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【地図を考える①】歴史と効果

Last updated at Posted at 2025-09-18

link - ①

背景と目的

【道を考える】で見つかったキーワード
”人生で意味のある違いを生み出すもの”
について、"地図"、"マップ"、"チャート"の切り口で広げてみる。

1. 地図

1.1. 地図という言葉

地図

地図 チ - ズ
地形や土地の様子を、一定の縮尺を用いて記号や文字で平面上に表した図。
"漢字ペディア:地図"より

mapとchart

英語のmapは、「地図」や「図」「図解」「構造」を意味する。
mapの語源は、中世ラテン語の"mappa"を意味する布からきている。
世界地図は、"mappa mundi"(mundi:世界の)と言っていた。

chartは、ラテン語のcharta(地図、札)からきている。

アトラス:Atlas

ギリシャ神話のアトラスは、世界を支える役目を担っている。

地図帳をアトラスと呼ぶのは、16世紀にメルカトルが地図帳の表紙としてこのアトラースを描いたことに由来するという説があるが、1595年の初版において実際に描かれているのはギリシア神話において世界で最初に地球儀や天球儀を作ったとされるマウレターニア王アトラースである
wikipedia:アトラース より

1.2. 地図の歴史

a 生活の維持

地図は文字の歴史より古いと言われている。

未開民族でも、かれらにとっての生活圏であり、衣食住の資料が生産される自分たちの居住する土地については、その生活を維持するために、何らかの地理的知識を必要としたからである。
地図の歴史 世界篇・日本篇」P17より

生活の主に食料を手に入れるために、狩場であったり、他の地域との交易の場を記したのだろう。

b 世界観

徒歩や馬の場合、一日の移動量は60kmぐらいとなる。
古代の船の場合、一日の移動量は50~60kmぐらいとなる。
30日で60 x 30 = 1800kmとなる。
ローマ帝国は、半径1500kmほどの範囲を制圧していた。

移動の可能性がある範囲は、明確に細かな地図が作られ、
ローマ時代にプトレマイオスが地中海周辺からインドあたりまでの地図を描いた。

キリスト教の世界観が、円に囲われた領域の内側に世界観であり、
キリスト教圏では地図が発達しなかった。
TO図(TO map)といい、ヨーロッパ、アジア、アフリカの3世界を円で書いたものになる。

c 世界地図の登場

イスラム世界でアル・イドリーシー(1100-1165?)が、ユーラシア大陸の地図を作製した。
中国は、"sin", 朝鮮半島は"sila(新羅)",日本は"waku waku(倭)"と記されている。

中世にキャラベル船ができ、一日120~200km移動できるようになった。
それに伴い、30日で120 x 30 = 3600km移動を可能にした。
地球一周が約40000kmのため、10か月で一周する道具を手にすることになる。

コロンブスが1492年にアメリカ大陸へ横断し、地図は広がる。
マゼランが1519-1522年に世界一周を成し遂げ、地球の図は見えてきた。
クックが1768-1771年にオーストラリア大陸を発見し、大きな部分は完成する。

オランダのメルカトルが、1569年に世界地図を世にだした。
その世界地図を含めた地図帳をAtlasとしたため、地図帳=アトラスとなった。

2. 地図の効果

2.1. 認識コストの低減

qiita_map_2.png

一人一人の体験により認識できる範囲は、限界がある。
地図は、認識できる範囲を補助してくれる。
上記図では、自身の認識範囲内のことを他者へ伝えるとき、
言葉だけでは伝えづらい。

地図を仲介することで、下記のような認識を得られる。

01 双方の認識可能範囲の内か外かの判断
 (どこを知ってる?どこを知らない?)
02 他者の認識している範囲の相対位置
 (どちらの方向?どれくらい離れている?)
03 双方の認識可能範囲の違い
 (共通しているところ、違うところ、どちらも知らないところ)

双方の認識が一致するまでのコスト(時間と労力)が短縮される。
古代の文字より早く地図が生まれた背景は、この効果が大きい。
衣食住のそれぞれの要素を生活維持する量を確保に多くの時間を使っていた。

2.2. 認識範囲の広がり

qiita_map_1.png

地図は認識範囲を広げてくれる。
マンガ「ONE PEACE」は、世界のどこかにある財宝を求めて、
各地域で手に入る地図をもとに旅をしている。

作られた時点で過去のものとなるため、完全に正しい訳ではないが、
手がかりとなる相対関係の情報が地図では手に入る。

2.3. 欠落の気づき

全体の領域があったとする、地図に書かれていることは一部になっている。
全てのことを書こうとすると同じ大きさと情報量になってしまうため、
必ず省略や記載されないことがある。
書かれていないことに気づくことができる。

移動のための地図では、ランドマーク(目印、象徴)が書かれるが、
ランドマークにならないものは書かれない。
国の意図がなければ、国境もかかれないだろう。

9. リンク

URL

漢字ペディア:地図
weblio:map
wikipedia:地図
wikipedia:マッパ・ムンディ
wikipedia:チャート
goeji:chart
wikipedia:アトラース
wikipedia:初期の世界地図
OK辞典:地
OK辞典:図
wikipedia:クラウディオス・プトレマイオス
wikipedia:イドリースィー
wikipedia:ゲラルドゥス・メルカトル
wikipedia:TO図
wikipedia:ONE PIECEの地理
wikipedia:ドミトリ・メンデレーエフ

wikipedia:地理学
wikipedia:地球儀
wikipedia:天動説
wikipedia:地動説
新書マップ4D

論文

佐藤 甚次郎.日本における地図の呼称とその変遷.新地理 26-4.1979.

鈴木 明夫, 粟津 俊二.文章理解を補助する図解における図的要素全体提示の重要性.心理学研究 第81,1号.2010.
有冨 美代子(2012).問題解決・説明文理解・学習における図的表現の効果-理論的概観-. 人文コミュニケーション学科論集. 12, 1-27.

書籍

織田武雄(2018).地図の歴史 世界篇・日本篇.講談社.
若林芳樹(2022).デジタル社会の地図の読み方 作り方.筑摩書房.
織田武雄(1998).古地図の博物誌.古今書院.

濱口秀司(2019).SHIFT:イノベーションの作法.ダイヤモンド社.
ドネラ・H・メドウズ, 枝廣 淳子(訳), 小田 理一郎(訳).(2015).世界はシステムで動く ― いま起きていることの本質をつかむ考え方.英治出版.
橋本 努(2024).「人生の地図」のつくり方 ――悔いなく賢く生きるための38の方法.筑摩書房.

変更履歴

2025/09/18 新規作成
2025/09/20 2.追加

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