はじめに
こんにちは、bockringです。以前、2024年4月くらいにfx-JP900CWのレビューを投稿したのですが、更新するために記事を削除し、再投稿しました。
更新理由
更新理由は「前のレビューはあまりに情報が欠けていて、不完全だった」からなのですが、1回目の執筆の時は、初めての電卓であることもあり、デメリットについて触れられていませんでした。半年以上使って、改めて感じたことをまとめていこうと思ったので、どうぞよろしくお願いします。
(あとプログラム(内部構造)についても触れようとすると、書き直した方が早いというのもあります。)
概要
fx-JP CWシリーズは、2023年9月21日にCASIOから発売された高精細ディスプレイを搭載するClassWizシリーズの2作目です。1作目に関しては、別の記事でまとめていますのでどうぞご覧ください。
このシリーズは、直感的な操作を可能とするGUI的操作が主となっています。過去の関数電卓(グラフ電卓除く)ではあり得なかった決定キー・戻るキーの追加などがある一方で、電卓的な操作が減り、使いにくいと感じる人もいるものになります。
ハードウェアと操作感
まず、先に操作感について述べておきます。
この電卓では、カーソル・OKキーの5キーによる階層メニューでの操作が基本となっています。今までの数字キーを押して決定する方式を廃止し、ラジオボタンによる選択などが多くなります。
そのため、今まではカーソルキーでページを選択し、数字キーで選択するというスタイルだったものが連打ゲーになってしまったということです。一応その対策としてページめくりキーを追加されています。
ClassWizの1作目では、Shift+(↑/↓)によるページめくりができなかったので、その点は改善点と言えるかもしれません。(他メーカーの電卓ではできるのに…)
ハードとソフトの結びつきの問題
=
キーとOK
キー
この電卓は、機能を分かりやすく(笑)しすぎたせいで妙に機能がダブっているキーがあります。その顕著な例が=
とOK
です。長らく関数電卓では、=(イコール)キーをEnterキーとしても使用してきました(今でもほぼ全ての関数電卓でそうです)。そしてOKキーはどう足掻いてもEnterキーです。私が試したほぼ全ての場面でどちらのキーでも同じ動作をしました。唯一違ったのが≒
で、Shift + =(≒)
で近似値表示できますが、Shift + OK
ではできません。OKキーは何のために配置されたのでしょう…
もちろん配線パターンは別配線のようです。おそらく、電気的には接続されていないものの、コード的にはほぼ同じ動作をするようになっているのでしょう。こんなのにキーを1つ割くくらいなら、=
キーの=の文字の下にOKあるいはEnterという文字を印刷して、その1つのキーに別に機能を割り当てて欲しいものです(SHARPがこれに近しい印刷となっています)。
↩︎(戻る)
キー
何度でも言いますが、これは関数電卓で、しかも一般関数電卓です。グラフ電卓などではありません。グラフ電卓にEsc
キーは必須ですが、一般関数電卓に戻るキーなんて必要ありません。←
キーで戻ればいいのですから。しかも、1作目では親切に「戻れるよ」と伝える目的で、開いているメニューの1個上に階層がある場合は上部に◀︎
のインジケーターが点灯します。これでいいのではないでしょうか。
ページめくりキー
これに関しては搭載理由も不明なレベルですが、まず使いません。厳密に言うと統計計算あるいは数表作成機能では使いますが、Shift + (↑/↓)
でページめくりに対応すれば良いだけです。
このように、キーの設計にもそこそこ問題があります。次に、ソフト的な欠陥を見ていきましょう。
演算について
良い点
まず、この電卓の数少ない利点というのは計算速度と精度でしょう。
Σ(x,1,1000)=500500
これくらいなら、爆速で返してくれます。この計算速度を越える電卓となると、グラフ電卓だけといったところでしょう。
さらに、計算精度も非常に良いのです。内部演算23桁なので、(弧度法での)以下の計算も表示桁数10桁で誤差なく返します。
tan(355/226)=-7497258.185
この精度で返してくれるなら、表示桁数も12桁にしてくれたら良いのになぁ…なんて思ってしまうほどです。
悪い点
こちら他のレビュワーさんも言っていますが、指数計算のアルゴリズムが改悪とかいうレベルではないです。1作目と2作目において同じ順番でキーを押しても、解釈のされ方が全く異なります。
エミュレーターを用いて、キーの押下順も表示した上で同じ順にキーを押しました。しかし、この画像の通り、解釈のされ方が全くもって違います。
1作目では6.02×₁₀23
(6.02×10²³)を1つの値として扱っていて、こちらが正しい解釈です。
しかし2作目では、指数入力キーはあくまで
この4手のショートカット感が否めません。この辺りの動作はGIF動画にしましたので、動いていなかったらクリックして再生してみてください。
(Qiitaの上限10MBをギリ超えない9.8MBなのでそこそこ重いです)
どんなにダサくても良いから、ここだけは3作目で改善して欲しいです(切実)。
おわりに
まず最初に、手と頭と財布の口が滑ってもこのシリーズだけは買わないでください!絶対に後悔しますし、しなかったとしても逆に煩雑な操作性によって計算ミスを生じ、大変なことになります。
私もこいつを買ったばかりのころ、計算した値を用いて電子部品を選定したら、爆発しました。これを買って良いことはないです。
そしてこの電卓の発売にあわせてパッケージが紙に切り替わったのですが、(悪いようにいうと)操作性の悪さを隠して関数電卓を何も知らない初心者に売り込んでいる、というようにも捉えられます。
前のモデル(1作目)が店に残っていたら、少し高くてもそちらを買いましょう。その方が幸せになれます。