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さわってみよう Db2 AI エディション #9 〜v12.1.5新機能編 Part#1〜

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Last updated at Posted at 2026-07-02

IBM Db2 12.1.5が利用可能に:ミッションクリティカルなデータが存在する場所にAIをもたらします

当記事ではDb2 for Linux, Unix, Windows v12.1.5の新機能のハイライトをご紹介します。
この記事は下記の翻訳版です。
"IBM Db2 12.1.5 now available: Bringing AI to where your mission critical data already lives"
https://www.ibm.com/new/announcements/ibm-db2-12-1-5-now-available-bringing-ai-to-where-your-mission-critical-data-already-lives

Db2 12.1.5では、DiskANNベクトル・インデックス作成、SQLベースのAIモデルのネイティブ呼び出し、FIPS 140-3への準拠、HADRトポロジーの拡張、および一連の運用上の改善が導入されます。

IBMは2026年6月25日、Linux、UNIX、およびWindows向けDb2 12.1.5の一般提供開始を発表しました。
この最新のModパック(補足:Db2 Modification Pack。重要な新機能や機能拡張を導入する、ソフトウェア・アップデートのこと)は、ミッションクリティカルなワークロードに求められるパフォーマンス、拡張性、可用性、セキュリティを維持しつつ、組織がAI主導のアプリケーションを開発できるよう支援するように設計されています。

今回のリリースはDb2 12.1のAI基盤をさらに発展させたもので、ベクトルデータのインデックス作成機能や外部AIモデルとのより高度な統合に加え、高可用性、セキュリティ、運用効率にわたる広範な機能強化が導入されています。

Db2の5つの主要な機能強化

1.量子セキュリティとコンプライアンスの強化

Db2 12.1.5ではGSKit 9が採用され、コンプライアンス基準がFIPS 140-3に引き上げられました。
これにより、暗号モジュールが厳格な量子セキュリティ要件を満たすことが保証されます。
GSKit 9は最新の鍵カプセル化メカニズムを完全にサポートしており、従来のアルゴリズムと量子耐性*1アルゴリズムの両方を利用して、差し迫った脅威からデータを保護し、将来の量子コンピューティングのリスクに対する耐性を強化します。
(*1)https://www.ibm.com/think/perspectives/how-ibm-db2-quantum-safe-approach-protects-enterprise-data

セキュリティ機能の強化として、SQLクエリを使用してサーバー側のTLS証明書チェーン情報を容易に取得できる新しいインターフェース「ADMIN_GET_TLS_CERT」が導入されました。
これにより、ユーザーはサーバー証明書の有効期限を容易に監視・管理し、サーバーへの接続を継続的に維持できるようになります。
最新のセキュリティ・ベストプラクティスおよびコンプライアンス要件に準拠し、オンラインでの鍵取得機能によって、データベースを停止することなくJWT(JSON Web Token)署名検証鍵を更新できるようになり、ローカル・キーストア管理にかかるユーザーの負担が軽減されます。
また、ファイル権限の制限範囲が拡大され、Db2ファイルの「全ユーザー読み取り可能(world-readable)」および「全ユーザー実行可能(world-executable)」な設定も対象となったことで、データベース管理者がファイル・アクセスを適切に制御できるようになりました。
LDAPにDb2サーバーやデータベースの詳細を登録する際、鍵データベースやスタッシュ・ファイルのクライアント・パスを指定できるようになり、クライアント構成の設定が簡素化されました。

これらの機能は、組織が進化するコンプライアンス要件を満たすのを支援すると同時に、管理上の負担を軽減します。

2.テキスト検索のモダナイゼーション
Db2 12.1.5は、クラス最高レベルのセルフホスト型外部検索エンジンであるOpenSearchおよびElasticsearchとの統合により、全文検索機能*2をモダナイズします。
(*2)https://community.ibm.com/community/user/blogs/satya-kundeti/2026/06/22/db2-text-search-modernization
ユーザーは既存の操作方法をそのまま利用できます。
ネイティブのテキスト検索、OpenSearch、Elasticsearchのいずれを使用する場合でも、コマンドや手法は共通です。
これにより、ユーザーはネイティブのテキスト検索エンジンから、より優れたパフォーマンスと拡張性を備え、継続的なオープンソースのイノベーションを享受できる最新のOpenSearchやElasticsearch技術へと移行を開始できます。
今回のリリースでは、これら3つの検索エンジンすべてを利用して、インデックス作成のパフォーマンスをテストしたり、段階的にインデックスを移行したりすることが可能です。

新しいテキスト検索エンジンは、導入後すぐに高度な検索機能を提供します。
単純な用語検索、完全一致フレーズ検索、ワイルドカード検索、あいまい検索、近接検索、ブール検索、類義語検索に加え、本リリースで新たに追加された音声検索(発音ベースの検索)にも対応しており、「Meyer」、「Mayer」、「Meier」といった表記の揺れも一致対象となります。
デフォルトで大文字・小文字を区別しない照合が行われるほか、Apache Tikaとの統合により、CJK(中国語・日本語・韓国語)などの言語処理や、PDF、Word、Excel、ZIPファイルといった多様なドキュメント形式への対応も実現しています。
また、SSL認証によるセキュアなHTTPS通信に対応しており、エンタープライズ環境での利用に適した仕様となっています。

3.プラットフォーム、デプロイ、開発者エクスペリエンス
今回のリリースでは、RPM(Red Hat Package Manager)ベースのインストールが導入され、デプロイメント、更新、依存関係の管理に標準的なLinuxツールを使用できるようになりました。
プラットフォーム・サポートも拡充され、リモート・テーブルスペースおよびDatalake SoftwareにおいてPPCLE(Power Linux Little Endian)がサポートされるようになりました。
また、Db2 12.1.5ではAIX上でのAWS SDKサポートが導入され、リモート・ストレージにエイリアスを設定してDb2から直接アクセスすることが可能になりました。
これにより、データ・インジェスト、ロード、バックアップ、ログのアーカイブ、監査などの操作において、AIXからAWS S3オブジェクト・ストレージへの最適化されたアクセスが実現します。
フェデレーテッド・システムにおいては、ソース・データベースで定義されたデフォルト・パラメータ値が、ソース・ストアド・プロシージャでサポートされるようになりました。
これにより、明示的なパラメータ入力の必要性が低減し、リモート環境とフェデレーテッド環境間での動作の一貫性が確保されるとともに、全体的な使いやすさが向上します。

4.運用効率の向上
IBM Db2 12.1.5では、スキーマの変更(スキーマ・エボリューション)、パフォーマンス、および監視の各領域において、データベース管理者の業務を支援する新機能が導入されました。

列編成表(カラム・オーガナイズド・テーブル)におけるスキーマ変更機能が拡張されました。
これにより、NOT NULL制約の追加や、整数型・数値型ファミリー内でのデータ型変更といった表構造の変更を、ダウンタイムやデータの全面的な書き換えなしに行えるようになります。
これは、本番環境における継続的な可用性を維持する上で不可欠な機能です。
また、Db2 12.1.5では、Db2 pureScaleのインストール、Modパックの更新、およびバージョン・アップグレードにかかる時間が大幅に短縮されました。
社内テストによると、Linux環境でのModパック更新は最大45%高速化しています。
ライセンスおよび使用状況に関する新しいテレメトリー機能により、ライセンス消費状況を詳細に把握できるようになりました。
これにより、組織は保有ライセンスに対する使用状況の追跡、最適化の機会の特定、および監査時のコンプライアンス対応が可能になります。
監視機能も強化され、MON_GET_TABLEへの表プロパティの追加や、複雑なトラブルシューティング・シナリオにおける診断機能の改善が行われました。
さらに、アダプティブ圧縮表および範囲パーティション表向けにREORGCHKの計算式が更新され、最適なタイミングでの再編成が推奨されるようになりました。
これにより、パフォーマンス向上のために必要な場合にのみメンテナンスが実行されるようになります。

5.データレイク機能の強化
Db2 12.1.5では、バージョン12.1.4で追加された機能を基盤とし、Db2のネイティブなIcebergデータレイクテーブルに対して大幅な機能強化が行われました。
今回の更新には、組み込みのIceberg RESTカタログやAzure ADLS Gen2ストレージへの対応が含まれており、最新のデータレイク・エコシステムやハイパースケーラーのネイティブ・ストレージとのシームレスな統合が可能になります。
これにより、企業はACID準拠やエンタープライズレベルのパフォーマンスといった利点を維持しつつ、従来のDPF(Database Partitioning Feature)構成を拡張し、オープンデータ形式やIcebergオープンテーブル形式で保存されたデータに直接アクセスできるようになります。

データベース内でのAI機能の拡張

Db2 12.1.5は、DiskANN技術を活用したベクトル・インデックス機能*3をデータベースエンジンに組み込みました。
(*3)https://community.ibm.com/community/user/blogs/christian-garcia-arellano/2026/02/09/vector-indexes-in-db2-understanding-the-search-acc

これにより、セマンティック検索、レコメンデーションエンジン、RAG(検索拡張生成)といったAIユースケースにおいて、高速かつスケーラブルな類似性検索が可能になります。

さらに、AIワークフローを簡素化するため、Db2は外部AIモデルとのネイティブな統合を実現しています。
開発者は、watsonx.aiやOpenAI互換エンジン上のモデルを登録し、TO_EMBEDDINGやTEXT_GENERATIONといったSQL関数を使って直接呼び出すことができます。
この仕組みにより、データをデータベース外に移動させることなく、アプリケーション側で埋め込み(エンベディング)やテキストの生成を行えるため、レイテンシー、複雑性、セキュリティリスクを低減できます。

これらの機能を備えたDb2は、個別のベクトルデータベースや複雑なデータパイプラインを必要とすることなく、トランザクション、分析、AIの各ワークロードに対応する包括的なAIデータプラットフォームとしての役割を果たします。

常時稼働する企業向けの可用性を強化

Db2 12.1.5では、高可用性(HA)および災害復旧(DR)の導入における柔軟性が向上しました。
組織は、地理的に異なる地域にまたがる3つ以上のスタンバイの配置、レポート作成ワークロード専用のスタンバイ、グローバル展開向けの階層型(カスケード)HADR構成など、より高度なDRトポロジーを導入できるようになります。

統合されていないDb2スナップショットに対するアーカイブ・ログの自動削除機能は、リカバリーに不要となったアーカイブ・ログを自動的に削除することでバックアップ管理を簡素化し、ストレージ消費量と運用負荷を低減します。

また、今回のリリースでは、統合されたPacemakerクラスター・マネージャーによるDb2の高可用性自動化機能も大幅に強化されています。

Db2 12.1.5のPacemaker自動化機能では、Qdeviceホスト・ソリューションの代替として、クォーラム・ディスクによるタイブレーカー(調停)がサポートされるようになりました。Pacemakerを使用するDb2 pureScale環境において、これにより、タイブレーカー専用のホストを別途用意する必要がなくなります。
Pacemakerを使用するHADR環境において、Db2 12.1.5はクォーラム・ノード・フェンシングをサポートするようになりました。
これにより、クラスター・マネージャーに影響を及ぼすエラーが発生した場合でも、自動復旧が可能になります。
新しいリソース分離機能により、仮想IP(VIP)、オーバーレイIP(OIP)、およびロードバランサー(LBL)のリソースをより早期に移動できるようになり、複雑な高可用性構成における柔軟性が向上しました。
これらの更新により、クラウド環境やハイブリッド環境において「ファイブ・ナイン(99.999%)」の可用性を実現し、組織がハイブリッド環境やクラウド環境全体で継続的な可用性を確保できるよう支援します。

AI対応のエンタープライズ向けに構築

Db2 12.1.5は、AI機能をエンタープライズ・データに直接組み込むという明確な方向性を示しており、断片化したアーキテクチャや複雑なデータ・パイプラインの必要性を低減します。
統合されたベクトル検索、外部モデルのサポート、最新のデータ・アーキテクチャ、そしてエンタープライズ・レベルの回復力を組み合わせることで、Db2は、極めて重要なワークロードの制御を維持しつつ、組織によるAI導入の加速を支援します。
IBM Db2 12.1.5は、Db2 12.1向けのModパックとして2026年6月25日に提供開始され、Fix Central*4からダウンロード可能です。
(*4)https://www.ibm.com/support/pages/download-db2-fix-packs-version-db2-linux-unix-and-windows

Db2関連のウェビナー(英語)へのお申し込みはこちらから
https://community.ibm.com/community/user/groups/community-home/recent-community-events?communitykey=ea909850-39ea-4ac4-9512-8e2eb37ea09a

Db2についてもっと詳しくはこちら
https://www.ibm.com/products/db2

Db2マニュアルのv12.1.5新機能に関する記述はこちら
https://www.ibm.com/docs/en/db2/12.1.x?topic=new-1215

さわってみよう Db2 AIエディション・シリーズのご紹介

過去記事のご紹介
"さわってみよう Db2 AIエディション"の#1から#5は何もAIアシスタントでできることをご紹介しています。
#6と#7はモニタリング機能についてご紹介しています。
#8は耐量子暗号化機能についてご紹介しています。

#1では、Db2入門者、初心者には作成が難しいと思われる複雑なSQLをAIアシスタントを使って作成しています。加えて、Db2 Genius Hub概要、無料評価版のダウンロードサイトやマニュアルURLもご紹介しています。#1からお読みいただくことをお勧めいたします。
さわってみよう Db2 AI エディション #1 〜エージェント型AIアシスタント編 Part#1〜
https://qiita.com/ibm_tk/items/e763bbea3fcf5e8a27a9

#2では、AIアシスタントでデータベースの稼働状況のサマリーを表示しています。
さわってみよう Db2 AI エディション #2 〜エージェント型AIアシスタント編 Part#2〜
https://qiita.com/ibm_tk/items/e11986879f6eca23c249

#3では、AIアシスタントでデータベースの応答時間の履歴を表示しています。
さわってみよう Db2 AI エディション #3 〜エージェント型AIアシスタント編 Part#3〜
https://qiita.com/ibm_tk/items/24647bc2db6a3a266d7c

#4では、AIアシスタントでデータベースのバックアップ履歴とプロセッサー利用状況の履歴を表示しています。
さわってみよう Db2 AI エディション #4 〜エージェント型AIアシスタント編 Part#4〜
https://qiita.com/ibm_tk/items/8d11c4e9fd39740d923d

#5では、AIアシスタントでクエリのスループットを表示しています。
さわってみよう Db2 AI エディション #5 〜エージェント型AIアシスタント編 Part#5〜
https://qiita.com/ibm_tk/items/e2583b00f624e351ce02

#6の"さわってみよう Db2 AIエディション#6 〜モニタリング編 Part#1〜"ではモニタリング機能をご紹介しています。
https://qiita.com/ibm_tk/items/cdedc3a878998199cfee

#7の"さわってみよう Db2 AIエディション#7 〜モニタリング編 Part#2〜"では監視(モニター)レポート作成機能をご紹介しています。
https://qiita.com/ibm_tk/items/81608900a0e2c89c18fc

#8の"さわってみよう Db2 AIエディション#8 〜耐量子暗号化機能編 Part#1〜"では耐量子暗号化機能とその背景について概説しています。
https://qiita.com/ibm_tk/items/57a115c0d284697dd147

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