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楽しいオンライン勉強会のつくりかたを考える (2020年冬版)

Last updated at Posted at 2020-12-24

本記事は DDD-Community-Jp Advent Calendar 2020 の最終日25日目です。
また 2020年4月に書いた 『面白かったオンライン勉強会を振り返って、楽しさの作り方を考える。』 の2020年冬版となります。


■ 結論

楽しい「参加型の勉強会」を作るために運営側に課せられた使命はただ一つ。

『テキストチャット/リアクション(絵文字) でのコミュニケーションを円滑にすること!』

だからそのために命を懸けてください(おおげさ)。

 

なぜなら、参加型勉強会の楽しさは『テキストチャット勢』に懸かっているからです!

主催者もボイスチャット勢も、テキストチャット勢を引き立てるスパイスなのです。


■ はじめに

 
1年間、参加型のオンライン勉強会を開催・共催(参加人数は数名~100名強)、また色々な勉強会へ参加してきました。
自分たちで運営してきたこと、そして色々な勉強会に参加して気が付いたことが沢山あります。

あくまでも私見にはなりますが、勉強会に際して考えていることや気づいたことを、
何かの役に立てばいいなと思い気の向くままに書き留めることとしました。

私たちももっともっと楽しい勉強会にしていきたいと思いますので、
実際に試してみてこうしたらもっと良くなった! といった気づきが見つかったらぜひ教えてください!

※ なお、以降 テキストチャットのことを「テキストチャット」または「チャット」 と、
  また ボイスチャットのことはそのまま「ボイスチャット」 と記載しますのでご注意ください。


■ チャットでのコミュニケーションを円滑にするための4か条

経験から、参加型の勉強会を楽しいものにするためには以下の4点が大切であると考えています。

  • チャットを読み上げて視点を同期する。
  • 参加している感を大切にする。
  • 勇気を無駄にしない。
  • 「つまらない」と「面白くない」を減らす。

いずれも チャット/リアクション(絵文字) でのコミュニケーションを円滑にすること に繋がっていきます。
それが何故なのか、どうして大事なのかについては以降の節で記載していきます。

 
繰り返しとなりますが、主役はチャット勢です。
人数比的にもテキストチャット勢が最も多くなる可能性が高いです。

ですから 『テキストチャットでのコミュニケーションを円滑にすること』 をとにかく意識して下さい。


■ フォーマット

まずは上手くいった勉強会(輪読会) のフォーマットを紹介していきます。

◇ メンバー構成

担当 人数
司会進行 1名
ラジオパーソナリティ 1名
ラジオパーソナリティの相棒 0~若干名
タイムキーパー 1名
書記 1名~
ラジオチャット勢(参加者) 0~若干名
テキストチャット勢(参加者) 何人でも!

このうち、司会進行ラジオパーソナリティラジオパーソナリティの相棒「ボイスチャット必須」 です!
また 必ずボイスチャットを2名以上、かつ【音声検出】で利用可能な状態 を堅持してください。

一人だと間が持たなかったり、(喋りもチャットも)軌道修正に苦慮したり、喉が持たなかったりします。
また音声検出にすべき理由(プッシュトークではいけない理由) は、後ほど詳しく記載します。

ただし、ボイスチャットでフリートークをする人数は片手に収まる程度が望ましい でしょう。
オンラインでのコミュニケーションは、オフラインと比べて音声被りの問題がより顕著に出るためです。
喋りたい人がたくさんいる場合は、「ちょっと良いですか」と声を掛けてもらったり挙手制にしたりなどの工夫をお勧めします。


◇ メンバーの役割

司会進行 は文字通り、会の司会進行・ファシリテーションを担当します。

ラジオパーソナリティ は、参加者のみなさんのチャットを『ラジオの投稿コーナー』のように読み上げます。
 また場をつないだりする必要があったり、意見の呼び水とするため、自らの意見を伝えることもします。
 詳しい役割や狙う効果については後述します。

ラジオパーソナリティの相棒 は、意見を述べたり、司会やラジオパーソナリティと会話をします。
 司会進行と兼ねることも可能です。

タイムキーパー は、その名の通り時間を計測して、テキストチャットで皆に報告します。
 可能であれば『10分経過、残り15分です!』 のように具体的になっていると素敵です。
 慣れてくると司会進行と兼務することも可能です。

書記 は、特にテキストチャットから、結論や意見として残しておくと良さそうなものをまとめます。
 なお運営側が行うと負荷が高くなりすぎる原因となるため、参加者の方々にお願いできるとベストです。
 ※ 無理して運営側がやってテンポが悪くなるようであれば、諦めたほうが無難です。

 HackMD を使ったスタイルで行う場合は、結論や意見に対して、回答と分かるよう統一した絵文字とともにチャットを張り付けて記録します。
 記録などに使うサービスがない場合は、適宜ボイスチャットやテキストチャットの内容を良い感じに纏めておくと吉です。

ラジオチャット勢(参加者) は、適宜、意見などをボイスチャットで発言します。
 テキストチャットよりもリアルタイム性に優れていますので、
 会の進行の妨げにならないレベルであれば常にウエルカムです。

テキストチャット勢(参加者)勉強会の【主役】 です!
 参加型の勉強会はチャット勢なしでは成り立ちません。
 いかにチャット勢の方たちに沢山チャットをして貰えるか、リアクションを沢山付けて貰うか が、参加型の勉強会の質と楽しさを左右します。
 こちらについても詳しくは後述します。


◇ 使うツールやサービス

色々なツールを試しましたが、こと輪読会については Discord + HackMD という組み合わせに落ち着きました。

先述した通り、「テキストチャット勢」が参加型勉強会の主役 ですから、
チャットのしづらいツールやリアクション(絵文字) の使いづらいツールは避けるべき です。
※ 一対多のセミナー形式の場合は異なると思います。

ボイスチャットのクオリティと、チャットやリアクション(絵文字) のクオリティを両立できるツール、
それも好きなリアクションが登録できるツールは、2020年12月現在 Discord が名実ともに最強ではないかと思います。

また複数人同時の文章編集が得意なツールとして HackMD を採用しています。


◇ 勉強会そのもののフォーマット

私たちの輪読会の場合は、あらかじめ予習をして生じた感想・気づき・疑問を HackMD へ書いてもらった状態で、勉強会をスタートする方式 を取っています。

大まかに言うと、

  • 参加者が当日までにすること

    • 勉強会で扱う範囲を、あらかじめ予習(本を読む) しておく。
    • そこで生じた感想・気づき・疑問を HackMD へ書く
  • 勉強会ですること

    • グランドルールの周知
    • コミュニケーションの素振り
    • 冒頭でみんなの書いた HackMD の質問を眺めて、推しの感想・気づき・疑問に いいね!:thumbsup: をつけていく
    • 疑問のなかでいいね!:thumbsup: の多い順、そして感想・気づきのなかでいいね!:thumbsup: の多い順に語る
  • 放課後(勉強会終了後)

    • 話しきれなかった内容や雑談などを自由に話すフリートークコーナーで、 いわゆるオフラインでの勉強会における『廊下での会話』や『懇親会』に相当する時間。
      • なんなら放課後がメインと言う噂も・・・
      • なお「放課後」のような名前を付けるのは地味に大切です。 本編でしゃべり切れない内容や、無限に時間を使ってしまう話題になっているときも、 「放課後に!」という合言葉で打ち切って、穏便に次のテーマに進むことが可能です。

こんな感じです。

詳しくは『 オンライン輪読会を2回主催して、やめた取り組みのいくつか』の『いまのフォーマット』を参照ください。

また『コミュニケーションの素振り』については後ほど説明をします。



■ 勉強会のいろいろなコツ

ここからは、参加型の勉強会を楽しいものにするためのコツについて語っていきます。

◇ ラジオに学ぶ

チャットを読み上げるスタイル は、『前回の記事』に書いた通り、ラジオの投稿コーナーをイメージしたもの です。
最近で言うと、ゲームの実況配信や、VTuber の配信のようなものをイメージして頂ければよいと思います。

ラジオのお便りコーナー は、リスナーがテーマに沿って考えて投稿 し、ラジオパーソナリティがその内容を読み上げ反応します
実況配信 であれば、視聴者が「思ったことを書きこみ」配信者が「その内容に反応する」 形になります。

これらの形式は、参加型のオンライン勉強会と構図が非常に似ています。

つまり、ラジオパーソナリティの役割を適用・応用することが可能 なのです。



◇ チャットの拾い上げ

○ みんなの視点を同期する (チャットの読み上げ)

私たちの勉強会には『ラジオパーソナリティ役』が存在します。
ラジオパーソナリティは、参加者の皆さんが書いてくださったチャットをひとつずつ読み上げていきます。

その目的は、

『チャットを読み上げることで、参加者の皆さんの視点を同期すること』

です。

 
オンライン勉強会って良いですよね。

集中しないといけないオフラインでの勉強会と違って気軽です。
ふらっと参加できるし、いつでも休憩できるし、スマホをポチポチしながら気ままに参加できます。

しかし運営側の目線からすると、そうしたことが『出来てしまう』のです。

オンライン勉強会には視線やボディランゲージなどが使えないという制限があることから、
みんなが違うことを考え、違う場所を見てしまいやすい という特徴があります。

すると何が起こるか。

「皆がいま何について話しているのか」を見失いやすくなります。

そしてチャットの書き込み量が減ります。

だって何を話しているのか分からないんですもん。
その結果、勉強会からどんどん熱が失われていく負のスパイラルが発生 します。
興味を失って勉強会から離脱してしまう可能性も上がるでしょう。

 
こうした現象を防ぐために 「チャットを読み上げる」 ことで、
いま何について話をしているのか、『みんなの意識や注意を同期する』 のです。

 
  
またチャットを読み上げるということは ラジオのお便りコーナーであればハガキが採用された こと、
あるいは 実況配信で書き込んだコメントを実況者が読んで反応してくれた ことと似た状態を生み出します。

その文章を書いた参加者の方が、その瞬間、勉強会の「主役」になるのです!

楽しいし、嬉しい。そしてそれが 「参加している感」 につながります。

正のフィードバックループが周りはじめ、チャットに活気が生まれ、楽しい雰囲気が場を満たします。
チャットを読み上げるだけで楽しい雰囲気を作り出していける可能性が生まれるのです。

 
なおこれらの「楽しさ」や「参加している感」に関する考察は、『前回の記事』を参照ください。


○ 声色を変える (意見スティールの防止)

テキストチャットを読み上げるコツに、ラジオパーソナリティと同じように 「声色を変える」 というものがあります。

ラジオのお便りコーナーでハガキを読み上げるとき、ラジオパーソナリティが声色を変えて読み上げているのを聞いた経験はないでしょうか?
もしもあなたが頑張って投稿したハガキを、ラジオパーソナリティがさも自分の意見のように語っているのを聞いたら面白くありませんよね。

そこでラジオパーソナリティは「声色を変える」ことで、【自分の意見ではありませんよ】 という事を表明しているのです。

チャットの読み上げでも全く同じです。
ラジオパーソナリティ自身の意見と、テキストチャットで書いて頂いた意見を明確に区別する 必要があります。

ここを疎かにすると、「なんか面白くない」という気持ちが溜まっていき、最終的に離脱につながってしまいます。
手段は声色を変える以外でも構いませんが、自分の意見と貰った意見を区別できるようにしましょう。


○ 抑揚をつける (会話に引き込む)

所属する会社や学校などで、パワポ資料を読み上げるだけの説明 を受けたことはありませんか?
あれ、死ぬほど辛いですよね。

あなたが何も考えずにテキストチャットを棒読みすると、実はそれを聞いている皆さんはあの辛さに近いものを味わっています。

気が付かないうちに彼らと同じような「つまらない」を提供 してしまっているのです。あれほど嫌だったのに。
すると、聞いていて辛くなる ==> 離脱 という悪循環に繋がっていしまいます。

 
対策として キーとなる単語を強く読んだり、高く読んだり、ゆっくり読んだり と、メリハリをつけるようにしましょう。
それがテキストチャットを円滑に回すための手助けとなります。

またこれはプレゼンのコツでもあります。


○ これから喋るよ! を伝える (聞き逃し防止)

オンラインでのコミュニケーションからは、オフラインで無意識に使っている身振りや手振り、姿勢などの情報が欠落します。
このため、次の行動の予測がつきづらいという問題点 があります。

 
皆さんも オンラインのコミュニケーションにおいて、誰かが急に話し始めたため話の先頭部分を聞き逃してしまった という経験をお持ちではないかと思います。

これはオンラインでのコミュニケーションの特性でもあり、オンライン勉強会の特性でもあります。
ことオンライン勉強会ではチャットの読み書きなど何か別のことに集中していることが多いため、
いきなり話が始まるとついていけない という事態が発生します。

これが繰り返される事によるストレスや疲れは非常に大きく、勉強会からの離脱を招く可能性が高まります。

このため、『これから喋るよ!』という意思を伝えること が非常に大切になります。

 
例えばテキストチャットをいきなり読み上げるのではなく、名前を呼んでから読み始めたり、枕詞を付けて話を始めたりします。

  • ○○さんの意見は、『××××××××』という感じ。
  • △△ さんは 『▽▽▽▽▽▽▽』。
  • おっ こんな意見も頂いてますね、『□□□□□□□□』。
  • 次が『◇◇◇◇◇◇◇◇◇』。

ほんのちょっとした工夫なのですが、まず「聞くモード」に入ってもらう 事が大切です。

ただし全部『○○さんの意見は××××ですね』と読むとテンポが悪くて聞いていて辛くなりますから、
パターンを決めておいたりなど、くどくならない程度に工夫をしてみると良いと思います。


○ ポジティブに反応する (楽しい空気感・心理的安全性の提供)

○ 出来る限り否定しない

○ 威圧的な言葉を使わない

いわゆる心理的安全性に関わる問題です。
「いやそれは違う」や「えぇ・・・」とか「あ゛ぁ?」とか言われたら発言しにくくなってしまいますよね。

ですからポジティブに反応しましょう、という単純なお話です。

冒頭で、

楽しい「参加型の勉強会」を作るために運営側に課せられた使命はただ一つ。
『テキストチャット/リアクション(絵文字) でのコミュニケーションを円滑にすること!』

と述べました。

それを阻害してしまいますから、まず同意するようにしましょう。

 
また私たちの勉強会では、常時ボイスチャットを行う人数が限られています。
それはすなわち、コミュニケーションパワーのヒエラルキー最上位に、限られた人数のみが位置することを示します。

ですから、ボイスチャットで否定されたらテキストチャットで覆すのは大変です。
気を付けるようにしましょう。


○ 流れを崩さない読み上げ (チャットや思考の流れを崩さない)

チャットは基本的には上から読み上げていくのですが、
沢山のチャットを書いて頂いたときなど、全部読み切れないことがあります。

その場合、無理して全部を読むことは避けましょう。
冗長になってしまって間延びして、聞いていて辛くなります。
時には諦めることも大切 です。

また、関連するチャットを連続で読む ことも重要です。
話が飛び飛びになると理解が難しくなるためです。
話の流れをよく観察して、関連する話題があるようであればそちらを先に読み上げるようにしましょう。

さらに、テキストチャットに問いかけをして、その回答を待つ間に他のチャットを読み上げる、といった方法もあります。

 
このようにパターンは無限大ですので、自分なりの読み上げパターンをいくつか作っておくと楽になる と思います。
例えばとにかく上から全部読む派もいますので、ぜひ色々とチャレンジしてみてください。


○ 初めて喋った人、あまり喋らない人のチャットを拾う (勇気を無駄にしない)

勉強会では、自然と発言する人が固定化されていく傾向にあります。

そんな中で新しく参加してくださった方、新たに喋ってくださる方はとてもとても貴重です。
そして 物凄く勇気を出してくれている可能性 があります。

そんな中、チャットの読み上げでスルーされてしまったらどう思うでしょうか?
私ならめっちゃ辛くなって、もう発言しません。

 
勇気って残機制 なんですよ。
慣れてくるとちょっとスルーされたくらいではビクともしませんが、
勇気を出して書き込みをしたのにスルーされたら即死です。

残機がなくなったら二度と発言しなくなるか、勉強会から去って行ってしまいます。

ですから、初めて喋ってくださった方や、普段あまり喋らない方のチャットは優先して拾う ようにしましょう。

沢山の人が居たほうが学びも多いし楽しいですから。

 
またどうしても拾えない時は、後述するリアクション(絵文字) を必ずつけることが大切です。
【無視したわけではないよ!】というメッセージを伝えるようにしましょう。


○ 読み上げ役をスムーズに入れ替える (役割に固執しない)

ラジオパーソナリティも、自分の意見を言う事があります。
場をつないだりする必要があったり、意見の呼び水とするためです。

すると、読み上げに集中できない局面も出てきます。
そういう時は、そっと司会進行役や、ラジオパーソナリティの相棒役が代替するようにすると素敵です。

逆にラジオパーソナリティが司会進行を手伝ったりすることも可能です。

はじめは役割を固定した方がやりやすいと思いますが、
目的は「勉強会を成功させる」ことですから、自分の役割に固執せずうまく協力し合うようにしましょう。



◇ ボイスチャット

○ 司会進行とラジオパーソナリティは常時マイクをONにする (ボイスチャットの密度・速度を下げない)

司会進行とラジオパーソナリティはプッシュトーク禁止 です。

プッシュトークにするとあらゆる会話がワンテンポ遅れる ためです。
また後述する 相槌 や、ちょっとした笑い などをボイスチャットに乗せることも難しくなります。
ただでも限られているオンラインでのコミュニケーションから構成要素を引いてしまうことは避けるのが望ましいです。

大したことないが内容に見えますが、実はこのちょっとした損失が大きな痛手となります。
自然でない会話を聞いているのって辛い んです。

それは疲れやストレスにつながり、勉強会からの離脱を加速させてしまいます。
メインで喋るメンバーのみで構いませんので、マイクを音声検出とする ようにしましょう。

もしも俗にいう オカンラッシュを避けられない ようなら、マイク自体にミュートスイッチのあるもの を使いましょう。


○ 相槌を打つ (独り言を会話にする)

ボイスチャットを一人でしゃべり続けるのは結構な苦痛を伴います。
話の切り時が分からなくなることもありますし、誰も聞いてないんじゃないか・・・? みたいな思いを抱くことすらあります。

独り言になるため、さまざまな難しさを抱えてしまうのです。

ですから、司会進行とラジオパーソナリティ、ラジオパーソナリティの相棒はお互いの発言に対して適宜 相槌 を打ちます。
時には 問いかけ てみたり、賛同 してみたりなども有効です。

お互いがお互いを補助しあうと、無理せずにボイスチャットで会を進めていくことが可能になります。

とにかく、

ボイスチャットで喋っている人を一人にしない

ということを意識するようにしましょう。


○ 読んでから笑う (会話の新鮮さを損なわせない)

読んでから笑うのは、非常~~~~~~に重要なことです!

先述した通り、オンラインでのコミュニケーションからは、オフラインで無意識に使っている身振りや手振り、姿勢などの情報が欠落します。

前回の記事より引用すると、下記のような感じです。

例えば、チャットを目で読んでマイクで喋っている人が笑います。
でも聞いている人は何に笑っているのか分かりません。
チャットを見てみたら、面白いことが書いてあったので多分これだろう、と思います。面白さ半減ですよね。

以下だとどうなるでしょう。

面白いチャットを読みあげて、そして笑います。
すると聞いている側は、何に対して笑っているのか理解して『一緒に笑う』 ことが可能となります。
圧倒的なリアルタイム感 ですよね。
それが自分の書き込みならボケがウケたのでチョーうれしいし、そうでなくても『一体感』が生まれます。

コツはただ一つ、面白いことには面白いという反応をストレートに表現する ことです。

何故なら、ウケたら嬉しいから です。
楽しい雰囲気も作りやすいですし、実際楽しくなります。
※ ただし後述する「大喜利大会」になりやすいので注意が必要です。

ボイスチャット だと最強ですが、難しいようなら チャット、あるいは リアクション を使います。

プッシュトークにすると、こうした自然な笑いが『不自然になりがち』になるため、やはり音声認識が最強です。



◇ テキストチャット

○ いかに気軽にチャットしてもらえるか? (コミュニケーションの素振り)

誰もしゃべらないチャットって書き込みづらいですよね。

だーれも喋らないまま、ただただ主催者が一生懸命喋る会、というものを目にしたことはないでしょうか?
時間になったからといって流れで勉強会が始まってしまうと、参加者としてもなんだか書き込むタイミングを失ってしまうことがあります。

そこで大切なのが コミュニケーションの素振り です。
勉強会の冒頭で素振りを行うことで、書き込みやすさや楽しい空気感の醸成に物凄く効果があります。

 
実際に私たちの勉強会では冒頭に少し時間を取って会の説明をし、

  • ボイスチャットで挨拶をして、チャットで挨拶を書き込んでもらう
  • アンケートを取って、リアクションを付けてもらう

ことを行っています。

実際の資料はこんな感じ です。

 
参加者のみなさんにチャットやリアクションをしてもらうと、
それ以降、チャットを書き込む事への心理的なハードルが大きく下がります。

この心理的なハードルには 『場(空気感) のハードル』『個人の気持ちのハードル』2種類 があります。
仮に 場が暖まったとしても、自分が一度も書き込みをしていなければ書き込みづらい のです。

 
ですから私たちの勉強会では冒頭に、参加者のみなさんに挨拶の書き込みをして貰うよう、ボイスチャットでお願い をしています。

「これから私が挨拶をしますので、それに併せて挨拶をお願いします!」
「それでは準備はいいですか? 本日も宜しくお願いします!!」

フットインザドア効果のようなもので、一度でも書き込むとそれ以降なんとなくチャットをしやすくなります。
また同時に沢山の挨拶が行われるため 「一体感」が生じ
一気に 「参加している感」が生まれ 、もう楽しそうな雰囲気が漂ってくるのです。

こうして会の冒頭で『書き込んでもいいんだ』という感覚を得てもらうことが出来た結果、
沢山のチャットによる 楽しい会を「みんなで作りあげていく」 ことが少し容易になります。

 
また主催側としてはチャットで挨拶を返してもらったらボイスチャットでお礼をしたり、
リアクションの結果が出てきたらその結果について話をして広げていきましょう。

繰り返しとなりますが、ボイスチャットを使う運営側に課せられた使命はただ一つ、
とにかく チャットでのコミュニケーションを円滑にすること です。
そのために命を懸けてください(おおげさ)。

おおげさですが、本当に大事なことです。
少しでもコミュニケーションの密度を上げていくことが勉強会の成功に直結します。


○ 今の話題をチャットに張り付ける(HackMD からコピペする)

繰り返しとなりますが、オンライン勉強会には視線やボディランゲージなどが使えないという制限があることから、
みんなが違うことを考え、違う場所を見てしまいやすい という特徴があるため、
「皆がいま何について話しているのか」を見失いやすくなります。

私たちの勉強会では、HackMD に書いて頂いた内容を順に取り上げていくスタイルを採用しています。
この際、次の話題に移る際にチャットへ内容をコピペするようにしています。

ちょっと離籍していても、目を離していても、
その書き込みさえ見れば、今何について話しているのか把握することができます。

もし動画で配信している場合なら、画面上にトピックを表示しても良いかもしれませんね。


○ 話題になったことのまとめ (記録を残す)

出来れば運営側で記録に残したいところですが、マンパワー的に苦しい事も多いです。
このため、例えば HackMD を利用しているなら HackMD へのまとめやチャットからのコピペを参加者の方にお願いしましょう。


○ 大喜利注意

面白いネタを言い合う流れになることがあります。
この大喜利、非常に面白いです。

しかし面白いがあまり時間を使いすぎてしまうことがあります。

また大喜利の発生要因が 「その課題に関する話題が尽きたから」という場合もあるので、
あまり大喜利にのめりこまないようにしましょう。



◇ リアクション(絵文字)

○ リアクションは、参加者が同意や同情などの感情を共有する『最も容易な方法』

リアクションは、テキストチャットと並んで勉強会の楽しさを作り出す源泉となります。

例えば、

  • 誰かが良いことを言った!
  • 誰かが面白いことを言った!
  • 誰かが切なくなることを言った!

そんな時、あなたならどうやって反応しますか?

 
恐らく大多数の方は「何もしない」 を選択します。
自分の中でひそかに同意したり、笑ったりすることもあるでしょう。

しかし、それを表に出すのは実は結構な難題です。
中には余裕でやってのける剛の者もいますが、私の観測範囲では非常にレアな存在です。

ボイスチャットで反応することが難しいのは想像に難くないと思いますが、
実はテキストチャットで反応することすらとても難しい のです。

チャットでただ「分かる」と打つだけなら容易・・・と見せかけて、
チャットの流れを観測しつつ可能な限り素早く反応を返していかなくてはならず、自然とハードルが高くなってしまいがちです。

そこで活躍するのがリアクション(顔文字) です。

image.png

 
リアクションを使うと 非常に簡単に『同意や同情などの感情を共有する』 ことが可能になります。
流れを読んで待機しながら急いでチャットを書いて・・・ といった手間がすべて省けます。
チャットとは異なり、たった1つの絵文字だけで様々な感情を伝えることもできます。

また沢山のチャットで他の人の話が流れてしまうこともありません。
いつまでも自分のチャットが一番最新に残って、まるで晒されているような状況になることもありません。

これらはテキストベースのコミュニケーションとは一線を画する使いやすさです。

とにかくめちゃくちゃ気軽。

なのに参加している感も、楽しい空気感も醸成できる「最強の」ツール。

それがリアクションです。

 
ですから、どんどんリアクションを付けてもらいましょう。
先述したリアクションの素振りが必須なのは、リアクションの密度を上げていきたいからです。


○ 独自のアイコンは必須! (一体感の醸成)

オリジナルのリアクションをバンバン追加しましょう。
元からある顔文字よりも感情を伝えやすくなり、空気感の醸成にとても効果があります。

Slack 用絵文字ジェネレーターのようなサービスで作る文字だけのものでもOKです。

同意や賞賛・驚きを表すもの、悲しみや切なさを伝えるものなど、使いやすい絵文字をどんどん導入します。
個人的には同意系や賞賛系を多めにすることをお勧めします。
攻撃的なリアクションはリスクが大きいためお勧めしません。

また欲しくなったらその場で作るくらいのノリが良いです。

即作って、即投下。
そして盛り上がりましょう。

 
コミュニティ独自の文化が生まれたら、その文化をリアクションにしていくこともお勧めです。
文化が広がり、独自の生態系を築き上げていくことにつながっていきます。


○ (特に最初のうちは) 主催側が積極的にリアクションをつける

こうしたリアクションの文化ですが、最初のうちはなかなか広がらないこともあります。
その場合は主催側がバシバシ付けるようにしましょう。

またどうしても話の流れ上読み上げることの出来ないチャットにも、何らかのリアクションを付けることをお勧めします。

チャットを書いて読み上げていく場合、そのチャットをスルーされるととても辛いです。
周りは読み上げられているのに自分のチャットだけ無視されたら切ないですよね。

ですから、【無視したわけではないよ!】というメッセージを伝えることがとても大切になるのです。



■ おわりに

散文的に沢山の内容を書いてきました。
内容的には合っているものも、間違っているものもあると思います。

繰り返しとなりますが、私たちももっともっと楽しい勉強会にしていきたいと思いますので、
自由に真似したりアレンジしたりしてみて頂ければと思います。
実際に試してみてこうしたらもっと良くなった! といった気づきが見つかったらぜひ教えてください!

そして最後に、いつも勉強会に参加いただいている皆様、本当にありがとうございます。
皆さんに楽しい勉強会を作り上げて頂けたからこそ、1年間も勉強会を続けていられているのだと思います。
まだまだ勉強会は続けていきたいと考えていますので、ぜひこれからも宜しくお願いします!

 
 
以上、DDD-Community-Jp Advent Calendar 2020 の最終日25日目、
また 2020年4月に書いた 『面白かったオンライン勉強会を振り返って、楽しさの作り方を考える。』 の2020年冬版でした。

このような長文を読んでいただき、本当にありがとうございました。

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