はじめに
祝 大手関数電卓メーカー全制覇!
↑何やってんだろ(笑)
ということで今回はTI電卓です。これで
- CASIO
- SHARP
- Canon
- HP
- Texas Instruments
の5社をコンプリートしました。まぁ、強いて言うならあとはNumWorksかな。
今回はTIのスタンダード関数電卓の最高峰・TI-36X Proをしていきます。
どんな電卓
日本人には到底理解し難い電卓です。以上
という冗談はさておいて、少し古い最高峰です。CASIOでいうところのfx-115ES Plusあたりに近いのかな。
一応、日本の他の機種と比較しておきますか。
寸法はカバー(背面装着・使用状態)を含みます。
TI-36X Pro | fx-JP900 | EL-5160T | |
---|---|---|---|
メーカー | TI | CASIO | SHARP |
寸法 | 173x83x21 | 167x81.5x18 | 169x86.5x18 |
画面 | 31x96 | 63x192 | 32x96 |
キー数 | 45 | 50 | 51 |
電池 | CR2032 | LR44 | LR44 |
電池ボックス | $\sqrt{}$ | $\sqrt{}$ | |
太陽電池 | $\sqrt{}$ | $\sqrt{}$ | $\sqrt{}$ |
基本計算 $\sum{} \prod{} \int{} \frac{d}{dx} $ |
$\sqrt{}$ | $\sqrt{}$ | $\sqrt{}$ |
複素数 | $\sqrt{}$ | $\sqrt{}$ | $\sqrt{}$ |
n進 | $\sqrt{}$ | $\sqrt{}$ | $\sqrt{}$ |
統計 | $\sqrt{}$ | $\sqrt{}$ | $\sqrt{}$ |
回帰計算 | $\sqrt{}$ | $\sqrt{}$ | $\sqrt{}$ |
分布 | $\sqrt{}$ | $\sqrt{}$ | $\sqrt{}$ |
行列 | 3x3 | 4x4 | 4x4 |
ベクトル | 3D | 3D | 3D |
ソルバー | $\sqrt{}$ | $\sqrt{}$ | $\sqrt{}$ |
方程式(次数) | 3 | 4 | 3 |
方程式(元数) | 3 | 4 | 4 |
不等式 | $\sqrt{}$ | ||
表計算 | $\sqrt{}$ |
こうして比べてみるとやっぱfx-JP900は強いですね。ぱらおつおい
CASIOの素晴らしさにTIが霞んで見えるどころか一部SHARPにも負けていますが、TIは素晴らしい機能を持っています。
そう、全てのデータが保持されます。あとモード切り替えもないので結構シームレスに切り替えが可能です。
電源については電池ボックス以外の問題はないです。
キーは押していて気持ちの良いものです。押し込むとプチっと言った感じのクリック感があります。しかもSHARPみたいにキーのメンブレンが沈むこともないのでキーは最優秀かもしれません。
レビュー
まず、TI電卓の操作はイマイチ意味不明です。まず、モード選択という概念がありません。mode
キーは日本の関数電卓で言うSETUP
です。じゃぁどうするかと言うと、キーを押して一時的にその機能を使える状態にします。
data
を押せば統計エディタになるし、table
を押せば数表モードになる、と言った具合です。しかし、clear
を押せばいつでもホーム画面に戻れ、また特殊機能で求めた値(ベクトルの内積など)をそのまま別の計算に流用できます。(後述)
また特筆すべきはマルチタップキーです。
同じキーを何度も押すことで別の関数などを呼び出せる機能です。例えば、変数a
を呼び出したい時、x
キーを5回押すと
x -> y -> z -> t -> a
の順に表示が切り替わります。これを$sin$キーで行うと
$sin$ -> $sin^{-1}$ -> $sinh$ -> $sinh^{-1}$ -> $sin$ ...
と言った具合に変化します。これは指の移動が減るので非常に助かります。
唯一困るのが$\sqrt{}$キーを裏に回したこと。これは恨みます。
そして画面は素晴らしい。青色液晶ですが、画面範囲の扱いが丁寧です。
1行で式と答えを明確に区別できる状態で表示できるときは1行で示されるので、表示行数がエセじゃない(CASIOの自然表示とかあれ実質2行やろ)。
しかも、作り込みが無駄にすごいのです。
一番上の行、わかりますか?前の計算を端まで丁寧に表示しています。これはスクロールされていることを感じやすく、なんとも心地よいです。
ここで操作方法について少し説明します。なぜなら少し複雑だからです。
まず、基本的にモード切り替えの概念はありません。先ほども述べましたが本体のキーを押して、一時的にその機能を使うというほうが近いでしょう。
統計機能を利用したい場合、日本の関数電卓ではメニューを開き、データを入力して、ほしい統計値を求めます。しかしTI-36X Proでは、**data
キーを押して統計エディタを開き、2nd
とdata
を押し、stat-reg/distr
を呼び出します。ここで統計の種類を選ぶことで統計値を求められます。
またこれを、数値変数などへの代入なしでシームレスにほかの計算に流用できます。これが非常に便利です。
残念なところ
まず、微分計算において古いタイプの方式で算出していることです。これにより以下のような結果が吐き出されます。
\frac{d}{dx}(\frac{x^3}{3}) _{|x=3}=9.000000333
これは本来9
を返すべきなのですが…解せぬ。
私の個体はおそらくマイナーアップデート後の個体化と予想でき、そこでは多少の改善されていたのですが、演算バッファが貧弱です。以下の計算をさせてみます。
\int_{x=0}^{1000}{x(sin(x)+cos(x)+1)}
あれ、この計算はエラーが起きませんでしたね…
ではこちらを…
\int_{x=0}^{10000}{x(sin(x)+cos(x)+1)}
これを解かせるとあら不思議!
MEMORY LIMIT
Error
と、「メモリ上限エラー」、すなわちメモリ不足というエラーが吐かれます。
これはなかなかに貧弱じゃないでしょうか。
あと、80文字までの式という制約も少しきつく、関数を重ねる機数の制限も少しきついです。しかし、電卓喫茶様のレビューによると40字までの制限ということなので、改善されていそうです。えらい。
おわりに
今回はTI-36X Proをレビューしてきました。
投稿間隔が短くなっていますがその理由は今後4本の記事を立て続けに投稿しなければいけないからです。(お楽しみに)
挨拶はほどほどに、それではまた〜