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PostgreSQL on KubernetesAdvent Calendar 2018

Day 17

#17 PostgreSQL on k8s - Deploymentではどうなる?

Last updated at Posted at 2018-12-16

本記事はPostgreSQL on Kubernetes Advent Calendar 2018の17日目です。
昨日は「PostgreSQL on K8sの運用を考える(2) バックアップ・リストア」ということで、PostgreSQL on Kubernetesの計画停止とバックアップ・リストアの検証を行いました。

今日はちょっと趣向を変えて、PostgreSQL on Kubernetesの構成でDeploymentを使うとどうなるのかを見ていきます。

TL;DR

  • Deploymentのspec.Strategyにtype:Recreateを設定するとStatefulSetに近い動きに。
  • しかし、ノード障害時の動きなどは微妙に異なった。
  • 同じPVがマウントされることが仕様なのか等も確認が必要。

DeploymentでつくるActive-Standby構成

第4回でご覧頂いたとおり、ここまで検証しているPostgreSQL on Kubernetesの構成はStatefulSetでPostgreSQLインスタンスを管理しています。その際にはレプリカ数を1とすることで、起動されるインスタンスは一つだけ、かつポッドの停止と起動をシーケンシャルに行うというStatefulSetの特徴を活かして、常に同じブロックデバイス(Cephが提供するRBD)をマウントしています。

これをDeploymentで構築するとどうなるでしょうか。
通常はDeploymentのポッド生成は並列で行われ、ポッドの停止・起動も同時に走ってしまうため、今回のようにReadWriteOnceのブロックデバイスをマウントする構成には向いていません。

しかし、Deploymentではspec.StrategyとしてRecreateを選べます。
これを設定した場合、全てのポッドを停止後に再作成するので、結果としてStatefulSetに近い動きになるのでは?と期待されます。

Deployment版PostgreSQL on k8sの構成

では、以下のような構成で障害時の動きを検証していきます。

image.png

具体的にstrategyやreplicasは以下のように指定しています。

pg-rook-ds.yaml(一部抜粋)
apiVersion: apps/v1
kind: Deployment
metadata:
  name: pg-rook-ds
spec:
  strategy:
    type: Recreate
  replicas: 1

※YAML全文はこちら

検証ポイント

こちらの記事でも書いた検証ポイントから、DBノードとPostgreSQLポッドに関連するものだけ抜き出した下表が検証対象となります。

障害分類 障害部位 想定する動き
ノード DBノード サービス継続、PostgreSQLフェイルオーバ
ポッド PostgreSQL サービス停止、PostgreSQLポッド再起動

DBノード障害のケース

Deployment版の構成でもレプリカ数は1となるため、DBノードが停止した場合は待機系ノードでPostgreSQLインスタンスを再起動してほしいところですが、StatefulSetでは上手くいきませんでした。

今回もStatefulSetと同じ手順でテストをしていきます。

  1. pgbenchで3分程度のベンチマークを流す。※但し2.の時点で止まる。そこでサービス停止時間を計測。
  2. pg-rook-dsのポッドが稼動しているノードを停止。
  3. pg-rook-dsのポッドが別ノードでRunningとなることを確認。
  4. PostgreSQLのログから起動時間を確認。1.との差分でサービス停止時間を計測。

結論からいうと、StatefulSetの際と同じようにフェイルオーバの動きにはなりませんでしたが、中身は異なっていました。

何が起きたか

まず、ノードを停止した状態を確認します。

DBノード#1の停止状態
$ kubectl get node
NAME               STATUS     ROLES               AGE       VERSION
ip-172-31-15-58    NotReady   worker              9d        v1.10.5
ip-172-31-7-35     Ready      worker              9d        v1.10.5

この状態がしばらく続いた後にポッドの状態を確認したところ、以下のようにポッド再作成を試みていることが分かりました。

ポッド再作成中
$ kubectl get pod -o wide
NAME                         READY     STATUS              RESTARTS   AGE       IP           NODE
pg-rook-ds-d7b5c44cf-ghrmx   0/1       ContainerCreating   0          15s       <none>       ip-172-31-7-35
pg-rook-ds-d7b5c44cf-rwx7m   1/1       Unknown             2          53m       10.42.1.12   ip-172-31-15-58

上記でNotReadyとなっていたポッドはUnknownになっていますが、もう一つのノードでデプロイメントがポッドを作成している様子が見えます。しかし、このポッド生成は完了しません。

その理由はdescribe podのEventsを見てみると分かりました。

describeのエラー部分を抜粋
Events:
  Type     Reason                 Age              From                     Message
  ----     ------                 ----             ----                     -------
  Normal   Scheduled              1m               default-scheduler        Successfully assigned pg-rook-ds-d7b5c44cf-ghrmx to ip-172-31-7-35
  Normal   SuccessfulMountVolume  1m               kubelet, ip-172-31-7-35  MountVolume.SetUp succeeded for volume "default-token-kkgp2"
  Warning  FailedMount            1s (x8 over 1m)  kubelet, ip-172-31-7-35  MountVolume.SetUp failed for volume "pvc-db25d0af-013d-11e9-83f0-02786407b9a8" : mount command failed, status: Failure, reason: Rook: Mount volume failed: failed to attach volume pvc-db25d0af-013d-11e9-83f0-02786407b9a8 for pod default/pg-rook-ds-d7b5c44cf-ghrmx. Volume is already attached by pod default/pg-rook-ds-d7b5c44cf-rwx7m. Status Running

CephのRBDマウントに失敗しています。理由も出力されており、既に別のポッド(Unknownになっているもの)にマウントされているからだ、となっています。

ポッドの強制削除をしてみると

状態はStatefulSetのDBノード障害時と異なるのですが、対応は同じように手動でのポッド強制削除になります。

ポッドの強制削除
$ kubectl delete pod pg-rook-ds-d7b5c44cf-rwx7m --force --grace-period=0
warning: Immediate deletion does not wait for confirmation that the running resource has been terminated. The resource may continue to run on the cluster indefinitely.
pod "pg-rook-ds-d7b5c44cf-rwx7m" force deleted

$ kubectl get pod -o wide
NAME                         READY     STATUS    RESTARTS   AGE       IP           NODE
pg-rook-ds-d7b5c44cf-ghrmx   1/1       Running   0          4m        10.42.2.12   ip-172-31-7-35

これにより、必要なボリュームをマウントしていたポッドが消えたため、ContainerCreatingで止まってしまっていたポッドの起動に成功します。

当然ですが、同じボリュームがマウントされているため、データも保全されていてリカバリ処理も走っています。

まとめ

今回はPostgreSQL on KubernetesのDeployment版構成を検証してみました。ノード障害時の動きは基本的にStatefulSetと同じように見えましたが、細かい動きは異なっています。

ただ、気になるのはこれがDeploymentの仕様通りの動きなのか、です。

StatefulSetと異なり、同じPVをマウントするのが仕様ではない場合、この構成で使うのは適切ではありません。このあたりは後ほど調べてみたいと思います。

よろしくお願いします。

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