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【初心者向け】本当にわかりやすいAI入門:第7章 AIのこれから

Last updated at Posted at 2024-03-20

はじめに

この記事は全7章に分かれた「本当にわかりやすいAI入門」の最終章です。以前の記事を読まれていない方は、先にこちらをご参照ください。

内容
第1章 AIはなぜ人間みたいなことができるのか?
第2章 脳はすごい
第3章 伝わりやすさと境界の決め方
第4章 細胞増やすだけではダメだった
第5章 時間も手間もお金もかかる
第6章 文章生成の大規模化による進化
第7章 AIのこれから(この記事)

この記事は個人で作成したものであり、内容や意見は所属企業・部門見解を代表するものではありません。

第7章 AIのこれから

最終章では、2024年2月時点でのAIの動向や活用方法、課題などについてまとめます。

できることが増えていく

2022年の終わりごろには、質問に答えたり、文章を要約したり、別の言語に翻訳したり、指示した内容通りのプログラムを書けるようになったことなどが広まり、AIブームが到来しました。

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その半年後には、画像や動画を作ったり、音声でやり取りしたり、動画や画像を理解したり、論文をまるごと読み込んで理解したり、プログラムを書くだけでなく動かして結果を集計・分析したりと、他の仕組みとの連携によってできることが拡大しました。

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その後、他のシステムやサービスとも連携できるようになり、お店を調べて予約したり、社内で必要資料を探して答えたりと、できることがどんどん拡大しています1

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判断も任せられるようになっていく

これまでのコンピューターのシステムは、人間がやっていた「作業」や「判定」の自動化はできましたが、そこから一歩踏み込んだ「判断」の自動化はなかなかできませんでした。これが次第にできるようになっています。

たとえば、仕組みを調整した時の情報に含まれていないことを尋ねられた時に、インターネットの情報を使って回答することができます。内部では「保有知識にないのでインターネットを検索しよう」と判断し、インターネットを検索して必要な情報に基づき回答してくれています2

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上の表のような高度な依頼も、AIに任せたり支援させたりすることができるようになっていくことでしょう。

AIのオススメの使い方

第6章でご説明したように、文書生成の仕組みが進化してできたAIは、インターネット上の情報やさまざまな文献などを学んでいる物知りです。そのため、まだ使ったことのない方は、「便利な人」として付き合い始めてみることをオススメします。

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使っていけば活用のコツもわかってきますし、苦手なこともわかります。新しい機能が搭載されたことにもすぐに気づきますので、自然にAIの動向が把握できるようにもなります。

現在のAIの課題

便利になったAIですが、現時点では課題もたくさんあります。主要なものをいくつかご紹介します。

知識はあるが丸暗記はしていない

AIは非常に多くの知識を調整によって獲得していますが、これまでご説明してきたように細胞間の伝わりやすさや境界の値として調整されているだけなので、細かいところまでは答えられないことがあります。

たとえば、あなたが今朝のテレビで大谷翔平とダルビッシュの対決結果を知っていたら、誰かから「大谷とダルの結果はどうだった?」と聞かれても答えることができるでしょう。でも、「そのニュースの内容を一字一句教えて」と聞かれても答えられないかと思います。これと近い感じなのです。

これまでのコンピューターは間違えないものだったのですが、そうではありません。回答内容は正確さに欠けることがあり、存在しないお店の名前を答えたり、間違った論文名を答えたりすることもよくあります。重要なものは出典元を確認するなどの裏取りが欠かせません。

誤り・偏見などの排除は不完全

AIはそれらしく答えますが、内容が正しいのか、その回答を信じていいのか、そのまま流用していいのかなどの判断は人間がしないといけません。基本的にはインターネットやSNSの情報と同じです。

特殊な用途では個別の調整が必要

AIの調整に使われている情報は、これまでご説明してきたようにインターネットや文献で公開されているものです。外部に公開されていない企業固有のノウハウや、特殊な分野で情報量が少ないものなどは調整に反映されていないので、適切に答えたり判断したりすることができません。

このような用途に仕組みを対応させるには、AIの専門家による調整作業が必要になってしまうことがあります3

膨大なエネルギー消費

仕組みの調整作業や文章生成の作業には「第5章 時間も手間もお金もかかる」でご説明したように膨大なマシンパワーが必要です。これは膨大な電力消費につながり環境破壊を招きます。

仕組みの小型化や、電力消費を抑える専用のハードウェアの開発が急務です。

他にも課題は山積

他にも課題はたくさんあります。

  • 生成物の著作権の扱い
  • 品質・信頼性の維持の方法、
  • 悪用の防止
  • AIの判断の透明性の確保
  • AI提供側への力の集中
    etc.

AIを利用される方は、インターネットやSNSを使うのと同じ警戒感を常に持っておきましょう。
AIを提供される方は、技術だけに踊らされることなく、課題を踏まえた社会実装を進めましょう。

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第7章のまとめ

  • 文章で指示できるAIは音声・動画・画像などもを理解できるようになりさまざまなシステム・サービスとも連携できるようになりました。
  • これまで人間がやっていた判断も任せられるようになっていくことでしょう。
  • 「便利な人」として付き合いはじめることをオススメします。ただし 多くの課題があることを理解した上での活用が大切です。

AI入門のまとめ

これで最終章は終わりです。各章をざっくり振り返ります。

超まとめ
第1章
AIはなぜ人間みたいなことができるのか?
「AI」は人間のマネをする仕組みのことです。
第2章
脳はすごい
脳をマネした仕組みは手書き文字の認識などができます。
第3章
伝わりやすさと境界の決め方
仕組みの調整作業はコンピューターに任せられます。
第4章
細胞増やすだけではダメだった
脳の仕組みを工夫することでできることが増やせます。
第5章
時間も手間もお金もかかる
仕組みの流用や組み合わせで効率的にできることが増やせます。
第6章
文章生成の大規模化による進化
AIへ文章で指示が出せるようになりました。
第7章
AIのこれから
課題を把握しつつ使ってみましょう!

おわりに

以上でこのAI入門は終わりです。

AIの生い立ちから最新動向までを数式や専門用語を使わずに解説するという、ちょっと無謀にも思えた試みをやり切ってみましたが、いかがでしたでしょうか。

このお話がみなさまのAIの理解の一助になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!

(おまけ)専門用語やモデルの解説箇所

解説箇所 専門用語、モデル
第1章
AIはなぜ人間みたいなことができるのか?
人工知能(AI:artificial intelligence)
第2章
脳はすごい
形式ニューロン
ニューラルネットワーク(neural network)
MNISTデータベース
第3章
伝わりやすさと境界の決め方
機械学習(machine learning)
深層学習(ディープラーニング:deep learning)
第4章
細胞増やすだけではダメだった
回帰型ニューラルネットワーク(リカレントニューラルネットワーク:recurrent neural network)
言語モデル(language model)
第5章
時間も手間もお金もかかる
VGG16
転移学習(transfer learning)
CLIP(Contrastive Language–Image Pre-training)
Stable Diffusion
拡散モデル(diffusion model)
ベクトル
教師ありSimCSE(supervised SimCSE)
ベクトル空間モデル
ベクトル検索
文章の埋め込み(text embedding)
第6章
文章生成の大規模化による進化
大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)
自然言語モデルのスケーリング則(Scaling Laws for Neural Language Models)
基盤モデル
GPT3
InstructGPT
強化学習(RL:reinforcement learning)
人間のフィードバックによる強化学習(RLHF:Reinforcement Learning from Human Feedback)
第7章
AIのこれから
ReAct(REasoning and ACTing)
  1. この例のように、AI以外のものと連携することでもAIのできることが増やせます。AIの提供側は自社のAIでできることを社外の開発者に増やしてもらえるよう、外部のシステム・サービスと連携するための接続口となる「API」(Application Programming Interface)を設けています。開発者はこれを使うことでAIと自分のシステム・サービスを連携させることができます。

  2. AIが判断して次の行動を決め、さらにその結果を判断して次の行動を決めていくようなアプローチを「ReAct」(REasoning and ACTing)と呼びます。

  3. ここでの「AIの専門家による調整作業」は仕組み自体に対する「ファインチューニング」(fine-tuning)のことを指していますが、第6章の「専門家ではなくても使えるAIが爆誕!」でご説明したように、質問時に関連情報を追加で与えることによって対応できる場合もあります。

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