リスペクトされている言語の歴史を紐解くことは、これからの言語設計やコミュニティ育成において非常に強力な指針になるでしょう。
Rubyは1995年に公開されました。初期ユーザーは日本のプログラマーで、メーリングリスト中心のコミュニティでした。ネットニュース(fj)で公開され、徐々に広がりました。Unix系エンジニアやオープンソース好きに好まれました。
英語版書籍『Programming Ruby』が2000年に出版され、海外にも広まりました。Ruby on Railsのブレイク以前に、海外のオブジェクト指向プログラマーの間で既にRubyの土壌が作られていました。
Rubyは便利なスクリプトを書く言語として使われました。UNIX/Linux環境を中心としたテキスト処理やシステム管理用の強力なスクリプト言語です。Rails登場後のような「巨大サービス」ではなく、小さいツールが中心でした。
そこではPerlが普及していましたが、Perlには文法は記号が多く、規模が大きくなると読みづらいという課題がありました。Rubyは、Perlの多機能さを引き継ぎつつ、その複雑な文法に対するアンチテーゼ(より読みやすく美しいオブジェクト指向)として登場しました。
Rails登場前の課題として以下の二点がありました。
第一にユースケースが弱いことです。何でもできるが、「これで稼げる分野」はありませんでした。個人の生産性を高めるツール(優秀なエンジニアの秘密兵器)に留まっていました。
第二にWeb開発環境が未成熟で、広くビジネスに適用できる段階にありませんでした。草の根のライブラリ・フレームワークは存在し、知る人ぞ知る形で使われていましたが、覇権を争うほどの規模のコミュニティにはなっていませんでした。
Rails登場前は面白い言語、登場後は最速でWebサービスを作れる言語として支持を集めました。
最初は楽しい、書きやすい、美しいという思想で初期ファンを集めました。その後にRailsによってWeb開発というキラー用途が提示されました。
言語の発展は以下の過程を辿ると整理できます。
① 刺さる思想
② 小さいコミュニティ
③ キラー用途
④ 爆発的普及