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学校教育に電卓を導入すべきか?否か? 関数電卓好きの中学生が語る

Last updated at Posted at 2025-01-27

はじめに

私は最近考えていることがあります。それは、タイトルの「学校教育(数学)に関数電卓は必要か」なのですが、これについて考えていこうと思います。

本記事での「テスト」とは、基本的に数学や理科のものを指します。電卓に関する話題なので、数学に関連するものが多いです。

まず最初に結論

私は、「導入すべき」だと思います。しかし、導入するのにもある程度条件はあって、その辺りを述べていこうと思います。

関数電卓だからってなんでもできる訳じゃない

私は中学生で、学校に関数電卓を持って行っているので、よく友達から「それチートじゃんw 宿題サボってるんやろ?」くらいのノリで聞かれる訳です。まぁ日本のテストで関数電卓を持ち込んだらいつもより点数が上がるかもしれません。しかし満点を取れるかと言われればそれは違うと思います。

なぜなら、例えば文章題に対してどのように説くかの構造と、式の組み立てができなければ関数電卓に入力することができないからです。また、関数を理解していないと持ち込んだところで使えません。

実際、海外のテストでは(CAS禁止などの条件がありつつも)電卓の持ち込みはほぼ必須となっています。それは、公式の記憶に脳の容量を使うのではなく、プロセスの捻出に頭を使うためです。

[事例]海外でCASが禁止される訳

前述の通り、海外の一部のテストではCASが禁止されます。教師によっては通常教室でも控えて欲しいと言っている人もいるかもしれません。

これは、CASの特性によるものです。端的にいうとプロセスの捻出を省略してしまう可能性があるからです。

与えられた式を整理し、因数分解した後、代入してなんやかんやするという問題があった時、最初の整理して因数分解という人間の脳で行うプロセスをCASは実行できます。

これはプロセスの捻出に重点を置く教育方針に逆行するため禁止されることがあるのです。

以下はそのCASによる簡略化と因数分解の例です。

Giac/Xcasにおける例
simplify(3*x^2*(3*x+2)-(2*x)^3-5*x^2)
                                     x^3-1
factor(x^3-1,x)
                           (x-1)*(x^2+x+1)

このように、$3x^2・(3x+2)-(2x)^3-5x^2$の式をたった4行で簡略化し、因数分解をすることができました。このようなプロセスを問題の中でどのように用いるかを測る試験ではCASは不向き、むしろ敵のような存在となるのです。

私が学校で電卓を使うとき

私は、問題を自力で解いてから電卓を使うというスタイルを取っています。最初から電卓に頼っていては何もできなくなるでしょう。幸いなことに私の通う私学の教師は私の趣味を理解しているので、その条件で使用を認めてくれています。

「あとから使ってどうなるんや」と思うかもしれませんが、これは解き終わった後のプロセスの確認や答え合わせに使います。この時にCASが活躍する訳で、例えば「初っ端の因数分解をミスっている」という事態に気付くことができます。そして、その式の1行だけを訂正しもう1度自力で解くことをすれば、解き方は身に付きます(付いています)。

じゃぁ見直しはを聞かれると、上記のことをやっているうちに「あ、ここ多分間違えた」と書いたすぐ後で気づける(ようになった)ので、見直しで見つかる数を減らせます。というか書いている瞬間が見直しと同じ効果を持ちます。

そして見直し自体についてですが、日本のテストでの見直しは計算ミスやマークミス、解答欄ズレなどの確認が主となっていると思いますが、電卓を使えばそもそも計算ミスはしないので、欄ズレを確認するだけで済みます。そうすればより多くの時間を考える時間に割けるので、効率的かつ更に効果のある試験にできると考えます。

導入反対派の意見

導入反対派は口を合わせてこう言うはずです。

考える力が付かないから導入すべきではない!

まぁもちろんこれにも一理はあります。最初から全てのプロセスで電卓を使えばもちろん思考力は衰退します。

しかしながら関数電卓は前述の通り万能ツールではないのです。多機能なツールではありますが、あくまでツールなので、人間の思考をベースに電卓でブーストを掛けるというのが順当です。

もちろん、テストの持ち込むツールとなると、日本でもCASは禁止すべきです。CASは電卓として考えると最強のツールになります。カンニングと同様とみなして大丈夫でしょう。

スタンダード関数電卓かグラフ関数電卓か

両者の違い

スタンダード関数電卓は計算機能に特化し、それに加えていくつかの機能があるタイプです。

  • 実数計算
  • 複素数計算
  • 統計計算

基本的にこれらの3機能を基軸に各メーカーが様々な機能を追加しています。私はレビューしてきたものだと以下のようなものが当てはまります。リンク化されていないものは、Qiitaのネタ的に没になったものです。

※ここでは、グラフ機能を持たないものをスタンダード関数電卓と定義しています。


次にグラフ関数電卓です。名前の通りグラフの描画機能を持ちます。スタンダード関数電卓のほぼ全ての機能とグラフ機能、そしてさらに高度な機能を持ちます。1台持っていると非常に心強い存在です。

また、前述のCASはグラフ電卓の一部の機種にのみ搭載されます。所有中のものは以下の通りです。(本記事投稿時点ではfx-CG50は未投稿なので、お待ちください)

このタイプは、スタンダード関数電卓に対して操作が難しくなりやすいため、高度な入力デバイスを持つこともあります。

海外での事例

海外での導入事例を日本の教育に対応させると以下のようになります。

課程 種別
中学校 スタンダード関数電卓
高等学校 グラフ関数電卓

どちらを導入すべきか

私は海外と同じスタイルでもいいように思いますが、大半の中学生が高校へ進学する現実を鑑みると圧倒的にグラフ電卓を推奨します。

というのも、中学課程でも関数を扱いますが、扱う関数は1次関数と反比例くらいなのでスタンダート関数電卓で十二分にカバーできます。

しかし、高校へ進学すると2次関数や三角関数、またその他の関数が出てきます。この概念を上手に把握するためにはグラフ機能が欠かせないのです。

通常、対数関数なら先生に教えられ、その後でグラフを描き、色々悩んだ末に理解するということになりがちかと思います。しかし、グラフ電卓があれば、常用対数$y=log(x)$と自然対数$y=ln(x)$のグラフを描画し、お互いの差を理解しつつ容易に理解を深められます。

そして、グラフ電卓は一般的に高価です(¥30,000程度)。ですから、出費は中学の時の1回にし、高校までの6年間、あるいは大学を含めた10年間という長いスパンで使用できます。そうすれば年間¥3,000程度、そして月間¥250という破格で理解を深められます。

イニシャルコストはかかりますが、長いスパンで考えれば安い買い物でしょう。

有用な付加機能:プログラミング機能

最近、情報が必修単位となりました。グラフ電卓は一般的にプログラミング機能を持つので、常に持ち歩く機器で簡易的にプログラミング的思考を学べると考えれば、なお良いのではないでしょうか。この辺りはフランスを参考にするのが良さそうです。

最近の電卓では独自言語(CASIOのBasic-Likeや、TIのTI-Basicなど)に加えて、Python機能が利用できます。Python機能ではモジュールが少ないなどの問題がありつつも基本的な機能は問題なく利用できるため、学校教育で学ぶ程度のプログラミングならばプログラマブル電卓(Pythonが利用できるものの大半はグラフ電卓)が有力な候補ともなるのです。

おわりに(結論)

ここまで、「学校教育に関数電卓を導入すべきか?」という問いについて考えてきました。

全体として導入されることはないでしょうが、少しづつ関数電卓というものの存在の捉え方が変わることを祈るばかりです。

それではまた〜

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