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【防災】避難所の「あの人は無事?」を運営どうしで共有する:箱舟プロジェクト(TinyBox)+Delta Chat+ちゃっと安否確認

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災害が起きたあと、避難所でいちばん多く聞かれる質問は、たぶんこれです。

  • 「うちの母は、そちらにいませんか?」
  • 「さっき運ばれた人、無事だったの?」
  • 「あの家族、昨日から姿を見ないけど…」
  • 「薬が必要な人がいるはずなんだけど、誰だっけ?」

避難所の運営側は、誰が無事で、誰がいまどこにいて、誰が何の支援を必要としているのかを把握しなければなりません。けれども、紙の名簿は担当者ごとに分散し、口頭の申し送りは抜け落ち、「あの人は確認済みだったか」は担当者の頭の中にしかないことが少なくありません。

この記事では、Raspberry Pi 5で作る避難所内の小さな通信網「箱舟プロジェクト(TinyBox)」と、Delta Chatの中で動く共有の名簿ミニアプリ「ちゃっと安否確認(v1.0.0)」を組み合わせた、インターネットがなくても、運営担当者どうしで安否・居場所・必要な支援を共有する運用案を紹介します。

地図の「ちゃっとピンマップ」、受付の「ちゃっと入退場」、物資の「ちゃっと物資管理」、当番の「ちゃっと当番表」に続く、5本目の姉妹編です。

本記事は災害対策技術の実験・研究に基づく運用案です。アプリv1.0.0の操作マニュアルに基づいて説明していますが、実機のDelta Chat・TinyBoxでの受入確認と、各言語の母語話者・医療専門家による翻訳校閲は未実施です。このアプリは、救助要請・救護・診断・安否の公式な確認の代わりではありません。緊急の用件は、対面や伝令で、救護担当・消防・救急に直接伝えてください。実際の運用は、平時に地域の運営体制や自治体の手順との接続を確認し、訓練で使える範囲を確かめたうえで検討してください。

1. 避難所の安否確認で、何が困るのか

現場の困りごと 紙・口頭・記憶だと… ちゃっと安否確認だと(想定)
誰が無事で誰が未確認か分からない 名簿が複数あり、状況がそろわない 「無事/要救助/病院搬送/未確認」を、運営担当者どうしで同じ名簿で見られる
同じ人を二重に受け付けてしまう 別々の受付で、同じ人を別々に書く 登録前に名簿を検索し、同姓同名や同じ番号は注意表示
安否と「いま避難所にいるか」が混ざる 「ここにいるから無事」と思い込む 安否と滞在状況(在所・一時外出・退所)を別の項目として記録する
必要な支援が埋もれる 申し送りの中で忘れられる 支援の内容・担当・進み具合を残し、**「要対応」**の一覧で見る
救護の観察が引き継がれない 口頭や走り書きで途切れる 観察・判定・担当者・時刻を一組として残す
同時に書いて食い違う 古い情報が新しい情報を消す 両方を候補として残し、人が確認して決める
画面を人に見られてしまう 名簿を広げると丸見え ワンタップで氏名や詳細を伏せる
日本語が読めない運営メンバーがいる 紙は日本語のみ 画面表示を15の言語から選べる

必要なのは、インターネットがなくても動く小さな通信網と、担当者が替わっても途切れない共有の名簿です。

2. ちゃっと安否確認とは

一言でいうと、**「チャットに送るだけで、運営担当者どうしで使える共有の安否名簿」**です。

マニュアルの冒頭は、こう説明しています。避難所に来た人の安否、居場所、必要な支援を、運営担当者どうしで共有するアプリです。

誰が使うのか

人 役割
運営担当者 アプリを開いて、名簿の登録・更新・確認を行う
運営責任者 通信と利用者の準備をする。記録の保全・整理も担う
住民(避難してきた人) アプリを直接使う前提ではない。紙や口頭で受け付け、担当者が代理で入力できる

住民が自分のスマホで安否を登録するアプリではありません。 運営担当者だけが入ったグループの中で使う、運営の道具です。

仕組みの土台

部品 役割
箱舟プロジェクト(TinyBox) 避難所内だけの通信基地。Wi-Fiアクセスポイントとメールサーバー(E-Post)を担う
Delta Chat 各端末で動くメール方式のチャットアプリ。TinyBoxにつなげば、インターネットなしでグループチャットができる
ちゃっと安否確認 チャットに.xdcファイルとして送るだけで動く、安否名簿アプリ(Webxdcミニアプリ)

Webxdcは、チャットにファイルとして送るだけで、グループ内で動かせるミニアプリの形式です。アプリ専用のサーバーや追加アカウントは要りません。共有に使うDelta Chat側には、メールサーバーとアカウントが必要です。

Delta Chat自体は事前にインストールが必要で、TinyBoxのメールアカウントも設定しておく必要があります。 アプリがTinyBoxやメールアカウントを自動設定することはありません。被災後はアプリストアも使えないため、平時に準備しておく前提です。

TinyBoxの構築手順は箱舟プロジェクトの元記事を参照してください。

3. 基本の使い方:最初に覚える三つの操作

ampi_combined_1to8_3sec.gif

  1. 名簿にいるか検索します。 初めての人は「+ 新規登録」を押します
  2. 氏名、安否、滞在状況、場所、必要な支援を入力して保存します
  3. ほかの担当者の端末でも内容を確認します。 緊急の依頼は対面や伝令でも伝えます

「端末に保存した」だけでは、ほかの人に届いたことにはなりません。 共有には、TinyBoxへつながる通信経路が必要です。

使い始める前の準備

tuushin_combined_3sec.gif

  1. 運営責任者に、TinyBoxのWi-Fi名、Delta Chatの設定、参加する通常グループを確認する
  2. 運営担当者だけが参加する通常グループに、.xdcを一度だけ添付する
  3. グループに届いた同じ添付メッセージを、全員が開く(添付し直すと別の台帳になります)
  4. 「記録担当者」に、引き継ぎ相手が分かる名前を入れる(例:受付A)
  5. 架空の人を1人登録し、別の端末に表示されるか確認する。インターネットを切った条件でも試す

本番を始める前には、受付番号の付け方、避難所の区画名、支援の担当者の書き方をあらかじめ決めておき、本番と訓練の記録を混ぜないようにします(本番用には別の添付を用意)。ブロードキャストでは共同編集できないため、通常のグループを使います。

4. 画面の見方と、登録する項目

gengo_combined_3sec.gif

画面は4つ

画面 見るもの
名簿 検索、絞り込み、個人のカード。詳細・更新
要対応 支援や再確認が必要な人
履歴 誰がどの項目をどう変更したか
通信・運用 送信状況、再送、集計テキスト、書き出し、案内

画面の上部には、「無事」「要救助」「病院搬送」「未確認」の4つの集計が出ます。

この集計は、その端末が知っている記録だけの人数です。 未着や二重受付があるかもしれないので、避難所全員の確定人数としては扱わないでください。 同時更新がある記録は、4つの集計のどれにも一方的に割り当てられません。

登録する項目

ampi_input_combined_3sec.gif

項目 内容
記録担当者・氏名 必須。仮名での受付もできます
受付番号・世帯番号、入退場ID 分かれば入力
安否 無事/要救助/病院搬送/未確認。判断できないときは「未確認」のまま
滞在状況 在所/一時外出/退所
現在地・滞在区画 例:「体育館B」
要配慮タグ 自由記入。例:乳児・移動・服薬支援
支援 内容・担当・進み具合を簡潔に

「安否」と「滞在状況」は別のもの

ここが、このアプリのいちばん大事な考え方です。

項目 例 意味
安否 無事、要救助、病院搬送、未確認 その人の安全に関する記録
滞在状況 在所、一時外出、退所 いま避難所にいるかどうか

「在所」だから「無事」と決めつけません。 家族が同じ世帯番号を使う場合も、氏名は1人ずつ登録します。

5. 使いどころ

想定される場面

場面 使い方(想定)
避難所の受付・名簿づくり 来た人を登録し、安否と居場所を記録する
問い合わせへの対応準備 運営側が「この人は確認済み」「この人はまだ」を、同じ名簿で見て答える材料にする
支援が必要な人の把握 要配慮タグと支援の記録で、「要対応」の一覧から確認する
救護担当の引き継ぎ 観察した状態と、担当者が行った判定を、時刻つきで引き継ぐ
担当交代の前の点検 未確認・要救助・必要な支援・同時更新が残っていないか確認する
訓練・地域行事 訓練で安否確認の流れを通す。祭りや清掃では、「在所」を参加、「退所」を退出として使える

向いている場面・向いていない場面

向いている 向いていない
発災直後から数日の、公式の安否情報の仕組みが届くまでの空白期間 自治体の安否確認システムがすでに使える避難所
準備と訓練ができる、顔の見える運営班 事前準備(TinyBox、Delta Chat、担当者)がない場合
数十〜数百人規模の名簿を、少人数の運営で共有する場面 住民が自分で安否を登録する用途
運営の中で「誰が確認済みか」をそろえたい場面 公式な安否情報の公表や、医療記録としての保管

6. メリット

① インターネットがなくても使える

TinyBoxと組み合わせれば、避難所内の通信だけで、運営担当者の端末に名簿を共有できます。完全に切断中でも、保存領域が使えれば端末に記録できます(共有は再接続後)。

② 安否と居場所を混同しない

「安否」と「滞在状況」が別の項目なので、「ここにいる=無事」という思い込みを防げます。安否が判断できないときは、「未確認」のままにできます。

③ 二重登録を減らせる

登録の前に名簿を検索する手順にしています。同姓同名や同じ番号があると注意が出ます。ただし、自動で名寄せはしません。同じ人かどうかは、本人と人物IDを照らし合わせて、人が判断します。

④ 支援の「抜け」を減らせる

支援の内容・担当・進み具合を記録でき、「要対応」画面で、支援や再確認が必要な人を一覧できます。

⑤ 観察と判定を、事実と分けて記録できる

救護の記録では、観察した事実と、訓練を受けた担当者が実際に行った判定を分けて残します。観察・判定には、担当者と時刻が必要で、この一組が保存されます。診断や自動判定はしません(次の章で詳しく説明します)。

⑥ 同時に更新しても、古い情報が新しい情報を黙って消さない

通信が途切れている間などに、2人が同じ項目を別の内容に変更すると、両方を候補として残します。「古い端末の値で、新しい情報を黙って消す」ことを防ぎます。

⑦ 画面を人に見せるときに、伏せられる

上部の「表示を伏せる」を押すと、氏名・場所・支援・医療の詳細・履歴の内容が隠れます。必要になったら「表示を戻す」で戻せます。

⑧ 個人情報を含まない集計を共有できる

「集計テキストを作成」で、氏名・医療メモを含まない人数の集計を作り、Delta Chatで共有できます。

⑨ 15の言語で表示できる

日本語・English・中文(簡体字)・한국어・Tiếng Việt・Tagalog・Filipino・Português・नेपाली・Español・Français・Deutsch・العربية・Bahasa Indonesia・Русскийから選べます。アラビア語では右から左の配置になります。言語の設定はその端末だけに保存され、氏名・担当者名・メモなどの原文は翻訳されません。

⑩ 入退場の名簿を取り込める

「ちゃっと入退場」の名簿を、追加の形で取り込めます(章7)。

⑪ まずは練習できる

単体のHTML(index.html)をブラウザーで開くとデモモードになります。架空の6人が表示され、登録・言語切り替え・名簿の取り込みを練習できます。記録はそのブラウザー内だけに保存され、他の端末とは共有しません。

7. 「ちゃっと入退場」から名簿を取り込む

ちゃっと入退場で受け付けた人の名簿を、安否確認のほうへ追加できます。継続的な自動連携ではなく、ファイルを渡す操作です。

取り込みの流れ

  1. 入退場で、JSONバックアップ、入退場CSV、または世帯・状態CSVを出力する
  2. 安否確認の名簿で「ちゃっと入退場から名簿取り込み」を押し、ファイルを選ぶ(内容の貼り付けも可)
  3. 候補の氏名・人物IDを照合する。同じIDは追加しない。同姓同名は、本人を確認してから選ぶ
  4. 必要な場合だけ、最終滞在状況・場所の引き継ぎを選び、担当者名を入れて確定する

取り込まれるもの・取り込まれないもの

取り込まれる 取り込まれない
人物ID → 入退場ID 住所・電話・メール・医療メモ
世帯ID → 受付番号・世帯番号
世帯名・関係 → メモ
必要に応じて最終の滞在状況・場所

ここが大事

  • 既存の安否・支援・トリアージの記録は、上書きされません
  • 安否は、必ず「未確認」から始まります。 入場したことを「無事」とは判断しません
  • UTF-8のファイル、20MBまで、1回3,000人までです
  • 取り込み後の一括取り消しはありません。 確定の前によく確認してください

8. 観察とトリアージの記録:何ができて、何ができないか

救護の現場では、「観察した事実」と「判定」を分けて、引き継ぐことが大切です。ちゃっと安否確認には、そのための記録欄があります。

記録の流れ

  1. 個人の「詳細・更新」を開き、「観察した状態」に事実を書く
  2. 判定記録は、担当者が実際に行った判定を選ぶ。判定前は「未判定」のまま
  3. 観察・判定の担当者と、現地の観察時刻を入れる
  4. 実物のタグ番号、救護・搬送・引き継ぎの内容を記録して保存する。状況が変わったら、再評価して更新する

できないこと(重要)

  • 診断や自動判定はしません。 判定は、訓練を受けた担当者が行ったものを記録するだけです
  • 判定記録だけで、安否を自動的に変更しません。 「黒」の判定記録があっても、安否を死亡と認定したり、自動で変更したりしません
  • アプリだけで、救護や搬送の依頼を完結させません。 緊急の用件は、対面・伝令で救護担当へ連絡してください
  • 観察や判定を保存するには、担当者と時刻が必要です

この記録欄は、現場の引き継ぎを助けるための記録であり、医療判断の代わりではありません。

9. 仕組みをやさしく

通信が遅いとき:「保存」と「到達」は別

表示や状況 担当者がすること
保存 この端末に記録した段階。別の端末でも内容を照合する
未受付が残る TinyBoxのWi-Fiやローカル配送を確認し、アプリを開いたまま待つ。必要なら「未受付の更新を再送」を押す
未受付がなくなった Delta Chat側の受付を確認できた段階。他の端末に届いたことや、見られたことを保証するものではない
初期履歴が読めない・保存に失敗 入力を確定したと思い込まず、運営責任者へ連絡する。紙の記録を併用する
  • アプリを閉じている間は、アプリ独自の再送処理は動きません。再接続後はアプリを開いてください
  • 救助など急ぎの用件は、対面や伝令で伝えます。 受信を待つだけにしません

同時更新:候補を並べて、人が決める

  1. 名簿の「同時更新」で対象者を探し、「詳細・更新」を開く
  2. 各候補の値・担当者・時刻を読む
  3. 画面の時刻だけで決めず、本人や担当者に確認する
  4. 採用する候補を入力欄に入れ、必要なら修正して、全候補を確認したことをチェックして保存する

片方の人が「場所」、もう片方が「支援」を変えたような別々の項目は、それぞれが合わさります。トリアージは、観察・判定・担当者・時刻を別々の人の組み合わせにせず、一組のまま候補に残します。

画面に「観察時刻を再確認」と出たら、古い記録や未来の時刻の可能性があります。端末の時計も確認してください。

履歴

「履歴」では、誰がどの項目を変更したかを確認できます。間違いを直しても、前の値は履歴に残ります。受信の順番や端末の時計は、実際に起きた順序や正確な時刻を保証しません。

10. 運用シナリオ(想定)

実機での大規模な運用確認ではなく、想定シナリオです。

平時の準備

  1. TinyBoxを設置し、運営担当者の端末にDelta Chatのアカウントを設定する
  2. 運営担当者だけが入る通常グループを作り、.xdcを送る
  3. 受付番号の付け方、避難所の区画名、支援の担当者の書き方を決める
  4. 誰がどこまで見られるか、医療情報を誰が扱うかを決める
  5. 単体デモで操作を覚え、架空の人を使った訓練で、受付〜引き継ぎまで一度通す
  6. 本番用には、訓練とは別の添付を用意する

発災後

場面 操作の例
避難してきた人を受け付ける 名簿を検索し、いなければ「新規登録」。氏名(仮名も可)・滞在状況・場所を入れる
入退場から名簿を引き継ぐ 入退場の名簿を取り込み、安否は「未確認」から確認していく
安否を確認した 現場で確認できたら「無事」にする。判断できないときは「未確認」のまま
支援が必要な人がいる 要配慮タグと支援の内容・担当を記録し、「要対応」で追う
救護担当が観察した 観察した事実、担当者が行った判定、担当者、時刻を一組で記録する
人数を報告する 「集計テキスト」を作り、Delta Chatで送る(個人名は含まれない)
画面を人に見せる 「表示を伏せる」を押してから見せる
担当が交代する 未確認・要救助・必要な支援・同時更新が残っていないか確認してから引き継ぐ

自治体・支援団体が到着したとき

JSONやCSVを出力できますが、個人情報や医療情報を含む場合があります。書き出す前に、確認画面を読み、共有先と相手の個人情報の取り扱いルールを確認してください。自治体への自動連携はありませんので、確認のうえ、書き出したファイルを手渡す形になります。

11. 姉妹記事との関係

ちゃっとピンマップ ちゃっと入退場 ちゃっと物資管理 ちゃっと当番表 ちゃっと安否確認
扱うもの 場所 人(いま誰がいるか) もの 人手 安否・支援(誰が無事で、何が必要か)
記事 地図で助け合う 避難所の「自衛」受付 物資管理 当番表 この記事

入退場が「いま、誰がここにいるか」をQRで受け付けるのに対し、安否確認は「その人は無事か、何の支援が必要か」を運営どうしで共有します。入退場の名簿を取り込めば、受付で集めた人の一覧から、安否確認を始められます。

なお、自治体の公式の安否確認の仕組みや、各種の安否情報システムの代わりではありません。 本構成は、公式の仕組みが届くまでの空白期間、または届かない場所を埋めるものとして位置づけています。

12. 情報の扱いと運用上の注意

このアプリが扱うのは、災害時の安否、居場所、支援の必要性、場合によっては医療に関わる情報です。姉妹アプリのなかで、もっとも慎重な扱いが必要です。

  • 全参加者が、全記録を閲覧・編集できる前提で運用します。 権限の仕組みや本人認証はありません。担当者名は自己申告です
  • グループには、運営担当者だけを入れてください。 一般向けのグループには広げないでください
  • 機微な医療情報は、救護担当者に限定してください。 必要がなければ書かない、という判断も大切です
  • 「表示を伏せる」は、閲覧権限を制限する機能ではありません。 画面を人に見られるときの目隠しで、データの匿名化でもありません。受付番号や安否は、伏せても表示に残ります
  • 集計テキストは、氏名・医療メモを含みません。 人数の報告は、集計テキストを使います
  • JSON・CSVには個人情報が含まれ、CSVには医療情報が含まれる場合があります。 書き出しは、個人記録が必要なときだけにして、確認画面を読んで共有先を確認してください
  • JSONの復元(取り込み)はできません。 出力しても、送信済みの記録は消えません
  • 間違えて記録しても、前の値は履歴に残ります。 全端末の履歴の消去や、一括の取り消しはありません。記録の保全・整理は運営責任者が行います
  • どこまで記録し、誰が閲覧し、いつ整理するかを、あらかじめ運営のルールとして決めておいてください

13. 限界と注意点

  • このアプリは、救助要請・診断・自動判定をしません。 緊急の用件は、対面・伝令で伝えてください
  • 画面の集計は、その端末が知っている記録だけです。 避難所全員の確定人数としては扱えません。未着や二重受付があるかもしれません
  • 同期は即時ではありません。 「保存」は到達ではなく、「未受付なし」も、他の端末への到達や閲覧を保証しません
  • 単一のTinyBoxをメール配送に使う構成では、その停止中は端末間の更新共有が止まります。 電源も必要です
  • 保存や読み込みに失敗したら、確定したと思い込まないでください。 紙にも記録し、運営責任者へ引き継ぎます
  • 同姓同名や同じ世帯番号は、自動では名寄せしません。 本人と人物IDを照合して決めます
  • 取り込みは手動です。 継続的な自動連携ではなく、取り込み後の一括取り消しもありません。住所・電話・メール・医療メモは取り込まれません
  • 記録の復元はできません。 出力したJSONを、このアプリへ戻す機能はありません
  • 古いバージョンの台帳の自動置き換えはありません。 共有の単位は「同じメッセージのアプリ」です。添付し直すと別の台帳になります
  • ブロードキャストでは共同編集できません。 通常のグループを使ってください
  • アプリを閉じている間は、再送処理が動きません。 再接続後に、アプリを開いてください
  • 端末の時計をそろえてください。 「観察時刻を再確認」が出た場合は、時計のずれや古い記録を疑います
  • 多言語の翻訳は、母語話者・医療専門家による校閲が未実施です。 氏名・メモなどの原文は翻訳されません。本番の前に、用語を確認してください
  • TinyBoxと複数の実機の組み合わせは、受入確認が未実施です。 大人数での性能、連続稼働時間も、本記事では未検証です
  • Wi-Fi機器は技適取得品を使ってください

14. どんな場面で価値が高いか

  • **発災直後から数日の「空白期間」**に、準備済みの運営班が安否と支援を共有する場面
  • 自治体職員が駆けつけられない避難所や、自治会館・公民館など公式の仕組みの外にある場所
  • 運営担当が交代しながら回す場面(引き継ぎで抜けが出やすい)
  • 支援が必要な人(要配慮者)の把握を、運営どうしでそろえたい場面
  • 訓練できるグループ(自治会、防災班、学校、公民館など)

逆に、自治体の安否確認の仕組みがすでに使える場面や、事前準備がない場合は、メリットは小さくなります。また、個人情報や医療情報を扱う以上、運営のルールと訓練が整っていない状態での利用は避けるべきです。「万能の解決策」ではなく、訓練しておけば、手が届かない場面の初動で効く一案と位置づけています。

15. 今日からできるチェックリスト

  • 単体のindex.htmlをブラウザーで開き、デモモード(架空の6人)で操作してみる
  • 「名簿取り込みサンプル.csv」を使って、取り込みの練習をしてみる
  • Delta Chatを入れて、運営担当者だけの通常グループを作ってみる
  • .xdcをグループに送り、架空の人を1人登録して、別の端末に表示されるか確認する
  • 「安否」と「滞在状況」を別々に設定してみる
  • 同じ人を2台で同時に更新して、同時更新の候補が出る様子を見てみる
  • 「表示を伏せる」と「集計テキスト」を試してみる
  • 「ちゃっと入退場」の名簿を書き出し、取り込んでみる(安否が未確認から始まることを確認)
  • 外部回線を切り、TinyBox内で更新が届くか確認する
  • 「未受付の更新を再送」の動きを確認する
  • 「誰が記録し、誰が見られるか」「医療情報を誰が扱うか」「いつ記録を整理するか」を決めておく
  • 紙の記録を併用する手順を決めておく
  • 本番用と訓練用の添付を分ける
  • 自治体や防災担当に、地区の自主的な取り組みとして相談しておく

箱舟プロジェクトが目指す未来

災害時に本当に必要なのは、単に「通信できること」ではなく、必要な情報を、必要な人に、分かりやすく届けることです。場所(地図)、人(受付)、もの(物資)、人手(当番)、そして安否と支援(安否確認)。避難所で順番に詰まっていく情報を、地域コミュニティ自身が運用できる形にしていきたいと考えています。

安否の情報は、とても重いものです。だからこそ、「できること」と「できないこと」を正直に示し、運営のルールと訓練とセットで使えるようにしたいと考えています。

試験運用に協力していただける自治会・防災組織の方や、ご意見・ご指摘をお寄せいただける方を探しています。特に、医療・救護の専門家や、各言語の母語話者の方による校閲をお待ちしています。コメントやフィードバックをお待ちしています。

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