ストックイメージ「IBMi_COR-XX-XX-X」は何のため?
IBM i のストックイメージに「IBMi_COR-XX-XX-X」というものがあります。
「COR」は「Cloud Optical Repository」の略で、IFS 上の仮想光ディスク・イメージを他の PowrVS VSI に NFS 経由で提供するサーバーです。
以前「PowerVS IBM i 日記(43): ブートイメージ 言語コード 2924/2984 の区別と導入メディア専用サーバーの用意」で存在は紹介しました。
今回は実際に動作を確認したいと思います。
構成手順は英文ですが「COR - Cloud Optical Repository」に記載されています。それに従って実行していきます。
COR サーバーの構成と確認
COR 用のストックイメージを通常通りデプロイします。
クライアントとなる IBM i とはプライベート・ネットワークで接続するのでプライベート・ネットワークを構成に含めてください。
通常デプロイされる IBM i サーバーと違うのは、アクセプトする必要のあるライセンスが、極端に少ないことです。
NSF サーバーとして他の IBM i に仮想光ディスク・イメージを提供すればいいだけなので、その目的に不要なライセンスは導入されていません。
COS サーバーは NFS サーバーとしてクライアント IBM i に仮想光ディスク・イメージを提供します。
しかし必要な TCP/IP スタックや NFS サーバーは自動開始されるため、COS サーバー側ではこれ以上の構成は不要です。
COR サーバーでの仮想光ディスク・イメージの確認
クライアントとなる IBM i から接続するために想光ディスク・イメージが存在する IFS 上のディレクトリを確認します。
仮想光ディスク・イメージは「/INSTALL」の下に、VxRxMx ごとに用意されています。
V7R4 の場合「/INSTALL/V7R4M0/LATEST」になります。その下に、言語グループごとのフォルダーが存在します。日本語を含むアジア圏用はグループ 3 のため、日本語対応のメディアを利用する場合は「/INSTALL/V7R4M0/LATEST/LANGGRP3」が対象です。
「/INSTALL/V7R4M0/LATEST/LANGGRP3」と階層をたどると、基本メディアセットの他、基本メディアセットに含まれないライセンスソフトのイメージが用意されているのが分かります。
クライアント IBM i のセットアップ
COR サーバーと同じプライベート・サブネットに接続された IBM i VSI で NFS クライアントをセットアップします。
プライベート・ネットワーク・インターフェースの追加
クライアントの IBM i のプライベート・ネットワーク・インターフェースは、通常利用のためのものと NFS クライアント用を共有することも、別々に分けることもできます。
今回は、別々に分けて構成します。
「COR - Cloud Optical Repository」には共有する場合の手順も記載されています。
稼働中の IBM i に追加のプライベート・ネットワーク・インターフェースを追加します。
今回は通常利用の IP として「192.168.100.11」が割り当て済みのところに「192.168.100.111」を新しく割り当てました。
追加されました。
デプロイ後にネットワーク・インターフェースを追加した場合、IP アドレスが割り振られても IBM i に自動構成されるわけではありません。
「PowerVS IBM i 日記(53): 後からPowerVS IBM i にネットワークを追加しても自動でLINDは作成されないし IP アドレスも追加されない」にも書きましたが、資源が割り振られるだけで LIND も 作成されないし IP アドレスも追加されません。
ただし、今回はクライアントの IBM i が仮想光ディスク装置用に利用する IP のため、CFGTCP から認識できる IP アドレスとして構成する必要はありません。
サービス・ツール・サーバー LAN アダプターの設定
COR サーバーには IBM i の OS からではなく、サービス・ツール・サーバー LAN アダプターから接続します。
先ほど追加したプライベート・ネットワーク・インターフェースをサービス・ツール・サーバー LAN アダプターとして設定します。
DST を起動します。
「IBM i 操作」で「21」を実行するとコンソールに DST が表示されます。
「5. Work with DST environment」を実行します。
「2. System Devices」を実行します。
「F13= Select STS Lan Adapter」で LAN アダプターの選択画面に進みます。
新規に追加したネットワーク資源が表示されるはずです。
「1」で選択します。
新規に追加したプライベート・ネットワーク・インターフェースの IP アドレスを設定します。
「F7 = Store」で変更を保管します。
「F17 = Deactivate followed by activate」で変更を有効にします。
これで構成は終わりです。「F3 = exit」で終了します。
稼働光ディスク装置の構成
「CRTDEVOP」で稼働光ディスク装置を作成します。
NFS を利用した稼働光ディスク装置は下記のような作成になります。
CRTDEVOPT DEVD(COR_IMG) RSRCNAME(*VRT) LCLINTNETA(*SRVLAN) RMTINTNETA([COR サーバー IP]) NETIMGDIR([マウント先]) UID(0) GID(0)
今回は COR サーバー には「192.168.100.99」を割り振っています。
先ほど確認した COR 上の IFS の「/INSTALL/V7R4M0/LATEST/LANGGRP3」をマウントします。
このように実行します。
CRTDEVOPT DEVD(COR_IMG) RSRCNAME(*VRT) LCLINTNETA(*SRVLAN) RMTINTNETA('192.168.100.99') NETIMGDIR('/INSTALL/V7R4M0/LATEST/LANGGRP3') UID(0) GID(0)
VRY-ON します。
VRYCFG CFGOBJ(COR_IMG) CFGTYPE(*DEV) STATUS(*ON)
イメージカタログにイメージをロードします。
LODIMGCLGE IMGCLG(*DEV) DEV(COR_IMG) IMGCLGIDX(*FIRST)
ここまでの実行結果です。
仮想光ディスク装置にロードされているイメージを確認します。
WRKIMGCLGE IMGCLG(*DEV) DEV(COR_IMG)
COR サーバーの「/INSTALL/V7R4M0/LATEST/LANGGRP3」内のイメージがロードされているのが確認できました。
COR サーバーからライセンスプログラムを追加導入する
今回は「AFP Font Collection for IBM i (5733B45)」から日本語フォントを導入してみましょう。
「How to Install the AFP Font Collection for IBM i Product (5733B45)」によれば、日本語フォントは下記のオプションです。
- Opt 2 - AFP Outline Fonts - Japanese
- Opt 8 - AFP Raster Fonts - Japanese
メディアをマウントし確認
「6=Mount」で 5733B45 のメディアをマウントします。
「/OPT」を確認するとマウントしたメディアの中身が確認できます。
5733B45 のメディアで、オプション 2 と 8 が含まれていることが確認できます。
ライセンスプログラムの導入
「RSTLICPGM」で導入します。
RSTLICPGM LICPGM(5733B45) DEV(COR_IMG) OPTION(*BASE)
RSTLICPGM LICPGM(5733B45) DEV(COR_IMG) OPTION(2)
RSTLICPGM LICPGM(5733B45) DEV(COR_IMG) OPTION(8)
導入されました。
「DSPSFWRSC」でも導入が確認できます。
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