今回も以下の考え方からの再出発となります。
【Token】実数概念の代用品としての「連続有理数集合」
添字記法による加法群概念と乗法群概念の統合
改めて「(加法群概念の大源流たる)初項1、公差0の等差数列$X_n(n\in\mathbb{z})$」とも「(乗法群概念の大源流たる)初項1公比1の等比数列$X^n(n\in\mathbb{z})$」とも解釈可能な無限数列(…,1,1,1,…)の概念から再出発する。
Wikipedia「群(Group)」
\sum_{n=a}^b1^n=b-a(n,a,b\in\mathbb{Z})
その左右両端の無限性を表現するには$a=0,b=\tilde{∞}$と置けばよく、さらにはaを単位元、b-aを逆元と置いた群定義も可能だが、a=0の時に加法単位元0と乗法単位元1をどう共存させるかが問題となる。
この問題を解決する為、添字記法(Index Notation)概念を導入して「偶関数的に振る舞う」加法群を添字集合(Index Set)、「奇関数的に振る舞う」乗法群を族集合(Family Set)と置き、以降前者から後者への変換を指数写像(Exponential Mapping)、後者から前者への変換を対数写像(Logarithmic Mapping)と呼ぶ事にする。記法としては伝統的分数記法$\frac{b}{a}$の自明の場合の自然な拡張として現れる概念である。
群論では「乗法群では整数集合の任意の元aの逆元が有理数$\frac{1}{a}$となり、元の整数集合に含まれない」事からここに「半群」の概念が登場するが、それについて私がさっぱりなので「どの断面も1となる」この数列の性質を利用してその記法を連続数列を扱う積分記法(Integral Notation)に切り替える。
Wikipedia「半群(Semigroup)」
\int_{i=a}^b1^id=b-a(i,a,b\in\mathbb{R})
余談となるが、この添字記法を自明の場合として自然に拡張したのが、さらに洗練された(リーマン球面概念の一部を構成する)リーマン記法(Riemann notation)となる。基本的アイディア自体は意外とシンプルで「互いに逆元となる二つの乗法群$X_+^n,X_-^n$を貼り合わせ、それぞれの$X^{0→1}$の区間だけに着目すれば0-2の区間だけで+∞→-∞の区間全てが扱える」というもの。このアイディアを実現する為に添字集合として(符号±の考え方の数式表現たる)$-1^n=(…,1,-1,1,…)$概念の自然な拡張たる虚数(Imaginal)概念$i^2=-1$と複素数記法(Complex notation)a+biが導入されている。
リーマン球面と無限遠点
\left\{
\begin{array}{ll}
\frac{X^n}{1}=X^n & (n<1) \\
X^0=\frac{1}{1}=1 & (n=1) \\
1+\frac{1}{X^n}=1+X^{-n} & (n>1)
\end{array}
\right.
【Token】複素円筒座標系からリーマン球面へ
この辺りの数学的構造は統計学でいう一様分布の概念とも重なってくる。
一様分布
単極球面体(Monopolar Sphere)概念への収束
ところで積分記法を導入したという事は微分記法(Differential notation)も導入したという事である。
1^n\frac{df}{dn}=1
ここに登場する「1」は傾き1、すねわち積分を重ねるとN次元直交座標系$(x,y,z,…N)$を構成する無次元量であり、かつ「(比例尺度成立の条件となる)加法単位元0に関連付けられた乗法単位元1」そのものでもある。この場合について、初等数学で習う交換法則「∞x1=1x∞」概念を射映してみよう。
Wikipedia「無次元量(Dimensionless quantity)」
名義尺度・順序尺度・間隔尺度・比例尺度とは?
見ての通り、N次元立方体の対角線を$\sqrt{N}=1$と置いた場合、各辺長は$\frac{1}{\sqrt{N+1}}$で推移するのでその相対比は次元数Nの増大に伴って減少を続け究極的には0に収束してしまう。
\lim_{N→∞}\frac{1}{\sqrt{N+1}}=0
この数理について我々は三次元以上の展開を直観的に把握出来ないので、平面幾何学ににおける「任意の円に内接する正N角形の半径(外半径=外接円の半径)と辺心距離(内半径=その正多角形に内接する円の半径)が角数Nの増大に伴って接近を続け、究極的には重なり合う(その半径が1の時の円周長を2πと定める)」数理からの類推などで満足せざるを得ない。
内接円/球面の半径と外接円/球面の半径の狭間
そもそもπが無理数(3.14159265…)という点に注目して「0に収束するとはいえない」と見做す考え方も不可能ではないが、人類はあえて「誤差として無視可能な範囲には目を瞑る」方針を貫いてきた。実際、統計学における標本分散(Sample Dispersion)概念と不偏分散(Unbiased Dispersion)概念も同種の「誤差1が無限遠点においては収束する」問題を内包しており、こちらについては数多くの先例から「サンプル数3000以上なら、それほど気にする必要はない」なる経験則が編み出されていたりする。同様に円についても古代バビロニア時代まで遡る「正60角形以上はほ円に見える」経験則が存在し(秒概念や分概念の設定に関わる)60進法や(角度概念の設定に関わる)360進法の形成に役立てられてきた訳である。
標本分散と不偏分散
この問題はさらに「N次元二項式とパスカルの三角形の関係」に射映して考える事も出来るが、四次元以上の方程式は代数的に解く事が出来ず、オイラーの多面体定理,V(Vertex=頂点)-E(Edge=辺)+F(Face=面)=2を潜り抜ける正多角形と正多面体の概念と重なるのも正方形と立方遺体だけで、やはり結局のところは「表面上の任意の点が、それぞれ中心から伸ばされた垂線と直交する一方、(これと水平に交わったり45度の角度で対角線を構成したりする筈の隣点との距離が全て0に収束した結果)デフォルト状態では名義尺度(Nominal Scale)の関係しか構成しない」単極球面体(Monopolar Sphere)概念への収束が確認されるばかりである。
三次方程式から虚数へ
代数方程式について
【はじめアルゴリズム】オイラーの多面体定理
オイラーの公式とガウスの巡回群
オイラーの公式(Euler's Formula)$e^{θi}=Cos(θ)+Sin(θ)i$概念とガウスの巡回群(Cyclic Group)概念が、かかる閉塞状態に突破口をもたらす。順番に見ていこう。
ネイピア数の特定
まずは指数写像が「添字集合(加法群)における単位元0からの増分+1と減分-1」を「族集合(乗法群)における単位元$a^0=1$からの増分と減分」にどう射影されるか明らかにする必要があり、これには複利計算式$(1±\frac{1}{n})^n$を用いる。
\lim_{n→\tilde{∞}}(1+\frac{1}{n})^n=e^1(2.71828182)
\lim_{n→\tilde{∞}}(1-\frac{1}{n})^n=e^{-1}(0.36787944)
【Token】ネイピア数
ここで求めたネイピア数(Napier number)eを底とする冪関数$y=e^x$はy=x+1を接戦とし、微積分の結果が元式と変わらない。
e^{' x}=e^x
\int_{x=-∞}^{+∞}e^xdx=e^x
この性質を利用して一般の冪関数$a^x$を$e^{log(a)x}$と表す事が出来る。そしてこの式を用いいて微積分の結果が以下の様に表せる様になる。
a^{' x}=log(a)a^x
\int_{x=-∞}^{+∞}a^xdx=\frac{a^x}{log(a)}
複素数記法への拡張
虚数の定義は一般にマクローリン級数を用いて行う事が多いが、ここでは上掲の数列上の2点a,bから(相加平均(arithmetic mean)$\frac{b-a}{2}$としての)加法単位元0と(相乗平均$\sqrt{ab}$としての)乗法単位元1を定める場合を想定する。
上掲の「微分係数(傾き1)の積分結果としての超立方体(N次元直交座標系)」と異なり、ここで現れる「乗法単位元i(絶対値1)」は角度2πラジアンの回転自由度(不定性)を備えており、加法単位元0を中心に半径1(絶対値)の縁を描いて極座標系rθを構成する。こうして得られた極座標系は対数写像と指数写像を用いて直交座標系と往復可能である。
そもそも虚数の定義$i^2=-1$を底の変換式$a^x=e^{log(x)}$を用いて$i^2=e^{2log(i)}=e^{2*\frac{π}{2}i}=e^{πi}=-1$と変形させる事が可能で、実際に式$a^{±πi}の底aを1からネイピア数eに推移させると指数写像によって直線が円弧に変換される過程が観察可能だったりする。
【Token】ネイピア数
ただしネイピア数eが無理数という事は、求めた精度によって回転可能回数に上限があるという事。例えばプログラム言語に標準搭載されてる様な小数点下8桁精度くらいでは10回転も綺麗に巻いてくれず、どんどん螺旋に近づいていく。
そこで普通はオイラーの公式$e^{θi}=Cos(θ)+Sin(θ)i$を用いて「Cos(θ)+Sin(θ)i(0<θ<2π)のN回転」に置換しボロを出さない様にしている訳である。複素関数論ではそうした形で「1の同一性」の保守措置も正規化の一環に含んでいる。
複素数値関数の正規化または規格化
ガウスの巡回群
ガウスが「1の冪根は全て、複素数平面における単位円周上にある」事を発見し、①2πをN+1個に割って、それぞれのCos値とSin値を求めXY座標に割り振ると正N角形が描ける(60角形以上で円に見え始める)②しかも、それぞれの値はN次方程式の数値解になっている、なる数理が明らかになると「コンパスと定規で作図する世界」は本格的終焉を迎える事になった。
Wikipedia「1の冪根」
数理女子「複素数の掛け算」
その結果、N進数の極限を2π進数、すなわち複素円筒座標系(Complex Cylindrical Coordinate System)として考えられる様になった。
\lim_{N→∞}N^{n\frac{0,1,…,N-1}{N}}=2π^{n\frac{0~2π}{2π}}
\sum_{n=-∞}^{+∞}N^{n\frac{a_n=(0,1,…,N-1)}{N}}→\sum_{n=-∞}^{+∞}2π^{n\frac{a(0~2π)}{2π}}
ここに「2πの分割集合を複素球面上の半径1の円軌道上に写す」巡回群の概念を導入するとこうなる。
\sum_{n→-∞}^{+∞}e^{2πn\frac{2πa_0(0,1,…,N-1)}{N}i}
ここで実際の$y=a^x$関数は$x=0→\tilde{∞}$と定め、根元で切断した朝顔めいた曲線を描く$関数$a^{+x}$と関数$a^{-x}を貼り合わせた断面を360度回転させた様な形をしており、その根本の断面の接合部が半径1の単位面$e^{θi}$を構成する。当然、対数写像によって得られる線型関数y=log(a)xもまた回転体の断面であり、水平面の極座標系を拡張する形で円錐座標系を構築する。
この様に(極座標系上における回転半径の複利式増大を表現した)指数関数$a^x$の軌跡は螺旋を描く。
そして添字に(実数軸に直交する)θiを与えた場合、指数関数$e^{θi}$はネイピア数e(2.718282…)が「対数写像が傾き1を近似出来てる範囲において(あらかじめ定めておいた誤差範囲を超えない範囲において)」半径1の単位円2πn+cos(θ)+sin(θ)i(θ=0→2π)を近似するという次第。こうした形で定められる加算数の限界もあるという事である。
この考え方の自然な拡張としてリーマン球面概念が登場する。
複素円筒座標系からリーマン球面へ
e進法の登場
有名な「お見合い問題/秘書問題」もまた、こうした考え方の延長線上にある。
秘書問題を解く
ここではまず、その数理の中枢にあるxlog(x)関数の振る舞いに注目してみよう。
この振る舞いを上掲の「N進数の桁上がり/桁下がり」概念に写像すると以下の様になる。
- 任意の数aをN進数記法$\sum_{n=-∞}^{+∞}N^{n\frac{a_n=(0,1,…,N-1)}{N}}$によって表そうとすると、各桁において「規約によって$e^{-∞}$や$0^0$の値として定められている1」と「各桁の$N^{n\frac{1}{N}}$」の間に一旦の減少が生じ、その底は$\frac{1}{e}$の超冪となる.
超冪(テトレーション)の不思議 - Amebaブログ
超冪の数理については現段階では調べてもよくわからないが、例えば$\lim_{x→0}xlog(x)=0$については「対数関数より多項式のほうが早く発散する」数理を用いて$x=\frac{1}{y}$と置いて以下の様な証明もなされている。
xlogxの極限,グラフ,積分など
指数関数の極限と爆発性
\lim_{x→0}xlog(x)=\lim_{y→0}\frac{1}{y}log(\frac{1}{y})=\lim_{y→0}\frac{-log(y)}{y}=0
一般にお見合い問題は「N人の中で一番タイプな人と交際できる確率を最大化する」最良選択問題として解かれるが、ここまでの検討を視野に入れると「(それまで独身主義を貫いてきた)ある人物が、これまでの交際経験を活かせばこれから出会う人物の中から生涯を共にする伴侶を選べる筈だという結論に至ったとする。この仮説が棄却されるのは何人目までに生涯を共にする伴侶が気つからなかった場合か」と考えるのが現代的といえるかもしれない。-xlog(x)関数は、それまでの交際相手のe倍で確率が0になってしまうので「桁上がり=その時点までの交際相手のデータを1としての探索範囲拡大」が必要となる。ここに「e進数」とでも呼ぶべき概念が浮上してきて「各桁」の最大値が$e^{-1}=\frac{1}{e}$となる事から改めて超冪問題が浮上してくるが、例えばある会社が前年度までの業績から今年度の展開を予測しようとする場合、そこまで厳密な「線型展開」は期待しないであろう。その意味合いにおいても超冪は人類にとって無用の長物だからあまり研究がなされてこなかったと言う側面尾あるかもしれない。
e^{±\frac{0~e}{e}}
この考え方はアンケート調査におけるサンプル数決定理論などとも関わってくるかもしれない。
サンプル数の決め方|アンケートで信頼できる回答数とは?
ノーバート・ウィーナー「サイバネティックス 動物と機械における制御と通信(第一部1948年、第二部1961年)」はさらに一歩踏み込んで①自然界において観察される数理の多くは乗法群(指数)的であるが、生存の為に素早い動作を要求される動物はこれを(角度や距離の様に加減算で表現し得る)加法群的概念に置き換えるべく対数的感性を進化させてきた。②それは絶えざる誤差との戦いでもあり、これを補正するフィードバック能力もまた同時に進化してきた、とした。
サイバネティックス 動物と機械における制御と通信
オートメーション化の必然性(第三章時系列、情報および通信)
非常に多くの現象において、われわれは時系列(time series)、すなわち時間の経過に応じて分布している数量、あるいは数量の系列を観測する。自記温度計で記録される温度とか、毎日の株式取引における株の相場(終値)とか、気象台から毎日発表される気象情報とかは、みな連続的な、あるいは離散的な、単独あるいは多重の時系列である。これらの時系列は比較的緩やかに変動するから、筆算や計算尺または卓上計算機の様な、普通の数値計算機よって処理するのに適している。これらの研究はすでに統計理論の伝統的な部分に属している。
一般にはあまり認識されていないことではあるが、電話線・テレビジョン回路、レーダー装置のある部分などの様に急速な変化を示す電圧の系列も上述のものと同様に統計学や時系列論に属するものである。ただしそれらを結合・変換する装置には、高速な動きをすることと、入力の極めて急激な変化と同一歩調で結果を出す事が要求される。これらの装置、すなわち電話の受話器、濾波器、ベル電話研究所のヴォコーダー(vocorder)の様な自動的音声符号化装置・周波数変調回路とそれを使ったは全て本質的に高速どの演算装置であり、その働きは統計学研究所の計算機械類・予定表・計算手などの全体に匹敵するものである。これらの装置のなかには対空火器制御系の自動測距機や自動照準器と同様に、それらを使うのに必要な精緻な工夫が前もって組み込まれている。それらのものを組み入れておかねばならない理由も対空火器の場合と同様である。すなわち、どちらの場合も動作の連鎖は非常に早いものでなければならないから、人間がその一部として介入する事は許されないのである。
フィードバック概念の初出(第四章フィードバックと振動)
外界に対して有効な動作を行うには、健全な効果器(Effector)を持つばかりか、次の事が重要である。すなわちこれらの効果器の動作を適切の監視して中央神経系に送り返し、これらの監視器の読みを感覚器から入ってきた他の情報と適切に統合してから、適切に調整された出力として効果器に送るという事である。全く同じ様な事が機械系にもある。鉄道における信号司令塔の事を考えてみよう。信号士はいくつかのレバーを操作する事によって信号機のスイッチを切ったり入れたりし、またスイッチの切り替えを調整する。しかし信号やスイッチが彼からの命令に従ったと頭から決めてかかる訳にはいかない。スイッチが氷結するかもしれないし、雪の重みで信信号機の腕木が曲がってしまったかもしれない。また彼の効果器にあたるスイッチや信号の信号の状態が、彼の与えた命令通りになっていないかもしれない。こういう事故に遭う危険を避けるために、すべての効果器すなわちスイッチや信号は、信号司令塔の自動表示噐につながれ、信号手にその実際の状態と動作を伝える様になっている。これは海軍で行われている命令の復唱を機械で実現したものである。海軍の慣習では、部下が命令を受けたならば、それを受けかつ了承した事を示す為に、上司に対して命令を復唱しなければならない。信号手はこれと同じ様に復唱された命令に対して行動しなければならない。
この情報の伝達と復帰の連鎖を今後はフィードバック連鎖と呼ぶ事にしよう。
第二次世界大戦後を特徴づける「オートメーション革命」は、まずこうした先例の確認から始まらねばならなかったのである。そう考えると色々と感慨深い。
Wikipedia「オートメーション」
こうして何とか旧投稿への接続に成功した時点で以下続報…