ブラウザをどこまで信頼する? 開発者の責任範囲
ブラウザの自動処理と開発者の実装の境界線について (特に非同期通信の中断)
はじめに
現在、ネットワークの仕組み(TCP/IP)からWebブラウザの動作までを学習しています。
TCPがデータを確実に届けるための詳細な仕組みや、ブラウザがHTMLを少しずつ受け取りながら画面表示を行う「プログレッシブレンダリング」など、普段意識しない裏側の動作を知り、大変面白く感じています。
その中で、ブラウザが自動で行う処理と、開発者がJavaScriptで明示的に実装すべき処理の境界線について、特に非同期通信のキャンセルに関して疑問が湧いてきました。
質問:通信の中断処理はどこまでブラウザを信頼して良いのか?
例えば、以下のようにサーバーからデータを取得する単純なfetch
リクエストがあったとします。
// ユーザー情報を取得する関数
function fetchUserData(userId) {
console.log('ユーザーデータの取得を開始します...');
fetch(`https://api.example.com/users/${userId}`)
.then(response => {
if (!response.ok) {
throw new Error('ネットワーク応答が正しくありません');
}
return response.json();
})
.then(data => {
console.log('取得成功:', data);
// ここで取得したデータを使って画面を更新する処理
})
.catch(error => {
console.error('データ取得に失敗しました:', error);
});
}
// ボタンクリックなどで関数を実行
fetchUserData('123');
学習した内容によると、ブラウザはページを離れる際にTCPコネクションなどを自動的にクリーンアップしてくれるとのことでした。一方で、SPA(シングルページアプリケーション)のような環境では、不要になったリクエストをAbortController
を使って明示的にキャンセルする必要があることも学びました。
ここでお聞きしたいのは、この「ブラウザの自動処理」と「開発者の手動処理」の具体的な切り分けです。
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上記のコードで、
fetch
が完了する前にユーザーが別のページに遷移したり、ブラウザのタブを閉じたりした場合、このfetch
リクエストはブラウザが100%自動で中断してくれると考えて良いのでしょうか? -
AbortController
を使った中断処理を実装すべき具体的なシナリオは、主に「SPAでページ内遷移(コンポーネントの切り替えなど)が発生したとき」という認識で合っていますでしょうか? 他にも「これは絶対に手動でキャンセルすべき」という典型的なケースがあれば教えていただきたいです。 -
もしブラウザの自動中断に任せた場合、サーバー側では処理が続行されてしまう可能性があるのでしょうか? 明示的にキャンセル(
abort
)を伝えることのサーバー側へのメリットについても知りたいです。
ブラウザという高性能なプラットフォームを信頼しつつも、開発者としてどこまで責任を持ってコードを書くべきなのか、その境界線についての考え方やベストプラクティスを教えていただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。