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【地図を考える②】いろいろな"地"

Last updated at Posted at 2025-09-20

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背景と目的

一般的な地図は、"地"の対象を物理空間としている。
"地"の対象を色々変えたものを整理してみる。

1. 社会の地図

マズローの欲求段階説と対比し、下の段階から考えてみる。

下図は、STUDY HACKER:マズローの欲求5段階説とは?より
qiita_map_3.png

1.1. 生理的欲求

"生理的欲求"は、基本的な欲求(食、睡眠、排泄、空気)である。
物質的で、身体的な欲求になる。

必要な食べるものを調達するための地図。
寝るための地図。排泄のための地図。空気のための地図が求められる。

グーグルマップなどでは、これらの提供している機能ごとに探すことができる。
オフィスやホテルでは、トイレ、外へのアクセスの位置が必ず明記される。

1.2. 安全の欲求

"安全の欲求"は、外界と自身の関係の欲求である。
安全な食、安全な睡眠、安全な空気、安全な身体、安全な関係が求められる。

日本の場合、日本国憲法 第25条で明記される内容となる。

第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
"法令検索:日本国憲法"より

"健康で文化的な最低限度の生活"を衣食住の切り口で、地図と接続してみる。
制度で規定できるのは、既存にある悪いものである。
qiita_map_4.png

a 衣

"衣(ころも)"は身体の外側にまとう膜ともいえる。
また、身体に触れるものでもある。

基本的な法律として、"家庭用品品質表示法"や"消費生活用製品安全法"がある。

子ども服の規格に"JIS L4129(子ども用衣料の安全性)"がある。
幼児や小学生ぐらいまでの衣服という独自の規格である。

これらはマップや図にはなりにくい。
用途に応じた危険があり、その回避するための基準が明記される。

b 食

日本では、安全な食品について、"内閣府:食品安全情報マップ"がある。

消費側の取り入れてはいけないもの、
生産側の含めてはいけないものや明記するものを示す。

だだ、明確なマップや図にはなっていない。

c 住

人の周りに、家具があり、建物があり、土地がある。

qiita_map_5.png

L0:自身
L1:直接ふれるもの(衣服、空気)
L2:直接支えるもの(家具、建具)
L3:間接的に支えるもの-1(建物)
L4:間接的に支えるもの-2(土地)
L5:間接的に支えるもの-3(土地の構造)

L1:直接ふれるもの(衣服、空気など)

多くは、"衣"や"食"に含まれている。
全てのものが、安全であることが求められる。

食べるときは、食器、鍋など、料理。
寝るときは、布団やシーツ、枕。
お風呂では、水、浴槽、シャンプーなどの洗剤。

L2:直接支えるもの(家具、建具)

直接ふれるものもあるが、椅子、机、ベッド、床、壁など。
安全という面では、
人の力で壊れない、ケガをしないという対人の観点と、
他の家具や建物を損害を与えないという観点がある。

例えば、人にはやさしいが、他の家具には害があるもの。
(他の家具が変形したり、傷がついたりするもの。)

L3:間接的に支えるもの-1(建物)

建築家が考えるのは、L3がメイン領域で、L2とL4がサブ領域だろう。

L3の建物をL4の変化に対して、安全に対応できるようにする。
例えば、雨、風、雪、台風、日光、音、揺れ、ゆがみなど。
ここで"建築基準法"が登場する。

L4:間接的に支えるもの-2(土地)

土地が安全かを判断するために"ハザードマップ"がある。

縮尺を大きくすると、日本列島は太平洋プレートの上に乗っている。
太平洋プレートは地球上にあり、地球は太陽系の中にある。

戦争では、土地というレイヤーの安全が欠けてしまう。

人災は、戦争、公害(音、振動がうるさい。空気、水、土が汚れる)などがある。
天災は、地震、津波、集中豪雨、土砂災害の4パターンが大きなものとなる。
ある程度の天災に耐えられる土地を選ぶことが求められる。

1.3. 社会的欲求

"社会的欲求"は、自身と組織や家族などとの所属したいという欲求になる。

qiita_map_6 社会的欲求.png

観点 充足手段 内容 象徴・制度
身体的接触 スキンシップ・共同作業 触れる・並ぶ・支える 介護・育児・スポーツ・祭り
境界的接触 他者との違いを知る 異文化・他者性・摩擦 国境・言語・宗教・服装
空間的共有 同じ場所にいる 同席・同居・同窓・同郷 家族・地域・学校・職場
言語的交流 会話・手紙・SNS 話す・聞く・書く・読む 教育・メディア・詩・対話
感情的共鳴 共感・慰め・喜びの共有 「わかる」「泣ける」「嬉しい」 友人・恋人・カウンセリング
周期的再会 定期的な接触・儀礼 季節・記念日・巡礼 同窓会・祭り・年賀状
制度的所属 組織・役割・肩書き 所属・役割・責任 学籍・社員証・住民票・宗教
記憶的継承 伝承・儀礼・祭り 過去を共有する 年中行事・家系・地域史
象徴的表現 衣服・言葉・振る舞い 「らしさ」「スタイル」 制服・方言・ジェスチャー

社会的欲求を整理してみると、3つの分類に分けられると仮定する。
01 接触と空間
02 交流と時間
03 集団と関係

現在の社会制度では、この欲求領域を満たすための術が少なくなっている。
"認知症予防のための10か条"の中に答えに近いものが含まれている。

「認知症予防のための10か条」:認知症予防財団
01 塩分と動物性脂肪を控えたバランスのよい食事を
02 適度に運動を行い足腰を丈夫に
03 深酒とタバコはやめて規則正しい生活を
04 生活習慣病(高血圧・肥満など)の予防・早期発見・治療を
05 転倒に気を付けよう 頭の打撲は認知症招く
06 興味と好奇心を持つように
07 考えをまとめて表現する習慣を
08 こまやかな気配りをしたよい付き合いを
09 いつも若々しくおしゃれ心を忘れずに
10 くよくよしないで明るい気分で生活を
認知症を進行させない!認知症ケアより

06~09は、社会的欲求の最低レベルを言いかえたものといえる。
他の項目は、06~09を行う条件を満たすため、その期間を長くするための項目ともいえる。

"社会的欲求"は、
個々が"社会と接地"しているかが満たされるかだろう。

2. 個人の地図

2.1. 承認欲求

承認欲求は、他者からの評価・尊重・自己価値の確認を求める欲求になる。

"承認"という言葉は難しい。

承認とは?

しょう‐にん【承認】[名](スル)
1 そのことが正当または事実であると認めること。「相手の所有権を承認する」
2 よしとして、認め許すこと。聞き入れること。「知事の承認を得て認可される」
3 国家・政府・交戦団体などの国際法上の地位を認めること。「国連に承認された国」
コトバンク:承認より

英語で承認の言いかえをしてみる。

日本語 英語
認可、賛成 approval
公認、認定 authorization
認定、認証 certification
証明 validation
賞賛、賛美 praise
賞賛、称賛 acclaim
感謝 appreciation
受け入れ acceptance
包括、包摂 inclusion
了承、同意 acknowledgment
肯定 affirmation
認識 recognition
信用 credit
尊敬 respect
寛容 tolerance

広い意味としては、
存在や行為が世界から受け入れられる、認められること。といえる。

承認の分類

社会的欲求と同じカテゴリでの分類を仮定した。
qiita_map_7 承認欲求.png

観点 承認の手段 内容 象徴・制度
身体的承認 視線・接触・並ぶこと 見られる・触れられる・共にいる 握手・ハグ・並列行動・服装選択
境界的承認 他者との違いの尊重 「あなたはあなた」「違っていい」 異文化理解・ジェンダー表現・服装自由
空間的承認 同席・招待・居場所の共有 「ここにいていい」「呼ばれる」 会議・祭り・住居・席順・招待状
創造的承認 表現・制作・発信 「あなたにしかできない」 芸術・文章・設計・発明・詩作
感情的承認 共感・賞賛・感謝 「わかる」「すごい」「ありがとう」 SNSのいいね・拍手・手紙・会話
周期的承認 定期的な再会・儀礼 「また会えた」「毎年祝う」 誕生日・記念日・年中行事・巡礼
制度的承認 資格・肩書・役職 所属・能力・役割の認定 学歴・免許・職位・表彰制度
記憶的承認 過去の共有・語り継ぎ 「あの時のあなた」「忘れない」 写真・年賀状・卒業アルバム・祭り
象徴的承認 衣服・言葉・表情・贈り物 「らしさ」の尊重・表現の許可 制服・詩・贈答・スタイルの肯定

承認欲求とは、
自身が"自身であることと接地"しているかが満たされているかどうかだろう。

承認と自立

qiita_map_8 承認欲求.png

承認には2つの方向がある。
a 他者から自身への承認(外的、身体的)
b 自己から自己への承認(内的、精神的)

生まれたころは、他者からの承認がほぼすべてとなっていて、徐々に自己を形成していく。
自己からの承認の比率が半数を超えたときに、自立ができるようになったと言える。

マズローの欲求段階説の5段目の自己実現欲求がある人は、Level2以上の人になる。
自立していないと"接地した自己"を実現ができないからである。

2.2. 自己実現欲求

"自己実現欲求"は、自分にしかできないことを成し遂げたい、自分らしく生きていきたい欲求となる。行為や行動自体で欲求をみたすことができる状態になる。

観点 充足のかたち 具体例・象徴
創造 自分だけの表現を生む 詩・絵・設計・発明・料理
探究 知の深みを掘り下げる 哲学・科学・歴史・構造化
貢献 他者や社会に還元する 教育・介護・制度設計・祭り
成長 自己の限界を超える 修行・旅・挑戦・変容
統合 自己と世界をつなぐ 縁・境界・周期・記憶の再構成

3. 関係の地図

集団(社会)と個人の要求と応答を関係図にした。

qiita_map_9.png

集団の要求は、社会の挑戦であり、過去の整理"挑戦と応答の条件"を参照。
スキルの発揮は、過去の整理"スキル(技能/能力)マップの整理"を参照。

集団からの要求と個人の要求を統合し、状況に合わせて対応を決めていく。
スキルの発揮は、集団全体で考えても個人で考えてもよい。
応答により、いくらかは充足していく。

情報が多くなり多様性は増えていく、要求の種類は多くなっていくだろう。

9. リンク

Qiita

【時間を考える②】社会と周期
スキル(技能/能力)マップの整理

URL

wikipedia:マズローの欲求段階説
STUDY HACKER:マズローの欲求5段階説とは?
wikipedia:日本国憲法第25条
カケンテストセンター:JIS L4129(子ども用衣料の安全性)
ウェザーニューズ:服装予想
wikipedia:ハザードマップ
wikipedia:プレートテクトニクス
wikipedia:フレデリック・ハーズバーグ
コトバンク:承認

wikipedia:左翼・右翼

法令・官公

国土地理院:古地図コレクション
法令検索:日本国憲法
消費者庁:家庭用品品質表示法
経済産業省:消費生活用製品安全法
内閣府:食品安全情報マップ
ハザードマップポータルサイト
気象庁:防災情報
法令検索:建築基準法
内閣府:災害の基礎知識
地震の基礎知識 -大規模地震発生のしくみ-
総務省:「公害」とは?
国立精神・神経医療研究センター:認知症を進行させない!認知症ケア

論文

山本 潤(2023).行為・動作機構,空間認知機構からみた着衣障害.神経心理学,39巻,2023 2号.
今村 律子, 北又 寿美, 赤松 純子(2008)..衣生活における「安全・安心」の概念と具体化の視点.日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集/第51回大会.
羽岡 邦男(2004).労働者のメンタルヘルスに関する一考察-ピーター・ウォールの理論を中心に-.政治学研究論集,巻20,2004-09-30.
ローター・ヴィガー,藤井 佳世,野平 慎二,池田 全之,山名 淳(通訳).承認と人間形成.Forum on Modern Education,No21,2012.

書籍

ローター・ヴィガー,藤井 佳世,野平 慎二,池田 全之,山名 淳(通訳)(2014).人間形成と承認: 教育哲学の新たな展開.北大路書房.
橋本 努(2024).「人生の地図」のつくり方 ――悔いなく賢く生きるための38の方法.筑摩書房.

変更履歴

2025/09/21 新規作成
2025/09/21 2.1./2.2.追記
2025/09/23 3.追記

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