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【道を考える③】茶道

Last updated at Posted at 2025-09-06

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背景と目的

芸道の中で茶道を整理してみる。

1. 茶道の起源

1.1. 茶経

『茶経』(ちゃきょう、拼音: chájīng、旧字体:茶經)は、中国唐代(8世紀頃)の、陸羽によって著された書物である。
wikipedia:茶経より

日本へは遣唐使や中国からの留学僧によってもたらされたと言われている。

1.2. 喫茶

栄西(1141-1215)が南宋で禅を学び、その中で宋代の茶を「喫茶養生記」にしてまとめた。
喫茶は、茶を喫む(飲む)こと。
養生は、生(命)を養う(大切にする)ことになる。
茶の栽培は、1100年代に日本国内で広がる。

1.3. わび茶

村田珠光(むらた じゅこう,しゅこう:1423-1502)は、室町時代に”わび茶”を始めた。珠光は、僧名であった。
訪問した客をもてなす"茶の湯"の原型を始めた。

武野紹鷗(たけの じょうおう:1502-1555)は、堺の商人であり茶人。
珠光の弟子である"宗珠"の弟子になる。

千利休(せんの りきゅう:1522-1591)は、紹鷗と同じく商人であり茶人。
わび茶を完成させた人と言われている。

村田珠光→宗珠→武野紹鷗→千利休
現在の表千家に連なる。

1.4. 茶の本

明治時代の岡倉覚三は「The Book of tea (茶の本)」をアメリカで英語にて発行した。

茶の本 目次
第一章 人情の碗
第二章 茶の諸流
第三章 道教と禅道
第四章 茶室
第五章 芸術鑑賞
第六章 花
第七章 茶の宗匠
「茶の本」より

茶道は、道教の流れを多いに含む。

茶の湯は、茶、花卉(かき)、絵画等を主題に仕組まれた即興劇であった。(中略)
すべての行動を単純に自然に行うーこういうのがすなわち茶の湯の目的であった。そしていかにも不思議なことに、それがしばしば成功したのであった。
そのすべての背後には微妙な哲理が潜んでいた。
茶道は道教の仮りの姿であった。
「茶の本」P39

道教の中に"虚"の概念がある。

水さしの役に立つところは水を注ぎこむことのできる空所にあって、その形状や製品のいかんには存じない。虚はすべてのものを含有するから万能である。
おのれを虚にして他を自由に入らすことのできる人は、すべての立場を自由に行動することができるようになるであろう。全体は常に部分を心配することができるのである。
「茶の本」P46

"茶の湯"を構成する空間に、登場する要素は少ない。
その少ない状態中で演出する。
少ない演出の中で"虚"が生まれ、より強く要素を感じる可能性が高くなる。

2. 茶道の行動規範

2.1. 茶道の前提1:もてなす

"もてなす"は、"持て成す"と"饗す"の2つの漢字表記がある。
"持て成す"とは、”持つ”と”成す”からできている。

「持て成し」はさらに、「持て」と「成す」という2つの言葉から成り立っており、それぞれ
「持て」→ (何かを)手にして/持って、(何かを)使って
「成し」→物事を確実に行う、成し遂げる
と言う意味合いがあります。
これらをまとめると、「もてなし(持て成し)」とは
「(何かを)手にして・使って、物事を成し遂げる」となります。
国際おもてなし協会:「おもてなし」とは?

"饗す"(もてなす)は、ごちそうする。

①あえ。もてなし。ごちそう。「饗告」 ②もてなす。ごちそうする。「饗応」 ③うける。もてなしを受ける。
会意形声。と、鄕(キヤウ)(むかう、もてなす)とから成り、何人かが向かいあって食べる食事の意を表す。
漢字ペディア:饗

"茶の湯"には、2つの役がある。
もてなす側の"亭主"ともてなされる"客人"である。
"亭主"は参加者の可能性をひろげ、
"客人"は"亭主"のもてなしを楽しむ。

2.2. 茶道の前提2:調和

茶道に”点前(てまえ)”という茶を点てる動作がある。
利休百首では、"点前"について多くを語っている。

点前には 弱みをすてて ただ強く
 されど風俗 いやしきを去れ
点前には 強みばかりを 思うなよ
 強きは弱く 軽く重かれ
利休百首ハンドブックより

「茶の本」で”すべての行動を単純に自然に行う”と示しているように、
点前は、茶事(正式な茶会)の流れを和らげるよう動作をする。

「茶の本」で禅と茶道のつながりを示している。

禅の主張によれば、事物の大相対性から見れば大と小との区別はなく、一原子の中にも大宇宙と等しい可能性がある。(中略)
茶道いっさいの理想は、人生の些事の中にでも偉大を考えるというこの禅の考えから出たものである。
「茶の本」P49,50

茶室の"しつらえ"、置かれる道具、点前での動作は、一つ一つは小さな事物だが、一つ一つの可能性は等しいという考えがある。
そういう意味で、ひとつひとつの所作が大事であるという意図が見える。

9. リンク

URL

wikipedia:茶経
冨永園茶舗:茶の伝来と日本の茶
伊藤園 お茶百科:日本でのお茶の歴史
伊藤園 お茶百科: 茶関連歴史年表
wikipedia:明菴 栄西
wikipedia:喫茶文化
wikipedia:村田珠光
【茶人列伝】村田宗珠
wikipedia:千利休
wikipedia:わび茶
wikipedia:三千家
表千家 HP
wikipedia:岡倉天心(岡倉覚三)
wikipedia:道教
漢字ペディア:饗
国際おもてなし協会:「おもてなし」とは?語源からひもとく本当の意味/サービス・ホスピタリティとの違い

書籍

岡倉 覚三, 村岡 博 (訳)(1961).茶の本.岩波書店.
淡交社編集局(2013).利休百首ハンドブック.淡交社.

変更履歴

2025/09/06 新規作成
2025/09/07 2.追記

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