1. はじめに
- 初めてAWSの資格(SAA)を取得してから7年もかかってしまったが、やっと全部(2024/2時点の12個)揃えることができた。
- 体験記を書こうとしたら、既にたくさんの同様の記事があったため、せっかくなのでよく聞かれること(取得動機、勉強法、効果など)について、先輩の体験記も見ながら、自分の結果とあわせて振り返る。
2. 先輩の体験記
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「AWS12冠」「AWS全冠」などのキーワードでヒットするブログやプレゼン資料計37件の内容を拝見し、全冠達成者の方の取得動機、勉強法、効果などを確認した。(Alexa Skill Builderが廃止され、SAP on AWSが追加された後の、2021~2023年あたりの資料が対象)
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拝見した体験記のリンクは記事の最後に。ここでは特に参考になると思ったものを紹介。
3. 振り返り結果
全冠しようとした動機は?
先輩方
- アイデンティティ・自己実現のため
- 自分が何者なのか明確化したい(「私はこれ(AWS)が得意です」と自分をタグ付けしたい)
- 錯覚資産※になりそう(※周囲の人が「あの人資格全部持ってるしAWSできそう」って勝手に思ってくれる効果のこと)
- All Certified Engineerの称号がほしい
- かっこいい、もてたい、自己紹介とかで使いたい
- 市場価値の向上
- 昇進とかと違い、自分の努力だけで確実に結果が得られる
- 知識強化のため
- 体系的に学びたい
- 技術の進化へのキャッチアップをしたい
- 学習に対する目に見える成果が欲しい
自分
- CCoE(社内のAWS利用のとりまとめ)をしていて、社内のAWSの各種案件相談を受ける立場だった。案件の通し方など政治的、業務的な知識は増えていく一方、技術的な相談が来た時に対応できず、パートナーへエスカレするだけになってしまうことも多かった。
- 自分自身もしくはチーム内で技術的な課題解決ができるようにという想いから、技術的な相談が来たら自分でも検証を行い、ノウハウを蓄積するように努めた。
- 並行して、幅広い知識を習得することを目的とし、資格取得も開始した。王道のSAA、SAP取得後、セキュリティ統制の業務が多かったため、まずSCS(Security)を取得した。その辺りから「せっかくだから全部取得したら自慢できるかも?」的な気持ちになり、順番に取得していくことにした。
- ダラダラやっていて、2023年度のAWS All Certified Engineerのエントリー(2023/3締切)に間に合わなかった。会社からは数名認定者が出ており、先を越されてしまい悔しい思いをしたため、2024年度エントリー(2024/3締切)には間に合うようにと思い、なんとか2024/2に全て取得完了することができた。
取得前のレベルは?
先輩方
- 社会人歴数年、AWS初心者、という感じのプロフィールが多かった。また、普段の仕事は機械学習エンジニアやアプリエンジニアという方もいたが、大半はAWS設計、構築、運用関連という感じ。
自分
- 勉強を始めた頃は、ELB+EC2+RDSでWordPressをなんとか作れるくらいのレベル感で、「VPC Lambdaって何ですか?」「SQSとKinesisの違いを教えてください」のような、ちょっとした個別の問い合わせにも対応できていなかった。
取得に要した期間は?
先輩方
- 資格取得実績のスケジュールが記載されている記事を見ると、1年以内 10名、2年以内 6名、3年以内 6名、4年以上 3名。短期に集中して取得している方も多かった。
自分
- 最初のSAA取得から数えると7年かかったが、本格的に取り始めたのが2021年からと考えると概ね3年くらいを要した。無駄にSAA,SAP,DVA,SCSを2回取得することになってしまった。さすがに2回目は問題集をちょっと復習するくらいでいけた(SAP以外)。
試験名 | コード | 受験日 | スコア |
---|---|---|---|
AWS Certified Solutions Architect - Associate | SAA-C00 | 2017/10/20 | 不明 |
AWS Certified Solutions Architect - Professional | SAP-C00 | 2018/11/5 | 不明 |
AWS Certified Developer - Associate | DVA-C01 | 2019/8/14 | 778 |
AWS Certified Security - Specialty | SCS-C01 | 2021/3/22 | 883 |
AWS Certified Cloud Practitioner | CLF-C01 | 2021/5/20 | 893 |
AWS Certified Database - Specialty | DBS-C01 | 2021/6/17 | 770 |
AWS Certified SysOps Administrator - Associate | SOA-C01 | 2021/7/22 | 918 |
AWS Certified Solutions Architect - Associate (2回目) | SAA-C02 | 2022/2/9 | 820 |
AWS Certified Solutions Architect - Professional (2回目) | SAP-C01 | 2022/2/16 | 812 |
AWS Certified Advanced Networking - Specialty | ANS-C00 | 2022/6/9 | 835 |
AWS Certified Developer - Associate (2回目) | DVA-C01 | 2022/9/22 | 890 |
AWS Certified DevOps Engineer - Professional | DOP-C01 | 2023/1/27 | 797 |
AWS Certified Machine Learning - Specialty | MLS-C01 | 2023/9/19 | 859 |
AWS Certified Data Analytics - Specialty | DAS-C01 | 2023/12/25 | 886 |
AWS Certified Security - Specialty (2回目) | SCS-C02 | 2024/1/12 | 872 |
AWS Certified: SAP on AWS - Specialty | PAS-C01 | 2024/2/2 | 1000 |
勉強法は?
先輩方
- AWS公式
- 公式サンプル問題 7名
- 公式ドキュメント 5名
- サービス別資料(Blackbelt) 12名
- Skill Builder(benchprep/Example Rediness) 8名
- Well-Architected 1名
- 試験ガイド 1名
- 試験問題集
- CloudLicence(Koiwaclub/TechStock) 13名
- CloudTech 2名
- Udemy 10名
- Wizlabs 2名
- 書籍 13名
- 実機(マネコン/ハンズオン) 5名
- その他
- QiitaやDevelopersIO 3名
- ChatGPTに聞く 1名
自分
- わりとオーソドックスなやり方だと思われるが、
- サンプル問題をやって、現時点での理解度を確認する
- 対策書籍がある場合はまずそれを読む
- 問題集をやりながら、分からなかったところをBlackbeltで見たり、実機確認したりする
- 問題集を数周して、正解率が90%くらいになったら本番にチャレンジする
- 資格取得を通じて、実際に役に立つ知識を身に着け、定着させるのが理想と思い、たくさん実機確認を行い、アウトプットを残しつつ学習できた試験もあった。
- ただ最後のほうは余裕がなくなり、机上中心の学習になってしまい、個別の実機検証結果のアウトプットもあまり残せなかった。
- 最初の頃、Udemyの講座(問題集ではなく、講師の説明が20時間くらいあるやつ)を購入していた(英語の勉強にもなり一石二鳥かなと思い)。結局挫折してほとんど見ないことが多く、シンプルに問題集をやったほうがよいと思った。
達成後の効果や今後の取り組みは?
先輩方
-
自己実現としての効果
- やる気の証明になっている
- 社内で認知され、相談を受けるようになった
- re:Inventに行かせてもらえた
- 試験の学習->合格->モチベアップ->また学習、というよいサイクル、習慣ができてきた
- プロフィールに書いた
- 周りのメンバーが「俺も資格取る」と言ってくれて、好影響を与えてるっぽい
-
知識面・業務面での効果
- 自分でシステムを作れた
- AWSのサービス改善の内容について行けるようになった
- 話や構成図が理解できるようになった
- 時々試験でやったことが業務に出た「あ、ここ試験でやったとこだ!」
- べスプラや利用シーンが分かる
- 普段触らないサービスも含め、知識の幅が広がり、体系的な知識が得られた
-
まだこれからなこと
- 実用的な課題解決ができない
- トラシューができない
- 知識も資格もアップデートしていくのが大変
自分
- とりあえずプレゼン資料とかに12個アイコンを載せた。
- ペーパードライバーのようなもので、持っているだけではあまり役にたたない。ただ一応AWSの常識が身に着いてきて、設計や構築の際に、全然ついて行けない、ということは減っているかもしれない。
4. 所感
- いろんな方の合格体験記を読んでいる中で、資格取得の価値の説明として、「筋トレと同じ」もしくは「TOEICと同じ」というのがしっくり来た。あくまで普段の基礎力向上の取り組みであり、本番(試合や実際の英会話)が上手なこととは別であるものの、本番のために準備しておくこと、またそれを客観的に証明できるようにすることに意味があるということで。
- やっと一区切りつけることができたので、少し資格の勉強は休憩して、業務上必要な知識(k8s, istioなど)の習得や、運動(ダイエット)に取り組みたい。