目次
- はじめに
- 私について
- 私なりの資格取得の意味
- AWS全冠を目指した理由
- AWS認定について
- いろいろランキング
- 自身の軌跡
- AWS未経験から推奨したいロードマップ
- AWS公式のロードマップ
- 初学者におすすめの一冊
- 勉強方法
- 最後に
はじめに
先月、AWS認定資格(12種) を全て取得し、いわゆるAWS全冠を達成しました。
達成の軌跡や資格の個人ランキングなどを紹介しますので、AWS初学者や若手で全冠を目指したいという方などの参考になれば幸いです。
私について
- 記事投稿現在、社会人1年目
- 大学は情報系を専攻し、プログラミングやコンピュータサイエンスを学習
- AWSに関しては、大学在籍中にCLF、SAA、SAPを取得
学部2年の終わりまでは、個人でゲーム作成やWebアプリ、スマホアプリの作成などに大半の時間を費やしており、自分でも引くくらいコード漬けの日々を過ごしていました。。
ひょんなことから大学の研究でAWSを利用し、クラウドコンピューティングの技術やAWSのサービスに強く惹かれるようになり、そこから新卒で某Cierに入社しました。しかし、配属されたのは自社Webアプリ開発の部署..(AWSへのデプロイでしたが、インフラ設計もCICD環境も構築済みで開発側はインフラを全く考慮する必要がなかったです..ダブルパンチ) 頑張ってSAP取得した意味が..泣
どうしてもクラウドによるソリューションに直接関わる仕事をしたいという一心で超早期転職をし、現在に至ります。
私なりの資格取得の意味
資格の取得に関しては、「知識・技能の証明のため」や「昇進の条件資格だから仕方なく」、「スキルアップを目指して」など各人によって考え方は様々だと思います。私の場合は「その領域に対しての勤勉度を量る指標」だと思っています。資格が業務に直結しないとしても、資格を取得するだけの熱意や興味はあるので、結果的に業務の品質向上につながる可能性が高くなると考えます。「好き」を仕事にできる強みはここにあると思っています。
AWS全冠を目指した理由
1. 会社貢献
資格取得は基本的に自己満足の世界だと思っていますが、AWS認定資格の場合は、資格取得数によってパートナー企業に取得者数に応じた認定やクレジットが贈られます。(APNパートナーの利点)
さらに、全冠を達成することで個人名だけでなく、所属している会社の社名を含めて表彰されます。(2023年AWS全冠表彰)
2. AWSが好きであることの社内アピール
私にとっての資格取得の意義は、その領域に対しての勤勉度を量る指標であると前段で書きましたが、それは同時にその分野が好きというアピールにもつながります。社内認知向上のためにも、AWSへの熱意を示す手段としました。
AWS認定について
現在、表示上以下の13資格がありますが、Data Analytics Specialtyが廃止になり、新たにData Engineer Associateに置き換わる予定となっています。2024年のJapan AWS All Certifications Engineersに関してはData Engineer Associateを除く12資格が対象となっています。
Foundational(初級レベル)
- AWS Certified Cloud Practitioner (AWS CLF)
Associate(中級レベル)
- AWS Certified Solutions Architect – Associate (AWS SAA)
- AWS Certified Developer – Associate (AWS DOA)
- AWS Certified SysOps Administrator – Associate (AWS SOA)
- AWS Certified Data Engineer - Associate (AWS DEA) ※1
Professional (上級レベル)
- AWS Certified Solutions Architect – Professional (AWS SAP)
- AWS Certified DevOps Engineer – Professional (AWS DOP)
Specialty(専門分野)
- AWS Certified Security – Specialty (AWS SCS)
- AWS Certified Database – Specialty (AWS DBS) ※2
- AWS Certified Data Analytics – Specialty (AWS DAS) ※1
- AWS Certified Machine Learning - Specialty (AWS MLS)
- AWS Certified Advanced Networking – Specialty (AWS ANS)
- AWS Certified: SAP on AWS – Specialty (AWS PAS) ※2
※1 Data Analytics – Specialtyは2024年4月9日に廃止が決まっており、Data Engineer – Associateに置き換わる予定です。
※2 DBS、PASについても2024年4月30日に廃止予定となっています。
AWSの認定資格は、受験に関する制約が年齢(受験日に13歳以上)以外にないため、どの資格から受験するのか迷われるのではないかと思います。難易度の指標がいくつかあると思いますので個人的なランキングを作成しました。少しでも参考になればと思います。
公式が出しているレベル感について
AWS CLF < Associate試験 < Professional試験 (≦) Specialty試験
※ProfessionalとSpecialtyに関して明確な難易度の違いは明言されていませんが、Specialty試験の一つであるAWS SCSのページに以下の文言があるため(≦)としています。
“この認定の準備をする前に、特定の認定を取得する必要はありません。ただし、受験者は通常、AWS 認定セキュリティ - 専門試験を受験する前に、AWS 認定ソリューションアーキテクト - アソシエイト、または AWS 認定ソリューションアーキテクト - プロフェッショナルの資格を取得しています。”
いろいろランキング
①個人的難易度ランキング
②異質試験ランキング
③長文ランキング
順位 | 難易度 | 異質 | 長文 |
---|---|---|---|
1位 | SAP | PAS | SAP |
2位 | ANS | MLS | DOP |
3位 | DOP | DAS | ANS |
4位 | MLS | ANS | SAA |
5位 | DAS | DBS | DAS |
6位 | SOA | SCS | PAS |
7位 | PAS | DOP | DOA |
8位 | DAS | SOA | SOA |
9位 | SCS | DOA | MLS |
10位 | SAA | SAP | DBS |
11位 | DOA | SAA | SCS |
12位 | CLF | CLF | CLF |
①難易度に関しては、SAP、ANSが突出して高い印象です。それぞれ以下のような特色があります。
- SAPは長文地獄。とにかく時間との勝負になります。
- ANSは2択地獄。他の試験でも2択で迷うことが多くなると思いますが、ANSに関してはネットワークという分野の特性上、技術的には可能な選択肢が残ることが多く、問題文から非機能要件を上手く汲み取る力が必要になります。
②異質度の指標としては、AWS外の知識がどの程度必要かという観点で順位を決めました。1位のPASは5年以上のSAP経験者を対象としているだけにSAP用語が問題や選択肢で容赦なく出現します。2位のMLSは、機械学習の用語こそ基本的なものばかりですが、考え方や数式まで理解するには相応の時間が必要になります。試験に合格することだけが目的ならば、そこまで苦労しないと思います。DASは廃止が決まっていますが、データ分析のあらゆるワークロードが試験範囲になっており、実務経験がないとイメージしづらい問題が多い印象です。4位以下はAWS以外に必要な知識レベルが高い順にしています。
③Professional試験、Associate試験については問題多めだと感じました。特にSAPは問題文、選択肢共に長文のモノが多く時間配分を意識しないと見直しの時間が無くなります。
自身の軌跡
CLF→SAA→SAP→SCS→DBS→DOA→SOA→MLS→DAS→ANS→DOP→PAS
の順番で取得しました。学生時代は予約日など自由に決めることが出来たので望ましい順番通り取得していたのですが、転職してからは毎週特定の曜日に受けようと決めていたため、受験センターの予約状況などもあり、無茶苦茶な順番になってしまいました..
AWS未経験から推奨したいロードマップ
全ての試験を受けて、試験の内容や良く問われる題材を考慮したうえで以下のような順序で受けることをお勧めします。
CLF→SAA→SAP→SCS→DOA→SOA→DOP→DBS→DAS→MLS→ANS→PAS
1. CLF→SAA→SAP:
このステップが一番時間のかかるところだと思います。特にSAA→SAPに関しては要求される知識レベルがぐっと上がり、サービス単体の知識を問う問題が全く無く、複数サービスを組み合わせた問題が出題されます。
2. SCS→DOA→SOA→DOP:
開発者・管理者視点でAWSを利用する場合の知識が問われます。SCS試験をステップに加えているのはspecialty試験の中で概念の理解が容易であることに加え、SOAやDOPはセキュリティ絡みの問題が多い為です。
3. DBS→DAS→MLS:
データに関わる3兄弟の試験のステップになります。DBSはAWSで扱っているデータベースについての専門知識が問われます。ここでDBの基礎知識を固めます。DASはデータ分析に関わる範囲になるのでDBの知識があると学習しやすいです。最後のMLSは機械学習の分野になります。AWSの機械学習サービスの知識に加えて基本的な機械学習の勉強もしなければならないため覚えることが多くなります。数学的な側面の話はごく一部しか出題されないため、そこまで身構えなくても大丈夫です。
4. ANS→PAS:
ネットワークの理論は言葉で説明するのは簡単ですが、クラウド分野のネットワークは抽象度が高いため、物理レイヤーについての知見がないと理解が難しくなります。簡単なネットワーク書籍などを読んでから勉強することをおすすめします。
PASは、必要な知識レベルこそSAA程度ですが、他のAWS認定試験に役立たないSAP用語の勉強の必要があるため最後にしています。また、ベストプラクティスについての理解が浅い状態でPASを受験すると頭の中にある標準的なAWS構成が考えを邪魔する場合があるので、ベストプラクティスをある程度柔軟に考えられるようになってからの受験をおすすめします。
AWS公式のロードマップ
AWS公式からも認定パスがいくつか紹介されています。こちらはロール毎のパスになるため、会社で明確な役割がある場合はこちらを優先して受験の順番を選択することをおすすめします。AWS公式の認定パスを見る
初学者におすすめの一冊
自身がAWSに初めて触れたときに購入した書籍を紹介させてください!恥ずかしながらAWS未経験だった当時は、クラウド=ストレージサービスだと思っていました。。AWSを知ったときは、高度に抽象化された技術に大変驚かされました。そんなAWSの深淵に落ちるきっかけになった一冊です。ネットワークの基礎知識をすぐにAWSに置き換えて理解することができ、実際に手を動かしながらAWSを学ぶことができます。内容自体はAWSの基礎の基礎ですが、資格対策の本を買う前にぜひ手に取ってもらいたい良書だと思います。2014年から出版されており、今年5月に改訂されているようで現在は第4版になっていたので内容もさらに磨かれていることとと思います。
Amazon Web Services基礎からのネットワーク&サーバー
勉強方法
勉強方法はそれぞれ好みがあると思いますので、自身が特に参考になったと思う教材を紹介します。
-
動画&ハンズオン(Udemy)
【ベストセラー完全日本語化】AWS 認定ソリューションアーキテクト アソシエイト SAA-C03 対応 2022 最新版 -
お世話になった書籍
AWS認定 ソリューションアーキテクト − アソシエイト教科書
AWS認定資格試験テキスト&問題集 AWS認定ソリューションアーキテクト - プロフェッショナル -
模擬試験
模擬試験はUdemyで出ているものしか行っていないので他は分かりませんが、品質的には十分だと思います。
→模擬試験は英語で出されているものを日本語訳して使うのがおすすめです。試験の英語翻訳も完璧でない場合があるので、サービス名やよく出る単語については英語名も把握しておくと試験で役に立ちます!Udemy自体の設定が日本語だとうまく翻訳されない場合があるので、Udemyの言語設定を英語にして模擬試験するとうまく翻訳できます。
最後に
AWSの技術は抽象度が高いため、IT分野の学習の中でも比較的理解しやすいと思いますが、ある程度学習が進んできたら抽象度を下げて深堀してみると面白いと思います。
熱意を持ってAWS全認定取得を目指しているすべの方々を応援をしております!