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[最大電力伝送からRoptまで] 1. 最大電力伝送定理(Maximum Power Transfer Theorem)と効率

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Last updated at Posted at 2026-05-15

シリーズ一覧


1. 内部抵抗Rsの直流電圧源と負荷抵抗RL

多くの解説があるのですが、一応説明しておきます。

Maximum power transfer DCV.png
内部抵抗Rsの直流電圧源に接続された負荷抵抗RLに供給される電力および効率は以下の式で求められます。

$$P_L = \left( \frac{V_s}{R_s + R_L} \right)^2 R_L$$
この式を言葉にすると、電圧源V_sに内部抵抗Rsと負荷抵抗RLが直列に接続されているので、$\frac{V_s}{R_s + R_L}$の電流が流れます。その電流は負荷抵抗RLにも流れるので、供給される電力はその電流の2乗に抵抗値を掛けたものになります。
$$\eta = \frac{R_L}{R_s + R_L}$$
この式を言葉にすると、効率は電圧源が供給した全電力に対する負荷抵抗に供給された電力の比率です。その全電力とは内部抵抗において消費された電力と負荷抵抗において消費された電力の和です。流れている電流は同じなので電力の比は抵抗値の比となります。

2. RL依存性

電力の式を $R_L$ で微分し、その傾き(導関数)が 0 になる点を求めます。
$$\frac{dP_L}{dR_L} = V_s^2 \cdot \frac{1 \cdot (R_s + R_L)^2 - R_L \cdot 2(R_s + R_L)}{(R_s + R_L)^4} $$
$$ = V_s^2 \cdot \frac{(R_s + R_L)(R_s - R_L)}{(R_s + R_L)^4}$$
$$ = V_s^2 \cdot \frac{R_s - R_L}{(R_s + R_L)^3}$$

電力が最大(または最小)となるのは、傾きが 0 、つまり $\displaystyle \frac{dP_L}{dR_L} = 0$ になる$R_L = R_s$のときです。

効率の式は$R_L$が大きいほど効率は高くなることを示しています。負荷に供給される電力が最大となる$R_L = R_s$ときのときの効率は50%となります。

電源電圧10V、内部抵抗10Ωに接続した負荷抵抗に供給される電力、内部抵抗に掛かる電圧、負荷抵抗に掛かる電圧、効率の負荷抵抗依存性を計算してみました。

voltage_source_analysis.png

$R_L = R_s$ のとき、内部抵抗 $R_s$ と負荷抵抗 $R_L$ にかかる電圧がちょうど等しくなります($V_s$ の半分)。この瞬間に負荷電力が最大になります。
$R_L = R_s$ で効率は 0.5 (50%) です。$R_L$ を大きくすると電圧 $V_{RL}$ は電源電圧 $V_s$ に近づき、効率も上がりますが、電流が減るため電力は低下していきます。

3. 内部コンダクタンスGsの直流電流源と負荷コンダクタンスGL

ほとんど電圧源と同じなのですが、一応説明しておきます。

Maximum power transfer DCC.png

内部コンダクタンスGsの直流電流源に接続された負荷コンダクタンスGLに供給される電力および効率は以下の式で求められます。

$$P_L = \left( \frac{I_s}{G_s + G_L} \right)^2 G_L$$
この式を言葉にすると、電流源I_sに内部コンダクタンスGsと負荷コンダクタンスGLが並列に接続されているので、$\frac{I_s}{G_s + G_L}$の電圧が生じます。負荷抵抗RLに供給される電力はその電圧の2乗にコンダクタンス値を掛けたものになります。
$$\eta = \frac{G_L}{G_s + G_L}$$

4. GL依存性

電力の式を $G_L$ で微分すると、$G_L = G_s$ときに0をとるので、このときに負荷に供給される電力が最大となります。

効率の式は$G_L$が大きいほど効率は高くなることを示しています。負荷に供給される電力が最大となる$G_L = G_s$ときのときの効率は50%となります。

電源電流1A、内部コンダクタンスj0.1Sに接続した負荷コンダクタンスに供給される電力、内部コンダクタンスに流れる電流、負荷コンダクタンスに流れる電流、効率の負荷抵抗依存性を計算してみました。

current_source_analysis.png

$G_L = G_s$ のとき、内部コンダクタンス $G_s$ に流れる電流と負荷 $G_L$ に流れる電流が等しくなります($I_s$ の半分)。ここで負荷電力は最大となります。
$G_L = G_s$ でやはり効率は 50% です。コンダクタンス $G_L$ を大きくする(=抵抗を小さくする)ほど効率は上がりますが、端子電圧が下がるため電力は低下します。

5. まとめ

今回見た最大電力伝送定理は、単なる「RL = Rsで最大になる」という公式ではなく、
電流源が持つ有限の出力能力がどのように負荷に分配されるかという問題です。

ノートン等価回路で考えると、回路は「電流源」と「内部コンダクタンス(Gs)」、そして「負荷(GL)」の並列接続になります。
ここで重要なのは、電流源から供給される電流は、内部と負荷の両方に分かれて流れるという点です。

負荷を軽く(GLを小さく)すると、多くの電流は内部側に逃げてしまい、負荷にはあまり電力が届きません。
逆に負荷を重く(GLを大きく)すると、今度は電圧が十分に立ち上がらず、やはり電力は増えません。

この2つのバランスがちょうど釣り合う点、すなわち
GL = Gs(⇔ RL = Rs)となるとき、負荷に供給される電力が最大になるのです。

ここで一つ重要な事実があります。
このとき、負荷に供給される電力は最大になりますが、同時に内部にも同じだけの電力が消費されています。
つまり効率は50%にとどまります。

これは「無駄が多い」のではなく、むしろ
有限の出力能力を持つ電源から最大のパワーを引き出そうとすると、必然的に内部損失と同程度のエネルギーを支払う必要がある
ということを意味しています。

次回

ここまでの議論では、抵抗だけを扱ってきました。

しかしRF回路では、
コイルやコンデンサによって電圧と電流の位相がずれ、
負荷は「抵抗」ではなく
複素インピーダンスとして振る舞います。

次回は、
最大電力伝送定理を交流回路へ拡張し、

  • なぜ「複素共役整合」が必要なのか
  • なぜ反射が起きるのか

を整理していきます。

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