0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

【道を考える①】日本における道

Last updated at Posted at 2025-08-23

背景と目的

【時間を考える】での宿題がいくつかある。

  1. 進化、深化、探求、調和の思想を含む家訓(憲章、社訓)のようなもの
  2. "応答"をするために"個人と集団のそれぞれ意味"を維持できる組織には?

成立しそうな応答を生み出すには、進化、深化、探求、調和の思想を含む家訓(憲章、社訓)のようなものが基礎にあり、一定の方向性をもった組織が仕事を為す。
【時間を考える②】社会と周期より

"応答"をするために"個人と集団のそれぞれ意味"を維持できる組織となっている必要がある。
今の時代の前提から導き出すと、新しい課題への応答には、グリーン、ティールの組織が適切な形と言える。
【時間を考える③】応答と飽和より

宿題のヒントになりそうな、
日本に独特な概念である"道"について、整理する。

1. 道という言葉

1.1. 道という漢字の由来

道(=どう)は、首と辵(しんにょう、歩く、行くの意味)を組み合わせ形。
さらに又(手の形)を組み合わせた字は、導。

古い時代には、他の民族のいる土地は、その氏族の霊や邪霊がいて災いをもたらすと考えられたので、異族の人の首を手に持ち、その呪力で邪霊を祓い清めて進んだ。その祓い清めて進むことを導といい、祓い清めたところを道といい、「みち」の意味に用いる。
「常用字解 第二版」

1.2. 中国語の道

道 (ピンインdào)
01 (〜儿)〔‘条’+〕道,道路.⇒街道 jiēdào ,铁道 tiědào .
02 水路,流れ.⇒河道 hédào ,下水道 xiàshuǐdào .
03 (行動する場合の)方向,道筋.⇒同道 tóngdào ,志同道合 zhì tóng dào hé .
04 (〜儿)〔‘条’+〕方法,手段.⇒门道 mén・dao .
05 道理,条理.⇒得道多助 dé dào duō zhù ,头头是道 tóu tóu shì dào .
06 道徳.⇒人道1 réndào .
07 (学問・宗教の)教え,道.⇒传道 chuán//dào ,卫道 wèidào .
08 道家.
09 道教.⇒老道 lǎodào .
10 宗教関係の事物または宗教団体の名称に用いる.⇒一贯道 yīguàndào .
11 (〜儿)〔‘条’+〕筋,線.
白水社 中国語辞典:道 dao

1.3. 日本語の道

"道"は、訓読みで"みち"、"道う=いう"。音読みで、"どう"、"とう"。

①みち。(ア)通りみち。「道路」「水道」(イ)人の守るべきみち。物事のみちすじ。「道義」「道徳」
②老子の教え。「道家」「道教」
③てだて。方法。また、技芸・学芸。「道具」「書道」「武道」
④い(言)う。となえる。「報道」「道破」
⑤「北海道」の略。「道立」「道央」
漢字ペディア:漢字一字 道

①道路。「舗装された―」
②距離。「―が遠い」
③途中。「公園への―すがら」
④進路。「これが私の進むべき―だ」
⑤道徳。「―ならぬ恋」
⑥手段。方法。「これ以外助かる―はない」
⑦分野。方面。「学問の―一筋
漢字ペディア:言葉-道=みち

話す。言葉を述べる。説く。
漢字ペディア:言葉-道う=い-う

日本の"道"の使い方で特質的なものが、てだて、技芸、学芸の道だろう。

2. 武と芸と心

2.1. 有名な道

分類 名称 概要・特徴 起源・背景
武道 柔道 投げ技・寝技を中心とする格闘技。講道館柔道として近代化。 嘉納治五郎によって体系化(1882)
武道 剣道 剣術を近代化した武道。竹刀と防具を用いた打突競技。 明治期に剣術から発展
武道 弓道 弓術を精神修養と結びつけた武道。礼法と型を重視。 武家文化と神道の影響
武道 合気道 相手の力を利用して制する武道。円の動きと調和を重視。 植芝盛平によって創始(20世紀)
武道 武士道 武士階級の倫理・美学・死生観。忠義・名誉・克己など。 中世〜近世の武士階級。儒教・禅・神道の影響を受ける
芸道 茶道 茶の湯を通じて和敬清寂の精神を体現。 千利休によって大成(16世紀)
芸道 書道 漢字・仮名の筆法を通じて美と精神性を追求。 中国から伝来、日本で独自発展
芸道 華道 花を生けることで自然との調和と美を追求。 池坊流などが体系化(室町期)
芸道 能道 能楽の演技・所作・型を通じて幽玄を表現。 室町時代に世阿弥が体系化
芸道 香道 香を聞くことで感性と精神性を磨く芸道。 室町時代に成立
宗教道 神道 神々との関係性を重視する日本固有の信仰。 古代から続く自然崇拝。古事記、日本書紀で明文化
宗教道 仏道 仏教の教えに基づく修行・慈悲・悟りの道。 インド発祥、中国経由で伝来
宗教道 禅道 座禅・公案を通じて悟りを目指す修行法。 中国禅宗、日本で臨済・曹洞に発展

宗教の範囲は広く、形を一意に定義しにくいため、
武芸に関わる道を深掘りしていく。
日本では武芸の中に、その基盤にある宗教性が見えてくる。

2.2. すべきこと

多くの"道"で登場する言葉がある。

  • "徳目"
  • "心得"
  • "師匠"
  • "規則"
  • "作法"

a. 徳目 とくもく

徳を分類した細目。儒教における仁・義・礼・智・信や古代ギリシャでの知恵・勇気・正義・節制、キリスト教における信仰・希望・愛など。
webilio:徳目”より

徳(とく、希: ἀρετή(アレテー)、 羅: virtūs(ヴィルトゥス)、英: virtue(ヴァーチュー))は、社会通念上よいとされる、人間の持つ気質や能力である]。
"wikipedia:徳"より

b. 心得 こころえ

  1. 心がまえ。心がけ。
     「―がよくない」
  2. 技能などを身につけていること。たしなみ。
     「武術の―」

c. 師匠 ししょう

し‐しょう〔‐シヤウ〕【師匠】
1 学問または武術・芸術の師。先生。
2 歌舞音曲などの遊芸を教える人。
3 寄席芸人に対する敬称。
weblio:師匠より

稽古を師匠や門下員と行う、
稽古とは、古を考えることである。

 日本では『古事記』太安万侶序文末に「稽古」がありその意味は、
「古(いにしへ)を稽(かむがへ)ること」である。
同文の「照今」(今に照らす)とあわせ、「稽古照今」という熟語としても使用される。
wikipedia:稽古

古(いにしえ)をうむために、反復的な訓練を行う。
本人が考え気づき、稽古が積まれる。
師匠は、本人が気づかない点を、何かしらの方法で"気づき"の手伝いを行う。

d. 規則 きそく

徳目や心得を行動するときの補助線を示したものになる。
善いとする方法や善くないとする方法が示させれる。

武道の場合、罰則などもここに含まれる。
芸道の場合、△△より、〇〇などと対比し示される。

e. 作法 さほう

さ‐ほう【作法】
① 物事を行なう方法。仕方。やりかた。
② 立居ふるまいの仕方。起居動作の法式。礼儀作法。行儀作法。
③ 正式のこと。定式にかなったもの。しきたり。きまり。慣例。さだめ。
④ 世のならい。ありかた。ありさま。
⑤ 文章、詩歌などを作る方法。さっぽう。→さくほう(作法)。
コトバンク:作法

道の中では、②にあたる起居動作の法式にあたる意味と③の正式を示す。
正しいやり方を示したものになる。

整理

qiita_michi_1.png

徳目や心得の確認は、日常の稽古では、はじめと最後に行われる。
(関係するものや対するものへの感謝など)
日常の稽古の中で、作法や規則に従い訓練を行う。

下図は、稽古における本人と師匠の動きをOODAループに合わせたものになる。
qiita_michi_2.png

2.3. すべきでないこと

NG領域は、明確に規則にかかれる。
ただし、徳目と心得の内容は一意ではないため、OK領域や未規定領域は場によって変わる。

9. リンク

URL

白水社 中国語辞典:道 dao
漢字ペディア:漢字一字 道
漢字ペディア:言葉-道=みち
漢字ペディア:言葉-道う=い-う
note:「道」とは
note:#4. 道に関する語源メモ *weǵʰ- [way/विवाह]
漢和_漢字_語源辞典:「道」という漢字

wikipedia:柔道
講道館:講道館柔道の歴史
wikipedia:武士道
wikipedia:葉隠
日本香堂:香道とは
松栄堂:香道について
公益財団法人 合気会:合気道とは
神社本庁:神道とは
wikipedia:茶経

wikipedia:徳
wikipedia:Virtue
wikipedia:稽古
wikipedia:規則

書籍

白川 静(2012).常用字解[第二版].平凡社.
ベン・ホロウィッツ, 浅枝 大志(訳), 関 美和(訳)(2020).Who You Are(フーユーアー)君の真の言葉と行動こそが困難を生き抜くチームをつくる.日経BP.
新渡戸 稲造, 大久保 喬樹 (訳)(2015).新訳 武士道 ビギナーズ 日本の思想.KADOKAWA.
岡倉 覚三, 村岡 博 (訳)(1961).茶の本.岩波書店.
大道寺 友山(著), 古川 薫(訳)(2013).[新訳]武道初心集 いにしえの教えに学ぶ組織人の心得.PHP研究所.
淡交社編集局(2013).利休百首ハンドブック.淡交社.
オイゲン・ヘリゲル, 柴田 治三郎(訳)(1982).日本の弓術.岩波書店.

ダニエル・コイル, 楠木 建(監訳), 桜田 直美(訳)(2018).THE CULTURE CODE 最強チームをつくる方法.かんき出版.
澤田 智洋(2025).人生にコンセプトを.筑摩書房.
武田 双雲(2021).丁寧道 ストレスから自由になれる最高メソッド.祥伝社.

変更履歴

2025/08/23 新規作成
2025/08/24 2.2.追記

eof

0
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?