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面白かったオンライン勉強会を振り返って、楽しさの作り方を考える。

Last updated at Posted at 2020-04-11

■ まず結論

最大参加者数 10 名程度 の小規模なオンライン勉強会においては、
下記のようなフォーマットになって安定してから、とても楽しい会が多かったです。

担当 人数 備考
司会進行 1名 -
ラジオのパーソナリティ 1名 (後述)
マイクを使える参加者の方 0~数名 居てくれると主催者側としてはとっても助かるし嬉しい

特徴的なのが、『ラジオのパーソナリティ的な人』 が居ることです。
パーソナリティが、参加者のみなさんのチャットを『ラジオの投稿コーナー』のように読み上げます。

オンライン勉強会には視線やボディランゲージなどが使えないという制限があるため、
みんなが違うことを考え、違う場所を見てしまいやすい という特徴があります。

そこでチャットを読み上げることで 「参加してる感」 が発生する効果があるのはもちろん、
全員に平等かつ同タイミングで届くため、『みんなの意識や注意を同期する』 ことができます。

このことが 様々な「楽しさ」につながった ように思います。


■ 経緯

DDD について学べる Discord のチャンネル #DDD-Comunity-jp で、

  • 『WEB+DB PRESS』読み合わせ会
  • 『実践ドメイン駆動設計(IDDD本)』の輪読会(継続中)
  • 架空の『会議室予約システム』を題材としたモデリング・モブプロのオンライン勉強会(継続中)

などのオンライン勉強会に参加 & 主催(の方のお手伝い) をしてきました。

この中のモデリング・モブプロ勉強会の振り返り会をしたとき、『楽しいよね』 という話題になりました。
確かにどの勉強会もすっごく楽しくて、毎回学びしかなくて記事にするのが間に合わないのですが、
話に聞くところによるとお通夜みたいになってしまう例もあるそうです。

 
折角ですから楽しい勉強会にもっともっと参加したいし、
自分が参加している勉強会ももっともっと楽しくしたいです。

そこで、自分が参加してきた勉強会を振り返って、
なぜ楽しかったのか、どうすると楽しくなるのか について考えてみたいと思います。

 
あわよくば改善点を貰ってもっともっと面白くしたり、
楽しい勉強会が増えるといいな、と野望だけは高く持っています!

正直、『計算してやってんだー』 とか思われてしまいそうで少し書くのをためらいました。
誤解を恐れず言うと、自分が楽しむためにもある程度計算してやっている部分があります。
皆さんの貴重な時間を拝借している訳ですから、楽しく & 勉強になる形でやれたら最高に嬉しいじゃないですか。

なので、過去の経験から、無い知恵を絞りだして試してみたことを今回書くことに決めました。

:warning: あくまでも私の体感 & 直感による科学的な裏付けのない内容になりますので、その点ご注意願います。


■ 大前提: 全員がマイクで喋るのは無理!

環境的にも、人数的にも無理です。現実的ではありません。
また 「マイクで喋る」ことのハードルが非常に高い ことは、きっとご想像いただけると思います。

中には平気で喋れるスゴい人も居るのですが・・・
私のように、(イベント後の懇親会に参加しても隅っこでぼーっと過ごすような) 人見知りタイプの人間にはひじょーーーーーに厳しいハードルです。

言ってて悲しくなってきたので次の話題に移ります。


■ 「参加してる感」がないと楽しくない

勉強会で、マイクを使える人たちがワイワイしています。
自分もマイクを使えますが、既存の輪に入りにくいです。
はい辛い😭

勉強会で、マイクを使える人たちがワイワイしています。
そこに自分はテキストチャットで参加します。
はい辛い😭

勉強会で、チャットでワイワイしています。
なんだか仲がよさそうだし、やっぱり輪に入りにくいです。
はい辛い😭

勉強会で、ワイワイしています。
勇気を振り絞って会話に参加してみたけど、実質スルーされてしまった。
はい辛い😭  というかもはや消えたい:ghost:

 
こういう現象、オンライン勉強会では容易に発生しえます。

いわゆるセミナーやカンファレンス形式のように一方的にスライドを発表するような場であれば、そもそもこのような問題は発生しません。
しかし「オンライン勉強会」特有の「皆が主役」という性質 が、オンライン勉強会を難しくしているように思います。

「勉強会」なのですから、参加者がみんな主体的に参加して、お互いに勉強できることに意義があると私は考えています。
(見ているだけの人が居てはいけないということではないですよ!  「それくらいの会になると最高だな」という気持ちです。)

 
でも『なんか楽しそうだな~』 って思っても、案外ハードルを越えるのは大変です。
そして、『楽しそうだな~』 って思いながらもそれを眺めるのはとても辛いしつまらないです。
もう次回は来たくないですよね。なんなら次回を待たずに帰りたくなるわけです。

したがって初めて来た人でも、特にマイクを使えない人でも、
オンライン勉強会に「参加できている」感を得られるような工夫 をすることが大切であると考えます。


■ ほかのメディアはどうやって「参加してる感」を作っている?

皆さん、たぶん 「ラジオ」 を聞いたことありますよね?
中には、ラジオ番組に「投稿」したことがある人が居るかもしれません。
はがきとかメールを送って、それをラジオのパーソナリティが読み上げる、というものです。

最近で言うと、「ゲーム実況のライブ動画」だったり、「Slidoを使った視聴者参加型のインターネットラジオ」などでしょうか。
一昔前ですが、「コメントが流れてくる動画」がはやった時期もありました。

なぜ流行っている(流行った) のでしょうか。

ラジオなら書いたものが読み上げられるワクワク感であったり、読み上げられたときの嬉しさ。
ライブ動画ならコメントに実況者が反応してくれたとき。
コメント付き動画なら、みんなと息の合ったコメントが出来た時、渾身のコメントに誰かが反応してくれたとき。

きっと楽しさや嬉しさはもちろんのこと、「面白いものに参加してる感」 を得られているはずです。

オンライン勉強会でそこに学びがセットで付いてこれば、もう参加しない訳がないですよね。
楽しく学べてしかも無料とな...!?


■ 情報の非対称性を乗り越える。

先述したラジオ、ライブ動画、コメント付き動画。
これらには全て、「情報を発信する側」と「受信(視聴)する側」に 『情報の非対称性』 があります。

  • パーソナリティや実況者が喋った内容は、視聴者全員へ届けられる。
  • 視聴者ははがきやコメントを送ることが出来る。
  • ラジオのパーソナリティや実況者は、コメントに反応してもしなくてもいい。

 
これ、実はオンライン勉強会も同じ構図なんです。

  • 勉強会の運営側(司会進行) と参加者の皆さん。
  • マイクを使える人と、テキストチャットしか出来ない(しない) 人。
  • ただ見ているだけの人。

これらの人々の間には情報の非対称性があります。
運営側だけがマイクで喋ってしまう、またマイクありの人だけで会話してしまうと、自然と残りの人たちは会話から取り残されてしまいます。
すると「参加してる感」が薄れてしまって、楽しそうな人たちを眺める会になってしまいます。
こうした問題に対してうまく対処していかなくてはいけません。

ですから、構造の似た「ラジオ」などに学ぶことで、面白い勉強会というものにきっと近づけるはずです。


■ 「ラジオ」のフォーマットを使って楽しくする

ラジオのフォーマットの中でも、

  • 視聴者にはがきを投稿して貰う
  • パーソナリティがはがきを読み上げて反応する

この2点に着目します。

オンライン勉強会のフォーマットに置き換えると、

  • テキストチャットに書いてもらう
  • パーソナリティ役がチャットを読み上げて反応する
  • それを契機に、感想や質問などの会話をする(マイク・チャット)

という感じになります。

読み上げることには、先述した 「参加してる感」 が発生する効果があるのはもちろん、
さらに 『みんなの意識や注意を同期する』 という超超超絶大切かつ強力な効果があります。

オンライン勉強会には視線やボディランゲージなどが使えないという制限があるため、
みんなが違うことを考え、違う場所を見てしまいやすい という特徴があります。

チャットは見るタイミングも場所も自由ですよね?
それはいい事でもありますが、ことオンライン勉強会においてはマイナスに働きがちです。
ずーっと音声とチャットを同時に追うのって超疲れますし、油断すると迷子になります。

ですから チャットを「読み上げる」 ことで、
今何について話をしているのか 『聞いている皆さんの意識や注意を同期する』 のです。

この状態から話を繋げていくと 出発点が同期される ため、話がとても広がりやすくなります。
副次的に、耳だけでも参加できるというおまけが付きます。
疲れたら聞いているだけでもいいのです。


例えば、チャットを目で読んでマイクで喋っている人が笑います。
でも聞いている人は何に笑っているのか分かりません。
チャットを見てみたら、面白いことが書いてあったので多分これだろう、と思います。面白さ半減ですよね。

以下だとどうなるでしょう。

面白いチャットを読みあげて、そして笑います。
すると聞いている側は、何に対して笑っているのか理解して『一緒に笑う』 ことが可能となります。
圧倒的なリアルタイム感 ですよね。
それが自分の書き込みならボケがウケたのでチョーうれしいし、そうでなくても『一体感』が生まれます。

自分はこの感じがすっごく好きで、主催的な勢いでマイクで喋れる場所では隙あらば読み上げにかかります。
(うるさかったらごめんなさい)

 
また上記の例は「面白い話」の場合ですが、どんな話でも基本的に応用可能です。
勉強になる話や気になる話題、広がりそうな話題が出たら、隙を見て読み上げてみます。
その内容について、マイクを使える側から確認したり問いかけても問題ありません。

ただ「読み上げる」だけなのですが、ものすごく楽しい場にできるポテンシャルがあると考えています。


■ どう読み上げる?

ただしなんでもかんでも読み上げると、テンポも悪いし収拾がつかなくなります。
そこで、情報の非対称性 をうまく活用します。

つまり、意図的に読み上げるチャットとそうでないものを選びます。
※ ただし数が多くないなら基本的に全部読み上げます。

◇ 読み上げることの多い内容

振り返ってみると、私が特に読み上げているのはこういう内容でした。

  • 面白いこと
  • 意見への同意
  • 反対意見
  • 新しい意見や視点の異なる意見

どれも話が広がったりしやすい内容です。
テレビ番組を見ていても、反対意見が出てくるととっても盛り上がりますよね。
 
これらを、

  • 書いてくれた人の「名前」 を付けて、
  • 「テンポや声色を少し変えて」 読み上げ、
  • その内容に対して 何か反応を返します。

例としては、
「○○さんは、『×××××××』と書いてくれてますね。おおーなるほど~~」とか、
「△△さんの、『××××××××』。  これって、○○ って感じですかね?」といった感じになります。

笑ってもいいし、自分の意見を言ってみてもいいし、名前付きでで問いかけても OK です。
大切なのは『読み上げる』こと と、『それを次のアクションや流れにつなげる』 ことです。

なので、面白いことに関してはテンポを大切にして名前を読まないことも多いです。
時にはひとつひとつの書き込みに反応せず、複数の書き込みを連続で読むこともあります。
またDiscordでは書き込み中なのが見えるので、質問に対する回答を書いてくれていそうなら他コメントを読んだりしつつ待てます。

臨機応変な対応が必要なので慣れるまでは難しいかもしれませんが、
あくまでも 「参加してる感」を上げる ことや 『みんなの思考や時系列を同期する』 ことが目的なので、
無理して深いコメントをしようとする必要はありません(というか私もあまり意識していません)。

 
また、『「テンポや声色を少し変えて」読み上げる』 というところは、ラジオのパーソナリティを真似た結果です。
ラジオのパーソナリティが読み上げる 『ラジオネーム○○さんからです。』 のところって、テンポも声色も違いますよね。

なぜそんなことをするのかというと、チャットで貰った言葉を自分の物のようにスティールしてはないけない からです。
盗られた側はなんか面白くないですよね。
ですから、名前を読み上げ、かつ少しテンポや声色を変えることで「ここは読み上げてますよ」と分かるようにしています。

形だけ真似た小手先だけのテクニックですが、やる側もなんかラジオみたいで楽しいです。

◇ スルーすることの多い内容

一方、スルーすることの多い内容は、

  • チャットで別話題で盛り上がっているとき
  • 流れを壊してしまう内容

主にこれだけです。

ここに喰いついてしまうと、議論の方向性がズレていってしまったり、流れが途切れてぐちゃぐちゃになってしまいます。
チョーー楽しそうな話題でも、流れをぶち壊してしまいそうなら唇を噛んで我慢します:cry:

目でだけは追いつつ、あとで余裕ができた時や話題が切れた時にすっとその話題を持ち出しても面白いですね。


■ どうやってチャットしてもらおう?

ここまで散々「読み上げる」という話をしてきました。
しかし そもそも「チャット」してもらうことがすごく難しい という問題があります。

ここに関しては、会の始まりに「喋ってOKというか喋ってほしい」ということをバンバン伝え、
実際にチャットで挨拶を書いてもらったりする「おーひらスタイル(仮称)」
がすごく効果を発揮していたように思います。

誰も書かない → シーンとする → もっと書きづらくなる

という悲しい無限ループが発生しないようにするためには、初動がとてもとても大切です。
「書いてもいいんだ」という空気 をいかにして作り出すのか、どうアイスブレイクするべきか?
私自身まだまだうまく出来ていないので、今後の課題としたいと思います。みんなどうやっているんだろう?

 
また読み上げスタイルであることや、参加者の皆さんに期待したいことを伝えておくのも重要ではないか、という振り返りがありました。
ワーキングアグリーメントみたいなやつですね。
オンライン勉強会アグリーメント 的な。
ここに関しては、新たな参加者の方が来てくださったときなどに実際に試してみたいと思います。


■ さいごに

なんだか取り留めなく書いてしまいましたが、
チャットを読み上げる、というスタイルに強い可能性を感じています。

場の流れや空気感を読んだりするのがとても難しいですし、うるせーよ と思われてしまう可能性もあります。
それでも上手くはまると楽しさの波が凄いことになるので、もっともっと洗練させていけたらいいなと思います。

また、 ほかにも輸入できる考え方が沢山眠っているのでは!? と考えています。
こんなんどうだろ!? みたいな事を思いついた方がいらっしゃったら是非お話を聞かせてください:smile:

 
そして最後に、いつも勉強会に参加してくださっている方々にお礼を申し上げます。
めっちゃ楽しいです!いつもありがとうございます!!

 
こんな長文を読んでくださった皆さんの参加を Discord のチャンネル #DDD-Comunity-jp にてお待ちしています!(勝手に宣伝)

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