はじめに
コスト最適化の柱は、パフォーマンス効率の柱と信頼性の柱との間で、トレードオフの関係にあります。
これは導入の稿でも触れたとおりです。
具体的には、下記のような問いを通して、各種要件の優先順位を決定していきます。
- 市場投入までのスピードを重要視する?
- コスト最適化されたアーキテクチャを練るための時間を割ける?
- 万が一を想定して多めにリソースを投資したほうが良い?
ホワイトペーパーでは、
- 初期コスト最適化の方法
- 継続的コスト最適化の方法
についてのガイダンスが提供されています。
連載目次
AWS Well-Architected Framework ホワイトペーパーまとめ 1 【導入編】
AWS Well-Architected Framework ホワイトペーパーまとめ 2 【運用上の優秀性】
AWS Well-Architected Framework ホワイトペーパーまとめ 3 【セキュリティ】
AWS Well-Architected Framework ホワイトペーパーまとめ 4 【信頼性】
AWS Well-Architected Framework ホワイトペーパーまとめ 5 【パフォーマンス効率】
AWS Well-Architected Framework ホワイトペーパーまとめ 6 【コスト最適化】 → 本記事
設計原則とベストプラクティス
最後に各ベストプラクティスの概要です。
- | 概要 |
---|---|
コスト効率に優れたリソース | 対象システムの属性を考慮したうえで、インスタンス単価 x 実行時間がもっとも少なくなるように設計する、マネージドサービス、リザーブドインスタンス、スポットインスタンスを利用する。AWS使用料を頻繁にモニタリングし、デプロイを調節する。 |
需要と供給の一致 | プロビジョニングの時間、障害、管理コスト、自動化を考慮し、需要と供給の一致を目指す |
費用の把握 | それぞれのビジネスオーナー、製品オーナーに属するコストを明確にし、支出の内訳を把握する |
継続した最適化 | アーキテクチャが引き続き最もコスト効率に優れたものであることを確認する。新たに、最適化に寄与するマネージドサービスが出ていないか確認する |
候補サービス一覧
この柱のベースとなるサービスは、Cost Explorerです。
加えて、CloudWatchやTrusted Advisorで費用の経時変化を可視化し、各種コスト効率の高いマネージドサービスを利用します。パフォーマンス効率の柱と同様、最新情報のトラッキングが重要になっています。
さいごに
Well-Architectedフレームワークのホワイトペーパーの概要、本稿まで6回に分けてご紹介しました。
このフレームワークは、クラウドに限らず、システム開発プロジェクトや組織運用などにも活用できる、きわめて汎用的な思考フレームだと思います。
どんな観点で全体を最適化するか、どこをゴールに設定し、どのようにカイゼンしていくか。悩んだ際はぜひご活用を!