HTML を書いて表示を確かめるための環境を準備します。Eclipse の準備は入門シリーズ共通の「開発環境の準備」で行い、この章では HTML のファイルを置くプロジェクトを作って、Tomcat から Chrome にページを送れるようにします。この章で準備した環境を、最後の章まで使い続けます。
この章で学ぶこと
- Eclipse(Pleiades All in One)と Google Chrome の準備(共通の「開発環境の準備」で行う)
- HTML のファイルを置く動的 Web プロジェクト
htmlの作成 - Tomcat のポートを 80 に変えて、プロジェクトを動かす設定
- Tomcat の起動と停止、Chrome での動作確認
2.1 この教材で使うもの
この教材では、次の2つのソフトウェアを使います。サーバーの Tomcat は Eclipse に同梱されているので、別にインストールする必要はありません。インストールの手順は、入門シリーズ共通の 「開発環境の準備(Windows版)」 にまとめています。mac で取り組むときは、「開発環境の準備(macOS版)」 を使います。
| ソフトウェア | この教材での役割 | 準備の手順 |
|---|---|---|
| Eclipse (Pleiades All in One 2026) |
HTML や CSS のファイルを作って書く。Tomcat の起動と停止もここから行う。Java と Tomcat が同梱されている | 「開発環境の準備」4「Eclipse(Pleiades All in One)」 |
| Google Chrome | ページの表示を確かめるブラウザ | 「開発環境の準備」3「Google Chrome」 |
| (Windows の設定) | ファイルの拡張子(.html など)を表示する |
「開発環境の準備」2「ファイルの拡張子を表示する」 |
- 「開発環境の準備」 を開き、「2 ファイルの拡張子を表示する」「3 Google Chrome」「4 Eclipse(Pleiades All in One)」を行います。
- 終わったら、この章に戻って、2.2 に進みます。
2.2 動的 Web プロジェクトを作る
Eclipse では、作るファイルを プロジェクト という単位でまとめて管理します。HTML や CSS のファイルを Tomcat からブラウザに送るには、動的 Web プロジェクト という種類のプロジェクトを作ります。この教材では、プロジェクトの名前を html にします。
- 画面左の「パッケージ・エクスプローラー」にある「動的 Web プロジェクトを作成します」をクリックします。

図2-1 「動的 Web プロジェクトを作成します」をクリック(赤枠)
-
「新規動的 Web プロジェクト」の画面が表示されます。「プロジェクト名」に
htmlと入力します。「ターゲット・ランタイム」に「Tomcat11 (Java25)」が選ばれていることも確認します。ターゲット・ランタイムは、このプロジェクトを動かすサーバーです。最初から選ばれているので、変える必要はありません。それ以外の項目も、最初から入っている値のままでかまいません。

図2-2 プロジェクト名に html と入力(赤枠)して「次へ」
入力したら「次へ」をクリックします。
-
「Java」の画面が表示されます。この教材では Java を書かないので、何も変えずに「次へ」をクリックします。
-
「Web モジュール」の画面が表示されます。次の2つの値になっていることを確認して、「完了」をクリックします。
項目 値 意味 コンテキスト・ルート htmlURL の http://localhost/html/のhtmlの部分になる名前コンテンツ・ディレクトリー src/main/webappHTML や CSS のファイルを置くフォルダー

図2-3 コンテキスト・ルートとコンテンツ・ディレクトリーを確認して「完了」
- パッケージ・エクスプローラーに
htmlプロジェクトができます。プロジェクトの左の「>」をクリックして開き、src→main→webappの順にフォルダーを開いて、webappフォルダーがあることを確認します。

図2-4 作成した html プロジェクトと webapp フォルダー
webapp フォルダーの中には、META-INF と WEB-INF の2つのフォルダーが最初から作られています。どちらも、この教材では使いません。
【再確認】プロジェクト名は小文字の html
プロジェクト名は、必ずすべて小文字で html と入力してください。プロジェクト名は URL の一部になります。この教材の URL(http://localhost/html/…)と同じ名前にしておかないと、教材のとおりに URL を開いてもページが表示されません。
【知識メモ】webapp フォルダーの役割
Tomcat がブラウザに送るのは、webapp フォルダーの中のファイルです。第3章からは、この webapp フォルダーのすぐ下に章ごとのフォルダー(ch03 など)を作り、その中に HTML のファイルを作ります。WEB-INF フォルダーの中に置いたファイルは、ブラウザに送られません。src/main/java などのほかのフォルダーは、Java のプログラムを書くときに使うもので、この教材では使いません。
2.3 Tomcat を準備する
Pleiades には、同梱の Tomcat を使うサーバーの設定が、最初からいくつか登録されています。この教材では、その中の Tomcat11_Java25(Tomcat 11 を Java 25 で動かす設定)を使います。Pleiades の版によって、名前の Java の番号(Java25)は変わります。名前が違うときは、いちばん新しい Tomcat の行を使い、以後の「Tomcat11_Java25」を読み替えてください。
Tomcat はポート番号 8080 でリクエストを受け付ける設定になっています。この教材では、URL にポート番号を書かなくてよいように、80 に変えて使います(第1章「URL の読み方」)。
ポートを 80 に変える
- 画面の下にある「サーバー」タブをクリックします。「サーバー」タブが見当たらないときは、メニューの ウィンドウ → ビューの表示 → サーバー で表示できます。登録されている6つのサーバーの一覧が表示されます。どれも、まだ動いていないので「[停止]」と表示されています。

図2-5 サーバー・ビュー(赤枠の Tomcat11_Java25 を使う)
-
「Tomcat11_Java25」をダブルクリックします。エディターに、サーバーの「概要」が表示されます。
-
右側の「ポート」の欄で、ポート名が「HTTP/1.1」の行のポート番号
8080をクリックし、80に書き換えて Enter キーを押します。ほかの行(「Tomcat 管理ポート」)は変えません。

図2-6 HTTP/1.1 のポート番号を 80 に書き換える(赤枠)
書き換えると、エディターのタブの名前が「*Tomcat11_Java25」のように、先頭に * が付いた表示に変わります(図2-8 の左)。* は、変更をまだ保存していない という印です。この状態では、変更はまだ Tomcat の設定に反映されていません。
- 保存します。保存は、ツールバーの 保存ボタン(図2-7 の赤枠)をクリックするか、Ctrl + S キーを押して行います。どちらで保存しても同じです。
保存したら、タブの名前の先頭の * が 消えたことを必ず確認 します(図2-8 の右)。* が消えていれば、保存できています。

図2-8 保存前と保存後のタブ(左:保存前は * が付いている、右:保存後は * が消えた)
- エディターのタブの「×」をクリックして、「概要」を閉じます。
【再確認】 が消えたことを確認する*
タブに * が付いたままのときは、まだ保存されていません。保存しないまま進めると、Tomcat は 8080 のまま起動し、教材の URL でページを開けません。先に進む前に、* が消えていることを確認してください。
この確認は、第3章から HTML や CSS のファイルを書くときも同じです。ファイルを書き換えたら、保存ボタンか Ctrl + S で保存し、タブの * が消えたことを確認してから、Chrome で表示を確かめます。
プロジェクトを Tomcat に追加する
Tomcat に、どのプロジェクトのファイルを送るかを教えます。
- サーバー・ビューの「Tomcat11_Java25」を右クリックし、「追加および除去」を選びます。
- 「追加および除去」の画面が表示されます。左の「使用可能」の一覧から
htmlを選び、「追加」をクリックします。
-
htmlが右の「構成済み」の一覧に移ったことを確認して、「完了」をクリックします。

図2-11 html が「構成済み」に移ったら「完了」をクリック(赤枠)
サーバー・ビューの「Tomcat11_Java25」の左に「>」が付き、開くと html が入っていることを確認できます。
Tomcat を起動する
- サーバー・ビューの「Tomcat11_Java25」を右クリックし、「開始」を選びます。
- 「Windows セキュリティの重要な警告」が表示された場合は、「アクセスを許可する」をクリックします。
- サーバー・ビューの「Tomcat11_Java25」の右側が「[起動済み, 同期済み]」になれば、起動は完了です。「Tomcat11_Java25」の下には、追加した
htmlも表示されます。
- 「コンソール」タブをクリックして、Tomcat のメッセージを見ます。最後の行に「サーバーの起動 [○○] ミリ秒」と表示されています(○○には数字が入ります)。その少し上の「プロトコルハンドラー ["http-nio-80"] を開始しました。」の行の
80は、Tomcat がポート 80 でリクエストを受け付けていることを表しています。

図2-13 起動したときのコンソール(赤枠:ポート 80 で開始した行と、起動が完了した行)
【ご注意】コンソールの文字が赤くても慌てない
Tomcat のメッセージは、エラーでなくても赤い文字で表示されます。行の先頭が「情報:」のメッセージは、Tomcat の動きを知らせるもので、エラーではありません。最後に「サーバーの起動 [○○] ミリ秒」と表示されていれば、正しく起動しています。
【ご注意】「ポートが使用中」と表示されたとき
起動するときに、ポートがすでに使われているというメッセージが表示された場合は、ほかのソフトウェアがポート 80 を使っています。付録A「ポート 80 が使えない」を読んで対処してください。
2.4 動作確認
Tomcat が Chrome からのリクエストに応えられることを確かめます。
- Chrome のアドレスバーに
http://localhost/html/と入力して、Enter キーを押します。

図2-14 アドレスバーに http://localhost/html/ と入力したところ(赤枠)
- 「HTTPステータス 404 – 見つかりません」という画面が表示されることを確認します。

図2-15 Tomcat が返した 404 の画面(赤枠:アドレスバー)
図2-14 と図2-15 のアドレスバーを見比べてください。入力したときは http://localhost/html/ でしたが、ページが表示されると、先頭の http:// が省略されて localhost/html/ と表示されます。Chrome が表示を短くしているだけで、開いている URL は入力したものと同じです。
この画面は、Tomcat が返したエラーの画面 です。Chrome のリクエストを Tomcat が受け取り、「求められたファイルが見つからない」というレスポンスを返したことを表しています。html プロジェクトには、まだ HTML のファイルが1つも無いので、この画面が表示されれば正しく動いています。第3章で HTML のファイルを作ると、ページが表示されるようになります。
【知識メモ】ステータスコード
404 は、レスポンスの結果を表す ステータスコード という番号で、「見つからない」という意味です。ページが正しく返されたときのステータスコードは 200 で、このときは画面に番号は表示されません。
【ご注意】「このサイトにアクセスできません」と表示されたとき
これは Chrome 自身のエラー画面 で、Tomcat に接続できなかったことを表します。サーバー・ビューで「Tomcat11_Java25」が「[起動済み, 同期済み]」になっているか、ポートを 80 に変えて保存したか(2.3)を確かめてください。
Tomcat の停止と、次回の起動
学習を終えるときは、サーバー・ビューの「Tomcat11_Java25」を右クリックし、「停止」を選んで Tomcat を止めます。Eclipse を終了したときも、Tomcat は止まります。
次に学習するときは、Eclipse を起動してから、2.3 の「Tomcat を起動する」と同じ手順で Tomcat を起動します。ポートの変更とプロジェクトの追加は、もう一度行う必要はありません。
2.5 うまくいかないときは
| 症状 | 考えられる原因と対処 |
|---|---|
| ターゲット・ランタイムに「Tomcat11 (Java25)」が表示されない | Full Edition ではない版をダウンロードした可能性があります。ファイル名に _jre が含まれる Full Edition をダウンロードし直してください。 |
| Tomcat の起動で、ポートが使用中というメッセージが出る | ほかのソフトウェアがポート 80 を使っています。付録A「ポート 80 が使えない」を参照してください。 |
| Chrome に「このサイトにアクセスできません」と表示される | Tomcat が起動していないか、ポートが 80 になっていません。サーバー・ビューの状態と、ポートの設定(2.3)を確かめてください(付録A「ページが表示されない」)。 |
インストールでのつまずきは、「開発環境の準備」の「うまくいかないときは」 を見てください。
2.6 まとめと確認問題
まとめ
- この教材で使うのは Eclipse(Pleiades All in One 2026 の Full Edition。Java と Tomcat が同梱)と Chrome の2つ。インストールの手順は、入門シリーズ共通の「開発環境の準備」にまとめてある
- 動的 Web プロジェクト
htmlを作った。HTML や CSS のファイルはsrc/main/webappフォルダーの中に作る - サーバーは Tomcat11_Java25 を使い、ポートを 80 に変えて、
htmlプロジェクトを追加した - エディターのタブに
*が付いているのは、まだ保存していないという印。保存ボタンか Ctrl + S で保存し、*が消えたことを確認する - Tomcat は、サーバー・ビューの右クリックメニューの「開始」「停止」で起動・停止する
-
http://localhost/html/を開いて、Tomcat が返した 404 の画面が表示されることを確かめた
確認問題
問1 この教材でサーバーとして使う Tomcat は、どこにありますか。また、どこから起動・停止しますか。
解答を見る
Eclipse(Pleiades All in One の Full Edition)に同梱されているので、別にインストールしません。起動と停止は、Eclipse のサーバー・ビューで Tomcat を右クリックして「開始」「停止」を選んで行います。
問2 HTML や CSS のファイルは、html プロジェクトのどのフォルダーの中に作りますか。
解答を見る
src/main/webapp フォルダーの中です。Tomcat がブラウザに送るのは、このフォルダーの中のファイルです。
問3 Tomcat のポートを 8080 のまま使った場合、第3章で作る ch03 フォルダーの hello.html を開く URL はどうなりますか。
解答を見る
http://localhost:8080/html/ch03/hello.html です。ポートを 80 に変えたので、この教材では :8080 を書かずに http://localhost/html/ch03/hello.html で開けます。
問4 http://localhost/html/ を開いたとき、「HTTPステータス 404 – 見つかりません」と表示される場合と、「このサイトにアクセスできません」と表示される場合では、何が違いますか。
解答を見る
「HTTPステータス 404」は Tomcat が返した画面で、Tomcat は動いていて、ファイルが見つからなかったことを表します。「このサイトにアクセスできません」は Chrome 自身のエラー画面で、Tomcat に接続できなかったこと(起動していない、ポートが違うなど)を表します。



