目次
- はじめに
- 1. 検証環境と調査内容
- 2. 検証結果サマリーと作成オブジェクト一覧
- 3. 作成オブジェクトの詳細
- 4. 各オブジェクト作成に伴うシステム影響
- 5. 補足:本検証における比較手段
- まとめ
- 参考情報
- シリーズ一覧
はじめに
IBM Db2 Genius Hub は、Db2データベースの統合監視・パフォーマンス分析ソリューションです。
Db2 Genius Hubの導入・購入を検討する際、特に気になるのが「モニタリング対象DB内部にどのようなオブジェクトが作成されるのか」「既存の業務環境に影響はないのか」という点です。
本記事では、異なるタイミングで採取した db2support スナップショットを段階的に比較することで、Db2 Genius Hub がモニター対象 DB に作成するオブジェクトと、その作成タイミングおよびシステムへの影響を整理した結果を報告します。
※本記事の内容は検証時点のDb2 Genius Hubの結果です。バージョンによって作成されるオブジェクトは変更される可能性があります。
1. 検証環境と調査内容
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Genius Hub バージョン | Db2 Genius Hub V1.1.5 統計イベントモニターのオプトイン 有効 |
| Db2 バージョン | Db2 v12.1.0.5(Linux x86_64) |
| DB作成コマンド |
db2 create database mydb AUTOMATIC STORAGE YES ON /data/utsumi/mydb USING CODESET UTF-8 TERRITORY JP autoconfigure apply none(Db2構成アドバイザーによる自動チューニングなし) |
比較手順
以下のタイミングで採取した db2support スナップショットを 時系列で段階的に比較 し、「どのタイミングでどのオブジェクトが追加されたか」を特定しました。最終状態のみで判断するのではなく、各ステップの差分を個別に確認しています。
| ラベル | 採取タイミング |
|---|---|
| [1] イベントモニター構成前 | Genius Hub V1.1.5のモニタリング対象として登録後、イベントモニターを構成するまでの状態(登録直後および負荷SQLを実行した後を含む) |
| [2] 表スペース定義後 | Genius Hubコンソールの設定画面で 「表スペースの定義」 を実行した直後 |
| [3] 統計Evmon作成後 | 同画面で 「統計」イベントモニターを有効化・保管 した直後(※1) |
| [4] 管理タスク・スケジューラー有効化後 | Genius Hub コンソールが ATS 関連オブジェクトを自動的に構成した直後(※2) |
| [5] アクティビティーEvmon作成後 | 同画面で 「アクティビティー」 イベントモニターを有効化・保管した直後 |
(※1): 本来、統計モニターオプトインを有効化した環境では、モニター対象DB登録時点で統計モニターは自動的に有効化されるものと考えられる。しかし今回の環境では有効化されなかったため、手動で有効化を行った。統計イベントモニターが自動で有効化されなかった理由は確定できていない。後述する(※2)に依るものである可能性も考えられる。
(※2) :今回の環境ではGenius Hubコンソールから実行されるレジストリー変数
DB2_ATS_ENABLEの更新が失敗し、Db2自動タスクスケジューラー(ATS)の利用構成が完了していなかった。
マニュアル を参考にレジストリー変数設定のみ手動で実行した後Genius Hubコンソールにログインすると、自動タスクスケジューラーは有効化状態に変わっていた。
2. 検証結果サマリーと作成オブジェクト一覧
-
作成されたスキーマ数:
1(IBM_RTMON)※統計イベントモニター使用時のみ -
作成された表数:
9(統計 Evmon 用)+3(アクティビティー Evmon 用)= 計12 -
作成された表スペース数:
2(TS4MONITOR、TEMPSPACE2)※統計イベントモニター使用時のみ -
作成された WLM オブジェクト数:
1(WORKLOAD:CONSOLE_WORKLOAD) -
作成されたイベントモニター数:
2(RTMON_EVMON_STATS、RTMON_EVMON_ACTIVITIES_<ID>) -
作成されたストアード・プロシージャー数:
3(統計用 1、アクティビティー用 2) -
作成された ATS タスク数:
3(統計用 1、アクティビティー用 2)
ポイント
監視対象登録のみ(統計イベントモニターのオプトインを使用しない場合)に Genius Hub が追加する独自オブジェクトはCONSOLE_WORKLOAD(ワークロード定義)1件 です。その他のオブジェクトはすべて、統計イベントモニター機能を有効化する操作をトリガーとして作成されます。
Genius Hubが作成したオブジェクト一覧
| 種別 | 名前 | スキーマ | 用途 | 追加タイミング |
|---|---|---|---|---|
| WORKLOAD | CONSOLE_WORKLOAD |
― | Genius Hub 監視プロセスの専用ワークロード識別 | [1] イベントモニター構成前 |
| BUFFERPOOL | CONSOLEPOOL |
― | 統計イベントモニター用 32KB 専用バッファープール | [2] 表スペース定義後 |
| DBPARTITIONGROUP | CONSOLEGROUP |
― | 統計イベントモニター用データベース・パーティション・グループ | [2] 表スペース定義後 |
| TABLESPACE | TS4MONITOR |
― | 統計イベントモニター出力テーブル用表スペース(32KB DMS Large、初期 2GB) | [2] 表スペース定義後 |
| TABLESPACE | TEMPSPACE2 |
― | 統計イベントモニター用 32KB 一時表スペース(SMS) | [2] 表スペース定義後 |
| SCHEMA | IBM_RTMON |
― | 統計イベントモニター出力テーブルの格納スキーマ | [2] 表スペース定義後 |
| TABLE | QSTATS |
IBM_RTMON |
ステートメント統計イベント出力先テーブル | [2] 表スペース定義後 |
| TABLE | WLSTATS |
IBM_RTMON |
ワークロード統計イベント出力先テーブル | [2] 表スペース定義後 |
| TABLE | WLMETRICS |
IBM_RTMON |
ワークロードメトリクス出力先テーブル | [2] 表スペース定義後 |
| TABLE | SCSTATS |
IBM_RTMON |
サービスクラス統計イベント出力先テーブル | [2] 表スペース定義後 |
| TABLE | SCMETRICS |
IBM_RTMON |
サービスクラスメトリクス出力先テーブル | [2] 表スペース定義後 |
| TABLE | SUPERCLASSSTATS |
IBM_RTMON |
スーパーサービスクラス統計出力先テーブル | [2] 表スペース定義後 |
| TABLE | SUPERCLASSMETRICS |
IBM_RTMON |
スーパーサービスクラスメトリクス出力先テーブル | [2] 表スペース定義後 |
| TABLE | OSMETRICS |
IBM_RTMON |
OS・システムメトリクス出力先テーブル | [2] 表スペース定義後 |
| TABLE | HISTOGRAMBIN |
IBM_RTMON |
応答時間ヒストグラムデータ出力先テーブル | [2] 表スペース定義後 |
| EVENT MONITOR | RTMON_EVMON_STATS |
― | 統計イベントモニター(テーブル出力型、AUTOSTART=N) | [2] 表スペース定義後 |
| STORED PROCEDURE | RTMON_EVMON_STATISTICS_WATCHDOG |
IBM_RTMON |
統計データの保持期間管理・クリーンアップ(毎分実行) | [4] 管理タスク・スケジューラー有効化後 |
| TASK | Rtmon Evmon Statistics Watchdog |
― | 上記 SP の定期実行 ATS タスク(スケジュール: 0-59 * * * *) |
[4] 管理タスク・スケジューラー有効化後 |
| EVENT MONITOR | RTMON_EVMON_ACTIVITIES_<ID> |
― | アクティビティーイベントモニター(テーブル出力型、AUTOSTART=N) | [5] アクティビティーEvmon作成後 |
| TABLE | ACTIVITY_<ID> |
IBM_RTMON |
アクティビティーイベント出力先テーブル | [5] アクティビティーEvmon作成後 |
| TABLE | ACTIVITY_STMT_<ID> |
IBM_RTMON |
ステートメント詳細出力先テーブル | [5] アクティビティーEvmon作成後 |
| TABLE | ACTIVITY_METRICS_<ID> |
IBM_RTMON |
アクティビティーメトリクス出力先テーブル | [5] アクティビティーEvmon作成後 |
| STORED PROCEDURE | RTMON_EVMON_ACTIVITIES_WATCHDOG |
IBM_RTMON |
アクティビティーデータの保持期間管理(毎分実行) | [5] アクティビティーEvmon作成後 |
| STORED PROCEDURE | RTMON_EVMON_ACTIVITIES_WATCHDOG_<ID> |
IBM_RTMON |
同上(ID 付き) | [5] アクティビティーEvmon作成後 |
| TASK | Rtmon Evmon Activities Watchdog |
― | 上記 SP の定期実行 ATS タスク(スケジュール: 0-59 * * * *) |
[5] アクティビティーEvmon作成後 |
| TASK | Rtmon Evmon Activities Watchdog_<ID> |
― | 同上(ID 付き) | [5] アクティビティーEvmon作成後 |
[3](統計イベントモニター作成後)の追加オブジェクト
本検証では、「有効化・保管」操作(タイミング [3])によって新たなオブジェクトが追加されることは確認されませんでした。RTMON_EVMON_STATSの起動状態(ACTIVE:event_mon_state()=1)は「表スペースの定義」操作(タイミング [2])の時点で既に確立されていました。
2.1 [1] イベントモニター構成前に作成されるオブジェクト
Genius Hub コンソールにて対象 DB の接続プロファイルを登録後、イベントモニターを構成するまでの状態(タイミング [1])で確認されたオブジェクトです。
-
CONSOLE_WORKLOAD(WORKLOAD)
Genius Hub の監視プロセスを専用ワークロードとして識別するための WLM ワークロード定義です。登録操作と同時に作成されます。CONSOLE_WORKLOAD 以外に、このタイミングで Genius Hub が独自に追加するオブジェクトは確認されませんでした。
2.2 [2] 表スペース定義後に作成されるオブジェクト
Genius Hub コンソールの「設定 > イベント・モニター・プロファイル」画面で 「表スペースの定義」 を実行した際に作成されるオブジェクトです。このタイミングが最も多くのオブジェクトが追加される段階です。
ストレージ:
-
CONSOLEPOOL(BUFFERPOOL、32KB、NPAGES=-2 AUTOMATIC) -
CONSOLEGROUP(DBPARTITIONGROUP、PMAP_ID=3) -
TS4MONITOR(TABLESPACE、32KB DMS Large、初期サイズ 2GB、AutoResize なし) -
TEMPSPACE2(TABLESPACE、32KB SMS 一時表スペース)
IBM_RTMON スキーマ・テーブル群:
-
SCMETRICS、SCSTATS、WLMETRICS、WLSTATS、QSTATS、OSMETRICS、HISTOGRAMBIN、SUPERCLASSMETRICS、SUPERCLASSSTATS(9テーブル)
イベントモニター:
-
RTMON_EVMON_STATS(テーブル出力型統計イベントモニター、AUTOSTART=N)
2.3 [3] 統計イベントモニター作成後に作成されるオブジェクト
本検証では、「統計イベントモニターを有効化・保管」する操作(タイミング [3])によって、新たなオブジェクトが追加されることは確認されませんでした。
2.4 [4] 管理タスク・スケジューラー有効化後に作成されるオブジェクト
Genius Hub コンソールの「管理タスク・スケジューラーを使用する」を ON にした際に作成されるオブジェクトです。
本検証では、コンソールからのレジストリー変数 DB2_ATS_ENABLE の更新がエラー(config db2set failed: cannot get db2set configuration)で失敗し、ATS 構成が完了していませんでした。db2set DB2_ATS_ENABLE=YES を手動設定して Db2 を再起動したところ、Genius Hub コンソールが次回ログイン時に自動的に ATS 関連オブジェクトを構成しました。
ATS 関連オブジェクト:
-
IBM_RTMON.RTMON_EVMON_STATISTICS_WATCHDOG(STORED PROCEDURE、SQL 言語、DEFINER=UK1215) -
Rtmon Evmon Statistics Watchdog(ATS タスク、TASKID=82、SCHEDULE=0-59 * * * *、OWNER=UK1215)
補足:
DB2_ATS_ENABLEは通常 Genius Hub が自動設定する
製品マニュアルには「管理タスク・スケジューラーを有効にすると、コンソールがDB2_ATS_ENABLEをYESに設定する」と記載されています。本検証では環境固有の制約により手動設定が必要でしたが、標準的な環境ではコンソール操作のみで完結します。
2.5 [5] アクティビティーイベントモニター作成後に作成されるオブジェクト
Genius Hub コンソールの「アクティビティー」タブで有効化・保管した際に作成されるオブジェクトです。アクティビティーイベントモニターの「管理タスク・スケジューラーを使用する」は ATS が有効な状態であれば自動的に ON になります。
イベントモニター:
-
RTMON_EVMON_ACTIVITIES_<ID>(テーブル出力型アクティビティーイベントモニター、AUTOSTART=N、即時 ACTIVE)
IBM_RTMON スキーマ・テーブル群:
-
ACTIVITY_<ID>、ACTIVITY_STMT_<ID>、ACTIVITY_METRICS_<ID>(3テーブル)
ATS 関連オブジェクト:
-
IBM_RTMON.RTMON_EVMON_ACTIVITIES_WATCHDOG(STORED PROCEDURE) -
IBM_RTMON.RTMON_EVMON_ACTIVITIES_WATCHDOG_<ID>(STORED PROCEDURE) -
Rtmon Evmon Activities Watchdog(ATS タスク、SCHEDULE=0-59 * * * *) -
Rtmon Evmon Activities Watchdog_<ID>(ATS タスク、SCHEDULE=0-59 * * * *)
<ID>について
アクティビティーイベントモニター関連オブジェクトの名前には数値サフィックス(例:_1790610599861)が付与されます。この値は Genius Hub が動的に生成するため、環境・操作タイミングによって異なります。統計イベントモニター(RTMON_EVMON_STATS)は固定名ですが、アクティビティーイベントモニターは可変名です。
3. 作成オブジェクトの詳細
3.1 CONSOLE_WORKLOAD(ワークロード)
-- SYSCAT.WORKLOADS および SYSCAT.WORKLOADCONNATTR から抽出
-- WORKLOADID=3, CREATE_TIME=2026-09-24-15.28.56.746674
-- EVALUATION ORDER=1(SYSDEFAULTUSERWORKLOAD の ORDER=2 より優先)
CREATE WORKLOAD CONSOLE_WORKLOAD
APPLNAME ('DSMAu*', 'DSMOQT', 'DSMRt*', 'DSSNAP*', 'DS_ConnMgt*', 'UC_*')
ENABLE
EVALUATION ORDER 1
SERVICE CLASS SYSDEFAULTSUBCLASS UNDER SYSDEFAULTUSERCLASS
COLLECT AGGREGATE ACTIVITY DATA NONE
COLLECT ACTIVITY DATA NONE
Genius Hub が作成したと判断した理由:
APPLNAME に指定されているアプリケーション名プレフィックスが、Genius Hub(旧 Data Server Manager/DSM 系統のアーキテクチャを継承)の監視プロセスに固有の識別子です。作成時刻(2026-09-24 15:28:56)は Genius Hub への接続プロファイル登録操作と一致します。
| APPLNAME パターン | 対応する Genius Hub プロセス(推測) |
|---|---|
DSMAu* |
認証・管理プロセス |
DSMRt* |
リアルタイム監視エンジン |
DSSNAP* |
スナップショット・メトリクス収集 |
DSMOQT |
クエリチューニング・最適化 |
DS_ConnMgt* |
接続プール管理 |
UC_* |
Unified Console 関連 |
利用される機能:
Genius Hub の全監視機能(メトリクス収集、パフォーマンス分析、クエリチューニングなど)。
削除した場合の影響(推測):
Genius Hub の接続は SYSDEFAULTUSERWORKLOAD(ORDER=2)にフォールバックします。通常の監視通信は継続できる可能性がありますが、ワークロードを前提とした収集制御に支障をきたす可能性があります。
3.2 CONSOLEPOOL(バッファープール)
-- SYSIBM.SYSBUFFERPOOLS から抽出(表スペース定義後 [2] 時点)
-- BUFFERPOOLID=2, PAGESIZE=32768, NPAGES=-2(AUTOMATIC)
CREATE BUFFERPOOL CONSOLEPOOL
SIZE AUTOMATIC
PAGESIZE 32 K
Genius Hub が作成したと判断した理由:
イベントモニター構成前のスナップショット [1] では IBMDEFAULTBP のみ(1件)でしたが、「表スペースの定義」操作後のスナップショット [2] で初めて確認されました。製品マニュアルにも CONSOLEPOOL の作成が明記されています。
利用される機能:
TS4MONITOR(統計データ蓄積)および TEMPSPACE2(統計処理用一時領域)の専用バッファープールとして機能します。
3.3 CONSOLEGROUP(データベース・パーティション・グループ)
-- SYSCAT.DBPARTITIONGROUPS から抽出(LIST NODEGROUPS SHOW DETAIL)
-- PMAP_ID=3, DB_PARTITION=0
CONSOLEGROUP PMAP_ID=3 DB_PARTITION=0
Genius Hub が作成したと判断した理由:
イベントモニター構成前 [1] では IBMCATGROUP・IBMDEFAULTGROUP の 2 件のみでしたが、「表スペースの定義」操作後 [2] に CONSOLEGROUP が追加されました。製品マニュアルに記載があります。
3.4 TS4MONITOR(表スペース)
-- db2pd -tablespaces -db MYDB から抽出(表スペース定義後 [2] 時点)
-- Id=4, Type=DMS Large, PageSz=32768(32KB), BufID=2(CONSOLEPOOL)
-- InitSize=2,147,483,648 bytes(2GB), AutoResize=No, MaxSize=0(無制限)
-- Container: /data/utsumi/mydb/.../T0000004/C0000000.LRG
Genius Hub が作成したと判断した理由:
イベントモニター構成前 [1] には存在せず、「表スペースの定義」操作後 [2] で初めて確認されました。また、この表スペースについて、製品マニュアルに記載があります。
利用される機能:
統計イベントモニター RTMON_EVMON_STATS の出力テーブル(IBM_RTMON スキーマ)の格納先。「反応性」ウィジェットを含む統計分析機能全般。
3.5 TEMPSPACE2(一時表スペース)
-- db2pd -tablespaces から抽出(表スペース定義後 [2] 時点)
-- Id=5, Type=SMS SysTmp, PageSz=32768(32KB), BufID=2(CONSOLEPOOL)
Genius Hub が作成したと判断した理由:
「表スペースの定義」操作後 [2] で確認。製品マニュアルには「32KB の一時表スペースが存在する場合は作成されません」と記載されており、TEMPSPACE1(4KB)とは別に 32KB 専用の一時表スペースとして作成されます。
3.6 IBM_RTMONスキーマおよびテーブル群
-- SYSCAT.TABLES から抽出(IBM_RTMON スキーマ)
SCMETRICS IBM_RTMON T 2026-09-25-17.06.50.617309
SCSTATS IBM_RTMON T 2026-09-25-17.06.50.688095
WLMETRICS IBM_RTMON T 2026-09-25-17.06.50.839355
WLSTATS IBM_RTMON T 2026-09-25-17.06.50.941986
QSTATS IBM_RTMON T 2026-09-25-17.06.51.126381
HISTOGRAMBIN IBM_RTMON T 2026-09-25-17.06.51.201597
OSMETRICS IBM_RTMON T 2026-09-25-17.06.51.284250
SUPERCLASSMETRICS IBM_RTMON T 2026-09-25-17.06.51.383308
SUPERCLASSSTATS IBM_RTMON T 2026-09-25-17.06.51.497904
Genius Hub が作成したと判断した理由:
これらのテーブルはイベントモニター構成前 [1] には存在せず、「表スペースの定義」操作後 [2] で初めて確認されました(9 件すべてが 1 秒以内に連続作成)。
IBM_RTMON は Genius Hub 固有のスキーマで、各テーブル名は Db2 の統計イベントモニターのターゲットテーブル定義(WLM_STATISTICS、STATEMENT、SERVICE_SUBCLASS_METRICS 等)に対応しています。
各テーブルの対応するイベント:
| テーブル名 | 収集対象イベント |
|---|---|
QSTATS |
ステートメント統計 |
WLSTATS |
ワークロード統計 |
WLMETRICS |
ワークロードメトリクス |
SCSTATS |
サービスクラス統計 |
SCMETRICS |
サービスクラスメトリクス |
SUPERCLASSSTATS |
スーパーサービスクラス統計 |
SUPERCLASSMETRICS |
スーパーサービスクラスメトリクス |
OSMETRICS |
OS・システムメトリクス |
HISTOGRAMBIN |
応答時間ヒストグラム |
利用される機能:
Genius Hub コンソールの「反応性」ウィジェット、ワークロード分析、クエリ応答時間推移分析。
削除した場合の影響:
RTMON_EVMON_STATS イベントモニターの出力先が失われ、統計データの収集・蓄積が停止します。「反応性」ウィジェットへのデータ表示が停止します。
3.7 RTMON_EVMON_STATS(統計イベントモニター)
-- SYSCAT.EVENTMONITORS から抽出(表スペース定義後 [2] 時点)
-- TARGET_TYPE=T(テーブル出力型), AUTOSTART=N, MONSCOPE=T
-- event_mon_state() で確認した起動状態(表スペース定義後 [2] 時点)
event_mon_state('RTMON_EVMON_STATS') = 1(ACTIVE)
Genius Hub が作成したと判断した理由:
イベントモニター構成前 [1] には存在せず、「表スペースの定義」操作後 [2] で初めて確認されました。製品マニュアルに記載があります。AUTOSTART=N でありながら、「表スペースの定義」操作後の時点で既に ACTIVE 状態(event_mon_state()=1)であることも確認しています。統計イベントモニター作成後 [3]、および 2 日後のスナップショットとの差分もありませんでした。
本検証での稼働状況(実機確認):
実機への SQL 照会の結果、SYSCAT.EVENTMONITORS.EVMON_ACTIVATES = 0(起動累積カウンター)であり、IBM_RTMON の全テーブル(9テーブル)の行数はいずれも 0件 でした。これは、RTMON_EVMON_STATS は論理的に ACTIVE 状態にあるものの、ATS タスク(4.8節参照)が未稼働のためデータが蓄積されていない状態を示しています。
利用される機能:
Genius Hub の「反応性」ウィジェットへのデータ供給全般。IBM_RTMON テーブルへの統計データ書き込みを担います。
3.8 RTMON_EVMON_STATISTICS_WATCHDOG(ストアード・プロシージャー)
-- SYSCAT.ROUTINES から抽出(管理タスク・スケジューラー有効化後 [4] 時点)
-- ROUTINESCHEMA=IBM_RTMON, ROUTINETYPE=P(プロシージャー), LANGUAGE=SQL
-- CREATE_TIME=2026-09-28-18.56.29.564738, DEFINER=UK1215
-- 対応する ATS タスク(SYSTOOLS.ADMINTASKS から抽出)
-- NAME='Rtmon Evmon Statistics Watchdog'
-- TASKID=82, OWNER=UK1215, SCHEDULE='0-59 * * * *'(毎分実行)
-- PROCEDURE_SCHEMA=IBM_RTMON, PROCEDURE_NAME=RTMON_EVMON_STATISTICS_WATCHDOG
-- MAX_INVOCATIONS=1
Genius Hub が作成したと判断した理由:
管理タスク・スケジューラー有効化前(タイミング [3])では max(routine_id)=66947 でしたが、[4] で 66948 に増加し、SYSCAT.ROUTINES で IBM_RTMON.RTMON_EVMON_STATISTICS_WATCHDOG が確認されました。製品マニュアルにも作成が明記されています。
利用される機能:
統計イベントモニター RTMON_EVMON_STATS が収集したデータの保持期間管理(古いデータのクリーンアップ)。毎分実行される ATS タスクによって定期的に呼び出されます。
削除した場合の影響:
IBM_RTMON テーブルのデータが無期限に蓄積し続け、TS4MONITOR 表スペースが枯渇する可能性があります。
3.9 アクティビティーイベントモニター関連オブジェクト群
-- SYSCAT.EVENTMONITORS から抽出(アクティビティーEvmon作成後 [5] 時点)
-- TARGET_TYPE=T(テーブル出力型), AUTOSTART=N, MONSCOPE=T
-- EVMONNAME: RTMON_EVMON_ACTIVITIES_<ID>(<ID>は動的生成)
-- SYSCAT.TABLES から抽出(IBM_RTMON スキーマ、[5] で追加された3テーブル)
-- ACTIVITY_<ID> IBM_RTMON T 2026-09-28-20.09.45
-- ACTIVITY_STMT_<ID> IBM_RTMON T 2026-09-28-20.09.45
-- ACTIVITY_METRICS_<ID> IBM_RTMON T 2026-09-28-20.09.45
-- SYSCAT.ROUTINES から抽出([5] で追加された2 SP)
-- IBM_RTMON.RTMON_EVMON_ACTIVITIES_WATCHDOG CREATE_TIME=2026-09-28-20.04.30
-- IBM_RTMON.RTMON_EVMON_ACTIVITIES_WATCHDOG_<ID> CREATE_TIME=2026-09-28-20.19.45
-- SYSTOOLS.ADMINTASKS から抽出([5] で追加された2タスク)
-- NAME='Rtmon Evmon Activities Watchdog' TASKID=422 SCHEDULE='0-59 * * * *'
-- NAME='Rtmon Evmon Activities Watchdog_<ID>' TASKID=603 SCHEDULE='0-59 * * * *'
Genius Hub が作成したと判断した理由:
タイミング [4] では存在せず、アクティビティーイベントモニター有効化後 [5] で初めて確認されました。IBM_RTMON スキーマへの格納、および Genius Hub 固有の命名規則(RTMON_EVMON_*)から Genius Hub による作成物と判断できます。
<ID> について:
アクティビティーイベントモニターおよびその関連オブジェクト名には、Genius Hub が動的に生成する数値サフィックスが付与されます。統計イベントモニター(RTMON_EVMON_STATS)は固定名ですが、アクティビティーイベントモニターは可変名のため、環境によって実際の名前は異なります。
利用される機能:
Genius Hub コンソールの「アクティビティー」タブ。ステートメントのパフォーマンスと動作、およびシステム全般の負荷を詳細分析するためのデータを収集します。
削除した場合の影響:
アクティビティーイベントのデータ収集・蓄積が停止します。Watchdog SP・タスクを合わせて削除した場合、IBM_RTMON テーブルのデータが無期限に蓄積し続けるリスクがあります。
4. 各オブジェクト作成に伴うシステム影響
Db2 Genius Hub 導入検討における「リソース消費・運用影響」を整理します。
ディスク消費
| フェーズ | 影響 |
|---|---|
| 監視対象登録のみ |
CONSOLE_WORKLOAD のディスク消費はありません。 |
| 統計イベントモニター使用時 |
TS4MONITOR が初期サイズ 2GB の DMS 表スペースとして作成されます(AutoResize なし)。統計データの蓄積に伴い空き容量が減少するため、定期的なモニタリングと容量計画が必要です。 |
メモリー消費
| フェーズ | 影響 |
|---|---|
| 監視対象登録のみ | 追加のバッファープールは作成されません。Db2 標準の MON_GET_* 系テーブル関数を使った収集にとどまるため、追加のメモリー消費はありません。 |
| 統計イベントモニター使用時 |
CONSOLEPOOL(32KB ページ、NPAGES=-2 AUTOMATIC)が追加されます。AUTOMATIC サイズのため、Db2 の Self Tuning Memory Manager(STMM)によって動的に調整されますが、インスタンス全体のメモリー予算(INSTANCE_MEMORY)の範囲内で追加割り当てが発生します。 |
ワークロード管理(WLM)オブジェクト追加
CONSOLE_WORKLOAD の構成は以下のとおりです。
- サービスクラス:標準の
SYSDEFAULTSUBCLASS(SYSDEFAULTUSERCLASS配下) - 優先度:
MEDIUM(業務ワークロードと同等) -
EVALUATION ORDER:1(SYSDEFAULTUSERWORKLOADのORDER=2より先に評価) -
COLLECT AGGREGATE ACTIVITY DATA:NONE
業務クエリのサービスクラスは変更されず、Genius Hub の接続のみが CONSOLE_WORKLOAD にルーティングされます。既存の WLM 設定への干渉は最小限です。
本検証を通じて、Genius Hub 固有の SERVICE CLASS・THRESHOLD が新たに追加されることはありませんでした(SYSCAT.SERVICECLASSES・SYSCAT.THRESHOLDS の変化なし)。
Event Monitor 有効化による影響
RTMON_EVMON_STATS はテーブル出力型(TARGET TYPE TABLES)の 統計 イベントモニターです。個別の SQL ステートメントをキャプチャーするのではなく、 集約統計レベル のデータを収集するため、アクティビティーイベントモニターよりも DB エンジンへの負荷は低く抑えられます。ただし、IBM_RTMON スキーマへの書き込みが発生するため、一定の I/O コストは存在します。
監視オーバーヘッド
監視対象登録のみの場合、MON_GET_* 系テーブル関数・スナップショット監視をベースとした収集が行われます。Db2 エンジンが提供するメモリー内統計を読み出す方式のため、DB エンジンへのオーバーヘッドは極めて軽微です。
5. 補足:本検証における比較手段
本記事の比較検証にあたり、以下の Db2 システムカタログ・管理インターフェースを確認しました。
テーブル・ビュー・スキーマ
-
SYSCAT.TABLES(LIST TABLES FOR ALL SHOW DETAIL) SYSCAT.SCHEMATA
ストレージ・メモリー関連
-
SYSIBM.SYSBUFFERPOOLS(select * from sysibm.sysbufferpools) -
SYSCAT.TABLESPACES(SYSCAT.TABLESPACES、db2pd -tablespaces) -
SYSCAT.DBPARTITIONGROUPS(LIST NODEGROUPS SHOW DETAIL)
WLM カタログ
SYSCAT.WORKLOADSSYSCAT.WORKLOADCONNATTRSYSCAT.SERVICECLASSESSYSCAT.THRESHOLDS
イベントモニター・ルーティン
-
SYSCAT.EVENTMONITORS(event_mon_state()関数含む) -
SYSCAT.ROUTINES(max(routine_id)による変化確認)
Db2 ATS およびレジストリー変数
-
SYSTOOLS.ADMIN_TASK_LIST/SYSTOOLS.ADMINTASKS -
db2set -all -v(レジストリー変数) -
SYSIBMADM.DBMCFG(NAME LIKE '%ATS%')
実機直接照会(検証後半、MCP サーバー経由)
-
SYSCAT.ROUTINES(ROUTINESCHEMA = 'IBM_RTMON') -
SYSCAT.EVENTMONITORS(EVMON_ACTIVATESを含む全列) -
SYSCAT.DBAUTH(uk1215の権限確認) -
IBM_RTMON.*各テーブルの行数(SELECT COUNT(*))
db2support (メインの比較手段)
各タイミングで採取した db2support.zip を展開し、以下のファイルを比較しました。
| ファイルパス | 確認内容 |
|---|---|
DB2SNAP/MYDB_wlm_workloads.supp_out |
WLM ワークロード定義 |
DB2SNAP/MYDB_wlm_conn_attr.supp_out |
ワークロード接続属性 |
DB2SNAP/MYDB_wlm_aval_event_mon.supp_out |
イベントモニター定義 |
DB2SNAP/MYDB_wlm_act_event_mon.supp_out |
イベントモニター起動状態 |
DB2SNAP/MYDB_list_tables.supp_out |
テーブル・ビュー一覧 |
DB2SNAP/MYDB_db2pd_tablespaces.supp_out |
表スペース詳細情報 |
DB2CONFIG/MYDB_bp.supp_cfg |
バッファープール情報 |
DB2CONFIG/MYDB_spcs_bp.supp_cfg |
表スペースとバッファープールの対応 |
DB2CONFIG/MYDB_ngrp.supp_cfg |
データベース・パーティション・グループ |
DB2CONFIG/MYDB_num_tables.supp_cfg |
テーブル総数 |
DB2CONFIG/MYDB_num_routineids.supp_cfg |
ルーティン最大 ID(変化確認) |
DB2SNAP/db2set.supp_out |
レジストリー変数 |
まとめ
Db2 Genius Hub がモニター対象 DB に作成するオブジェクトの検証結果をサマリーします。
(1) 監視対象登録のみでは影響最小
監視対象に登録した時点(当記事における「[1]イベントモニター構成前」)においてGenius Hub が独自に追加する恒久的なオブジェクトは CONSOLE_WORKLOAD(ワークロード定義)1件のみです。WLM の評価順序に EVALUATION ORDER 1 で挿入されますが、業務クエリのサービスクラスへの影響はありません。SERVICE CLASS・THRESHOLD は作成されません。実機確認でも SYSCAT.SERVICECLASSES・SYSCAT.THRESHOLDS の変化は確認されませんでした。
(2) イベントモニター機能を利用する場合は事前見積もりが必要
「表スペースの定義」操作をトリガーとして、バッファープール・パーティショングループ・表スペース・スキーマ・9 テーブル・イベントモニターが一括作成されます。特に TS4MONITOR(初期 2GB、DMS)と CONSOLEPOOL(AUTOMATIC バッファープール)のストレージ・メモリー消費量を事前に見積もり、容量計画に組み込む必要があります。
TS4MONITOR は AUTORESIZE NO で作成されるため、使用量が初期サイズ(2GB)に達するとイベントモニターは自動的に停止します。製品マニュアル(Table space and other prerequisites for event monitoring)にはサイジングの計算式は記載されておらず、初期値 2GB で作成されることのみが規定されています。実際に必要な容量は、監視対象 DB のワークロード量・データ保持期間・収集間隔によって異なるため、運用開始後に使用量を定期的に確認し、必要に応じて表スペースを拡張することを推奨します。
(3) イベントモニターは表スペース定義操作で即時 ACTIVE になる
「表スペースの定義」操作が完了した時点で、統計イベントモニター(RTMON_EVMON_STATS)およびアクティビティーイベントモニター(RTMON_EVMON_ACTIVITIES_<ID>)はいずれも ACTIVE 状態になることを実機で確認しました。「有効化・保管」操作は設定の確定を意味しますが、本検証ではこのタイミングで新たなオブジェクトが作成されることはありませんでした。
参考情報
- IBM Db2 Genius Hub マニュアル「Setting up event monitor profile」:https://www.ibm.com/docs/en/db2-genius-hub/1.1.x?topic=events-setting-up-event-monitor-profile
- IBM Db2 Genius Hub マニュアル「Administrative Task Scheduler (ATS) in event monitoring」:https://www.ibm.com/docs/en/db2-genius-hub/1.1.x?topic=profile-administrative-task-scheduler-ats-in-event-monitoring
- IBM Db2 Genius Hub マニュアル「Table space and other prerequisites for event monitoring」:https://www.ibm.com/docs/en/db2-genius-hub/1.1.x?topic=profile-table-space-other-prerequisites-event-monitoring)
- IBM Db2 Genius Hub マニュアル「Cleaning up monitor objects for deleted connections」:https://www.ibm.com/docs/en/db2-genius-hub/1.1.x?topic=support-cleaning-up-monitor-objects-deleted-connections
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- 【Db2 Genius Hub】インストール手順
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- 【Db2 Genius Hub】導入前に知っておきたいサイジングの考え方 ~実環境から見積もってみた~
- 【Db2 Genius Hub】モニター対象DBに作成されるオブジェクト
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