本記事は READYFOR 株式会社の READYFOR Advent Calendar 2021 17日目です。
昨日の記事は @KUMAN さんの「エンジニアリングマネージャーとしての開発力向上の取り組みついて」、明日の記事は @feat2kj さんの予定です!
※ 本記事の内容は所属会社の公式発表・見解を示すものではありません。
■ 本記事のゴール
本記事では、勉強会や社内イベントなどの
オンラインイベントにおいて「学び」・「会話」・「雑談」をいかに促進するか? に焦点をおいた、オンラインイベントにおけるファシリテーション手法「ラジオDJシステム」の紹介をします。
その前提として必要となる オフライン・オンラインのコミュニケーション方法の特徴 について触れながら、どのように「学び」・「会話」・「雑談」を促進していくか? について説明をしていきます。
■ オンラインイベントは飽きやすい?
オンラインイベントに参加する時の事 を思い浮かべてみてください。
あなたはいま自室にいて、机に向かったり、ベッドに寝転んだりしながら オンラインイベントに参加 しています・・・
もう終わりです。
ちょろっとスマホやチャット欄を眺めただけ なのに。
あなたは話者が何を喋っているのか分からなくなっています。
他にもテレビが流れているかもしれませんし、スマホアプリから Push 通知が届いたりもします。
\パパー! ちょっと○○が××××!!/ なんて声が掛かることもあるでしょう。
そちらに意識を取られて何かを考えたら最後。
話者が喋っていることがすっぽり抜け落ちて「今なんの話だったっけ・・・?」となってしまうのです。
このスッココられたりスマホ通知が来たりすること、勿論オフライン時代にもありました。
しかしその場で スマホやPCを眺めることに対するハードルはオンライン時代と比べて高かった はずです。
オフライン時代なら会場の席に座りつつ一瞬チラ見するだけ だったのに、
オンラインイベントの場合つい誘惑に負けじっくり手にとって読み込んでしまう のです。
だって誰もあなたのことを見ていませんから。
つい手にとって見て考えてしまった結果、話者が喋っている内容が分からなくなり興味を失ってしまうという事態が容易に発生します。
気合を入れて会場に出向くというサンクコストがない ので、なんか合わなかったな~ ってなってもそんなに痛手ではありません。
最終的には「うーん、まいっか」とそっとオンラインイベントから去ってしまうことすらあります。
オンラインイベントは気楽なんですが、気楽すぎるが故の悩みを抱えているのです。
■ オンラインイベントの特色
こうした オンラインイベントの特色 をまとめると以下のようになります。
- どこからでも参加できる!
- 誰も見てない! 圧倒的気楽!
- 周囲環境は誘惑まみれ
- 「参加している感」が薄く、会場の「空気感」や「一体感」を感じづらい。
どこからでも参加できるのは御存知の通り、もう超絶怒涛のメリットです。
実際、私は静岡に居ながらして東京近郊在住でなければ中々参加できなかったようなイベントに参加できています。最高です。ずっと続いてほしい。
しかし残念ながら その他の特色は、実は悪い方向に働いてしまいがち です。
そのため イベントに参加するための熱量が失われていき、ひいては イベントそのものの熱量が失われてしまう ことが多いのです。
だって誰も見てないし、周りに誘惑が一杯あるし。
「頑張って会場に来たぞ!」もないですし、一体感も感じられないんですもん。
集中できないよね。
■ オンラインイベントでよく見る対策
前項で挙げた課題への対策として、イベントを企画されている方は本当に様々な工夫をこらしています。
例えば、
- 音楽やMVを流してみる。
- 著名な方をゲストとして呼んでみる。
- 質問を募集してみる。
などなど...。
- 音楽やMVを流せば、何だかワクワク感を想起したり 一体感を演出する ことが可能です。
- 著名なゲストを呼べば、その威光で 参加者を惹きつける ことが可能です。
- 質問を募集すれば、興味を持ってくれている人にアプローチする ことが可能です。
どれも一定の効果はあると考えます。
しかしこれらの方法はアプローチが受動的であったり一方通行であったり、ごく一部の人がターゲットになっていることが多いです。
これは想像ですが、色々な手法を駆使してもその効果を参加者の皆さんへ「届けきる」ことが出来ないのでしょう。
結果としてイベントは盛り上がりに欠けてしまい、徐々に参加者の皆さんは周りの誘惑に負け...
イベントは参加者数の割になんとなく寂しい感じの仕上がりになっていくのではないかと思います。
100人も参加しているのにチャットが「888888888」だけ・・・ なんてイベント、見たことはありませんか?
■ オンラインイベントで大切なこと: 「皆で同じ場に参加しているというライブ感」
そうならないようにするために、オンラインイベントで大事なことは
「皆で同じ場に参加しているというライブ感」 を、「出来るだけ多くの参加者のみなさんへ提供する」 ことです。
オフライン時代、私達は実は会場に集まっただけでこうした空気感を肌で感じ取っていました。
発表を聞いていれば、笑ったり頷いたりするのが伝わってきます。
場が楽しい雰囲気 になると自然と自分も笑ってしまったりしますよね。
そうした 「皆で同じ場に参加しているというライブ感」 が、発表と組み合わされ会場の熱量を作り上げます。
同じ興味を持った人たちが同じ場に集まっていて、「一緒に」 話を聞いている。
この「一緒に」という部分こそが、オフライン時代の私達の「興味」をつなぎとめる事に成功していた強い要因 だと考えます。
しかしオンラインイベントではこの「ライブ感」をとても感じづらくなります。
笑い声は聞こえないし、集中してなくても別にいいし、スマホ見てても誰も気にしないし。
チャットはあったりするけどあまり会話がなかったり、興味を引くような書き込みもないし。
「一緒に話を聞いている」感覚が全然ありません。
な~~んか盛り上がりに欠ける・・・
そんな中、キャッチーさを追求して「いかに顧客を取り込むか」を研究しまくっているコンテンツ達 が私達に \スッコココ/ と牙を剥くのです。
どれもこれもあなたの気を引くために考え抜かれたものばかりです。
これらのコンテンツと比較して「オンラインイベント」はどうでしょう?
\スッコココ/ に勝てるだけの面白さをずっと提供し続けることは可能でしょうか?
難しいですよね。不可能と断言しても良いでしょう。
イベントは勉強にはなるけれど、面白さを追求したものではない ですから。
面白さで戦ってどうにかなるものでもありません。オンラインイベントは映画やお笑い芸人のライブではないのです。
「オンラインイベント」でキャッチーや面白さ特化のコンテンツと戦い「勝ち抜く」ことは非常に難しい でしょう。
一勝くらいは出来ます。でも戦いはイベントの最中ずっと続くのです。
こちらは登壇者が数人しかいないのに、キャッチーなコンテンツたちは舌舐めずりしながら行列を作ってあなたを狙っています。
ずーっと勝ち続けるなんて無理ゲーです。端から勝ち目はありません。
つまり面白さだけで対抗するのではなく、何か他の手段が必要です。
何とかして**「皆で同じ場に参加しているというライブ感」**を提供し、イベントに興味を持っていただかなくてはなりません。
それがきっと私たちのイベントのスタートラインになるのです。
■ スタートラインに立つ前に①: なぜオンラインイベントは「ライブ感」を感じづらいのか?
さて、スタートラインに立つべく説明を始める前に「ライブ感」というゆるい言葉に関してお話をさせてください。
ライブ感とは、『同じ興味を持った人たちが同じ場に集まっていて、一緒に話を聞いている。』という状態 を指します。
そして オンラインイベントではこの「ライブ感」を感じづらい と先述しました。
それは何故でしょうか?
オンラインイベントの「ライブ感」の感じづらさ。
それは実は、オンラインイベントでの公演が 1:N
のコミュニケーション「ではない」 ことに起因します。
オフラインでもオンラインでも、話者と聴衆は 1:N
の関係にあるように感じると思います。
しかし実は違います。よくある Zoom を使ったオンラインイベントでの公演は、実は「1:1のコミュニケーション × N
」なのです。
上図の通りオフラインイベントでの公演は 「1:N のコミュニケーション
」です。
講師から会場の皆さんへ届けられます。届けられた側は場の空気を共有しています。
一方オンラインイベントでの公演は「1:1 のコミュニケーション × N
」なのです(!)
話を聞いている人たちは**「オンライン」という場を「共有しているようでしていません」**。
画面上近い距離にはありますが、その実態は 隔離された世界にひとりひとりが佇んでいる のです。
1:N
と (1:1)*N
オフラインとオンラインの似ているようで強烈に違う点がここにあります。
オンラインイベントでは隔離された参加者はひとりひとりが自室という名の箱の中にいるため、
「空気感の共有」や箱をまたいだ何らかのコミュニケーションが成立しづらいという課題 を持っています。
一方これらを解決しようとしているサービスもあります。
例えば SpatialChat, Ovice, TeamFlow, Remo, Gather などに代表されるリモートオフィス系のサービスたちです。
実際に TeamFlow を使ったイベントを開催しましたが、これらのサービスが人気になる理由が分かりました。
比較的 1:N
に近い状況を作り出すことが出来るのです。
ただし本記事はサービスの紹介ではありませんので、これらのサービスがなぜ強いのかについてはまたの機会とさせてください。
■ スタートラインに立つ前に②: オンラインイベントにおけるコミュニケーション手段
オンラインイベントにおけるコミュニケーション手段とその特徴を紹介しようと思ったのですが、本文があまりに長すぎたため割愛しました。
別の記事としてゆるく供養していますので、気が向きましたらぜひご参照ください。
『補足: ファシリテーション手法「ラジオDJシステム」でスタートラインに立つ前に②: オンラインイベントにおけるコミュニケーション手段』
■ スタートラインに立つ: 「ラジオDJシステム」でオンラインイベントの「孤独」をぶち壊す
□ 「ラジオDJシステム」の目指すゴール
オンラインイベントの課題は、
「**皆で同じ場に参加している感**」 を共有するにはどうすれば良いでしょうか?
先述した通り、オンラインのイベントでは **隔離された世界にひとりひとりが佇んでいる** 状況です。
といったものでした。
この課題を解消する方法の1つとして私が提案するのが「ラジオDJシステム」です。
ラジオDJシステムを使うと、「皆で同じ場に参加しているというライブ感」 を 沢山の参加者の方々へ提供することが可能 です。
その結果、箱を飛び出してのコミュニケーションを取りやすくなり、「学び」・「会話」・「雑談」が促進 されます。
それは イベントの熱量を維持・向上する ことに繋がり、離脱率の減少 を見込むことが可能です。
慣れるまでは大変ですが、なにより楽しいです!
□ 「ラジオDJシステム」 is チャットの読み上げ & 反応
「ラジオDJシステム」とは、イベントの進行に「ラジオDJ」という役割を追加 し、ラジオDJがテキストチャットを読み上げ、何らかの反応を返す という仕組みです。
たったこれだけです。
不思議なことに、ただ「チャットを読み上げて反応する」だけ で、「皆で同じ場に参加しているというライブ感」を提供する ことが可能になるのです。
イメージとしてはいわゆる「ラジオのお便り投稿コーナー」を想像いただけると良いでしょう。
視聴者がハガキやメールで質問やエピソードを投稿し、それに対してラジオDJがお便りを読み上げて話題を広げるものです。
最近でいうと YouTuber や VTuber の生配信 に近いと思います。
視聴者がコメントを打つと何か反応してくれるアレです。(お金出さないと読んでもらえないかもしれませんが)
なぜラジオDJシステムが有効なのかについては、次の章にてじっくり説明をしていきます。
□ 実績はあるの?
ここ2年ほど実際に「ラジオDJシステム」をオンライン読書会にて使ってきて、概ね好評を頂いています。
またいくつかのオンラインイベントや社内イベントで同形式を採用したよ~ というお声がけも頂いており、それなりに再現性もあるようです。
間違いなく「自分には合わないな」と思う方もいらっしゃると思いますので、手段の1つとして参考にして頂ければ嬉しいです。
(もっと進化させたよ! なんて話になったらその時は是非教えて下さい!)
■ 「ラジオDJシステム」のもたらすもの
□ ラジオDJシステムのもたらすもの①: 「目線・時系列の同期」、「話題への復帰ポイントの確保」
例えば ラジオDJが『XX時XX分の ○○さんの ××××××××××××』と チャットを読み上げます。
すると参加者の皆さんは、ボイスチャットで話す人達が 「これから」「何を話題としようとしているのか?」 を理解することが可能となります。
読み上げの瞬間までは別のテキストチャットを読んでいたり、あるいは \スッコココ/ の誘惑に負けて何か違うことをしているかもしれません。
そんな方々の意識や頭の中を チャットを読み上げることで「次の話題」に同期する のです。
皆の見ている場所が同期されますから、テキストチャットやリアクションを見てもらえる可能性も高まります。
また何度もテキストチャットを読み上げることになりますから、読み上げのたびに「話題への復帰ポイント」を確保する ことにも繋がります。
たとえ一瞬なにかに気を取られてしまっても、安心して戻ってくることが可能なのです。
つまり ラジオDJシステムは \スッコココ/ の誘惑に打ち勝つのではなく、勝てない状況を前提とした仕組み と言えます。
□ ラジオDJシステムのもたらすもの②: 「イベントへ参加している感」
ラジオDJシステムでテキストチャットを読み上げます。
すると「ラジオにおけるお便り投稿コーナーでハガキが採用された」というシチュエーションや、「YouTuber や VTuber にコメントしたら反応を返してくれた」というシチュエーションに似た喜びを感じることが可能です(しかも無料ですよ!?)。
一方、一般的なオンラインイベントではテキストチャットを書いても何か反応が帰ってくることは少ない傾向にあります。
つまり話してもほぼ何処にも届かない、または届いていない気がしてしまうのです。
打っても響かないのですからテキストチャットを書こうという気持ちは徐々にしぼんでしまいがちです。
そして「8888888」だけになっていく.....
ところがラジオDJがテキストチャットを読み上げるとどうでしょう?
いつもは事実上書き捨て状態になっていた意見や感想 が、「読み上げを介してイベントの一部」へと昇格します。
自分の書いた内容でラジオDJが笑ったり賛同してくれたりすれば凄く嬉しいですよね。
「ウケた!」とか「賛同してもらえた!」という経験は物凄く大きなパワーを発揮します。
ここまでくるともはや 「イベントへ参加している感」どころか、「参加者がイベントの一部」になる のです。
1:Nの一方向のコミュニケーションから、1:Nの双方向コミュニケーションへ。
これはかなりの発想の転換ではないでしょうか。
こうしてラジオDJシステムが上手く回りだすと、ただ聞いているだけだったイベントが視聴者参加型のイベントへと変わります。
その結果、テキストチャットでのコミュニケーション量が爆増し、イベントの熱量が上がって学びも楽しさが格段に向上することへと繋がっていきます。
□ ラジオDJシステムのもたらすもの③: 「コミュニケーションパスの追加」
よくあるイベントでは、ボイスチャットを使う人がそれ以外の人に対して何かを伝える形で進むケースが多いでしょう。
先の例で挙げた「1:N
」のコミュニケーションがそれに該当します。
テキストチャットを使ったり、リアクション/スタンプを使うことでも「1:N
」に加えて 「参加者」と「参加者」の間にコミュニケーションパスを生む ことが可能です。
しかし テキストチャットもリアクションも「能動的に見なければならない」 ため、どうしてもお互いに反応するタイミングが失われがちです。
今ホットでない過去の話題をわざわざ読み返してリアクションを付けるというシチュエーションはあまり想像できませんよね。
ところがラジオDJシステムでテキストチャットを読み上げるとどうでしょう?
読み上げたタイミングでそのテキストチャットの内容が話題の中心になります。
参加者の皆さんが任意のタイミングで読んでいたテキストチャットを、あえて読み上げ半強制的に耳や目に入る状態とすることで、
一番ホットなタイミングで、改めてリアクションを付けるチャンスが生まれる のです。
そして実際に複数人からリアクションが付けば「皆で同じ場に参加している感」が爆発的に増加します。
もちろん話題になっているのですから、テキストチャットに対する意見などの書き込みもしやすくなります。
これが 「参加者」と「参加者」の間にコミュニケーションパスを生む という事です。
また読み上げが前提となりますから、「参加者」から「主催者(ボイスチャット使用者)」へのコミュニケーションパスも生まれます。
例えば疑問をテキストチャットを書いていただき、ラジオDJがそれを読み上げて反応すると、
別の参加者がその内容に対する回答や意見をテキストチャットに書いたり、リアクションで反応する。
1:N
かつ一方向のコミュニケーションとなっていた従来の勉強会 とは一線を画するコミュニケーションの量です。
ボイスチャットとテキストチャット、リアクションという質もパワーも異なるコミュニケーション手段を上手く組み合わせることで、
コミュニケーションパスを増加させ、ひいてはコミュニケーションの量を増やしイベントとしての熱量の増加につなげているのです。
オフライン時代、「同じ場を共有する」という事は直接的に言葉を交わすわけではなくとも それ単体で緩やかなコミュニケーションパスとして成立 していました。
オンライン時代となってその感覚は失われていましたが、「ラジオDJがチャットを読み上げて反応し、参加者の皆さんがリアクションで反応」することで、オフライン時代の場の空気感を再現 することが可能となったのです。
※ これはつまり、リアクションが使えないツールを使うと物凄いつらみとなるということと同義です。このつらみについては次節で話題とします。
■ 「ラジオDJシステム」のつらみ
■ ラジオDJシステムのつらみ: ラジオDJの負荷
一方、ラジオDJシステムにはつらみもあります。
それは ラジオDJに負荷がかかる点 です。
ただ読み上げて反応を返すだけとは言っても、1時間も話せば相当な量です。
よほどのおしゃべり好きでなければひとりで反応し続けるには負荷が高いでしょう。
そこで、司会やファシリテーター役を他に用意する ことをお勧めします。
うまく話題が繋がりきらない場合や間が大きく空いてしまいそうな場合など、とにかく困ったら司会やファシリテーター役に話を振ります。
例えば「この○○○って司会さんの会社だとどうですかね?」など、雑な振り方でも構いません。
「分からない」という回答が来るかもしれませんが、そうした会話やちょっとした間がテキストチャットなどによる新たなコミュニケーションを生んでくれている筈です。
また「参加者の皆さんの会社だとどうですか?」 のように参加者の方々に直接問いかけても構いません。
その反応を待つ間、司会やファシリテーターと会話をして繋ぐ方法もあります。
リアクション/スタンプが沢山ついたコメントがあればそれを皮切りに話題につなげてもよいでしょう。
もしそれでも何も生まれないようなら次の話題に移るタイミングです。
また別の手法として、ラジオDJを二人で分担するという方法 もあります。
話題ごとに得手不得手もあるでしょうし、無理して一人で全てを引き受ける必要はありません。
協力し合いながら徐々に「相方」との空気感を醸成していけると、本当にイベントの運営が楽に楽しく出来るようになってきます。
ここばかりは経験値が必要になる点ですね。
■ ラジオDJシステムのつらみ: リアクションが出来ないツールだと難易度が爆増する
ラジオDJシステムによるコミュニケーションの根幹にあるのがリアクション/スタンプです。
読み上げとリアクションが合わさることで、オンラインイベントの「参加者」間にある壁が気軽に破れるようになる事がその強みであるためです。
このため例えば YouTube Live や Zoom, Meet など、テキストチャットに対してリアクションをする機能のないサービス を使う場合は 急激に難易度が高まります。
「参加者」と「参加者」の間にあったコミュニケーションパスがほぼ失われますので、話術などでそのパスを上手くカバーしなくてはいけません。
もしそうしたサービスを使わなくてはならない場合は、Slack や Discord などのリアクション機能付きのチャットサービスを併用することを視野に入れるとよい でしょう。
チャットはここでやってね! と会の最初に念押しをして純正のチャット機能を使わないようにすれば、ラジオDJシステムの旨味を得ることが可能となります。
リアクションのない特定のサービスのみでイベントを行う場合は、特にラジオDJの手腕が非常に問われることとなります。
読み上げが多少の効果を発揮するのは間違いありませんが、話術や資料構成などによって大きく盛り上がり度が変わってきます。
残念ながらこれという解決策は正直ありませんので、腕試しと思って練習の成果(?) を発揮してみましょう。
■ ラジオDJシステムのつらみ: お堅い場では利用しづらい
ラジオDJシステムは場を選ぶ傾向があります。
例えば お堅い場にはラジオDJシステムはあまりマッチしません。
もしも新しい人事制度について話を聞いている最中、ラジオDJが隣でテキストチャットを読み上げ続けたら違和感しかないはずです。
仮にそうした場で活用するとしたら、会が始まる前の待機時間 や、会が始まってすぐのアイスブレイク などに留めると良いでしょう。
■ まとめ
以上のように、ラジオDJシステムでは「テキストチャットを読み上げて反応する」ことで、「参加者と参加者の間にある壁を破りやすく」して、「学び」・「会話」・「雑談」を促進します。
その結果として イベントの熱量を維持・向上する ことができ、離脱率の減少 を見込むことが可能です。
見込むことの出来るメリットとデメリットは以下の通りです。
-
メリット
- コミュニケーションパスを増やす
- 参加者の皆さんの「目線」と「時」を同期する
- イベントへの復帰ポイントを潤沢に提供する
- イベントへ主体的に「参加している感」を提供する
- イベントの熱量・楽しさ・学びを高める
-
デメリット
- ラジオDJ の負荷が高い (DJ ともうひとりファシリテーション担当が欲しい)
- チャットツールの便利さに依存する (絵文字リアクションが欲しい)
- お堅い場では利用しづらい
残念ながら ラジオDJシステムは銀の弾丸ではありません。
それでも時と場所を選びながら、ぜひラジオDJシステムにチャレンジしてみて頂けると嬉しいです。
いつか「うちではこうやってみた」や「こう進化させてみた」などのお話が聞けると嬉しいです!
その際はぜひご一報ください!
またオンラインイベントにおけるコミュニケーション手段とその特徴を、別記事としてゆるく供養していますので気が向きましたらぜひご参照ください(再掲)。
『補足: ファシリテーション手法「ラジオDJシステム」でスタートラインに立つ前に②: オンラインイベントにおけるコミュニケーション手段』
■ 元ネタ
本記事は 2021/11/28 に開催された『リモートワークでの「雑談」どうやるの会議 』にて
発表したLTの 『雑談@Radio』 を元ネタに、時間が足りなすぎて話しきれなかった部分について大幅に加筆(?) したものとなります。
また今回は触れていない楽しさの作り方をどうやって作るか? といった内容にも過去の記事で触れていますので、是非併せて読んでいただけると嬉しいです。
■ 御礼の言葉
このような長文を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。
また相棒役としてずっと活動を共にしてくださっている @jnuank さんや @little_hand_s さん、
そして活動コミュニティである DDD Community JP, Agile Developers Community でのイベントに参加頂いている皆さん、本当にありがとうございます!
まだまだ楽しく学びの深いイベントとしていきたいと思いますので、是非、これからもよろしくお願いします!
本記事は READYFOR 株式会社の READYFOR Advent Calendar 2021 17日目です。
昨日の記事は @KUMAN さんの「エンジニアリングマネージャーとしての開発力向上の取り組みついて」、明日の記事は @feat2kj さんの予定です!
※ 本記事の内容は所属会社の公式発表・見解を示すものではありません。