている人がいたのかもしれません。いや嬉しいなぁ()
また日本国内に「リピーター」が25人もいらっしゃるということで、これも嬉しいことです。
まだ色々言いたいことはありますが今後ともよろしくお願いします。
(あと次回から文量を少なくするようにもします)
EL-566Eとは
SHARPが2006年か2011年かに発売した2行表示(Advanced D.A.L.)の教育用電卓です(発売年に関しては異なる情報が混在しています)。
液晶を見る限り、複素数計算にも対応していそうなので、EL-509Tのように中の少し弄ったら対応するんでしょうか。最上位機種に改造できたら行列計算(MAT
)や数表・数列(LIST
)にも対応できそうなので、後で試します。
→分解するにも殻外しが大変でした。
また私が実際に試してみたところ、内部演算14桁のようです。あれ、現行機種も14桁だったような気がするなぁ
ということは$tan \frac{355}{226}^r$の値がEL-509Tと同じになるはずですよね。
EL-566E
-7497264.1492607
EL-509T
-7497264.1492607
はい、予想通りですね。
レビュー
まず、手持ちのSHARP製の関数電卓を並べてみます。
案外小さいですよね。このサイズ感の計算機が好みです。
使い心地ですが、非常に良いです。微かにヘアライン加工されたアルミ版(?)が天板に使用されており、キーのクリック感も非常に良いです。使える機能は少ないですが、とても使い良い電卓です。
機能数は幾つでしょうか。画像左のEL-520Lとほぼ同じサイズでありながら機能は倍くらいありそうです。地味ですがNorm1
とNorm2
の小数点表示の設定を変えられるのは良いのです。
RCL
キーの動作も現在のものに近いです。EL-520Lはリコールした後に演算子を押すと変数名ではなくラストアンサーメモリーとして認識されてます。本機種ではそれもなく、快適です。
プログラム機能
この電卓は、簡易的とは言えプログラム機能を持ちます。イメージとしては現行機種のフォーミュラメモリーの上位互換といったところです。
まぁ実際はこの簡易プログラム機能からフォーミュラメモリーが派生したと考える方が妥当です。現在のフォーミュラメモリーも、矢印キーのALPHAファンクションに割り当てられています。本機能の初出は分からないのですが、いつごろでしょう。
くびれのある筐体デザインの時には存在していたような気がします。F世代あたりかなぁ。
また、条件分岐が使用できるので、工夫次第でif
やfor
、while
など、様々な用途に使えそうです。
しかし使用する文字が特殊なので、このままではなく、コード下の画像に則って読み解いてください。
↪︎f(AB)= A>=0■N➡︎[↩︎] B>=0■N➡︎[↩︎] A×B÷(A+B)
押すキーを順番で書くと、以下のようになります。(MODE 0
基本モードからスタート)
2ndF
Exp
ALPHA
◀︎
COMMAND
5
COMMAND
0
ALPHA
hyp
ALPHA
sin
COMMAND
1
COMMAND
2
ALPHA
hyp
COMMAND
9
0
COMMAND
sin
COMMAND
6
COMMAND
cos
COMMAND
2
ALPHA
sin
COMMAND
9
0
COMMAND
sin
COMMAND
6
COMMAND
2
ALPHA
hyp
×
ALPHA
sin
÷
(
ALPHA
hyp
+
ALPHA
sin
)
=
これでAER 1
レジスタへの保存が完了しました。合成抵抗の算出プログラムです。
次にこれを1行ずつ解説していきます。
コマンド | 解説 |
---|---|
2ndF Exp
|
AERモードを開始 |
ALPHA ◀︎
|
AER 1 レジスタを開き、編集を開始 |
COMMAND 5
|
繰り返しの開始位置を定義 |
COMMAND 0
|
関数式の定義 |
ALPHA hyp
|
関数式の変数としてA を入力 |
ALPHA sin
|
関数式の変数としてB を入力 |
COMMAND 1
|
関数式に用いる変数の定義を終了 |
COMMAND 2
|
次の条件式を入力する前に空白を挿入 |
ALPHA hyp
|
条件式の対象としてA と入力 |
COMMAND 9
|
比較演算子>= を入力 |
0 |
比較の閾値 |
COMMAND sin
|
条件分岐False |
COMMAND 6
|
繰り返しの開始位置まで移動 |
COMMAND cos
|
False時の動作を終了 |
COMMAND 2
|
次の条件式を入力する前に空白を挿入 |
ALPHA sin
|
条件式の対象としてB を入力 |
COMMAND 9
|
比較演算子>= を入力 |
0 |
比較の閾値 |
COMMAND sin
|
条件分岐False |
COMMAND 6
|
繰り返しの開始位置まで移動 |
COMMAND 2
|
関数式を入力する前に空白を挿入 |
ALPHA hyp × ALPHA sin ÷ ( ALPHA hyp + ALPHA sin )
|
関数式$\frac{AB}{A+B}を入力$ |
= |
確定して保存 |
1つのプログラムあたり160ステップなので、ある程度のものは作れそうですね。
[番外編]ソフトケースを自作
今回の電卓は、中古品で本体のみの購入でしたから、本来は付属しているソフトケース(純正)は同梱されていません。
しかし、現行品でないものを保護なしというのも気が引けます。ならば作ればいいじゃない、そういうことです。まず、布の寸法を決定します。
手帳型ケースで、本体とケース(カバー?)の固定方法はマジックテープとします。本家は粘着テープみたいなので、付け外ししやすいように変更した点です。
それでは図面を起こしていきます。
図面を起こしました。(※画像は出しませんよ?)
図面をもとにサイズの合う布を買い…(ryするのですが、全てDAISOで揃えます。材料は
- 布
- マジックテープ(本体固定用)
- 下敷き
下敷きは布の中に入れて形を保持するためのものです。ある程度しなる硬めの板であればなんでもOKです。
総額330円也。まぁ耐えられる出費です。
なんだかんだあって完成しました。いい感じです。
ヒンジ部は貧弱ですが、画面と、特にボタンが保護されて勝手にONになることは防げそうなので目標達成、やったぜ。
おわりに
今回はEL-566Eをレビューしてきました。
ユーザーの必要なものに応え、使いやすい電卓でした。
ハードの全てに手抜きがなく、上質さも感じられます。
しかし、昨今の関数電卓には発展を感じられるものの少し虚しくもなってしまいます。
なんて言っても大きい。必要の機能を手に取りやすい大きさで、というもの凄く基本的な、これが消えつつあるのです。
ほぼ同機能、あるいは下位レベル(SHARPの海外向けモデルと比較)と比べても納得がいないのです。Canon F-715SAなんて、大きさが論外。
是非、お試しあれ