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背景と目的
武道の中で古い体系の武士道を整理してみる。
1. 武士道の起源
1.1. 歴史
武士(ぶし、もののふ)が生まれたのは、12世紀の鎌倉幕府ごろと言われている。
武士の道(もののふのみち)という言葉が初めて書物として登場しているのは、甲陽軍鑑になる。
甲陽軍鑑は、1500年代に甲斐の国(武田氏)における戦略・戦術を記したものとなる。
江戸時代に平和なり、戦争のための武士は不要となったが、士農工商の"士"は残った。
明治時代に士族は解体された。
その中、明治32年(1899)に新渡戸稲造の「Bushido: The Soul of Japan」が英語でアメリカにて出版された。
1.2. 新渡戸稲造のBushido(武士道)
新渡戸稲造は明治時代において海外に向けて日本を説明するために、
武士道における歴史と観点を示した。
彼はこの本の目的としては,
① 武士道の起源および淵源,
② 武士道の特性および教訓,
③ 武士道が民衆におよぼした感化,
④ ③の感化の継続性,
永久性を述べることであった。特に第②の点に関して詳細に書いてある
"一 正孝.武士道に関しての一考察 -新渡戸稲造-より抜粋
①起源および淵源
思想体系 | 武士道への主な影響 | 精神的要素 | 象徴・詩的構造 |
---|---|---|---|
仏教 | 無常観・死生観・慈悲 | 死を恐れず受け入れる覚悟、命の儚さ | 「諸行無常」「花は桜木、人は武士」 |
禅 | 無心・沈着・直観力 | 瞑想による精神統一、瞬時の判断力 | 「剣禅一如」「一期一会」 |
神道 | 忠義・祖先崇拝・自然との調和 | 主君への忠誠、家系・土地への敬意 | 「清明心」「神前での誓い」 |
仏教 → 死を受け入れる精神性
禅 → 無心で行動する実践力
神道 → 忠義と清明心による共同体意識
三者の交差点に「武士道」が生まれたのだろう。
②特性および教訓:武士道の七徳目
徳目 | 説明 |
---|---|
義 | 正義・道理に従って決断する力 |
勇 | 正義を実行するための勇気 |
仁 | 愛情、寛容、同情、憐憫のこと |
礼 | 他者への敬意を所作・型で表す行動規範 |
誠 | 嘘偽りのない心。言行一致の精神性 |
名誉 | 自らの人格と行為に対する尊厳と評価 |
忠義 | 主君・共同体への誠実な奉仕と帰属意識 |
1.3. 大道寺友山の「武道初心集」
★TBD
2. 武士道の行動規範
★TBD
9. リンク
URL
wikipedia:甲陽軍鑑
wikipedia:士農工商
wikipedia:武士道 (新渡戸稲造)
論文
笠谷 和比古.武士道概念の史的展開.日本研究 35:231-274.2007.
一 正孝.武士道に関しての一考察 -新渡戸稲造-.武道学研究 18-2.1985.
堀川 峻, 酒井 利信, 大石 純子.近代初頭の武士道思想に関する一考察:「武士道の淵源」と「武士道と倫理・道徳」に着目して.武道学研究 54-1:15-27,2021.
書籍
佐藤 正英 (訳)(2006).甲陽軍鑑.筑摩書房.
新渡戸 稲造, 大久保 喬樹 (訳)(2015).新訳 武士道 ビギナーズ 日本の思想.KADOKAWA.
大道寺 友山, 古川 薫(訳)(2013).[新訳]武道初心集 いにしえの教えに学ぶ組織人の心得.PHP研究所.
笠谷 和比古(2017).武士道の精神史.筑摩書房.
変更履歴
2025/08/30 新規作成