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Pythonで〇×ゲームのAIを一から作成する その61 ai11s の検証と限定的な条件による問題の解決

Last updated at Posted at 2024-03-11

目次と前回の記事

これまでに作成したモジュール

以下のリンクから、これまでに作成したモジュールを見ることができます。

これまでに作成した AI

これまでに作成した AI の アルゴリズム は以下の通りです。

ルール アルゴリズム
ルール1 左上から順空いているマス を探し、最初に見つかったマス着手 する
ルール2 ランダム なマスに 着手 する
ルール3 真ん中 のマスに 優先的着手 する
既に 埋まっていた場合ランダム なマスに 着手 する
ルール4 真ん中 のマスの 優先的着手 する
既に 埋まっていた場合ランダム なマスに 着手 する
ルール5 勝てる場合勝つ
そうでない場合は ランダム なマスに 着手 する
ルール6 勝てる場合勝つ
そうでない場合は 相手の勝利阻止 する
そうでない場合は ランダム なマスに 着手 する
ルール6改 勝てる場合勝つ
そうでない場合は 相手勝利できる 着手を 行わない
そうでない場合は ランダム なマスに 着手 する
ルール7 真ん中 のマスに 優先的着手 する
そうでない場合は 勝てる場合勝つ
そうでない場合は 相手の勝利阻止 する
そうでない場合は ランダム なマスに 着手 する
ルール7改 真ん中 のマスに 優先的着手 する
そうでない場合は 勝てる場合勝つ
そうでない場合は 相手勝利できる 着手を 行わない
そうでない場合は ランダム なマスに 着手 する
ルール8 真ん中 のマスに 優先的着手 する
そうでない場合は 勝てる場合勝つ
そうでない場合は 相手勝利できる 着手を 行わない
そうでない場合は、自分の手番勝利できる ように、「自 2 敵 0 空 1」が 1 つ以上 存在する 局面になる着手を行う
そうでない場合は ランダム なマスに 着手 する
ルール9 真ん中 のマスに 優先的着手 する
そうでない場合は 勝てる場合勝つ
そうでない場合は 相手勝利できる 着手を 行わない
そうでない場合は、自分の手番必ず勝利できる ように、「自 2 敵 0 空 1」が 2 つ以上存在する 局面になる着手を行う
そうでない場合は、自分の手番勝利できる ように、「自 2 敵 0 空 1」が 1 つ存在する 局面になる着手を行う
そうでない場合は ランダム なマスに 着手 する
ルール10 真ん中 のマスに 優先的着手 する
そうでない場合は 勝てる場合勝つ
そうでない場合は 相手勝利できる 着手を 行わない
そうでない場合は、自分の手番必ず勝利できる ように、「自 2 敵 0 空 1」が 2 つ以上存在する 局面になる着手を行う
そうでない場合は、以下 の 2 つを 総合的に判断 して着手を行う
  • 自分の手番勝利できる ように、「自 2 敵 0 空 1」が 1 つ存在する 局面になる着手を行う
  • 自分有利になる ように、「自 1 敵 0 空 2」が 最も多い 着手を行う
そうでない場合は ランダム なマスに 着手 する
ルール11 真ん中 のマスに 優先的着手 する
そうでない場合は 勝てる場合勝つ
そうでない場合は 相手勝利できる 着手を 行わない
そうでない場合は、自分の手番必ず勝利できる ように、「自 2 敵 0 空 1」が 2 つ以上存在する 局面になる着手を行う
そうでない場合は、以下 の 3 つを 総合的に判断 して着手を行う
  • 自分の手番勝利できる ように、「自 2 敵 0 空 1」が 1 つ存在する 局面になる着手を行う
  • 自分有利になる ように、「自 1 敵 0 空 2」が 最も多い 着手を行う
  • 相手不利になる ように、「自 0 敵 1 空 2」が 最も少ない 着手を行う
そうでない場合は ランダム なマスに 着手 する

ルール 11評価値を計算 する際の パラメータ は以下の通りです。

修正前 修正後
「自 2 敵 0 空 1」が 1 つの場合の評価値 1 2
「自 1 敵 0 空 2」が 1 つあたりの評価値 1 1
「自 0 敵 1 空 2」が 1 つあたりの評価値 -1 -1

基準となる ai2 との 対戦結果(単位は %)は以下の通りです。太字ai2 VS ai2 よりも 成績が良い 数値を表します。欠陥 の列は、アルゴリズム欠陥 があるため、ai2 との 対戦成績良くても強い とは 限らない ことを表します。欠陥の詳細については、関数名のリンク先の説明を見て下さい。

関数名 o 勝 o 負 o 分 x 勝 x 負 x 分 欠陥
ai1
ai1s
78.1 17.5 4.4 44.7 51.6 3.8 61.4 34.5 4.1 あり
ai2
ai2s
58.7 28.8 12.6 29.1 58.6 12.3 43.9 43.7 12.5
ai3
ai3s
69.3 19.2 11.5 38.9 47.6 13.5 54.1 33.4 12.5
ai4
ai4s
83.0 9.5 7.4 57.2 33.0 9.7 70.1 21.3 8.6 あり
ai5
ai5s
81.2 12.3 6.5 51.8 39.8 8.4 66.5 26.0 7.4
ai6 88.9 2.2 8.9 70.3 6.2 23.5 79.6 4.2 16.2
ai6s 88.6 1.9 9.5 69.4 9.1 21.5 79.0 5.5 15.5
ai7
ai7s
95.8 0.2 4.0 82.3 2.4 15.3 89.0 1.3 9.7
ai8s 98.2 0.1 1.6 89.4 2.5 8.1 93.8 1.3 4.9
ai9s 98.7 0.1 1.2 89.6 2.4 8.0 94.1 1.3 4.6
ai10s 97.4 0.0 2.6 85.6 2.6 11.7 91.5 1.3 7.2
ai11s
修正前
98.1 0.0 1.9 82.5 1.9 15.6 90.3 1.0 8.7 あり
ai11s
修正後
98.8 0.0 1.2 87.7 2.4 10.0 93.2 1.2 5.6

ai2 VS ai11s の検証と ai11s の修正

前回の記事では、ランダムな AI である ai2ai11s対戦 させた結果、ai11s敗北する 場合があることが 確認 できたので、ai11s弱解決の AI では ありません

そこで、その 原因を検証 するために、下記のプログラムのように、show_progress を利用することで、ai2 VS ai11sai11s敗北 する場合の 試合経過表示 しました。

from ai import show_progress, ai2, ai11s
from marubatsu import Marubatsu

show_progress(ai=[ai2, ai11s], winner=Marubatsu.CIRCLE)

実行結果(実行結果はランダムなので下記とは異なる場合があります)

Turn x
.O.
...
...

Turn o
.o.
.X.
...

Turn x
.o.
.x.
O..

Turn o
.o.
.x.
o.X

Turn x
Oo.
.x.
o.x

Turn o
oo.
.x.
oXx

winner o
oo.
Ox.
oxx

今回の記事では、ai11s敗北する理由検証 し、敗北しない ように 修正 します。

ai2 VS ai11s の検証

下図は、上記の show_progress表示 された ai2 VS ai11s試合経過 です。以前の記事同様の方法 で、ai11sどのような判断着手を選択したか検証 します。なお、ai2ランダムな着手 を行う AI なので、ai2 が行う 着手の検討省略 します。

2 手目の検証

ルール 11最も優先順位が高い条件 から、ai11s真ん中のマス優先的に着手 するので、この局面 では、ai11s(1, 1)着手 します。

4 手目の検証

以前の記事同様の方法 で、下記 のプログラムで ai11s がそれぞれの 合法手 に対して どのように 評価値を 計算 するかを 表示 し、その 結果表にまとめます

mb = Marubatsu()
mb.move(1, 0)
mb.move(1, 1)
mb.move(0, 2)
ai11s(mb, debug=True)
実行結果(長いのでクリックして開いてください)
Start ai_by_score
Turn x
.o.
.x.
O..

legal_moves [(0, 0), (2, 0), (0, 1), (2, 1), (1, 2), (2, 2)]
====================
move (0, 0)
Turn o
Xo.
.x.
o..

defaultdict(<class 'int'>,
            {Markpat(last_turn=0, turn=0, empty=3): 1,
             Markpat(last_turn=0, turn=1, empty=2): 1,
             Markpat(last_turn=1, turn=0, empty=2): 1,
             Markpat(last_turn=1, turn=1, empty=1): 4,
             Markpat(last_turn=2, turn=0, empty=1): 1})
score 2 best score -inf
UPDATE
  best score 2
  best moves [(0, 0)]
====================
move (2, 0)
Turn o
.oX
.x.
o..

defaultdict(<class 'int'>,
            {Markpat(last_turn=0, turn=1, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=0, empty=2): 3,
             Markpat(last_turn=1, turn=1, empty=1): 2,
             Markpat(last_turn=2, turn=1, empty=0): 1})
score 1 best score 2
====================
move (0, 1)
Turn o
.o.
Xx.
o..

defaultdict(<class 'int'>,
            {Markpat(last_turn=0, turn=0, empty=3): 1,
             Markpat(last_turn=0, turn=1, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=0, empty=2): 1,
             Markpat(last_turn=1, turn=1, empty=1): 3,
             Markpat(last_turn=2, turn=0, empty=1): 1})
score 1 best score 2
====================
move (2, 1)
Turn o
.o.
.xX
o..

defaultdict(<class 'int'>,
            {Markpat(last_turn=0, turn=1, empty=2): 3,
             Markpat(last_turn=1, turn=0, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=1, empty=1): 2,
             Markpat(last_turn=2, turn=0, empty=1): 1})
score 1 best score 2
====================
move (1, 2)
Turn o
.o.
.x.
oX.

defaultdict(<class 'int'>,
            {Markpat(last_turn=0, turn=0, empty=3): 1,
             Markpat(last_turn=0, turn=1, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=0, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=1, empty=1): 2,
             Markpat(last_turn=2, turn=1, empty=0): 1})
score 0 best score 2
====================
move (2, 2)
Turn o
.o.
.x.
o.X

defaultdict(<class 'int'>,
            {Markpat(last_turn=0, turn=1, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=0, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=1, empty=1): 3,
             Markpat(last_turn=2, turn=0, empty=1): 1})
score 2 best score 2
APPEND
  best moves [(0, 0), (2, 2)]
====================
Finished
best score 2
best moves [(0, 0), (2, 2)]

下記は、上記の結果まとめた表 です。

「201」 「021」 「102」 「012」 評価値
評価値 1:+2
2~:100
-100 1 つで
+1
1 つで
-1
1 1 1 1 2
2 3 2 1
3 1 1 2 1
4 1 2 3 1
5 2 2 0
6 1 2 2 2

上記の表 から、合法手 16評価値2最も高くなる ことがわかります。従って、2 つの合法手 である (0, 0)(2, 2) がそれぞれ 1 / 2 = 50 %確率選択される ことが わかります。そのことは、下記の 実行結果最後の 2 行 からも 確認 できます。

best score 2
best moves [(0, 0), (2, 2)]

従って、4 手目 では、50 % の確率 で、(2, 2)選択された ことがわかります。

5 手目の検証

5 手目ai2 が上記のように (0, 0)着手 を行った場合は、〇 にとって自 2 敵 0 空 1」が 2 つ存在 するので、〇 の必勝の局面 であることがわかります。ai2ランダムな AI なので、必勝の局面 になってもその後で 最善手選択しない可能性 がありますが、今回で 検証 している 下記の試合経過 のように、この後で ai2最善手選択し続けた場合 は、ai2 の勝利 になります。

4 手目で (0, 0) に着手した場合の検証

上記から、4 手目ai11s選択 した (2, 2)最善手ではない可能性がある ことが わかりました。そのことを 確認する ために、4 手目 での ai11sもう一つの候補 である (0, 0)着手した場合局面の状況検証 を行うことにします。

4 手目(0, 0)着手 を行った場合は、下記 のような 局面 になります。なお、実際の対戦 では (0, 0)着手していない ので、そのこと明確にする ために、(0, 0) のマス は、黄色ではなく オレンジ色塗りつぶして います。(0, 0)着手 した場合の 局面の状況調べるため に、以後最善手のみ選択 した場合の 試合の経過結果調べます

上記の局面 は、× の手番 で × が (2, 2)着手 を行うと、× の勝利 になるので、5 手目〇 の最善手(2, 2) です。下記5 手目(2, 2)着手を行った場合 の図です。

上記の局面 は、〇 の手番 で 〇 が (1, 2)着手 を行うと、〇 の勝利 になるので、6 手目× の最善手(1, 2) です。下記6 手目(1, 2)着手を行った場合 の図です。

上記の局面 には、3 種類合法手 があるので、それぞれ について 調べます

(2, 0)着手 を行った場合は、×〇 の勝利を阻止 するために (2, 1)着手 を行い、最後(0, 1)着手 を行い、下図 のように 引き分け になります。

(2, 1)着手 を行った場合は、×〇 の勝利を阻止 するために (2, 0)着手 を行い、最後(0, 1)着手 を行い、下図 のように 引き分け になります。

(0, 0)着手 を行った場合は、下図局面 になり、この後で × と 〇 が どのような着手 を行っても 引き分け になります。

上記 から、4 手目(0, 0)着手 を行った場合に、その後で お互い最善手のみ選択 すると 引き分け になります。一方、(2, 2)着手 を行った場合は、お互い最善手のみ選択 すると 敗北する ので、4 手目(2, 2)最善手ではない ことがわかりました。

上記 から わかること は、「4 手目局面(2, 2)最善手 では ないことだけ で、「(0, 0)最善手あること」までは わかりませんそのこと示すため には、残り合法手 2 ~ 5着手 した 局面引き分けの局面 か、× の必敗の局面 であることを 示す必要 があります。長くなるので本記事ではその確認を省略しますが、実際に確認 することで、(0, 0)最善手1 つ であることが わかります。興味と余裕がある方は実際に確認してみて下さい。

パラメータの修正

ai2 VS ai11s で、ai11s敗北 した 理由 は、下記の局面ai11s最善手ではない (2, 2)選択 する 可能性がある ことです。また、この局面 では (2, 2)同じ評価値 が計算される (0, 0) を選択すると 引き分けの局面 になるので、ai11sこの局面(0, 0)評価値のみ最も高く計算 するように できればai11s敗北しない ように なります。その方法を少し考えてみて下さい。

下記は、(0, 0)(2, 2) を表す 合法手 16 の表です。この表 から、合法手 16 では、評価値計算 する際に 利用する、いくつかの マークのパターン異なる ことが分かります。従って、それらのマークのパターンの パラメータうまく変更する ことで、合法手 1評価値 を、合法手 6評価値より大きくする ことが できる可能性あります。その方法を少し考えてみて下さい。

「201」 「021」 「102」 「012」 評価値
評価値 1:+2
2~:100
-100 1 つで
+1
1 つで
-1
1 1 1 1 2
6 1 2 2 2

そのような方法としては、以下2 種類 の方法が 考えられます

  • 自 1 敵 0 他 2」の 1 つ当たりの 評価値減らす
  • 自 0 敵 1 他 2」の 1 つ当たりの 評価値増やす

いずれの方法 でも かまいません ので、本記事では、「自 1 敵 0 他 2」の 1 つ当たりの 評価値減らす方法考えてみる ことにします。興味と余裕がある方は、もう一つの方法も実際に試してみて下さい。

次に、具体的評価値どの程度減らすか について 考える必要 があります。以前の記事で説明したように、ルールの 条件の意味 を考えると、 「自 1 敵 0 他 2」の 1 つ当たりの 評価値正の値 にする 必要 があります。そこで、この パラメータ を 0 と 1 の中間の 0.5 に設定 してみることにします。

まず、そのように パラメータ設定 した場合の、それぞれの合法手の 評価値 を、下記のプログラムで 計算してみる ことにします。「自 1 敵 0 他 2」の 1 つ当たりの 評価値を変更 しましたが、他のパラメータ変更していない ので、下記のように、対応する score_102キーワード引数のみ記述 するだけで かまいません

mb = Marubatsu()
mb.move(1, 0)
mb.move(1, 1)
mb.move(0, 2)
ai11s(mb, score_102=0.5, debug=True)
実行結果(長いのでクリックして開いてください)
Start ai_by_score
Turn x
.o.
.x.
O..

legal_moves [(0, 0), (2, 0), (0, 1), (2, 1), (1, 2), (2, 2)]
====================
move (0, 0)
Turn o
Xo.
.x.
o..

defaultdict(<class 'int'>,
            {Markpat(last_turn=0, turn=0, empty=3): 1,
             Markpat(last_turn=0, turn=1, empty=2): 1,
             Markpat(last_turn=1, turn=0, empty=2): 1,
             Markpat(last_turn=1, turn=1, empty=1): 4,
             Markpat(last_turn=2, turn=0, empty=1): 1})
score 1.5 best score -inf
UPDATE
  best score 1.5
  best moves [(0, 0)]
====================
move (2, 0)
Turn o
.oX
.x.
o..

defaultdict(<class 'int'>,
            {Markpat(last_turn=0, turn=1, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=0, empty=2): 3,
             Markpat(last_turn=1, turn=1, empty=1): 2,
             Markpat(last_turn=2, turn=1, empty=0): 1})
score -0.5 best score 1.5
====================
move (0, 1)
Turn o
.o.
Xx.
o..

defaultdict(<class 'int'>,
            {Markpat(last_turn=0, turn=0, empty=3): 1,
             Markpat(last_turn=0, turn=1, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=0, empty=2): 1,
             Markpat(last_turn=1, turn=1, empty=1): 3,
             Markpat(last_turn=2, turn=0, empty=1): 1})
score 0.5 best score 1.5
====================
move (2, 1)
Turn o
.o.
.xX
o..

defaultdict(<class 'int'>,
            {Markpat(last_turn=0, turn=1, empty=2): 3,
             Markpat(last_turn=1, turn=0, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=1, empty=1): 2,
             Markpat(last_turn=2, turn=0, empty=1): 1})
score 0.0 best score 1.5
====================
move (1, 2)
Turn o
.o.
.x.
oX.

defaultdict(<class 'int'>,
            {Markpat(last_turn=0, turn=0, empty=3): 1,
             Markpat(last_turn=0, turn=1, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=0, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=1, empty=1): 2,
             Markpat(last_turn=2, turn=1, empty=0): 1})
score -1.0 best score 1.5
====================
move (2, 2)
Turn o
.o.
.x.
o.X

defaultdict(<class 'int'>,
            {Markpat(last_turn=0, turn=1, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=0, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=1, empty=1): 3,
             Markpat(last_turn=2, turn=0, empty=1): 1})
score 1.0 best score 1.5
====================
Finished
best score 1.5
best moves [(0, 0)]

下記は、上記の結果まとめた表 です。

「201」 「021」 「102」 「012」 評価値
評価値 1:+2
2~:100
-100 1 つで
+0.5
1 つで
-1
1 1 1 1 1.5
2 3 2 -0.5
3 1 1 2 0.5
4 1 2 3 0
5 2 2 -1
6 1 2 2 1

上記の表 から、合法手 1評価値のみ1.5最も高く なり、(0, 0) のみ選択される ようになります。そのことは、下記の 実行結果最後の 2 行 からも 確認 できます。

best score 1.5
best moves [(0, 0)]

上記の修正 によって、優先順位が高い 条件の 評価値の範囲超えているか どうかを下記の表で 確認 します。特に 問題はなさそう です。

順位 局面の状況 個別 評価値
1 真ん中のマスに着手している 300
2 自分が勝利している 200
4 「自 2 敵 0 空 1」が 2 つ以上存在する 100
5 「自 2 敵 0 空 1」が 1 つ存在する
「自 1 敵 0 空 2」が x 個存在する
「自 0 敵 1 空 2」が y 個存在する
2 (0~2)
0.5 * x (0~4)
-y (-8~0)
-8~6
3 相手が勝利できる -100

修正したパラメータでの ai2 との対戦

修正したパラメータai2対戦 することで、問題解決されたか確認 することにします。その際には、下記 のプログラムのように、ai_matchキーワード引数 paramsai11s に対応 する 要素 には、ai11s修正を行ったパラメータの値のみ記述 します。

from ai import ai_match

ai_match(ai=[ai11s, ai2], params=[{"score_102":0.5}, {}])

実行結果(実行結果はランダムなので下記とは異なる場合があります)

ai11s VS ai2
count     win    lose    draw
o        9909       0      91
x        8768      80    1152
total   18677      80    1243

ratio     win    lose    draw
o       99.1%    0.0%    0.9%
x       87.7%    0.8%   11.5%
total   93.4%    0.4%    6.2%

下記は、上記の結果 と、これまでai11sai2対戦 した際の 結果 を表に まとめたもの です。なお、これまでは 修正前修正前ai11s のように 表記 していましたが、今回の修正ai11s種類3 種類 になったので、それぞれai11s作成した順番ai11s ver 1 のように 表記 することにします。

関数名 o 勝 o 負 o 分 x 勝 x 負 x 分
ai11s ver 1 98.1 0.0 1.9 82.5 1.9 15.6 90.3 1.0 8.7
ai11s ver 2 98.8 0.0 1.2 87.7 2.4 10.0 93.2 1.2 5.6
ai11s ver 3 99.1 0.0 0.9 87.7 0.8 11.5 93.4 0.4 6.2

上記 の表から、今回パラメータの修正 によって、× を担当 した場合の 敗率約 2 % から、1 % 未満減っている ので、先程の問題改善 された 可能性が高い ことがわかります。ただし、依然として × を担当 した際の 敗率0 %なっていない ので、この修正 を行っても ai11s ver 3弱解決の AI には なっていない ことがわかります。

パラメータの他の修正方法の検証

上記 では、「自 1 敵 0 他 2」の 1 つ当たりの 評価値 を 1 から 0.5減らしました が、1 未満他の正の値修正 することで、もしかすると敗率0 %なるかもしれません。そこで、下記のプログラムで、パラメータ0.90.750.250.10変えてai2対戦 してみることにします。

なお、正ではない 0 に変えて 対戦する理由 は、「自 1 敵 0 他 2」の マークのパターンの数 が、弱解決の AI を作る際に、実際役に立っていること確認するため です。「自 1 敵 0 他 2」の 1 つあたりの 評価値0 にする ということは、「自 1 敵 0 他 2」の マークのパターンの数考慮しない という 意味 になるので、その場合に 敗率増えなければ、「自 1 敵 0 他 2」の マークのパターンの数役に立っていない ことになります。

ai_match(ai=[ai11s, ai2], params=[{"score_102":0.9}, {}])

実行結果(実行結果はランダムなので下記とは異なる場合があります)

ai11s VS ai2
count     win    lose    draw
o        9895       0     105
x        8776      68    1156
total   18671      68    1261

ratio     win    lose    draw
o       99.0%    0.0%    1.1%
x       87.8%    0.7%   11.6%
total   93.4%    0.3%    6.3%
ai_match(ai=[ai11s, ai2], params=[{"score_102":0.75}, {}])

実行結果(実行結果はランダムなので下記とは異なる場合があります)

ai11s VS ai2
count     win    lose    draw
o        9893       0     107
x        8797      52    1151
total   18690      52    1258

ratio     win    lose    draw
o       98.9%    0.0%    1.1%
x       88.0%    0.5%   11.5%
total   93.5%    0.3%    6.3%
ai_match(ai=[ai11s, ai2], params=[{"score_102":0.25}, {}])

実行結果(実行結果はランダムなので下記とは異なる場合があります)

ai11s VS ai2
count     win    lose    draw
o        9893       0     107
x        8808      59    1133
total   18701      59    1240

ratio     win    lose    draw
o       98.9%    0.0%    1.1%
x       88.1%    0.6%   11.3%
total   93.5%    0.3%    6.2%
ai_match(ai=[ai11s, ai2], params=[{"score_102":0.1}, {}])

実行結果(実行結果はランダムなので下記とは異なる場合があります)

ai11s VS ai2
count     win    lose    draw
o        9912       0      88
x        8805      61    1134
total   18717      61    1222

ratio     win    lose    draw
o       99.1%    0.0%    0.9%
x       88.0%    0.6%   11.3%
total   93.6%    0.3%    6.1%
ai_match(ai=[ai11s, ai2], params=[{"score_102":0}, {}])

実行結果(実行結果はランダムなので下記とは異なる場合があります)

ai11s VS ai2
count     win    lose    draw
o        9916       0      84
x        8685     159    1156
total   18601     159    1240

ratio     win    lose    draw
o       99.2%    0.0%    0.8%
x       86.9%    1.6%   11.6%
total   93.0%    0.8%    6.2%

実行結果 から、パラメータ0.90.750.250.1変えても0.5 の場合結果変わらない ことが分かりました。また、0 に変更 した場合は、× を担当 した場合の 敗率約 1.5 %上昇 することから、「自 1 敵 0 他 2」の マークのパターンの数 が、弱解決の AI を作る際に、実際役に立っている ことが 確認 できました。

そこで、ai11s ver 3 の 「自 1 敵 0 他 2」 の パラメータ0.5 とし、下記のプログラムのように、ai11sscore_012デフォルト引数値0.5修正 することにします。

from marubatsu import Markpat
from ai import ai_by_score
from pprint import pprint

def ai11s(mb, score_201=2, score_102=0.5, score_012=-1, debug=False):
以下同じなので略
プログラム全体
from marubatsu import Markpat
from ai import ai_by_score
from pprint import pprint

def ai11s(mb, score_201=2, score_102=0.5, score_012=-1, debug=False):
    def eval_func(mb):      
        # 真ん中のマスに着手している場合は、評価値として 300 を返す
        if mb.last_move == (1, 1):
            return 300
    
        # 自分が勝利している場合は、評価値として 200 を返す
        if mb.status == mb.last_turn:
            return 200

        markpats = mb.count_markpats()
        if debug:
            pprint(markpats)
        # 相手が勝利できる場合は評価値として -100 を返す
        if markpats[Markpat(last_turn=0, turn=2, empty=1)] > 0:
            return -100
        # 次の自分の手番で自分が必ず勝利できる場合は評価値として 100 を返す
        elif markpats[Markpat(last_turn=2, turn=0, empty=1)] >= 2:
            return 100

        # 評価値の合計を計算する変数を 0 で初期化する
        score = 0        
        # 次の自分の手番で自分が勝利できる場合は評価値に score_201 を加算する
        if markpats[Markpat(last_turn=2, turn=0, empty=1)] == 1:
            score += score_201
        # 「自 1 敵 0 空 2」1 つあたり score_102 だけ、評価値を加算する
        score += markpats[Markpat(last_turn=1, turn=0, empty=2)] * score_102
        # 「自 0 敵 1 空 2」1 つあたり score_201 だけ、評価値を減算する
        score += markpats[Markpat(last_turn=0, turn=1, empty=2)] * score_012
        
        # 計算した評価値を返す
        return score

    return ai_by_score(mb, eval_func, debug=debug)
修正箇所
from marubatsu import Markpat
from ai import ai_by_score
from pprint import pprint

-def ai11s(mb, score_201=2, score_102=1, score_012=-1, debug=False):
+def ai11s(mb, score_201=2, score_102=0.5, score_012=-1, debug=False):
以下同じなので略

ai2 VS ai11s ver 3 の検証と ai11s ver 3 の修正

上記 から ai11s ver 3 は、弱解決の AI ではない ことがわかったので、下記のプロラムのように、再び show_progress を利用して、ai2 VS ai11s ver3ai11s ver 3敗北 する場合の 試合経過 を表示し、敗北 する 原因を検証 することにします。

show_progress(ai=[ai2, ai11s], winner=Marubatsu.CIRCLE)

実行結果(実行結果はランダムなので下記とは異なる場合があります)

Turn x
...
...
..O

Turn o
...
.X.
..o

Turn x
O..
.x.
..o

Turn o
o..
.x.
X.o

Turn x
o.O
.x.
x.o

Turn o
oXo
.x.
x.o

winner o
oxo
.xO
x.o

ai2 VS ai11s ver 3 の検証

下図は、上記の show_progress表示 された ai2 VS ai11s ver 3試合経過 です。

2 手目の検証

ルール 11最も優先順位が高い条件 から、ai11s ver 3真ん中のマス優先的に着手 するので、この局面 では、ai11s ver 3(1, 1)着手 します。

4 手目の検証

先程と 同様の方法 で、下記 のプログラムで ai11s ver 3 がそれぞれの 合法手 に対して どのように 評価値を 計算 するかを 表示 し、その 結果表にまとめます

mb = Marubatsu()
mb.move(2, 2)
mb.move(1, 1)
mb.move(0, 0)
ai11s(mb, debug=True)
実行結果(長いのでクリックして開いてください)
Start ai_by_score
Turn x
O..
.x.
..o

legal_moves [(1, 0), (2, 0), (0, 1), (2, 1), (0, 2), (1, 2)]
====================
move (1, 0)
Turn o
oX.
.x.
..o

defaultdict(<class 'int'>,
            {Markpat(last_turn=0, turn=1, empty=2): 3,
             Markpat(last_turn=1, turn=0, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=1, empty=1): 1,
             Markpat(last_turn=1, turn=2, empty=0): 1,
             Markpat(last_turn=2, turn=0, empty=1): 1})
score 0.0 best score -inf
UPDATE
  best score 0.0
  best moves [(1, 0)]
====================
move (2, 0)
Turn o
o.X
.x.
..o

defaultdict(<class 'int'>,
            {Markpat(last_turn=0, turn=1, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=0, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=1, empty=1): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=2, empty=0): 1,
             Markpat(last_turn=2, turn=0, empty=1): 1})
score 1.0 best score 0.0
UPDATE
  best score 1.0
  best moves [(2, 0)]
====================
move (0, 1)
Turn o
o..
Xx.
..o

defaultdict(<class 'int'>,
            {Markpat(last_turn=0, turn=1, empty=2): 3,
             Markpat(last_turn=1, turn=0, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=1, empty=1): 1,
             Markpat(last_turn=1, turn=2, empty=0): 1,
             Markpat(last_turn=2, turn=0, empty=1): 1})
score 0.0 best score 1.0
====================
move (2, 1)
Turn o
o..
.xX
..o

defaultdict(<class 'int'>,
            {Markpat(last_turn=0, turn=1, empty=2): 3,
             Markpat(last_turn=1, turn=0, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=1, empty=1): 1,
             Markpat(last_turn=1, turn=2, empty=0): 1,
             Markpat(last_turn=2, turn=0, empty=1): 1})
score 0.0 best score 1.0
====================
move (0, 2)
Turn o
o..
.x.
X.o

defaultdict(<class 'int'>,
            {Markpat(last_turn=0, turn=1, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=0, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=1, empty=1): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=2, empty=0): 1,
             Markpat(last_turn=2, turn=0, empty=1): 1})
score 1.0 best score 1.0
APPEND
  best moves [(2, 0), (0, 2)]
====================
move (1, 2)
Turn o
o..
.x.
.Xo

defaultdict(<class 'int'>,
            {Markpat(last_turn=0, turn=1, empty=2): 3,
             Markpat(last_turn=1, turn=0, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=1, empty=1): 1,
             Markpat(last_turn=1, turn=2, empty=0): 1,
             Markpat(last_turn=2, turn=0, empty=1): 1})
score 0.0 best score 1.0
====================
Finished
best score 1.0
best moves [(2, 0), (0, 2)]

下記は、上記の結果まとめた表 です。なお、同一局面は、同じ合法手まとめました

「201」 「021」 「102」 「012」 評価値
評価値 1:+2
2~:100
-100 1 つで
+0.5
1 つで
-1
1 1 2 2 1
2 1 2 3 0

上記の表 から、合法手 1評価値1最も高くなる ことがわかります。従って、合法手 12 つの合法手 である (2, 0)(0, 2) がそれぞれ 1 / 2 = 50 %確率選択される ことが わかります。そのことは、下記の 実行結果最後の 2 行 からも 確認 できます。

best score 1.0
best moves [(2, 0), (0, 2)]

従って、4 手目 では、50 % の確率 で、(0, 2)選択された ことがわかります。

6 手目以降の検証

5 手目ai2 が上記のように (2, 0)着手 を行った場合は、〇 にとって自 2 敵 0 空 1」が 2 つ存在 するので、〇 の必勝の局面 であることがわかります。ai2ランダムな AI なので、必勝の局面 になってもその後で 最善手選択しない可能性 がありますが、今回で 検証 している 上記の試合経過 のように、この後で ai2最善手選択した場合 は、ai2 の勝利 になります。

4 手目で合法手 2 に着手した場合の検証

上記から、4 手目ai11s選択 した 合法手 1 である (0, 2)最善手ではない可能性がある ことが わかりました。そのことを 確かめる ために、4 手目 での ai11sもう一つの候補 である 合法手 2最善手であるか どうかを 調べる ことにします。

先程検証した ai2 VS ai11s ver 2 の場合の 4 手目局面 には 合法手6 種類 あったので、そのうちの 2 つ の合法手を 検証するだけ では、どの合法手最善手であるか までは わかりません でした。一方、今回の場合 は、合法手2 種類 しかないので、片方の合法手 を着手した場合の 局面の状況 が、もう片方の合法手 を着手した場合の 局面の状況より良ければ最善手 であることが 確定 します。

4 手目合法手 21 つ である (0, 1)着手 を行った場合は、下図左の局面 になります。(0, 1)最善手であるか どうかを 調べるため に、その後で 最善手のみ選択 した場合の 試合の経過結果調べる と、その後に出現 するいずれの 局面 も、そこに 着手しなければ敗北 する マスが存在 するので、そのマスが最善手 になります。下図は、最善手選択し続けた場合 の図で、引き分けになる ことが わかります

上記 から、4 手目合法手 2 のいずれかに 着手 を行った場合に、その後で お互い最善手のみ選択 すると 引き分け になります。一方、合法手 1 のいずれか 着手 を行った場合は、お互い最善手のみ選択 すると 敗北する ので、4 手目 の局面では 合法手 1最善手ではない ことがわかりました。

パラメータの修正方法の検討

ai2 VS ai11s ver 3 で、ai11s ver 3敗北 した 理由 は、3 手目最善手ではない合法手 1選択 することです。また、上記から、この局面の 合法手 2最善手である ことがわかったので、ai11s ver 3この局面合法手 2評価値最も高く計算 するように できればai11s ver 3敗北しない ように なります。その方法を少し考えてみて下さい。

下記は、先程の 合法手 12 の表を再掲したものです。図から、合法手 12 では、評価値計算 する際に 利用するマークのパターン異なる のは、「自 0 敵 1 他 2のみ であることが わかります

「201」 「021」 「102」 「012」 評価値
評価値 1:+2
2~:100
-100 1 つで
+0.5
1 つで
-1
1 1 2 2 1
2 1 2 3 0

従って、「自 0 敵 1 他 2」の マークのパターン に対する パラメータ変える ことで、下記の式 のように、合法手 2評価値 が、合法手 1評価値より大きくなる ようにする 方法考える ことにします。

$合法手 1 の評価値 < 合法手 2 の評価値$

自 0 敵 1 他 2」の マークのパターン の 1 つ当たりの 評価値 を $x$ とすると、合法手 12評価値計算式 は、以下のようになります。

  • $合法手 1 の評価値 = 2 + 0.5 × 2 + 2y = 3 + 2y$
  • $合法手 2 の評価値 = 2 + 0.5 × 2 + 3y = 3 + 3y$

上記の式 を、目的の式当てはめる と、下記の式 になります。

$3 + 2y < 3 + 3y$

この式の 両辺から $3 + 2y$ を 引くと下記の式 になります。

$0 < y$

上記から、「自 0 敵 1 他 2」の マークのパターン の 1 つ当たりの 評価値正の数 にすることで、合法手 2評価値合法手 1評価値より大きくなる ことが わかりました

で考えるのが 苦手な人 は、以下 のように 言葉で考える ことも できます。ただし、慣れれば式で考えたほう が、分かりやすさ計算のしやすさ の面ではるかに 優れている ので、式で考える方法慣れる ことを お勧めします

  1. 自 0 敵 1 他 2」の マークのパターン は、合法手 2 のほうが、合法手 1 より1 だけ 多い
  2. 従って、その パラメータ1 増やす と、合法手 2評価値 のほうが、合法手 1評価値より も、1 だけ 多く増える
  3. 現時点 では、合法手 1評価値 の方が、合法手 2評価値より1 だけ 多い
  4. 従って、パラメータ1 より多く増やせば合法手 2評価値 の方が 合法手 1評価値より大きくなる
  5. 現時点パラメータ-1 で、$-1 + 1 = 0$ なので、パラメータ0 より大きい正の値すればよい ことが わかる

パラメータの修正の効果の確認

問題解決方法 がわかったので、下記のプログラムで「自 0 敵 1 空 2」のパラメータを、正の値 である 1 に修正 して、4 手目局面ai11s計算 す る 評価値を表示 し、合法手 2 のみ選択される ようになったかどうかを 確認 することにします。

mb = Marubatsu()
mb.move(2, 2)
mb.move(1, 1)
mb.move(0, 0)
ai11s(mb, score_012=1, debug=True)
実行結果(長いのでクリックして開いてください)
Start ai_by_score
Turn x
O..
.x.
..o

legal_moves [(1, 0), (2, 0), (0, 1), (2, 1), (0, 2), (1, 2)]
====================
move (1, 0)
Turn o
oX.
.x.
..o

defaultdict(<class 'int'>,
            {Markpat(last_turn=0, turn=1, empty=2): 3,
             Markpat(last_turn=1, turn=0, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=1, empty=1): 1,
             Markpat(last_turn=1, turn=2, empty=0): 1,
             Markpat(last_turn=2, turn=0, empty=1): 1})
score 6.0 best score -inf
UPDATE
  best score 6.0
  best moves [(1, 0)]
====================
move (2, 0)
Turn o
o.X
.x.
..o

defaultdict(<class 'int'>,
            {Markpat(last_turn=0, turn=1, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=0, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=1, empty=1): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=2, empty=0): 1,
             Markpat(last_turn=2, turn=0, empty=1): 1})
score 5.0 best score 6.0
====================
move (0, 1)
Turn o
o..
Xx.
..o

defaultdict(<class 'int'>,
            {Markpat(last_turn=0, turn=1, empty=2): 3,
             Markpat(last_turn=1, turn=0, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=1, empty=1): 1,
             Markpat(last_turn=1, turn=2, empty=0): 1,
             Markpat(last_turn=2, turn=0, empty=1): 1})
score 6.0 best score 6.0
APPEND
  best moves [(1, 0), (0, 1)]
====================
move (2, 1)
Turn o
o..
.xX
..o

defaultdict(<class 'int'>,
            {Markpat(last_turn=0, turn=1, empty=2): 3,
             Markpat(last_turn=1, turn=0, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=1, empty=1): 1,
             Markpat(last_turn=1, turn=2, empty=0): 1,
             Markpat(last_turn=2, turn=0, empty=1): 1})
score 6.0 best score 6.0
APPEND
  best moves [(1, 0), (0, 1), (2, 1)]
====================
move (0, 2)
Turn o
o..
.x.
X.o

defaultdict(<class 'int'>,
            {Markpat(last_turn=0, turn=1, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=0, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=1, empty=1): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=2, empty=0): 1,
             Markpat(last_turn=2, turn=0, empty=1): 1})
score 5.0 best score 6.0
====================
move (1, 2)
Turn o
o..
.x.
.Xo

defaultdict(<class 'int'>,
            {Markpat(last_turn=0, turn=1, empty=2): 3,
             Markpat(last_turn=1, turn=0, empty=2): 2,
             Markpat(last_turn=1, turn=1, empty=1): 1,
             Markpat(last_turn=1, turn=2, empty=0): 1,
             Markpat(last_turn=2, turn=0, empty=1): 1})
score 6.0 best score 6.0
APPEND
  best moves [(1, 0), (0, 1), (2, 1), (1, 2)]
====================
Finished
best score 6.0
best moves [(1, 0), (0, 1), (2, 1), (1, 2)]

下記 は、上記の 実行結果 を表に まとめた ものです。

「201」 「021」 「102」 「012」 評価値
評価値 1:+2
2~:100
-100 1 つで
+0.5
1 つで
+1
1 1 2 2 5
2 1 2 3 6

上記 の表から、合法手 2評価値6 になり、合法手 1評価値 である 5 より大きくなる ことが 確認 できます。また、合法手 2 のマスである、辺のマスのみ選択される ようになったことは、下記の 実行結果最後の 2 行 からも 確認 できます。以後は、このパラメータ評価値計算 する ai11sai11s ver 4表記 することにします。

best score 6.0
best moves [(1, 0), (0, 1), (2, 1), (1, 2)]

次に、下記のプログラムで、ai2対戦 してみることにします。

ai_match(ai=[ai11s, ai2], params=[{"score_012": 1}, {}])

実行結果(実行結果はランダムなので下記とは異なる場合があります)

ai11s VS ai2
count     win    lose    draw
o        9887       0     113
x        9128     121     751
total   19015     121     864

ratio     win    lose    draw
o       98.9%    0.0%    1.1%
x       91.3%    1.2%    7.5%
total   95.1%    0.6%    4.3%

下記は、上記の結果 と、これまでai11sai2対戦 した際の 結果 を表に まとめたもの です。

関数名 o 勝 o 負 o 分 x 勝 x 負 x 分
ai11s ver 1 98.1 0.0 1.9 82.5 1.9 15.6 90.3 1.0 8.7
ai11s ver 2 98.8 0.0 1.2 87.7 2.4 10.0 93.2 1.2 5.6
ai11s ver 3 99.1 0.0 0.9 87.7 0.8 11.5 93.4 0.4 6.2
ai11s ver 4 98.9 0.0 1.1 91.3 1.2 7.5 95.1 0.6 4.3

上記の表 から、ai11s ver 4 は、× を担当 した場合の 勝率最も高くなっている ので、改善している ように 見えるかもしれません が、敗率0.8 % から 1.2 %上昇 しているという 問題あります〇×ゲーム は、引き分けのゲーム なので、前回の記事で説明した 引き分けのゲーム の場合の 弱解決の AI性質 から、弱解決の AI近づいているか どうかの 判断 としては、勝率ではなく敗率が重要 です。従って、敗率が上昇する ということは、修正前ai11s ver 3 よりも、弱解決の AI から 遠ざかっている考えられます。何故このようなことが起きたかについて少し考えてみて下さい。

敗率が上昇した理由

下記のプログラムで ai2 VS ai11s ver 4ai11s ver 4敗北 する 試合経過を表示 すると、これまで とは 異なる試合経過敗北している ことが 分かります

show_progress(ai=[ai2, ai11s], params=[{}, {"score_012": 1}], winner=Marubatsu.CIRCLE)

実行結果(実行結果はランダムなので下記とは異なる場合があります)

Turn x
...
.O.
...

Turn o
X..
.o.
...

Turn x
x..
.o.
..O

Turn o
x..
Xo.
..o

Turn x
x..
xo.
O.o

Turn o
xX.
xo.
o.o

winner o
xxO
xo.
o.o

パラメータの修正 によって、ai11s ver 4 は、ai2 VS ai11s ver 34 手目の局面 で、最善手選択する ようになりましたが、一方で、上記 のように これまで最善手選択できていた 別の 局面 で、最善手選択できなくなる ことが、敗率上昇した理由 です。

長くなる ので 本記事 では 検証は行いません が、興味と余裕がある方は、上記試合経過実際に検証 することで、パラメータの修正 によって 最善手選択できなく なった 局面 があることを 確認 してみて下さい。

そのようなこと起きた原因 は、今回行った パラメータの修正 が、ルール 11条件目的に反する ような 修正 だったからです。具体的には、ルール 11 の『相手不利になる ように、「自 0 敵 1 空 2」が 最も少ない 着手を行う』という条件から、「自 0 敵 1 他 2」の 1 つ当たりの 評価値負の値 にする 必要 があります。これは、先程求めた、この パラメータ正の値 にするという 修正方法両立しない ので、どのように パラメータを 修正 しても 目的を達成 することが できない ことが わかりました

このように、ai11s ver 4 には 問題がある ため、本記事 では このパラメータ採用しない ことにします。

限定的な条件による問題の解決

上記から、ルール 11条件だけ では、ai11s ver 3問題解決 して、弱解決の AI を作る ことは できない ことが わかりました。このような場合は、ai11s ver 3問題を解決 するための、新しい条件考える必要あります

これまでは、ルールヒューリスティックな条件追加する際 に、マークのパターン利用した条件考えてきました が、今回の問題マークのパターンを利用 しても うまくいきません ので、何か 別の方法考える必要あります。どのような方法が良いかについて少し考えてみて下さい。

汎用的な条件と限定的な条件

これまでルール加えてきた自分有利になる ように、「自 1 敵 0 空 2」が 最も多い 着手を行う』などの、ヒューリスティックな条件 は、すべての局面適用する汎用的な条件 でした。しかし、物事 には 例外がつきもの なので、汎用的な条件 では 対処できない 場合は、例外対応する ために、限定的な条件加える ことが 良くあります

例えば、現実の世界 での 具体例 としては、下記 のような例が挙げられます。

  • 信号が青 の時は 横断歩道渡って良い汎用的な条件
  • ただし、救急車などの 緊急車両サイレンを鳴らして通る場合 は、信号が青でも 横断歩道渡ってはいけない限定的な条件

実際に、世の中 にある ほとんどのルール には、「ただし、〇〇の場合 には ×× である」のような、限定的な条件 が存在します。

汎用的な条件と限定的な条件の性質

汎用的な条件 と、限定的な条件 には、下記のような 利点と欠点 があります。

  • 汎用的な条件
    • 利点一つの条件多くの状況対処する ことが できる ので、効率的 である
    • 欠点特定の状況 に対して、想定外悪影響を与える 場合がある
  • 限定的な条件
    • 利点特定の状況以外 の状況に 悪影響を与える ことが ない
    • 欠点特定の状況 にのみ 影響を与える ので、効率が悪い

条件が与える影響の範囲

上記では 汎用的な条件限定的な条件 のように、2 種類分類 しましたが、実際 には、条件影響 を与える 範囲 は、千差万別 です。例えば、条件影響 を与える 範囲 として、以下 のような 様々な範囲考えられます。従って、条件を考える ときは、どのような範囲適用できるか について 考える ことも 重要 です。

  • 全世界
  • 特定の国
  • 特定の標高の範囲
  • 特定の地域
  • 特定の学校
  • 特定の家族
  • 特定の趣味を持つ人

ゲーム例を挙げる と、以下 のような 様々な範囲考えられる でしょう。

  • すべての局面
  • 先手の手番の局面
  • 後手の手番の局面
  • 先手の必勝の局面
  • 引き分けの局面
  • 後手の必勝の局面
  • 序盤の局面
  • 中盤の局面
  • 終盤の局面

条件を考える手順

問題を解決 する際に、ヒューリスティックな条件考える 場合は、一般的 には 下記 のような 手順 で、最初効率を重視 して 広い範囲適用できる条件 を考え、徐々範囲を狭めながら 新しい 条件考えます。意識していないかもしれませんが、多くの人は実際に下記のような手順で問題を解決しようと試みているはずです。

  1. なるべく多くの範囲問題を解決できる ような、条件考える
  2. 考えた条件 で問題が 解決されなかったり問題が起きる状況検討 する
  3. 考えた条件 が、メリット のほうが デメリットより大きい場合採用 する
  4. 手順 2明らかになった問題新しい問題 として 設定 し、手順 1 に戻る
  5. 上記を、満足のいく程度問題が解決される まで 繰り返す

この方法の 問題点 としては、以下 のようなものが挙げられます。多くの人は、日々そのことを実感しているのではないでしょうか。また、これらのいくつかは、以前の記事で説明した ルールベース AI欠点 でもあります。

  • あまり 性質の良くない条件設定 すると、さまざまな状況悪影響発生する
  • 実際には、上記の 手順 2検討を行っても考えた条件 が、どのような状況悪影響を与える かが 分からない 場合が 多い
  • 実際その条件 を用いて 問題を解決 しようと 試みた後問題が判明 する 場合が多い
  • 後から問題判明 した場合、その問題解決するため限定的な条件追加する必要 があるが、そのような 限定的な条件多くなりすぎる と、わけがわからなくなる
  • 後から発生 した 問題を解決 するために 加えた条件 が、別の問題を発生 させたり、以前に解決 した 問題再び発生する ような場合がある
  • この方法で、問題100 % 解決できない 場合が 多い

ただし、この手順 は上記のような欠点はあるものの、他に良い方法無かったり条件が少ないうち はこの方法が 有効なことが多い ので、実際良く使われます

問題見つかってから条件を追加して対処 するという、場当たり的対処方法 を続けると、本当に わけがわからなくなります。そのような場合は、一から 条件を 考えなおしたほうが早い ことも よくあります

法律の条文契約書 などが、長くて分かりづらい のは、すべての状況対応する条件漏れなく記述 しようとしているからです。ほとんどの問題 には、例外的状況がある ので、それらに対応 するためには、どうしても 条件数多く複雑にならざるを得ません。また、完璧見えた 場合でも、後から欠陥が発見 されて、修正余儀なくされる ことは 良くあります

プログラムバグ後から発見される ことが 多い理由 も、複雑な処理 を行うプログラムの場合は、100 % 正しい処理完璧記述する ことが 困難 だからです。

限定的な条件の追加によるルール 12 の定義

ai11s ver 3 が、ai2s に敗北 するのは、0.7 % という、かなりレアなケース です。また、下記のプログラムで、ai2 VS ai11s ver 3 で、ai11s ver 3敗北 する 試合経過何度も表示 すると、同一局面考慮する1 つパターンしか存在しない ことが 分かります。興味がある方は、下記のプログラムを何度か実行して、そのことを確認してみて下さい。

show_progress(ai=[ai2, ai11s], winner=Marubatsu.CIRCLE)

従って、ai11s ver 3 が、ai2s に敗北 する 局面のみ対象 とする、下記の条件 を、ルール 11ヒューリスティックな条件より高い優先順位追加する という 方法考えられます。なお、この条件 による 合法手選択 は、先程の検証 によって、最善手 であることが 確認できている ので、演繹法による条件 です。従って、この条件を加える ことによって、他の局面悪影響を与える ことは ありません

  • 下記いずれかの局面 の場合は、辺のマス選択 する

下記は、上記の条件ルール 11加えたルール 12定義 です。新しい条件 は、元の ルール 11優先順位1 ~ 4どの条件 とも 同時に満たされる ことは ない ので、優先順位1 ~ 4 の条件の 前後 であれば、どこに入れても構いません。本記事では、優先順位4 の条件次に優先順位5 の条件 として 追加 しました。

順位 条件 種類
1 真ん中 のマスに 優先的着手 する
2 勝てる場合勝つ 十分条件
3 相手勝利できる 着手を 行わない 必要条件
4 自 2 敵 0 空 1」が 2 つ以上存在 する着手を行う 十分条件
5 斜め方向〇×〇並び他の 6 マス空のマス
場合は、いずれか辺のマス に着手を行う
十分条件
6 自 2 敵 0 空 1」が 1 つ存在 する着手を行う
自 1 敵 0 空 2」が 最も多い 着手を行う
自 0 敵 1 空 2」が 最も少ない 着手を行う
7 ランダム なマスに 着手 する

評価値の設定

ルール 12 の条件に対する 評価値 は、下記 の表のように 設定 することが できます。具体的には、新しく追加 した条件の 評価値100 に設定 し、それよりも 優先順位高い評価値 にそれぞれ 100 を加えました

順位 局面の状況 個別 評価値
1 真ん中のマスに着手している 400
2 自分が勝利している 300
4 「自 2 敵 0 空 1」が 2 つ以上存在する 200
5 片方斜め方向〇×〇並びいずれか
1 つのマスのみ× が配置 されている
100
6 「自 2 敵 0 空 1」が 1 つ存在する
「自 1 敵 0 空 2」が x 個存在する
「自 0 敵 1 空 2」が y 個存在する
2 (0~2)
0.5 * x (0~4)
-y (-8~0)
-8~6
3 相手が勝利できる -100

ai12s の定義の方法

ai12s定義 するためには、ゲームの 局面 が「片方斜め方向〇×〇並びいずれか1 つのマスのみ× が配置 されている」であるか どうかを 判定する必要あります。どのような方法で判定できるかについて少し考えてみて下さい。

上記の条件満たすため には、以下の 3 つの条件すべて満たされる必要あります

  • 片方斜め方向〇×〇並ぶ
  • いずれか1 マスのみ× が配置 されている
  • すべてのマス空のマス である

片方の斜め方向に〇×〇が並ぶ

この場合は、以下いずれか条件満たされる必要 が _あります

  • (0, 0)(1, 1)×(2, 2)配置 されている
  • (2, 0)(1, 1)×(0, 2)配置 されている

mbMarubatsu クラスインスタンスが代入 されている場合、上記判定する条件式 は、以下 のようになります。このような条件式を記述する際には、and 演算子 のほうが or 演算子より優先順位が高い点注意 して下さい。なお、このプログラムを 1 行で記述することもできますが、わかりづらいので、適宜改行を行っています。

(mb.board[0][0] == Marubatsu.CIRCLE and \
 mb.board[1][1] == Marubatsu.CROSS and \
 mb.board[2][2] == Marubatsu.CIRCLE) \
 or \
(mb.board[2][0] == Marubatsu.CIRCLE and \
 mb.board[1][1] == Marubatsu.CROSS and \
 mb.board[0][2] == Marubatsu.CIRCLE)

上記条件式 でも 問題はありません が、どちらの場合(1, 1)× が配置 されていることから、下記2 つの条件すべて満たされるか どうかで 判定 することも できます

  • (1, 1)× が配置 されている
  • 下記の いずれか条件満たされる
    • (0, 0)(2, 2)〇 が配置 されている
    • (2, 0)(0, 2)〇 が配置 されている

下記 は、上記を判定 する 条件式 です。どちらを使っても構いません が、プログラムが 若干短くなる ので、本記事 では 下記の条件式採用する ことにします。

mb.board[1][1] == Marubatsu.CROSS and \
(mb.board[0][0] == mb.board[2][2] == Marubatsu.CIRCLE or \
 mb.board[2][0] == mb.board[0][2] == Marubatsu.CIRCLE)

いずれかの辺の 1 マスのみに × が配置されている

この場合は、以下いずれかの条件満たされる必要あります

  • (1, 0)× が配置 されている
  • (0, 1)× が配置 されている
  • (2, 1)× が配置 されている
  • (1, 2)× が配置 されている

その 条件式 は、下記のプログラムのように 記述するしかない でしょう。

mb.board[1][0] == Marubatsu.CROSS or \
mb.board[0][1] == Marubatsu.CROSS or \
mb.board[2][1] == Marubatsu.CROSS or \
mb.board[1][2] == Marubatsu.CROSS

他のすべてのマスは空のマスである

初心者の方は、この条件を判定する方法が難しく感じられるかもしませんが、ある事 にさえ 気が付けば簡単に判定 することが できる ので、分からない方は少し考えてみて下さい。

〇×ゲーム性質 から、4 回の着手 が行われた 局面 で、4 つのマスマークが配置 されていることが 確認 できた場合は、残りのマス は必ず 空のマス になります。4 つのマスマークが配置 されていることは、上記2 つの条件式判定できる ので、その条件加えて4 回の着手行われている ことを 判定 することで、すべてのマス空のマス であることが 判定 できます。

Marubatsu クラスインスタンス には、着手行われた回数 を表す move_count 属性 があるので、そのことは、下記の条件式簡単に判定 できます。

mb.move_count == 4

判定を行う条件式

求める条件式 は、下記 のプログラムのように、上記3 つの条件式 をすべて and 演算子つないだもの です。初心者の方の多くは、下記のような複雑な条件式をつくることが難しいと思うかもしれません。慣れないうち は、上記のように、個別の条件 を表す 条件式順番に記述 し、最後 にそれらを つなぎ合わせる という 方法を取る良いでしょう。なお、ある程度 プログラミング慣れてくれば、下記のような 複雑な条件式一度に考える ことが できるようになります

mb.board[1][1] == Marubatsu.CROSS and \
(mb.board[0][0] == mb.board[2][2] == Marubatsu.CIRCLE or \
 mb.board[2][0] == mb.board[0][2] == Marubatsu.CIRCLE) and \
(mb.board[1][0] == Marubatsu.CROSS or \
 mb.board[0][1] == Marubatsu.CROSS or \
 mb.board[2][1] == Marubatsu.CROSS or \
 mb.board[1][2] == Marubatsu.CROSS) and \
 mb.move_count == 4

上記が わかりづらい思った方 は、下記 のプログラムのように それぞれの条件式計算結果 を、変数に代入 し、その 変数つなぎ合わせる という 方法あります。なお、変数の名前cond は、条件 を表す condition です。

cond1 = mb.board[1][1] == Marubatsu.CROSS and \
        (mb.board[0][0] == mb.board[2][2] == Marubatsu.CIRCLE or \
         mb.board[2][0] == mb.board[0][2] == Marubatsu.CIRCLE)
cond2 = mb.board[1][0] == Marubatsu.CROSS or \
        mb.board[0][1] == Marubatsu.CROSS or \
        mb.board[2][1] == Marubatsu.CROSS or \
        mb.board[1][2] == Marubatsu.CROSS
cond3 = mb.move_count == 4

cond1 and cond2 and cond3

ai12s の定義

上記条件式利用 することで、ai12s下記 のプログラムのように 定義 できます。

  • 5、9、19 行目評価値修正 する
  • 23 ~ 31 行目上記の条件式判定 を行うプログラムを 追加 します
 1  def ai12s(mb, score_201=2, score_102=0.5, score_012=-1, debug=False):   
 2      def eval_func(mb):      
 3          # 真ん中のマスに着手している場合は、評価値として 400 を返す
 4          if mb.last_move == (1, 1):
 5              return 400
 6   
 7          # 自分が勝利している場合は、評価値として 300 を返す
 8          if mb.status == mb.last_turn:
 9              return 300
10
11          markpats = mb.count_markpats()
12          if debug:
13              pprint(markpats)
14          # 相手が勝利できる場合は評価値として -100 を返す
15          if markpats[Markpat(last_turn=0, turn=2, empty=1)] > 0:
16              return -100
17          # 次の自分の手番で自分が必ず勝利できる場合は評価値として 200 を返す
18          elif markpats[Markpat(last_turn=2, turn=0, empty=1)] >= 2:
19              return 200
20       
21          # 斜め方向に 〇×〇 が並び、いずれかの辺の 1 つのマスのみに × が
22          # 配置されている場合は評価値として 100 を返す
23          if mb.board[1][1] == Marubatsu.CROSS and \
24             (mb.board[0][0] == mb.board[2][2] == Marubatsu.CIRCLE or \
25              mb.board[2][0] == mb.board[0][2] == Marubatsu.CIRCLE) and \
26             (mb.board[1][0] == Marubatsu.CROSS or \
27              mb.board[0][1] == Marubatsu.CROSS or \
28              mb.board[2][1] == Marubatsu.CROSS or \
29              mb.board[1][2] == Marubatsu.CROSS) and \
30             mb.move_count == 4:
31              return 100              
以下同じなので略
行番号のないプログラム
def ai12s(mb, score_201=2, score_102=0.5, score_012=-1, debug=False):   
    def eval_func(mb):      
        # 真ん中のマスに着手している場合は、評価値として 400 を返す
        if mb.last_move == (1, 1):
            return 400
    
        # 自分が勝利している場合は、評価値として 300 を返す
        if mb.status == mb.last_turn:
            return 300

        markpats = mb.count_markpats()
        if debug:
            pprint(markpats)
        # 相手が勝利できる場合は評価値として -100 を返す
        if markpats[Markpat(last_turn=0, turn=2, empty=1)] > 0:
            return -100
        # 次の自分の手番で自分が必ず勝利できる場合は評価値として 200 を返す
        elif markpats[Markpat(last_turn=2, turn=0, empty=1)] >= 2:
            return 200
        
        # 斜め方向に 〇×〇 が並び、いずれかの辺の 1 つのマスのみに × が
        # 配置されている場合は評価値として 100 を返す
        if mb.board[1][1] == Marubatsu.CROSS and \
           (mb.board[0][0] == mb.board[2][2] == Marubatsu.CIRCLE or \
            mb.board[2][0] == mb.board[0][2] == Marubatsu.CIRCLE) and \
           (mb.board[1][0] == Marubatsu.CROSS or \
            mb.board[0][1] == Marubatsu.CROSS or \
            mb.board[2][1] == Marubatsu.CROSS or \
            mb.board[1][2] == Marubatsu.CROSS) and \
           mb.move_count == 4:
            return 100              

        # 評価値の合計を計算する変数を 0 で初期化する
        score = 0        
        # 次の自分の手番で自分が勝利できる場合は評価値に score_201 を加算する
        if markpats[Markpat(last_turn=2, turn=0, empty=1)] == 1:
            score += score_201
        # 「自 1 敵 0 空 2」1 つあたり score_102 だけ、評価値を加算する
        score += markpats[Markpat(last_turn=1, turn=0, empty=2)] * score_102
        # 「自 0 敵 1 空 2」1 つあたり score_201 だけ、評価値を減算する
        score += markpats[Markpat(last_turn=0, turn=1, empty=2)] * score_012
        
        # 計算した評価値を返す
        return score

    return ai_by_score(mb, eval_func, debug=debug)
修正箇所
-def ai11s(mb, score_201=2, score_102=0.5, score_012=-1, debug=False):   
+def ai12s(mb, score_201=2, score_102=0.5, score_012=-1, debug=False):   
    def eval_func(mb):      
        # 真ん中のマスに着手している場合は、評価値として 400 を返す
        if mb.last_move == (1, 1):
-           return 300
+           return 400
    
        # 自分が勝利している場合は、評価値として 300 を返す
        if mb.status == mb.last_turn:
-           return 200
+           return 300

        markpats = mb.count_markpats()
        if debug:
            pprint(markpats)
        # 相手が勝利できる場合は評価値として -100 を返す
        if markpats[Markpat(last_turn=0, turn=2, empty=1)] > 0:
            return -100
        # 次の自分の手番で自分が必ず勝利できる場合は評価値として 200 を返す
        elif markpats[Markpat(last_turn=2, turn=0, empty=1)] >= 2:
-           return 100
+           return 200
        
        # 斜め方向に 〇×〇 が並び、いずれかの辺の 1 つのマスのみに × が
        # 配置されている場合は評価値として 100 を返す
+       if mb.board[1][1] == Marubatsu.CROSS and \
+          (mb.board[0][0] == mb.board[2][2] == Marubatsu.CIRCLE or \
+           mb.board[2][0] == mb.board[0][2] == Marubatsu.CIRCLE) and \
+          (mb.board[1][0] == Marubatsu.CROSS or \
+           mb.board[0][1] == Marubatsu.CROSS or \
+           mb.board[2][1] == Marubatsu.CROSS or \
+           mb.board[1][2] == Marubatsu.CROSS) and \
+          mb.move_count == 4:
+           return 100              
以下同じなので略

ai2 との対戦

下記のプログラムで、ai2 との 対戦 を行います。

ai_match(ai=[ai12s, ai2])

実行結果(実行結果はランダムなので下記とは異なる場合があります)

ai12s VS ai2
count     win    lose    draw
o        9907       0      93
x        8820       0    1180
total   18727       0    1273

ratio     win    lose    draw
o       99.1%    0.0%    0.9%
x       88.2%    0.0%   11.8%
total   93.6%    0.0%    6.4%

実行結果 から、ついに ai12s敗率 が、どちらの手番担当した場合 でも 0 % になりました。対戦回数足りない ため、偶然 ai12s敗北 する 対戦生じなかったのではないか心配する方 は、実行に時間はかかりますが、下記のプログラムのように、対戦回数 を 10 倍の 10 万回 にして 対戦 を行ってみて下さい。なお、筆者のパソコンで、下記のプログラムの実行には約 5 分かかりました。

ai_match(ai=[ai12s, ai2], match_num=100000)

実行結果

ai12s VS ai2
count     win    lose    draw
o       98919       0    1081
x       88168       0   11832
total  187087       0   12913

ratio     win    lose    draw
o       98.9%    0.0%    1.1%
x       88.2%    0.0%   11.8%
total   93.5%    0.0%    6.5%

実行結果から、10 万回 でも 敗率が 0 % になったので、ai12s弱解決の AI である 可能性非常に高い ことが 確認 できました。

下記は、上記の結果 と、これまでai11sai2対戦 した際の 結果 を表に まとめたもの です。

関数名 o 勝 o 負 o 分 x 勝 x 負 x 分
ai11s ver 1 98.1 0.0 1.9 82.5 1.9 15.6 90.3 1.0 8.7
ai11s ver 2 98.8 0.0 1.2 87.7 2.4 10.0 93.2 1.2 5.6
ai11s ver 3 99.1 0.0 0.9 87.7 0.8 11.5 93.4 0.4 6.2
ai12s 98.9 0.0 1.1 88.2 0.0 11.8 93.5 0.0 6.5

これで、ルールベースAI で、弱解決の AI作成 することが できましたai12s最強の AI であることは、現時点 では 証明できません が、今後の記事で 探索型の AI最強の AI作成する ので、その際最強の AI と対戦 させることで、ai12s最強の AI であるか どうかを 確認する ことにします。

今回の記事のまとめ

今回の記事では、ai11s ver 3パラメータ修正 し、さらに 新しいルール付け加える ことで、ai12s という 弱解決の AI を作成しました。残念ながら、現時点 では、ai12s最強の AI であることの 証明は行えません が、ルールベース作成する AI としては、最も強い AI作れた のではないかと思います。

なお、これでルールベースの AI の話は終わったのではないかと思う人がいるかもしれませんが、あと 数回ほど、ルールベースの AI の話は続きます。

本記事で入力したプログラム

以下のリンクから、本記事で入力して実行した JupyterLab のファイルを見ることができます。

今回の記事では marubatsu.py は変更していません。

以下のリンクは、今回の記事で更新した ai.py です。

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