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ドラクエ風RPGをAIで作ろうとしたら30年前の人類が神だった話

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Last updated at Posted at 2026-04-30

育成ゲームの息抜きに新作を試したら、ドラクエの偉大さに気づいた


「ワールドマップ、AIで1日で作れるでしょ」

そう思っていました。

育成ゲームの開発がひと段落ついて、息抜きに新作RPGの構想を練っていた週末のこと。雲の上の浮島群を舞台にした、ドラクエ風ターンバトルRPG。子猫の勇者ミルクが、魔王を倒す物語です。

設計書はだいたい固まっていました。あとはタイル画像をAIで作って、並べるだけ。

AIで草・山・町のタイル画像を作る
 ↓
並べる
 ↓
完成

この甘い見積もりが、地獄の入り口でした。


第1の試練:AIは「ドラクエ風」を知らない

最初に作ったのは、草地のタイル。シンプルなプロンプトで投げました。

A grass tile for a JRPG world map, top-down view

返ってきたのは、国営放送のドキュメンタリー番組に出てきそうな、リアルな草原の航空写真でしたw


「いや、ピクセルアートで」と書き直します。今度は3DCGで作った草原が来ました。立体感がすごい。フラットじゃない。これじゃない。

以下のような禁止事項を足してみます。

flat 2D pixel art, NO 3D rendering, NO photorealistic

ようやく、それっぽい絵が出てきました。

1枚目で気づいたことがあります。

AIに「ドラクエ風」を作らせるには、「これは違う」を山のように書かないといけない。

「こうしてほしい」より「こうしないでほしい」の方が長い。これが、最初の違和感でした。


第2の試練:ドラクエを観察し始めて、2時間が消える

タイルが何種類必要か考えていて、ふと気になりました。

「ドラクエって、実際どんなタイル構成なんだろう?」

実機画像を開きました。眺め始めました。次にスマホを見たら、2時間が経っていました

そしてこの2時間で、最初の設計が完全に間違っていたことに気づきました。

私はこう思っていました:

「山のタイル」=「草地に山が描かれた1枚の画像」

ドラクエは違いました。

「草地のベース」+「山のシルエット」を別々のレイヤーで重ねている

つまり、山のタイルは山だけが描かれていて、その下に草地ベースが敷かれている。だから「砂漠の山」も「草地の山」も、同じ山タイルを使い回せる。

これに気づいた瞬間、背筋が凍りました。

設計書、全部書き直しです。


第3の試練:「ベースはベースだ」をAIに理解させる戦い

設計を直して、「ベース地面」と「オブジェクト」を分離しました。ベース地面は純粋な地面のテクスチャだけ。山も木も建物も乗せない。

簡単な指示だと思いました。

草地タイルを生成してください。純粋な草の地面テクスチャだけ。
何も乗せないでください。

→ 出力:草地の上に色々な草がのっている

花も肉球もダメです。本当に草だけ。

→ 出力:草地の上に小さなクローバー

クローバーもダメです。装飾物は一切なし。

→ 出力:草地の上に葉っぱの装飾

…葉っぱ?それは草の一部?それとも別物?

AIに「葉っぱは草地の表現か、別オブジェクトか」を区別させるのに、何往復したかわかりません。最終的にプロンプトはこうなりました。

NO clovers, NO flowers, NO paw prints, NO mountains, 
NO trees, NO buildings, NO decorations of any kind.
ONLY pure grass texture.

禁止事項リストの方が、本文より長い。

第4の試練:マップエディタの存在

ここまで散々苦労した後、息抜きに別の開発者の動画を見ていました。Godot Engineの画面が映っていました。

タイルパレットから選んで、マウスで並べていく。マップエディタでした。

時が止まりました。

…これがあれば、AI生成のブレに苦しまずに済むんじゃ?

調べたら、Tiledという無料のマップエディタが定番でした。しかも、今使っているフレームワーク(Bonfire)と公式連携しています。

もっと早く知りたかった。

しかも、Tiledには「Terrain Brush」という機能があり、海岸線タイルの配置を自動でやってくれる。私が苦労して書いた「配置ロジックの設計書」、全部不要になりました


振り返り:4つの学び

ここまでの試行錯誤を振り返って、本気で残った学びを書きます。

学び1:「簡単に作れる」と思った瞬間が、罠の入り口

「タイル並べるだけでしょ」と思った瞬間、私は何も理解していませんでした

ドラクエが30年積み上げてきた設計思想を、無料で借りようとしていたんです。当然、AIは「ドラクエ風」を知りません。「ドラクエとは何か」を自分で言語化しないと、AIには通じない。

仕事でも同じだと思います。「これくらい簡単だろう」と思った案件ほど、深掘りすると根本設計が間違っている。最初の感覚を疑うことから始まる、と感じました。

学び2:AIは「何を作るか」を教えてくれない

AIは「言われたものを作る」のは得意です。でも「何を作るべきか」は教えてくれません。

  • ベースとオブジェクトを分離する2層構造
  • 凹角を発生させないマップ設計ルール
  • 海岸線タイルの最適な種類数

これらの設計思想は、ドラクエの開発者が考案したもの。私はそれを観察して理解することしかできませんでした。

AI時代になっても、「何を作るか」の解像度を上げるのは、結局人間の仕事です。これはマネジメントでも同じで、AIに丸投げすると、平凡なものしか出てきません。

学び3:適材適所、また同じ結論

前回の記事で「ツールは適材適所」と書きました。今回もまったく同じ結論にたどり着きました。

・設計の議論 :Claude.ai
・コード実装 :Claude Code
・タイル画像生成:gpt-image-2
・マップ作成 :Tiled

「全部AIで完結」は幻想でした。ツールを組み合わせて、人間が設計する。これが現時点の正解です。

学び4:先人の制約を、リスペクトすること

ドラクエ初期作のROM容量は64KB。今のスマホアプリの数千分の1です。その中に、地形タイル・遷移タイル・マップ・キャラ・戦闘・ストーリー、全部詰め込んでいます

制約があったからこそ、洗練された設計が生まれたんだと思います。

ベースとオブジェクトの分離は、容量を節約するため。海岸線タイルの最適化も、ROMに収めるため。「凹角を出さない」という美学も、結果的に少ないリソースで美しい世界を見せるための工夫だったのかもしれません。

AI時代の私たちは、容量の制約から解放されています。だからこそ、先人の設計思想を意識的に学ばないと、すぐに膨らんで破綻する

「制約がない」ことは、「設計の腕が試される」ということでした。


結論:ドラクエは、神

息抜きに始めたはずが、設計書のページ数だけが膨れ上がっていきました。気づけば、ドラクエへのリスペクトが5倍くらいになっていました

「個人開発でドラクエ風RPGを作りたい」と思っている人へ、最後に伝えたいことがあります。

ドラクエは神。リスペクトを持って、徹底的に観察してから始めてください。


次回:実装が動いたら、また書きます

ここまでで、設計書はv0.3まで進化しました(最初の数倍の厚みになりました)。

次は実装フェーズです。Claude Codeに渡して、19種類のタイル生成 → Tiledでマップ作成 → ゲームエンジンで描画 → 移動制御、と進めていきます。

実装が動いたら、また書きます。「ドラクエ風RPGを作る」というテーマは、想像以上に学びの宝庫でした。


おまけ:こんな奮闘を経て、開発してるアプリがこちらです!

コードが書けない非エンジニアが、AIと格闘しながら完全バイブコーディングでアプリを作っています。

第一弾:もふふミルクとにゃんこ脱出ゲーム 🐾

動画に登場している白い猫のミルクが主人公。ふわふわの謎を解いて、ミルクと一緒に脱出するゲームです。

📱 アプリはこちらからダウンロードできます 👉

次回作:もふふミルクのにゃんこ図鑑、開発中 🌱

今回の記事で書いた"引き継ぎ書"の仕組みを最初から適用して作っているのが、この育成ゲームです。ミルクと一緒にふわふわ島で暮らしながら、いろんな猫たちと出会って、育てていくゲーム。

▲ 開発中の画面(2026年4月時点)。ミルクを育てるコアループ部分が動いている状態。

その次:もふふミルクのにゃんこクエスト ふわふわ島と勇者の扉(構想中)

引き継ぎ書を置いて開発したおかげで、脱出ゲームのときより明らかに順調です。リリース時期が近づいてきたらまたお知らせします。

興味ある方はフォローしてもらえると嬉しいです!


これまでのシリーズ

  1. 「外注500万円」に絶句した私がClaudeCodeで1週間・約2万5千円でアプリをリリースした話
  2. AIハネムーン期の終わり—Claude Codeに感動していた1ヶ月、そして冷めた話
  3. Claude CodeのAutoModeに全部任せたら、バグだらけで全部やり直した話
  4. AIに暴言を吐いたら、本当に出力が劣化した話 — Claude Codeに罵声を浴びせた1週間の記録
  5. CLAUDE.mdを育てる、の先にあったもの — Claude Codeに”組織設計”を持ち込んだ話
  6. 非エンジニアの私が「AIに毎回同じ注意してる」問題を解決したら、作業がぐんと進んだ話
  7. 非エンジニアの私がAIにゲームのCM作らせたら素人以下だった。指示に1行足したら9割マシになった話
  8. 「それ2週間前に変えたよね?」とAIを詰めた私が、自分のメモを見て凍りついた話
  9. モチベ上げるために収益ダッシュボードを作ったら、「赤字18,431円」と殴られた話
  10. 非エンジニアの私がAIで作った個人開発ゲームのCM、本物のレベルに到達したので見てほしい
  11. ドラクエ風RPG、AIで作るのが大変すぎて「これを30年前に作った人類すごい」ってなった話(この記事)


※本記事はnoteからの転載です:https://note.com/natty_yarrow1907/n/ne296d8988392

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