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【初心者向け】本当にわかりやすいAI入門―数式や専門用語なしにイチから最新動向まで解説!:第1章 AIはなぜ人間みたいなことができるのか?

Last updated at Posted at 2024-01-28

はじめに

最近のAIはすごいですよね。会話ができるのはもう当たり前で、絵を描いたり、資料からレポートや提案書を作ったり、Excelのマクロを作ったり、ビジネスやプライベートの相談相手になってくれたりと、ひと昔前のSFの世界がやってきました。

そんなAIですが、多くの方はその仕組みを知りません。仕組みがわかればAIの得意なことや苦手なことが想像できるようになり、もっともっと効率的に活用できますし、応用のアイデアも湧いてきます。仕組みを知らずに使うのは非常にもったいないことなのです。

そこでこの一連の記事では、AIの仕組みをわかりやすく解説します。数式や専門用語は極力省きますので、学生の方、文系の方、エンジニア以外の方も大歓迎です。

こんな方に向けた記事です

  • 最近のAIがどんな仕組みで動いているのか気になる方
  • AIの導入を検討しているが、ベンダーの説明についていけずにお困りの方
  • AIの入門書を買ったけど、数学やプログラムの知識が足りなくて心が折れてしまった方
  • ChatGPTやLangChainは使っているものの、AIの仕組みまではよくわからない方

この記事のゴール

AIが何なのか、ざっくりとわかっていただくことがゴールです。

AIの生い立ち、機械学習、ディープラーニング、転移学習、テキスト埋め込み、基盤モデル、ReActなどを、なるべくわかりやすくお伝えできればと思います。

7章にわけてお話しします。

内容
第1章 AIはなぜ人間みたいなことができるのか?(この記事)
第2章 脳はすごい
第3章 伝わりやすさと境界の決め方
第4章 細胞増やすだけではダメだった
第5章 時間も手間もお金もかかる
第6章 文章生成の大規模化による進化
第7章 AIのこれから

注意!

  • わかりやすくなるように極端に簡略化している部分や個人的な見解でまとめている部分があります。
  • 数式や専門用語は極力使わないようにがんばりましたが、ページ下部の注釈では専門用語を使用しています。
  • 2024年2月時点の情報に基づきまとめています。AI界隈は動きが早いので 常に最新の情報で確認してください。
  • 個人で作成したものであり、内容や意見は所属企業・部門見解を代表するものではありません。

なお、この記事の内容は、2023年12月に開催したStudyCoさんのイベントでお話した内容とほぼ同じですので、動画の方が好みの方はこちらの配信動画をどうぞ!


第1章 AIはなぜ人間みたいなことができるのか?

初回は「そもそもAIとはなにか?」についてのお話です。

そもそもAIとはなにか?

AIとは「artificial intelligence」の略です。日本語にすると「人工知能」ですね。コンピューターで人間みたいなことをする仕組みのことです1
そのため、「AIはなぜ人間みたいなことができるのか?」の答えは「人間のマネをするものをAIと呼ぶから」です。ニワトリとたまごみたいな話になってしまったので、ここからは「人間のマネ」について少し踏み込んでみます。

どうやって人間のマネをさせるのか?

コンピューターに人間のマネさせる方法は大きく2つあります。

  1. 「人間が考えたルール」を実行させる
  2. 「ルール自体を考えること」まで実行させる

それぞれについて見ていきましょう。

「人間が考えたルール」を実行させる

1つ目は、人間が考えたルールをコンピューターに実行させる方法です。ルールとは公式みたいなものだと思ってください。公式通りに計算するプログラムを開発して、それをコンピューターに実行させる形です。

たとえば、ある会社の過去の売上と宣伝費の関係が次の表の状態だったとします。この時、売上500万円を達成するために必要な宣伝費はいくらぐらいになるでしょうか。

image.png

このような予測は公式を使って面倒な計算をすれば求めることができますが、Excelの分析ツールを使えば簡単です。上の表から下のようなグラフを描くことができ、必要な宣伝費は「80万円弱」とすぐに予想することができます。Excelの分析ツールには、あらかじめ予測をするためのルール2がプログラムとして組み込まれていて、人間の代わりに計算してくれるわけです。

image.png

「ルール自体を考えること」まで実行させる

2つ目は、ルール自体を考えることまでコンピューターに実行させる方法です。たとえば、次のような手書きの数字を認識することを考えてみましょう。

image.png

人間ならどちらも「1」とわかりますが、この認識のルールを考えるのはすごく大変です。

  • 縦方向の棒が1本しかなければ「1」
  • 上の部分から少し左に伸びた横棒があっても「1」
  • 縦棒の下の部分に短い横棒があっても「1」
  • 棒が多少斜めになっていても「1」
  • いずれかの棒が多少離れていても「1」
  • 「7」との違いは… etc.

image.png

そのため、ルールや公式を考えるのが大変なものは、「ルールを考える作業」までコンピューターにやらせるのが主流になっています。

第1章のまとめ

  • コンピューターで人間のマネをする仕組みが「AI」です。
  • 人間のマネをさせるには次の2つの方法があります。
    「人間が考えたルール」をコンピューターに実行させる
    「ルール自体を考えること」までコンピューターに実行させる

次回以降は、後者の「ルール自体を考えること」までコンピューターに実行させる方法について考えていきます。

(おまけ) 「AI」という言葉の混乱

「人間が考えたルール」をコンピューターに実行させる方式までAIと呼ぶことに違和感を覚えた方も多いかと思います。Excelの例もただの分析機能ですから、AIとは呼べないと思われる方も多いでしょう。

でも、たとえば家電では、事前のルール通りに動作するだけのものも「AI搭載!」と宣伝されていたりします。AIの定義は非常にあいまいで混沌としています。

ちなみに数年前のAIブームでは「AI」という言葉に魅了されてExcelでできる処理まで最先端のAIを使おうとして失敗した事例が多くあり、「PoC(Proof of Concept:概念実証)疲れ」といった言葉が生まれたりしました。

目的が達成できれば「その手段がAIかどうか?」は本来どうでもよいことです。目的と手段の混同に注意して、AIという言葉に踊らされないようにしましょう。

「第2章 脳はすごい」へ続きます。

  1. 人工知能」という言葉は、厳密にはそのための技術や研究分野を指す言葉としても使われます。

  2. 線形回帰」というルールがExcelの分析ツールに実装されており、この例ではそれを使っています。

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